『風太郎千年史』
新保博久編『風太郎千年史』
BRUTUS図書館 山田風太郎 マガジンハウス 初版1999.07.25
新刊書
赤い靴(『妖異金瓶梅』第一話)
銭鬼(『妖異金瓶梅』第六話) <初読>
山屋敷秘図
大いなる幻術(原作「忍者 枯葉塔九郎」,漫画 水木しげる,着彩 京極夏彦)
忍法棒占い <初読>
忍法小塚ッ原
首
東京南町奉行
巴里に雪のふるごとく(『明治波濤歌』より)
黄色い下宿人
わが家は幻の中(『風眼抄』より) <初読>
父の死(『半身棺桶』より) <初読>
風眼帖 <初読>
中學生と映畫 <初読>
石の下 <初読>
戦中派不戦日記 昭和二十年八月 <初読>
黒衣の聖母
わが推理小説零年 <初読>
達磨峠の事件 <初読>
歓喜登場 <初読>
奇想とユーモアの異色作家山田風太郎 <初読>
推理小説交響楽の源流 <初読>
読まなくたってかまわない <初読>
ナンセンスだから面白い <初読>
自筆死亡記事 <初読>
1999年
膨大な風太郎作品の中から選りすぐった一巻本のアンソロジー。
山田風太郎の筆の及ぶところは、その期間一千年に及ぶ。先ずは、十二世紀宋代の『妖異金瓶梅』。室町ものは短編がないので残念ながら収録なし。切支丹もの、忍法帖から幕末・明治ものへ。そしてデビュー当時の戦後探偵小説。最後を締めるのは、四十年前に書かれた未来小説「1999年」という構成。
何より嬉しいのは、作者が意に満たないからと再録させなかった幻の短編がいくつも読めること。作者にとっては、「ひでえことしやがる」(「忍法帖完結対談 山田風太郎×馳星周」<IN☆POCKET>1999年10月号 講談社)なんでしょうが。
「銭鬼」は『妖異金瓶梅』から唯一削除されていた短編。他と較べて別に傑作ではないけど、駄作でもないじゃないですか。藩金蓮が敗北した話というのも興味深い。
<宝石>の懸賞に当選したデビュー作「達磨峠の事件」も今までずっと不遇でした。タイトルを「達磨峠の殺人」と間違えて記憶されたりもしました。なるほど読んでみて後の風太郎らしさはまるでうかがわれない。医学生の作だということはわかるけれども。でも、やはり特に駄作でもないのでは。
中学生のときの投稿「中學生と映畫」、十八歳のときに受験雑誌のコンクールで入選した真の処女作「石の下」まで収録。編者の周到さに感嘆します。
今年もたくさん風太郎が読めました。
来年もそうでありますように。
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