夢野久作

夢野久作


 本名杉山泰道。本誌七号参照。

 前号より二年近くが経過してしまいました。付け加えることとして、一つ、息子の龍丸が去年の暮れに亡くなったこと。

 二つ、親父の其日庵杉山茂丸の『百魔』(講談社学芸文庫)を読んだこと。全編に跳梁するは、伊藤博文公、盟友の玄洋社社長頭山満、門下生では星製薬社長星一、あるいは越前屋お神お菊婆といった有名無名の魔人たち。日本は魔人で組織した一大魔国だと筆者は言うが実にそのとおり。それにしても茂丸というのも大した人物だったんですね。対支那政策の穏当さには驚かされたし、国士の気構え−長生きし鯛、金儲けし鯛、手柄が立て鯛、名誉が得鯛の四鯛病を根治すること−を説いたところは笹××一あたりに読ませたくなりました。久作のことも出家のことが少し書いてありました。

 三つ、乱歩先生によると、久作には北原白秋と通ずる所があるそうで、そのうち+『邪宗門』でも読んでみるか。

 四つ、*『ドグラ・マグラ』の映画化はいったいどーなるのだろうか。正木敬之博士=桂枝雀という絶妙のキャスティングからして期待はしているのだが。映画自体の出来はどうでも、枝雀が”キチガイ地獄外道祭文”をやるのを聞けたら、それだけで全部許してしまうような気がする。

 最後に乱歩先生が選んだ猟奇歌五編を以ってこの項はお仕舞いとします。




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