山田風太郎『明治十手架』

山田風太郎『明治十手架』


 『地の果ての獄』に副主人公格で登場する、日本で最初の監獄教誨師となった原胤昭の若き日の物語。

 石川島の牢獄に勤めていた元八丁堀与力の原は、ヘボン博士のお供で訪れてきた元先輩の有明捨兵衛が看守どもに密殺されたことで職を辞す。遺されたクリスチャンの姉妹を守りながら彼は有明の遺志を継いで出獄人保護の仕事を始めるが……。訪れてくる前科者たちは一筋縄でいかない者ばかり。そしてさらに自由民権運動とそれを圧殺しようとする激流のぶつかり合いが渦を巻く。

 物語の後半、美しい姉娘の思いを汲んだ徒刑人たちが己の命を懸けて悪辣な看守や巡査たちに挑んでいく。その凄まじさ。
 切支丹ものの流れを引き、明治ものの掉尾を飾る名編。

 ロシア皇太子に斬り付けた犯人を取り押さえ英雄にされたことから運命を狂わせていく車夫二人を描いた『明治かげろう俥』と、異色のホームズ・パスティーシュ『黄色い下宿人』を併録。


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