山田風太郎・高木彬光『悪霊の群』

山田風太郎・高木彬光『悪霊の群』


 山田風太郎と高木彬光という個性ある二人の作家が組んだ本格的な合作。両者の擁する二大探偵、荊木歓喜と神津恭介が夢の競演を遂げる。
 <講談倶楽部>1951年10月号から翌年9月号まで連載され、1955年に東京文藝社から単行本化。本書の刊行が三十六年ぶりの復刊となる。

 東洋新聞の社会部記者真鍋雄吉が恋人丹羽素子の不審な行動につられて 経堂の洋館で見たものは刳り抜かれたばかりの人間の眼球だった。素子は真鍋に記事にしないでくれと嘆願して姿を消した。
 果たして杉村国務大臣が失踪して目のない死体で発見された。疑いのかかった歌手の泉笙子は、酔いどれ医者荊木歓喜のチンプン館にかくまわれていたが、追い詰められてクリスマスイヴに命を絶った。
 さらに除夜の新宿駅前広場でのバーレスクの最中での殺人と、事件は連続して行く。その陰には決まって黒衣の女の姿が。それが素子なのか。そして事件のたびに命を絶っていく女たちと彼女の関係は。
 神津恭介が米国滞在中で不在の今、泉笙子の死に責任を感じた荊木歓喜が自ら立つ。

 本格というよりは通俗スリラーものに近い。 連載時の毎回毎回の盛り上がりは大したものだったろう。 だが、細かいところまでしっかりと組み立てられ、 特に結末のどんでん返しの連続はめまぐるしいものがある。
 執筆の分担は、高木がアイディアを出し、山田が書くといったものだったらしい。なるほど、二大探偵で常に前面に出ているのは荊木歓喜の方である。神津恭介の登場にはちょっとした趣向も。
 登場人物が物語の駒と化しすぎて山風らしい破天荒さが影を潜めている嫌いはある。それでも探偵小説を読んだなあという気にさせてくれるのが何よりも嬉しい。


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