音の建造物


この瞬間のために今日ここで指揮をしているのかもしれない。
朝比奈隆指揮のブルックナー交響曲第5番
最終楽章の終結部
音の伽藍と表現される壮大な音の波。
音だけで壮麗で荘厳な建造物を表現できることを知らしめる朝比奈隆。
音だけで目の前に教会がそびえたっているかのごとくみえる。
思わず祈りたくなる音の波。
永久に続いて欲しいと思えるありがたささえ感じる。
音の伽藍が終結し、静寂の中に余韻が漂う。
息をしていないのではないかと思える聴衆。
そしてはじけるような拍手と朝比奈隆の笑顔。
やはり朝比奈隆は一つの大建造物をこの瞬間に創造したのだ。