Cine Citta' PANDA
北野たけしが言っていました。
「映画監督になりたいと思ったことが一度もない人間なんて信じられない」と。
何があっても、おきても。ENDマークがでれば、幕が下りればそこで断ち切られてしまう世界。
だから映画に魅せられるのかもしれません。


 スーパーマンは時をも越える

大空を自由に飛び回り。超人的な能力を操って。
そんなスーパーマンを演じた俳優は私生活でもスーパーマンだった。
落馬事故による全身の麻痺。神に召されるその日まで戦い続けた男。
クリストファー・リーブ。
スーパーマンのイメージが固定されることを嫌がったリーブ。
僕の瞳にはスーパーマンよりも素晴らしいリーブの姿が焼きついている。
時をも越えて愛する女性の下へ飛んでいくリーブの姿が焼きついている。

ある日どこかで
[Somewhere In Time] 1980年【米】

時を越えて愛し合い、時に囚われてしまった男と女の物語。
「私のところに戻ってきて」その一言と共に手渡される懐中時計。
愛しき男に思いを告げた夜。老婦人は静かにこの世を去った。
由緒ある古いホテルに飾られた一枚の写真。
若き日の、数十年前の老婦人の姿。
彼女は時の向こうで男を待っている。現代に生きる若い男は決意する。
彼女の元へ。時を越えて。若き日の彼女の元へ。
強く熱い思いが奇跡を起こす。時の彼方へ。

出会うはずの無い二人が出会う。湖畔で見詰め合う二人。
若く美しき女優に惹かれる男。奇妙で情熱的な男に惹かれる女。
時を越えて運命が動き出す。二人を止めるものは何も無い。
ラフマニノフのラプソディー。一晩だけの情熱的な逢瀬。
強く熱い思いの前では総てが可能になるはずだった。
時さえも無力なはずだった。でも…
男のポケットに残っていたたった一枚の硬貨。
現代の硬貨。それが男を引き戻してしまう。
突然の永遠の別れ。彼女の手に残された懐中時計。
現代に戻った男もまた孤独のうちに去っていく。
時を越えて愛した女の面影を胸に。

あまりにも切ない男と女の物語。
その切なさに囚われてしまう。


 鏡の中で口紅を塗りながら

鏡の中の魅惑的な唇に口紅が塗られる。
小悪魔的な微笑み。
どうしようもない苛立ちを身に纏ったブロンドのボニー・パーカー。
このファースト・シーンのフェイ・ダナウェイの妖艶さとカッコ良さは最高だ。
未だJ.ガイルズ・バンドを知らない頃、フェイ・ダナウェイの旦那だってだけでピーター・ウルフは間違いなくいかした奴だと思った。

『俺たちに明日はない』
[Bonnie And Clyde] 1967年【米】

アウトローのボニーとクライドの物語。
社会や世間に対する拭えない違和感を抱き続けた奴等の物語。
愛されたいのに、愛したいのに素直になれなかった奴等の物語。
孤独で、脆くて。だから強がって、粋がった奴等の物語。
それは実は他の誰でもない自分の物語だったりする。
違うのは自分の手には鈍く光る銃が無いだけかもしれない。

家族に受入れられなかったボニー、足が不自由で不能だったクライド。
生きている間には本当に欲しいものは得られなかったボニーとクライド。
87発の銃弾の雨を浴びて初めて自由になったボニーとクライド。
無様で残酷で。鮮烈で壮絶で。
初めて観たその日からその姿が自分の中から消えたことは無い。



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