鬼っ子 じろー

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 鬼の世界

「うわあ〜!、何だ、ここは!?」
次郎は叫びました。

いや、これからは「じろー」と呼んだ方が良さそうです。
自宅の近くに有る「鬼の鳥居」を潜り抜けた途端、全くの別世界に飛び込んでしまったのです。

しかも、辺りは「火の海」でした。

火の粉が頭の上から降って来るばかりか、熱いことと言ったらありません。
「あっちち・・・。
冗談じゃないやー!
話しが違うじゃないか!
鬼の世界は、いい世界だって言ったくせに、どうして火事場の真ん中なんだよ!?」
じろーは、誰にモノを言っているのでしょう?

じろーが手に持っていたのは、ソフトクリームのコーンの大きさくらいの「鬼の角」でした。
その「鬼の角」から、不思議な声が聞こえて来ました。
『だから、いい所も、悪い所も有ると言いかけたのだ・・・。
話しが終わらないうちに、お前が鳥居を潜るから悪い』
「もう嫌だ!
やっぱり、帰る!」
じろーは、火の粉を払いながら、クルリと向きを変えました。

「あれえ!?
鳥居が無いや!」
辺りは火が轟々と燃えているだけです。
「おい!
ええと・・・、黄頭鬼(おうとうき)とか、言ったっけ?
どうやって帰るんだよ!?」

じろーは、鬼の角をカラオケマイクのように持って叫びます。
『やかましいなあ・・・、そんなに大きな声を出さなくても聞こえるワイ・・・。
そうさなあ・・・、鳥居を潜らない事には人間界には帰れないなあ・・・』
「だって、鳥居が無くなってるじゃないか!」
『あ、ひょっとして・・・、この鬼界の鬼たちが、鳥居を燃やしてしまったのかもしれんなあ・・・』

火の勢いは増しています。
黒い煙も流れてきました。
「ゴホン、ゴホン・・・」
じろーは、煙を吸って咳き込みながら言いました。
「ゲホッ、ゲホッ・・・。
キカイって、何だよ!?
それに、鬼が、どうして鳥居を燃やしたりするんだよ!?
ゲホッ、ゲホッ・・・」
『鬼の世界を、正しくは鬼界(きかい)と呼ぶのじゃよ。
鬼界に住む鬼は、あまり人間を好いておらんから、人間が出入り出来る鳥居を壊したり燃やしたりしてるんじゃ・・・』
何とも暢気な、黄頭鬼のしゃべり方です。

じろーは、叫びました。
「馬鹿野郎!
じゃあ、どうやって帰るんだよ!?
このまんまじゃあ、焼け死んじまうだろ!
ゲホン!、ゲホン、あっちち!・・・」









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