山田風太郎の現代ものの推理小説中最高傑作との評もある本作品を読了。廣済堂文庫版では帯と裏表紙惹句でネタばれで、怒っている人も多い。
だが、確かに粗筋をどう書こうとしてもこれならネタばれしてしまう。
章建ては、先ず第一章が「死刑執行・一年前」、次の第二章が「死刑執行・十一ヵ月前」で、最終章「死刑執行当日」まで続く。
第一章で戦犯の男が呪詛のように書き残した「誰カガ罰セラレネバナラヌ」という言葉が、最終章に来てまた大きな意味を持つ。
率直な感想としては、現代ものなら『誰にでもできる殺人』の方が上だと思う。いちばん最初に読んで衝撃を受けたというのが大きいにしても。
だが、作者が戦後をこんなにもストレートに呪っているのは本書の終章くらいしかないのではないか。前代未聞の犯罪は実は太平洋戦争の極縮小版でしかない。山田風太郎と中井英夫がこんなに似ているのかと思わされたのは今回が初めてかもしれない。