山田風太郎『忍法忠臣蔵』
山田風太郎『忍法忠臣蔵』
講談社文庫 山田風太郎忍法帖2 初版1998.12.15
新刊書
風太郎忍法帖の第七作。実業之日本社の<週刊漫画サンデー>に1961年11月から連載され、講談社から1962年7月に初単行本化。『くの一忍法帖』との間には、『忍者月影抄』と『外道忍法帖』が入る。
”江戸城大奥御広敷伊賀者の無明綱太郎はヘンな奴であった。”と主人公が最初に紹介される。時は元禄、すっかり泰平ぼけした同輩に飽き足らず、伊賀は鍔隠れで修行してきた野人である。そんな無明が、忠義を盾に将軍のお手付きになろうとする恋人ゆうの裏切りにあい、彼女を惨殺して出奔した。
忠義と女が大嫌い。そううそぶく無明を拾ったのが米沢上杉藩国家老の千坂兵部であった。
折しも浅野と吉良の刃傷沙汰が。上杉家当主綱憲は吉良上野介の実子であり、赤穂浪士を暗殺するために、謙信公以来の能登組忍者十人衆を差し向けた。
千坂はこれに反対する。おおぴっらに赤穂浪士を討てば、下手人は吉良家上杉家だと万人に明らかになるがゆえに。能登組十人衆を妨害し、また赤穂浪士の志を捻じ曲げるために、千坂が選んだのがやはり能登の女忍者六人衆。無明綱太郎はその指揮を任される。
またもや忍法の形を借りた愛欲描写が激しい。
赤穂浪士たちの心が微妙に揺れ動きながら、それでも耐えていくのは亡き主君への忠のため。能登組十人衆も、くの一たちもやはり忠のために命を散らして行く。それを傍観しながら、あるいは掟にそむいて本当に浪士を愛したくの一を始末しながら、無明綱太郎の虚無はより深まっていく。
最後の賭けである大石内蔵助の江戸入り妨害も失敗し、浪士たちの吉良邸討ち入りが迫りつつあるとき、家老千坂は当主に命を懸けて諌言する。
そして遂に結末へ。まさかまさかと思いつつも、ここまでやってしまうのか。
山田風太郎は悪書であるが、本書はその中でも極め付けの悪書である。
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