山田風太郎『くノ一忍法帖』

山田風太郎『くノ一忍法帖』


 風太郎忍法帖の第四作。<講談倶楽部>に1960年9月号から連載され、1961年7月に初単行本化。『江戸忍法帖』との間には『飛騨忍法帖』(『軍艦忍法帖』)が入る。

 大阪冬の陣で豊臣を攻め滅ぼしてようやく一息ついた大御所家康が震撼した。炎の中から救い出した千姫の侍女の中に真田幸村配下の女忍者五人が紛れ込み、しかもそれらが秀頼の胤を宿しているというのだ。家康は千姫を詰問するが、逆に豊家の恨みを述べ立てられる。だが、豊臣の血筋は絶対に残してはならない。家康の密命が再び伊賀に下った。

 召集された伊賀鍔隠れ五人衆と、千姫が擁する信濃くノ一五人衆の戦い。伊賀方、信濃方ともに性に関わる忍法が多く、従って濡れ場も多い。あまりにも凄絶なそれには目を奪われる。
 性と生、性と死は誠に紙一重。快楽が、苦痛が人間の根源までを感じさせる。それを裏付けるのが作者の医学的知識と奔放な想像力である。

 くの一たちの目的は、自分の腹の中の我が子を守り抜くこと。千姫は愛した秀頼の子を残すとともに、自分を将棋の駒のように操った祖父に復讐しようとする。途中から登場した豊家ゆかりの女丈夫、丸橋の方もそれらに共鳴する。江戸、武蔵野、東海道と転々とした女たちの闘いは、駿府城にてその決着を見る。

 登場した女たちは殆どが無残な最後を遂げた。だが、最後の最後に明かされるエピソードからは作者のやさしさが感じ取れる。


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