ウエイドは国書のシリーズではこれで三作目。
舞台となるブライド・バイ・ザ・シーは塩沢地を控えた海辺の村。画家のジョンと妻のヒラリーのパンセル夫妻は十二年前にロンドンからここに移ってきた。自分の画業をなんとかして完成しようとするジョンだが、戦争の後遺症と不景気もあってうまくいかず思い悩んでいた。
流行作家のファインズは更に新参者。夏の数ヶ月間に執筆のためにやってくる。何もない場所で仕事が進むのはいいが、退屈に耐えかねた彼はこの夏はゲームとしてヒラリー・パンセルを誘惑しようと思いつく。
前半かなり長く三人の心理描写が続く。頑固者のジョンにしても、洒落者のファインズにしても特に嫌な人物ではない。だが、三者の間の緊張は否が応でも高まる。
ある晩、パンセル家に招待された小説家はかなり酔っ払い、ジョンに途中まで送ってもらったが、深い霧の中に消えた。
ある事件が発生し警察が活動を始めるところからが後半。その事件は、事故なのか犯罪なのか。閉鎖的な村は警察に対しても心を閉じ、捜査はなかなか進展しない。
どういう話になるのか、後半を読んでいてもなかなか見当がつかなかった。
最後の最後でそれがわかるのだが、結構驚かされた。
人物描写は主役三人に限らず、端役に至るまで徹底している。坦々とした描写の積み重ねが一つの世界をつくりあげ、そこに生きる人々を血の通ったものにする。最後に彼の人物がとある行動に出るが、そうなるべき必然性も以前の描写ではっきり示されている。
登場人物に感情移入できるだけにかなりきつい。毅然とした態度が示される結末は感動的ではあるが、それで嫌な気持ちまで払拭されるわけではない。