ブルックナー 交響曲第8番
1994年7月24日 サントリーホール

伝説になったともいえるコンサートの記録である
私は7月初旬にあったザ・シンフォニーホールの同曲演奏会で
朝比奈隆のコンサート体験でベスト3に入るとも思える感動に震えた

あの長いブルックナーが長く感じられない
長かったはずのブルックナーをもう一度最初から聴きたいと思う
そんな演奏会だった

この録音も同じような演奏が聴こえる
涙がこぼれそうになるのは、ブルックナーがすばらしいのか、
それとも朝比奈隆の力なのか
きっと朝比奈は、曲がすばらしい、というだろう
しかし、曲は所詮、紙にかいた符号
音に表してこそ、我々に伝わるものだ
やはり朝比奈の力も大きい
地下のブルックナーも声をあげて泣いているのではないだろうか

この録音を悪く言う人にまだめぐり合わないのもすごい
たいていは、好みの問題もあり、万人が認める録音はめったにないものだ
私の記憶に残る、万人が認める名演の記録といえば、
バイロイト音楽祭におけるフルトヴェングラー指揮のベートーヴェンの交響曲第9番くらいだ
ということは、このブルックナーを聴いて感動に打ち震えることができたのは
人生で希に起こる貴重な瞬間だったに違いない

他でも書いているが、聴衆は朝比奈が会場を後にしても帰らず拍手を続けた
私も含めた聴衆たちに今なお残る強いインパクトを与えた朝比奈隆
まだこの録音を聴いていない方は、ぜひインパクトを体験すべきである