山田風太郎『男性滅亡』
山田風太郎『男性滅亡』
男性滅亡
男性週期律
1999年
自律神経失調同盟
誰も私を愛さない
作者の単行本未収録作品を含む短編集。当時、ハルキ文庫からぽんぽん出ていたが、私が買ったのは本書の他は『厨子家の悪霊』のみ。
「男性滅亡」は、原子虱なるものの発生により男性がその生殖機能を失ったときに出現した女だけの反ユートピア。
「男性週期律」は、男性の性欲にも一定の週期があるかの確認のために禁欲実験を行った五人の医学生にもたらされる悲惨な結末。
「1999年」は、1956年に発表された未来小説。作中でいろいろな空想を広げているが、案外いちばんの驚きは、七十七歳で健在、とある作者が本当に健在であることかもしれない。
「自律神経失調同盟」は、軽い艶笑味がかったコント。秘密クラブの描写を乱歩の「赤い部屋」からそのまま借りてきたりしている。
『誰も私を愛さない』は、この巻の半ばを占めるサスペンス中篇。全ての記憶を失った女性が主人公。自分の名前さえ思い出せない彼女は、周囲に流されるがままに大学教授、医者、キャバレー経営者と、男の間を転々と振り回されていく。誰もが皆彼女に嘘をついている。彼女の本当の夫はいったい誰。
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