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京都厳選 和食懐石・レストラン

日本で一番難しい、かつ最高に楽しめる大人遊びの京都。大人の世界だからこそこだわりたい厳選京都。京都で多数ある名店の中から超厳選した、福岡人が楽しめるお店を、個人的見解でもって紹介します。 INDEX






 俵屋旅館   京都府京都市中京区麸屋町姉小路上ル  075-211-5566
主人 祇園祭俵屋京都の有名旅館・御三家と言えば、「俵屋」「柊屋」「炭屋」。中でも僕らのお気に入りは「俵屋旅館」。
時間が止まるような感覚、それが俵屋を言い表しているだろう。いつ訪問しても、同じ客室係さんがすべての世話をしてくれる。つい昨日会ったかのような笑顔で迎えてくれるが、無駄口はいっさいたたかない。さすが日本最高峰の旅館サービスと言える。

いつもの部屋はきちんと手入れされ真心が伝わる。談話室さりげなく置かれた調度品もわかる人にはわかる一品揃い。他の部屋から物音一つ聞こえてこないし、他の客と旅館内ですれ違う事もない。辺りには静寂が広がり、手入れされた中庭をふと見ると、野鳥が降り立ち水を飲んでいて癒される。いつもの鳥だ。

館内には、1・2階それぞれ趣の違う談話室があり、貴重な古書などを拝読していると、時を忘れてしまう。
指定していた夕食の時間になると、部屋までその日の料理を運んでくれる。そのスピードもこちらに合わせて、計ったったように出てくるのはさすが。
先付けの後は、枝豆のすり流しに胡麻がのせたもの。口に含むと、枝豆の風味と香りが鼻先にまでぬけていく、目をつぶると素材がうかびあがってくる感じがする。向付は鰈の薄づくりと尾の身の2品。これまた非常に上品。
煮物は、「月見湯葉 利休仕立て」。湯葉の中に、松茸、葱、そして木の芽が顔を出す。非常に柔らかい味わい


その後も、焼き物、凌ぎ、温物、強魚と続くが、いずれも薄味で、心にしみいる料理。
ご飯は旬の栗ご飯を頂く。かなりの量だが、「温泉宿」の量でごまかされたような不愉快な満腹感は全くなく、まだいくらでもお腹に入りそうなほど。黒川料理長の腕前には、毎度の事私たちは感嘆の声をあげる。

その上、俵屋の楽しみには朝食とお土産も。朝食は和食と洋食が選べる。定番の湯豆腐に干物がうまい。
そしてお土産のお弁当、これまた月替わりで色んな企画が楽しい。
この時は「湯葉ごはん」と「てん巻すし」。連泊してもなお、俵屋の味を帰りの車中で頂く。

妻 俵屋さんに行くといつも日本の素晴らしさを改めて実感するわ。静かな歴史ある建物の中で、ゆっくり過ごす時間は貴重ね。
お料理はもちろんだけど、俵屋と言えば茶菓子も色々美味しい♪ 毎日、朝・晩と違う茶菓子と美味しいお茶を出して下さるけど、これもまた楽しみな時間。
到着時に頂ける俵屋特製「わらびもち」は絶品。これは旅館近くの「遊形サロン・ド・テ」でも頂けるようになった。和三盆「福俵」や「甘納豆」「花形クッキー」は、これも近くの「ギャラリー遊形」で、リネンやカトラリーと共に手に入るわ。


「リヴァロ家の食卓」
俵屋カフェ 遊形・サロン・ド・テギャラリー遊形の後はイノダコーヒーで京都・俵屋、初夏を涼しく味わう京都の秋、行楽弁当スイートルーム・暁翠の間夏の完璧なる京料理春、旬の食材を満喫祇園祭と文月のしつらえ京都の夏は鮎と鱧」、「秋の京都を感じる旬の食材新緑豊かな皐月の爽やかさ葉月のしつらえと京料理長月、極上の初秋を満喫する」、「新年を祝う迎春のしつらえ縁起よき正月のお料理」、「雛祭りを祝う雅なしつらえ」、「桜満載卯月のお料理





 京都吉兆 嵐山本店   京都市右京区嵯峨天竜寺芒の馬場町58  075-881-1101
妻 京都は嵐山の名所、観光客でにぎわう「渡月橋」を横目に、喧噪を通り抜けると大きな門構え。緑豊かな敷地内は、外からうかがい知れないわ。
門をくぐって玉砂利を行くと、中門で若い衆が出迎え、美しく整った庭を通り玄関まで案内される。玄関を上がると、美しく着物を着こなした若女将や仲居さん達に案内され、迷路のように廊下を通って座敷に通される。京情緒を感じるには十分なシチュエーションよ。

主人 椀は、胡麻豆腐の上に小振りな甘鯛をのせたもの。鰹の風味を存分に引き出した出汁はかなり濃厚で強烈な主張をし、胡麻豆腐と甘鯛を強引に一つにまとめてあげている感じ。

造りは、瀬戸内の河豚の薄造り。ポン酢に加えて、蕗の薹を刻んだタレが用意されている。河豚の肉厚の淡泊さを逆に引き出すこのタレは、微妙な食感と特有の苦みと土っぽい香りが春を感じさせ最高だった。
北海道で水揚げされたトロを、辛味大根などと合わせたタタキは、ライム醤油で頂く。ほのかなライムの風味が新鮮で、かつ風変わりな一皿に昇華させている。八寸盛りは極めて綺麗な盛りつけで、気分を盛り上げてくれる。マナガツオの幽庵焼きは柚の香りを上手に使っていたが、マナガツオは小振り。
炊き込みご飯もかなり濃厚であまり食べられない。ただし、白いご飯も我々のためだけに炊きあげている。

昼でも3時間近くたっぷりと情緒を味わえる。最初から最後まで、若女将を含めた複数の女性が付きっきりで料理の提供、お酌、料理や京都・嵐山の説明をしてくれるなど、至れ利尽くせりのサービスはさすがだった。
値段は素材だけではなく、京都・嵐山の、そして吉兆のお部屋・歴史の雰囲気代も込みという感じ。昼食は3万5000円から、夕食は4万円から。各グループに分化している吉兆だけど、基本となるレシピは同じだそう。

和食は「素材の味と特徴をいかに引き出すか、引き算の料理」、フレンチは「素材にソースなどでさらに別のおいしさを追求する、足し算の料理」というが、吉兆はまさに足し算の料理。京料理はもちろん、日本料理とも異なる、独特の料理の世界を継承している。

「リヴァロ家の食卓」祝80周年 吉兆嵐山本店で満喫する秋夜」、「HANA吉兆 ワイン懐石でランチデート





 祇園丸山   京都市東山区建仁寺南側  075-561-9990
妻 今、京都で一番女性を連れて行くのにお勧めの「京料理の店」といえばここかしら。京都の一流料亭は敷居が高い印象だけど、多くの雑誌で紹介されているなど積極的にマスコミ露出を図っているお店。

祇園の南側、風情のある街並みの中にたたずむ数奇屋造りの一軒屋。昼は観光客がちらちら歩いてるけど、夜は静かで舞妓さんとすれ違ったりしてワクワクする。
あの「和久傳」の料理長を務めていた、丸山嘉桜氏のお店。店の暖簾をくぐり、水が打たれた涼しげな石畳の通路を歩いていくと、右側にはカウンター。2階にあがり個室に通されると、広い座敷の中にテーブルがしつらえてあるわ。

床の間には高価な作家物の掛け軸や飾り、季節のお花で華やかな演出。女性好みの華やかさが特徴かしら。
何より風情を盛り上げるのは縁側、吹き抜けをうまく利用した美しい小庭。風に竹や風鈴がそよぎ、水の演出も涼しげ。

お料理と共に季節感あふれる「しつらい」が素晴らしい料亭よ。もてなされる喜びを味わえるのがデートにいいわね。

主人 その分かりやすい演出力は人気のほどもうなづける。冷酒(玉乃光)も竹筒で供されるが、2日ほど竹筒に入れて味をなじませるという。

料理は上質な新鮮素材に、だしや塩加減もかなりしっかりつけてあるがバランスは良く、おいしくいただける。「料理は色である」という御主人のいうように、盛り付けは色華やかで美しく、食も酒もすすむ。純粋な京料理というより、わかりやすく発展した京料理というイメージ。

縁側では、若い職人が一から炭火を起こし、鮎や筍などの季節物を丁寧に焼いてくれる。暑い京都の日差しの下、大汗をかきながら、焼き上げてくれたホクホクの旬の素材は何ともいえないおいしさ。

京都の奥深さは感じないけど、全体的には万人に受け入れられ喜ばれる、イメージどおりの「京都」を堪能できる。御主人との美術会話も楽しい。

「リヴァロ家の食卓」祇園祭の華やかな料理としつらえ








 魚三楼   京都市伏見区京町3丁目187  075-601-0061
主人 鳥羽伏見の戦で薩摩藩軍・台所番だった。当時は新撰組も斬り込んできたらしく、入り口格子には銃撃戦の弾痕跡もくっきりと残っていて、伏見を代表する名料亭である(京都ミシュラン2ツ星)のと同時に歴史的名所でもある。その弾痕跡の門をくぐると風格ある広く落ち着いた空間。1階には4部屋のみという全体的に余裕ある造りになっている。そのうち庭に望むのは3部屋、中でも一番奥の最も広く庭が全て見渡せる部屋に通された。お昼とは言えせっかくなので、1人2万円のコース料理をお願いすることにした。

まず自家製濁り酒とともに出てきたのは「スッポンの玉締め、黒トリュフ添え」。小さな角切りの黒トリュフが玉締めの黄色の上に映える。歯ごたえの後にかすかにトリュフの風味が香る。スッポンのエキスも洗練された軽やかさ。まるでフレンチのアミューズのような一品が期待を高めてくれる。
先付けは「ナマスの白和え、カマスの押し寿司、車海老、ゴリの甘露煮」。ゴリの甘露煮は全く身崩れしていなく、ヒレの形まで整えられた綺麗な姿で驚く。口に含むとゴリの表面の鱗さえ舌先に繊細に感じられるほどだ。
車海老の表面には唐墨の角切り。最初の黒トリュフとのコントラストが楽しい。車海老の柔らかい口当たりと火が入ってチーズのようにネットリした唐墨の食感の変化もまた楽しい。押し寿司も繊細な酢飯にカマスのふくよかな身の味わいが重なる。挟まれたカボスの皮がまた程よい酸味のアクセントだ。

小さな緑色の上に黄色のパウダーがまぶされたものも添えられている。何とつぶした銀杏を円形に整え、その上に唐墨パウダーをかけたものだ。とっても小さいのだが、口にふくむとねっとりした銀杏の風味が唐墨の塩気とともに広がり何とも面白い。
向付けは「鯛」「車海老」、そして「鮪」。毎朝市場から運ばれてくる鯛の、一番良い部分しか使わないのが「魚三楼」伝統というが、確かになかなかの味わい。鮪も分厚い切り身で出てくる。黄身を数日つけ込んで裏ごしした「黄身醤油」で頂く。大トロの脂がじゅんわりと黄身の風味と重なって、生肉のような何とも贅沢な味わいだ。
椀物は「鱧 松茸の土瓶蒸し」が火鉢で供せられる。この時期ならではの「秋ハモ」と「松茸」の腕は定番の美味しさ。松茸は京都産がまだ入らず韓国産というが、鱧に香りのアクセントを付けてくれる。鱧の脂が浮かんだお出しもじゅんわりとふくよか。濃厚でいて染み渡るような透明さもあって美味だった。

続いて「ヒシ蟹の腕」が殻付きでどーんと登場する。蟹スープも濃厚で飲みごたえはあるのだが変な濃さではなく、むしろまろやかな丸い味を感じる。器は有田焼を中心に豪華で華やかだ。焼き物は「鮑、烏賊の石焼き」。味付けは「酒盗」のみというがその塩梅がちょうど良い。特に薄切りの鮑はさっと片面を焼いて頂くと、かすかな歯ごたえとともに海の香りが広がって良かった。これがまたワインに良く合って、妻は大層この酒盗とのバランスに感動したようだった。どの料理もレベルはかなり高く、やはり酒処ならではなのか日本酒やワイン(もう少し熟成したもの)にも風味や味は良く合いそうだ。
美しい盛り付けで八寸様の「鶏の松風、蛤の酢みそ、鯛の昆布締め」が登場する。繊細な味付けのハマグリに、胡瓜のサクサクした食感と共に酢が染み出て一体となる。その後にポン酢のジュレが丸い余韻を奏でる。添えられたタマミズのネットリした風味も面白かった。さらに「蓮見饅頭」が運ばれてくるが、雲丹・山葵と共に全て美味しく頂けた。

最後はこれまた豪華に、たっぷりの生イクラが乗ったシャケの炊き込み「御飯」。お代わりしたいがさすがに満腹で出来なかったのが残念。赤出汁はとっても薄口だが滋味深く美味であった。
水物「シャインマスカット、梨のコンポート、カボチャのケーキ」も料理同様に良い。和菓子とお抹茶で締めくくられた。担当してくれた仲居さんの接客は、京都の料亭では珍しく終始笑顔が穏やかでとても好印象、心地よく食事が頂けた(サービス料15%)。

京都の繊細な味が好きな人には楽しいだろう。素材の味を全面に出しつつ、様々に細かい工夫が施されているため飽きがこない。繊細でありながらどこかふくよかな味わいという印象。ちょっとした甘みや旨みの使い方が上手く、いろんなアクセントをそれとなく盛り込んでいるのだが、品が良くて脱線せずにどこまでも安定した京料理。





 瓢亭   京都市左京区南禅寺草川町35番地  075-771-4116
主人 南禅寺近く、山縣有朋が趣向をこらした「無鄰菴」もあるそのひっそりとした通りに、江戸時代そのままの掛け茶屋が目に付く。土間にわらじや笠・・そこが料亭「瓢亭」の玄関となる。瓢箪の絵柄を描かれたのぼりが目印だ。中に入ると狭いが奥行きのある通路が続く。小奇麗な別館もすぐ横に出来ているが、やはり瓢亭本館で味わいたい。

400年近く前に茶屋として始まった瓢亭本館、中でも最も古く歴史がある建物で由緒ある茶室が「くずや」だ。そんな趣深い中で懐石を頂く事になった。
その昔、茶を立てた際の余熱や燭台の火で、壁のあちこちがすすで真っ黒。いかにも年期の入った風情だ。頭が天井に着くこじんまりとした茶室の床柱には、掛け軸とともに菖蒲があでやかに生けられている。
障子を開けると目前には、小さいが奥行きを感じる庭と池があり、緑豊かで迫力がある。琵琶湖疎水からの流れにのって、大きな野生の鯉や亀がバシャバシャと元気に瓢亭内の水路を回遊している。静かな中眺めていると、時代をさかのぼって行く気持ちすらする。

椀は、鱧の煮物椀。冬瓜、ジュンサイが添えられている。ふっくらと花開いたようなこの時期の鱧は別格だ。香り立つような奥深い色気ある出汁とともに味わう。
瓢亭と言えばご存知半熟玉子。当然玉子が目を引く八寸は、夏の粋な白い着物が美しい女将自ら供して下さる。「まぁ普通の卵ですけど、昔は生で食べることが多かったから珍しかったんでしょうね。それでも今でも失敗するんですよ。」という唄のような美しい京なまり。何気ない説明にも300年の伝統を継承している自信のほどを感じる。口にふくむと、そのままふんわりと変形してしまうような繊細な食感と味わいだった。
この時期が旬の青梅。丸々と大きいのだが一瞬にして溶けていく感じ。針で皮を突いた上で煮揚げているからこそ得られる食感だろう。

焼き物は鮎塩焼き。花山椒の甘酢漬けが添えられている。瓢亭の鮎は、天然と養殖の両方を使っているというが、これは養殖だろうか、かなり大き目のふっくらした身だ。優しい的確な火入れで表面はカリリ、中はほっくりした仕上がりになっている。養殖としてはかなりのものだが、天然鮎の力強い苦味のほうがやはり好きだ。
御飯はしょうが御飯に赤だし。新しょうがのさっぱりした風味が食欲をそそり、満腹なのにするすると頂けた。

最後に、紫陽花を思う美しい和菓子とお抹茶を頂きゆっくり寛ぐ。茶室の中を雨上がりの爽やかな風が吹き抜けていき、鯉の飛び跳ねる音がする。日本古来の茶室の中、伝統を引き継ぐ料理を満喫した。京都の和食が秀でているのは、耳を傾ければ感じられる「歴史の重み」そのものが、贅沢な一品になるからだろう、そんな想いが頭をよぎった。





 千ひろ   京都市東山区祇園町北側279−8  075-561-6790
妻 四条通りから非常に分かりにくい細い路地に入ると、大通りの喧噪が嘘のようなひっそりとした中に「千ひろ」が佇む。情緒溢れる風情がわくわくさせるの。
京都割烹でも老舗の「割烹 千花」。その次男永田裕道氏が千花から独立してだした店「千ひろ」。店内は清潔感があって、計算された美しい白木のカウンターが広がってて、ご主人の優しい笑顔があるわ。

主人 昼も夜も全く同じコースで、1万2千円・1万5千円・1万8千円から選択する。まず、「焼き帆立に柑橘系のジュレ乗せ」、続いて、季節の終わり、こりこりとした食感が嬉しい「生ジュンサイのウニ乗せ」。汗がすっと引いていく。器も華やかで美しい。

そこに鱧。目の前で大振りの鱧に包丁を入れていく。今日はこの一匹の鱧を刺身と焼きの2種類で楽しませてくれるということで期待感が高まる。「鱧の刺身」は、ワサビ・梅を合えて醤油か、塩昆布でくるんで頂く。もちもちというか、ねっとりというか、舌にまとわりつくような旨味が抜群だった。さすが上質の鱧、刺身で頂けるのは貴重だ。

椀は「穴子しんじょう」。出汁はかなり強く、しかし嫌みではなく、上質な強いアミノ酸がすっと口の中で浮かんでは消えていくという感じ。器もさすがに素晴らしい芸術品。「鱧の源平焼き」。白焼きとタレを味わうが、さきほどの刺身とは全く違う旨味が楽しい。
「鮎の塩焼き」はぷっくりとした身で、その苦みが夏を感じさせる。定番の蓼酢で。やはり鮎は焼きが一番おいしい。そのおいしさを素直に引き出す技術はさすが。「焼きなすのごまだれ」。なすは千花譲りというが、普通の焼きなすのあの香ばしい焼き加減を感じさせないところが特徴。柔らかく舌に乗せると噛まなくとも消えるような繊細さ。

鱧の源平焼き鮎の塩焼き
最後は「鮎ご飯」に、なんと「冷たいなめこ汁」。食事で暖まった身体をまた芯から冷やしてくれる。漬け物はさっぱり浅漬けだが、みずみずしい野菜のビタミンをそのまま頂いているような感じ。さすがは京都の選び抜かれた野菜。
穏やかな店主は聞けば何でも色々と教えてくださる。その冷静な受け答えの中にも、若手への指導は厳しく、名店をさらに進化させていくという強烈な自負心を感じる。季節が変わるころにまた是非訪問したいと思えるお店だった。








 すっぽん料理 大市   京都市上京区下長者町通千本西入ル六番町  075-461-1775
主人 江戸時代から続くすっぽん料理屋。300年17代目、店舗も当時のままというからスゴイ。志賀直哉の「暗夜行路」、川端康成の「古都」など数多くの文学作品にも登場する。

店外観から想像できない奥行きが広がり、歴史ある佇まいに風情のある中庭。そして上手く配置されている、昔そのままの渋い座敷。真ん中に、見たことないような年期の入った低いちゃぶ台。肘置きに寄りかかりつつ、先付のすっぽん肉のしぐれ煮を冷酒と共に頂くうちに、江戸時代にスリップしたような気持ちになっていく。障子の隙間からは庭の緑が見え、春風が柔らかに入って来て心地よい。
ここ「大市」の特徴は、すっぽん鍋が2回に分けて出てくること。 何と1600度の高温で一気に仕上げられた鍋に、一口サイズのすっぽん肉がジュージューと音を立てながら供される。この鍋こそが「大市」なのだ。

妻 仲居さんはこの高温のすっぽんスープで火傷をする事もあるらしいけれど、すっぽんのエキスなので、痕がほとんど残らないというの!ほんと一見火傷痕はわからない。さすがの天然コラーゲンね〜♪ 確かに仲居さん達のお肌もスベスベしているわ。正直エステやパックなんて、体内吸収の効果には及ばないわね。それもフカヒレより、明らかにスッポンの方が効果高し。体質で合う合わないは当然あると思うけど。

主人 スープは濃厚でありながら非常に深みがあり、しかしきれがあり飲みやすい。すっぽん肉はまさにコラーゲンの固まりで旨みが凝縮している。あっという間に食べ終わるが、2度目の鍋を食べ終わる頃には、すっぽんを口中に感じる。

締めは、すっぽんスープで作られた雑炊。卵・餅が入っただけのシンプルな雑炊だが、米がすっぽんのエキスを吸収しており、抜群の旨みをみせる。
なお以前はすっぽんの血のスープが出されていたが、最近は特に注文しないと出されない。








 リスタ ジョルジオ ピンキオーリ   京都市中京区先斗町通四条上ル鍋屋町232-10  075-212-1555
妻 2008年秋にフィレンツェに行った際、「エノテーカ・ピンキオーリ・フィレンツェ」でお会いした吉村ソムリエが、今この京都にいるの。京都北斗町の川沿い、細い路地に昔ながらの町家風の建物が並ぶ。ここは川床を有するスペシャルな、しかも南座が目と鼻の先の場所。
「エノテーカ・ピンキオーリ」のオーナーであるジョルジオ・ピンキオーリ氏が監修する注目すべきイタリアンレストラン。
鴨川を眼下に下階には川床も見える、京都ならではの素晴らしい景色の個室で、本場仕込のお料理を頂くわ。

主人 銀座や名古屋の「エノテーカ・ピンキオーリ」とは別資本だが、フィレンツェ本店で7年働き、名古屋店の立ち上げ時にシェフを務めた村田卓シェフが腕をふるう。しかもついこの間まで長くフィレンツェ本店にいた吉村順之介ソムリエがシェフソムリエとしてスタッフをまとめあげている。そのサービスはそつなく的確で、そして優しく素晴らしい。

アミューズはナッツなどがいわゆる試験管で供される。グラスシャンパーニュも充実しているが、「赤」「白」「特別」の3種類のワインリストが楽しい。吉村ソムリエは「フィレンツェ本店ほどではないんですが・・」と謙遜するが、日本のイタリアンレストランとしては文句のつけようのない品揃えだろう。ピンキオーリの良いところは、イタリアワインはもちろんだがフランスワインも充実していること。ここに揃っている1000種類を越えるワインは、ジョルジオ・ピンキオーリ氏がワインコレクションから持ち込んだものというから期待できる。
「白いんげん豆と自家製ツナのサラダ仕立て」。ボッタルガ、オリーブアスコラーノは塩味がピッと効いている。一瞬にしてフィレンツェ本店の味を思い出す。

焼きたてのオリジナルのパンはジャガ芋のフォカッチャなど数種類。トマトのポン・デ・ケイジョは、チーズのネットリとした触感にトマトの風味が生かされた秀逸な出来。岩塩のパンもバランスよくかなり美味い。イタリアンはパスタだけではなく、パンでも明らかに差がでるものだ。これらに供されたのは、ジョルジオ・ピンキオーリ氏の畑で作られたオリジナルのオリーブオイル。クリアでさっぱりした綺麗な味だ。
「スパゲッティ・アッラ・キタッラ」は固すぎず柔らかすぎずの何とも絶妙な仕上がり。「アルデンテ!」なんて簡単にまとめたくない絶妙さは、さすがフィレンツェ本店でパスタを任されていた村田シェフだ。身質のよいアサリ、そしてバジリコのペーストとともに、細切りのアスパラガスが、視覚的にも味わい的にもぴったりと合っていた。

ふっくらと仕上げられた「スズキのソテー」はトマト・サフラン・ミントのソースで頂く。シャキシャキとした歯ごたえの三度豆が季節感あふれるアクセントになって気持ちいい。
そして「牛もも肉のタリアータ」。添えられたペペロナータとともに、やや厚めに切られた牛もも肉の旨みが広がる。ラルドのエスプーマを小さなスプーンで頂くと、脂が香りとともに口中に広がるという趣向も楽しい。
フィレンツェ本店の味わいを醸しだしつつ、イタリアンらしさ、そしてバランスの良い美味しさが、京都の素材とともに表現されている。定評のあるパスタはもとより魚・肉・前菜どれも満足。

ワイン・サービス・料理・シチュエーションと4拍子そろった「リスタ・ジョルジオ・ピンキオーリ」。京都で大人が通う価値のあるイタリアンといえるだろう。

*2010年秋より店名「ルンガモ」に変更し、1階のみで営業していたが、残念ながら村田卓シェフは2012年3月20日をもってルンガモを退職された。

「リヴァロ家の食卓」立ち寄らずにはいられない、美味しいパスタの店」、「何故にルンガモに、規模縮小に?!





 菊乃井 本店   京都市東山区下河原通八坂鳥居前下る下河原町459  075-561-0015
主人 本館から階段を下りて何度か通路を曲がると、真新しく綺麗な個室がある。全部屋どこからも庭が見えるが、この「木賊の間」から見える庭は名前の通りトクサがびっしり植えてある。それまでは宿泊用の部屋だったところを改装、2010年10月に新たに3室「離れ」とし設えた。

食前酒は菖蒲酒。床の間に添えられた菖蒲、菖蒲を描いた掛け軸と合わせている。先付はうにが乗った「山芋の山葵ジュレ掛け」。シャキシャキ歯触り良く、山葵のピリ辛がアクセントで楽しい一品。
八寸は「鯛粽寿司」、枝豆を下に「穴子の養老巻き」の周りは干瓢で巻かれている。「シンコの南蛮漬け」「鯛の子の落雁」「鯛の酒盗和え」など・・冷酒がいかにも進む八寸だ。
酒のリストはワイン、シャンパーニュ、日本酒、焼酎と適度に取り揃えてある。値段はホテル並みの値付けという感じだろうか。

刺身は「明石の鯛」「瀬戸内の車海老」。更に「鰹のタタキ」も出てきた・・どれもこれも分厚く切られているためかなりお腹いっぱいになる。ここまででも驚く量だ。聞くと担当の「大将は懐石の食べるイメージを変えたいと言うことで、品数も多く量もこれでもか!と出されるんです。ご常連にもお前のはいつも量が多すぎると言われているんですけど〜」とのことだ。

椀は「新茶蕎麦の若狭グジ巻き」。濃い出汁で東京蕎麦の再構成?的なイメージだろうか。ただ椀でも蕎麦を出してくるところが、量で勝負という感じがありありと伝わってくる。
そして、その日の朝取ったという京都産の「焼筍」が豪華に登場。皮と一緒に焼くことで筍本来の風味が増していてこれは美味。木の芽味噌と辛子酢醤油で好みで頂く。

続いて「桜鱒の脂焼き」。これも木の芽、後は柚子と七味で頂く。独特のとろけるような食感とはかない脂身が綺麗だ。パリパリと口の中で小気味良い音を立てる皮の煎餅がアクセント。「炊き合わせ」は、蛸の柔煮・スナックエンドウ・翡翠茄子など。

さらに出てきた「伊勢海老の白みそ仕立て」は、ドーンと椀からはみ出るほどの伊勢海老の大きさ。「鯛飯」は風味をうまく残している。ただしもう満腹を越えていて入らない。そしてオチではないが、最後のデザートのバニラアイスが2段重ねで登場した。さすが・・・ここまで来ると増量の徹底ぶりに感動すらする(笑)

サービス精神旺盛なのかとにかく量が多くて、味と言うより量で勝負的な感じがする(笑) 一人26250円のコースを頼んだが、15750円からあるので量的にはそれ位で十分かもしれない。その著書によれば「経営の根幹は値入と仕入れで、今も値入は自分がしている」という御主人・村田吉弘氏だからこそ、26250円のコースにはこれ位の量になるのだろう。

京らしいそこはかとなく色気ある和食でもないし、奥深い繊細な味わいでもない。京都ミシュラン3ツ星ということで京都を具現する味わいと想像しがちだが、実は違うと思う。敷居の高さはなく器もレプリカが目立つ。接客は感じ良く建物も情緒はあるので、雰囲気含めて海外からの客には良いのかもしれない。
御主人が「うちは基本は飯屋ですから」と言い切る「菊乃井 本店」。客も「飯屋」として割り切って、思うよりは気軽にお腹を空かせて訪問した方がよいだろう。

「リヴァロ家の食卓」新個室で頂く皐月の献立





 桜田   京都市下京区烏丸仏光寺東入ル一筋下ル匂天神町634-2  075-371-2552
主人 暖簾をくぐって入口(ピンポーンと電子音・・)、右側のカウンターを見ながら先に進む。思ったよりこじんまりしたフロアーがあり、テーブル席が4つほど。その更に奥に小上がりの個室が1つだけある。ちなみにカウンターといっても料理人はおらずかなり窮屈そう。全体的に小規模な造りだが、真ん中には坪庭を設けて京都らしい演出。
明るい照明に清潔感のある軽めの内装、手際よく感じの良いサービスで印象は悪くない。各テーブルについても「何番テーブル」ではなく、「○○さんの上がりました」などと、予約客の名前をきちんと呼称している点も細かい。

料理長は滋賀の料亭「招福楼」出身。最初のお料理は「虫籠」、中には赤黄ピーマン・かぼちゃ・いちじく・白きくらげの白和え。味自体の印象は残らないがプレゼンテーションは楽しい。
「桜田」といえばお椀、この日は「鱧とズイキ」。一口目はやや薄いかなと感じるが、二口目から旨味が染みだすように広がる。軽いようで奥行きのあるしっとりとした飲み口だ。口の中で鱧が柔らかくほぐれて、芋茎がはんなりとしたアクセント。出汁の旨み・香り・鱧、そして食感と四重奏を堪能できた。

刺身は「鯛」「鱸」「烏賊」。鯛、鱸は余り寝かせてはいないのだろう、コリリとした食感の上質な身を醤油とチリ酢で頂く。チリ酢は柔らかい酸と旨みが美味。烏賊は添えられた穂紫蘇・海苔とともに楽しむとそのほのやかな甘さが感じられた。
「穴子と玉蜀黍の蒸し御飯」に続いて、小さ目ながらも美しい「八寸」が登場する。「まながつおの幽庵焼き」「煎り銀杏」「さつまいも」「枝豆」「鰻で牛蒡を巻いた八幡巻き」とバリエーション豊か。鮮やかなほおづきの中には「白魚のおろし」が隠れている。

そして「湯葉の玉締め」。たっぷりとした湯葉の上には雲丹とオクラ。酢のジュレ様の酸味がかなり効いていて味わいを引き締めている。湯葉・雲丹・オクラと統一感はなく酢の印象だけが残ってしまった。かなりお腹もたまってきたコース後半に、酸味を効かせて箸を進める趣向の一品だろう。
続いて「蓮根」を冬瓜とみょうがと椎茸で包み込んでいる一品。熱々でトロリとした食感と風味が、さらに満腹感をいざなう。
お待ちかねの鮎は「鮎御飯」が釜で登場。2匹の鮎が骨を抜かれ食べやすく添えられている。ほぐれた身がふんだんにまぶされ、鮎の川魚特有の風味がふくよかに広がる。そこに強めに効かせた山椒の風味がまた食欲をそそる。

デザートは「梨とスイカとサイダーのゼリー」。最後には「抹茶」と「茶菓子」が供せられ一息つく。一番下のほうじ茶のゼリー、その上に水ようかん、更にミルク、そしてなんと一番上には抹茶のソースと言う不思議な4層になっている。

客層は若い人から年輩、一見から常連客までと幅広い。服装もラフな人から身綺麗な人までと色々だ。気後れしないサービスでカジュアルに美味しく頂けるという強みの反面、京だからこそ「しつらえ」や「風情」も味わいながら静かに食事したい・・という向きには合わないだろう。
1万円のコースだったが量的にはかなり多く、全体的に分かり易い明朗な味わい。「皿」による完成度に差が感じられるので、日によってはコースの流れが上手くはまらないと全体の満足感はやや落ちるかもしれない。









 貴船 ひろや   京都府京都市左京区鞍馬貴船町56  075-741-2401
主人 盛夏の京都、洛北の貴船まで足を伸ばした。京都中心から車で30分から40分。北上するにつれひんやりとした空気を確かに肌に感じる。
細い山道は電車・バスを利用した徒歩の観光客であふれかえり、車は離合するにも一苦労で大渋滞だ。何となく皆気ぜわしい。しかし川床に入ってしまえば、外界から隔離された静寂。思ったより冷気を感じまとわりついた汗もさっとひいていく。

京の夏を彩る「川床」。鴨川は「ゆか」というが、貴船では「かわどこ」と呼ぶ。自然を掛け軸にした床の間、という意味あいから「かわどこ」というそうだ。昭和初期、貴船で初めてその川床を出した「ひろや」をうかがった。

美しく盛られた前菜の中ではゴリの煮付けが印象的。山椒の香り、川魚特有の苦味と煮付けの甘味が交差する。氷に刃を入れて作った器に盛られた刺身(鯛・マグロ)は見るからに涼しげだ。鯛、マグロの品質も山中にしてはなかなかのものだ。

美山の天然鮎の塩焼き。高温でパウダー状にした塩が、貴船川の清流を形取り、その「清流」を大振りな鮎がまさに泳いでいる。
頭からかぶりつくと爽やかな苦味が口の中に広がる。添えられた蓼酢は色合い、味わいともに繊細で、鮎本来の風味を生かしてくれた。
綺麗に包丁の入った鱧は梅酢でさっぱりと頂く。近江牛の上にはしば漬けがまぶされている。牛肉と柴漬け一緒に口に入れると、不思議な食感と風味が広がりおもしろかった。

素材にはこだわりを感じるものの、料理全体の印象は平板。しかし京都市中の料理店と比較するのは酷、いや野暮というべきだろう。清流のせせらぎ、床下から立ち上ってくる冷気、青々と重なり合った紅葉の屋根、時折差し込んでくる柔らかい日差し、ひと時の開放感を堪能した。

「リヴァロ家の食卓」
「京都・貴船、川床で涼みつつ鮎





番外



 比良山荘   滋賀県大津市葛川坊村町94  077-599-2058
妻 京都市内から鯖街道を通り、滋賀県は琵琶湖まで一路北上する。大原の寂光院や三千院に行く道を横目に、1時間もすると辺り一面の深い雪化粧、まるで別世界。
そんな美しい山々の雪景色の中、趣ある集落が見えて来た、やっと辿り着いたここは「比良山荘」。絵のように静かに佇む風情が素敵な料理旅館。お隣には地主神社も見える。もともとは登山者用の宿として出発したというわ。現在では3代目、そして2009年で50周年を迎えるの。

主人 夏は鮎、冬は猪や熊鍋など、食事だけを楽しみにわざわざ遠方より訪れる客も多い。この日も県外からの車が多く着けられていた。今回は「冬の一番のお勧め」という熊鍋(1万7250円)を頂くことにする。

先付けは「鯉の白子あんかけ」。鯉の白子にはねっとりとしたあんがかけられている。鯉の白子はくさみなく仕上げられており、独特の風味がクセになりそうだ。
そして「鮎のなれ寿司」。滋賀は日本の寿司の原型とも言われる、鮒のなれ寿司の発祥の地。ここ比良山荘では、鮒ではなく鮎のなれ寿司が提供される。醗酵された子持ち鮎は口に入れるとハラハラと崩れていく。柔らかい酸味がヨーグルトのようでとても頂きやすい。

刺身は鹿に岩魚(いわな)、そして鯉の3種類。鹿と岩魚はこの山々で取られたもの。鯉は、ここ比良山荘の庭の池で泳いでいるものだ。山奥深い清流で育った鯉の洗いは、コリリと細かい骨の特有の食感に澄んだ味わい。鹿は柔らかい繊維質の身を噛み締めると甘味が広がる。フレンチの火を入れた鹿肉は、どちからというと固めの肉質を噛み締めるおいしさだが、それとは対極の柔らかい肉質を味わうことができる。まさに生の美味しさを堪能できる。岩魚もねっとりとした旨みにあふれたおいしさ。
焼き魚は「岩魚の木の芽焼き」。ふっくらとした身に山椒の香りが漂う。青み大根の若々しい苦味がアクセントだ。先程の岩魚刺身の旨みとは全く違う、ほくほくの滋味深い味わいには満足だ。
そしてメインの「熊鍋」が登場するのだ。ここ比良山荘では、月の輪熊という事から「月鍋」と呼ぶ。当初は裏メニュー扱いだったそうだが、「この美味しさを、どうしても皆さんに知っていただきたくて、私の代から正式にメニューにしました。」と、笑顔が優しい現3代目ご主人。
マタギに特別に頼んで届けられるツキノワグマは、大輪の薔薇が咲くように盛り付けられて、純白と赤身のコントラストが美しい。脂身が多い様に見えるが、全くクドくなく柔らかくて軽やかだから不思議だ。「同じ熊でも、年によってだいぶばらつきがあるんです。今年の月の輪熊は、暖冬でドングリをたっぷりと食べたみたいで最高です。」と言うだけあり、とろけるような味わいに魅了される。すき焼、しゃぶしゃぶを参考に考案されたダシは、甘く濃厚だがあとをひかない。キノコ類は冬になる前に塩漬けして保存しておくという。最後に「うどん」を頂く頃には体が汗ばんでいる。雪降りこむ窓を開けて冷気を楽しむ妻は、すこぶる満足な様子だ。

担当してくれた係りの方も笑顔をたやさずに丁寧な接客。ご主人と若女将も変わるがる部屋に顔を出し、楽しいお話や月鍋の世話をして下さる。
俗世を離れた美しく雄大な自然に、静かに温かく佇むこの「比良山荘」では、自然と一体になりながら自然の恵みを堪能すると言う、人間本来の何かを思い出す清さがある。







京都厳選 持ち帰りグルメ(おばんざい系)

日本食が最も美味しい街・京都。歴史や伝統にこだわった多数ある名店の中から、厳選された京都土産を紹介します。 INDEX






 湯波半老舗   京都市中京区麩屋町御池上  075-221-5622
妻 俵屋旅館から数分の場所にある1716年創業の超老舗、湯葉専門店「湯葉半老舗」。この周辺は昔は名水の湧き出る町だったから多くのお麩屋さんが立ち並んでいたらしい。「湯葉半」とは初代の枡屋半兵衛にちなんだ屋号、今でも水は全て井戸水使用しているという。いかにも京都らしい町屋の佇まい・・塗り壁に虫籠窓、ばったり床几がいかにも風情ある。

店中はむせ帰るような大豆の甘い香りと湯気、平鍋が並び棒には湯葉が掛けられている。奥に招き入れられるがそのまんま作業場なので何だか申し訳ない気分。見上げれば「むくり屋根」の裏側が素晴らしい、最も高い所に窓があって空いていたので空が見えるという風情。

時間は昼に近い午前中、当然ながら既に全ての汲み上げ作業は終わり、店内はすっかり片付いていて引き上げる棒が磨きあげられてる。話好きの陽気な女将さん曰く、4時からの営業なので、連絡してくれたら7時くらいだと湯葉の作りの体験がバッチリ出来たのに〜との事(笑)

早速畳スペースで先程出来たばかりの「つまみ上げゆば」を頂く。「つまみ上げゆば」とはとろとろとしたまだ固まってない状態の湯葉でヨーグルトの見た目。ここでしか手に入らない貴重な物よ♪少し醤油がかけられてるのが、また大豆の甘味が引き立って美味しい。

そして一番好きなのはその後に引き上げられる薄張り状の生湯葉、つまり最初に出来た膜である「さしみゆば」ね。不完全なシート状で薄い黄色のふわふわな汲み上げ湯葉。山葵に醤油、ゴマだれやポン酢をかけたりしてツルツル頂くのが定番。
更にその次以降にできる膜が「引き上げゆば」。少し乾燥した感じで歯ごたえのある湯葉はそのままでもいいけど、お吸い物や煮物、冬なら鍋に入れるのが最適。

試食と店内見学を終える頃、女将さんが持ってきてくれたのが茶色湯葉「乾ゆば」。これは全ての湯葉を引き上げた後に出来る、こびりついた湯葉のカス。バリバリでキャラメルのような食感で甘くもある。全種類購入した湯葉とは別に袋に詰めてくれる。実はこの「乾ゆば」、そのままおやつみたいに食べても美味しいけど、赤だしや味噌汁に沢山いれて食べると更に美味しいの。

京都らしい歴史ある本物の湯葉を頂くとなかなか他は難しい・・ほどの行く価値あるお店。観光がてらもいいけど、湯葉は出立てが美味しいに決まっているので、買いに行かれる場合は京都を離れる直前の購入がおすすめ。








 鯖街道 花折 京都本店   京都市左京区下鴨宮崎町121 075-712-5245
妻 冬が旬の鯖を夏に美味しく食べる技は、さすが京都の食文化の歴史が物語るわ。祇園祭などの京の祭事に鯖寿しは付き物よね。鯖寿司といえば、和歌山・岡山・岐阜など全国の山間部で広がったらしく、腐りやすい鯖を産地で塩漬けして運び、ご馳走として各家庭の食卓を彩ったらしいわ。

福井県・若狭湾から山間の洛北「鯖街道」を抜けて京都まで運んで来るんだから、昔の方はスゴイ根性だわね。車で通ってみても、十分険しいくねくね道でかなり遠いわ。車酔いしたもの。鯖寿しといえば、祇園の「いづう」が最初に商品化したらしいけど、鯖街道の終着地点に位置するこの「花折」が美味しいわね。ずいぶん大きなイメージだけど、これが意外にパクパクいけちゃう。お酒に合わせる主人も、お酒なしの娘にも大好評♪
鯖のしめ具合も丁度良くフワフワで、塩もきつくなく、鯖独特の脂が染みてなくて、さっぱりしたお味。シャリもしっとりもちもちで、鯖にぴったりのサラッとした酢加減。夏バテにいいわね。

下鴨神社の西にあるお店に、毎日、大津・花折峠の工房から運ばれるそうよ。若狭湾の鯖、近江米、利尻の昆布、綺麗な水、そりゃ美味しい物が出来るわね〜。羨ましい。鯖寿し1本4800円位だったかな、他にもちまき鯖寿しも美味しかった、湯葉巻きが特に好き。
お持ち帰り(言えばカットして頂けるわ)はもちろん、店内でも「鯖寿し膳」などが頂ける。お漬物も一応売ってありました。





 半兵衛麩   京都市東山区問屋町五条下ル上人町433  075-525-0008
妻 京都や大阪・東京のデパートやホテルにも置いてある、京麩を代表する半兵衛のお麩。でもやっぱり300余年という歴史深い、五条大橋近くの本店でゆっくりお買い物したいわね。優しい女将が色々教えてくださるわ。

外観がいかにも京都らしい歴史的家屋、中に入ると意外に今時の小綺麗な売り場が広々。見やすく並べられているので、ついつい色々買ってしまうわ。ゆっくりくつろいで買い物出来るように、お茶まで出して頂けるの。
そんな売り場隣には、本店ならではの茶房があって「麩料理」が頂ける。但し、ご婦人方に人気で予約待ちとのお話も。

あわ麸・よもぎ麸・ごま麸など、ふっくら柔らかくて、しかも歯応えがあって、生のまま日本酒のつまみでペロッと食べちゃえる美味しさ。生湯葉や麩饅頭など色々あって、どれも美味しい。麩に合わせた田楽味噌もあって、これは気に入った。
こちらは立派なHPもあって通販も充実。季節に合わせた商品などもあるのでお勧めするわ。

「リヴァロ家の食卓」季節物をお取り寄せ、「たくさん詰まった京麸味








 御すぐき處 なり田   京都市北区上賀茂山本町35  075-721-1567
妻 葵祭で有名な上賀茂神社の近くにある、文化元年(1804)創業の「すぐき漬け」の老舗と言えばなり田。上賀茂名物すぐきといえばこちらは外せません。

歴史ある店の佇まいや社家が立ち並ぶ風情、室町・桃山時代から社家で栽培され宮廷でも珍重された幻のすぐき・・・そんな静かな趣きが気に入ったわ。

脂肪燃焼に効果という事で一時期はの品薄状態だった「すぐき」、意外と食べやすい酸っぱさで美味しい。
他には、京茄子の浅漬けが水分豊富なフワフワ感で特に気に入ったし、佃煮や粕漬けなど色んな京都らしい漬物もたくさんあった。
お取り寄せも良いけれど、実際本家に足を運んで、静かにゆっくり選び、女将のお話など空気を味わって頂きたいわ。





 松前屋   京都市中京区釜座通丸太町下ル西側・桝屋町161  075-231-4233
妻 御所用の最高級の昆布と言えば「松前屋」。現在で三十二代目、八百年という長い歴史と格式を誇る旧家名店よ。御所へ諸品調達係として官中に仕えることとなった初代が、天皇から「松前屋」の屋号を授かったとの事。以来、皇室東京遷都まで(約五百年)皇室に深く関わってきた。よって一般向けに販売するようになったのはその後から。いかにも敷居が高い感じでしょ(笑)
店内はスッキリ綺麗に手入れされて、きちんと時代に伴った設備。静かで品ある雰囲気で落ち着くわ。若女将がまだ小さな将来の後継ぎをあやし置き相手して下さる。そのお子さんは「おばーちゃーん」と言いながら店奥に消えて行くが、この代々由緒ある家こそに見られる京都らしい風情が微笑ましい。核家族化している昨今、継いでいく「価値ある物」を感じるわ。

松前屋の「御菓子昆布」は、一枚づつ手作りされた昆布の和菓子。これは一子相伝でどれも長い年月を手間隙掛けて作られているわ。「きうひ昆布」が店頭に並ぶのは10月から3月までで、暑い夏は作られない。他にも「ゆきのうへ」、これは昔は天皇だけしか口に入らなかったとか。この溶ける最高の昆布は要予約。などなど十数種類の昆布商品がが並ぶ。

という訳で昆布菓子ではない?松前屋の代表商品である「比呂女」を紹介。これはその昔、戦乱の軍糧品としても皇室に上げられていたり、天皇が渡欧する際に持参したりと逸話も多い品。
 北海道南最高品の真昆布を使って約6年かけて作るんだからびっくり。5年間蔵で寝かせ1ヶ月米酢で戻す。良い部分だけ切って炊き上げ、更に1年間自然発酵。そこらの塩昆布を想像されたから確かに困るわね。まろやかなコクと言うか、でも濃くて渋味もあるし・・お菓子じゃないなぁ。雅に綺麗な包装を開けたら少量の昆布で驚くが、これだけ手間隙かけてるんだから当然なのよね。

今回はお土産用の可愛い平安絵柄の物と、竹筒風入れ物の二種類の「比呂女」。それとお気に入りのふりかけ(お茶漬け用)の「御所の華」。これを私はお茶漬けよりもご飯にかけるの、癖になるわ。他は料理の基本、出汁用の立派な大判の昆布。使うのもったいないくらい。
努力と歴史からから来るプライド「高級志向を貫いて、最高級の昆布製品だけをつくり続けました」と言うだけあって、京都ならではの伝統文化をヒシヒシ感じる事が出来る貴重なお店よ。








 いづう   京都府東山区四条切り通し一筋半上ル東側  075-561-0751
主人 京都の歓楽街の中に、昔ながらのたたずまいの「いづう」。実に1781年から同所にて営業しているというのだから、京都の歴史の深さを感じざるを得ない。
おみやげを買いに来た観光客を尻目に、地元の方がお吸い物と一緒に鯖寿司を食べている。おばちゃん2人が対応し、敷居は全然高くない。お店で食べるのもいいが、週末の時間帯によっては、持ち帰り客が狭い店内で列をなしているので、落ち着いては食せない。

ここはなんといっても鯖寿司。嵯峨野の竹をはぐと、利尻産の黒昆布に覆われている。黒昆布はネットリと納豆のような糸を引き、一瞬躊躇するほど。昆布をはぎ取ると、上品な色の鯖寿司が顔を出す。
鼻を近づけると、酢の匂いが強烈だが、口に含むと非常に柔らかい京都らしい味わい。肉厚のある鯖と江州米を口一杯にほうばると、すっと喉を通っていく。

鯖は腐りやすいため、産地で塩漬けされた上運ばれ、ハレの日のご馳走として各家庭の食卓を彩った。かつては「いづう」でも、塩漬けされた鯖が、福井県若狭湾から山間の鯖街道を越えて運ばれたが、今では生鯖を自前で処理しているというから時代の流れを感じる。

九州の某有名寿司店も季節によってお持ち帰りの鯖寿司を出しているが、酢と鯖とのバランスが悪く、半分以上も残してしまった。それほど鯖寿司、それも一つまみではなく1本となると、味わいの差が際だつことを痛感する。
小鯛寿司(鯛の皮と身が付いている)も頂いたが、蛋白な鯛の身とこの酢はもう一つか? そのほか、夏は鱧寿司・京寿司盛り合わせ(鯖、太巻き)などもある。
1人前2200円で、200年の伝統芸を味わえる京都ならではのお店。1本(4200円)はかなりの量なので1人前で十分だろう。お土産の場合要予約とされているが、いきなり訪問しても持ち帰り可能。

「リヴァロ家の食卓」
京都の秋、行楽弁当





 五辻の昆布   京都市上京区五辻通千本東北角  075-431-0719
娘 いくら老舗は大切、町人に馴染んだ店は貴重と言えども、そこは大人気観光地。知って頂き、買って頂き、馴染んで頂かなくては商売にはなりません(そうかもしれませんね) そこで営業課サマータイム担当の私が、今を生き、昔を知る老舗の現在を取材致しました、ご覧下さい「京都の果てまで〜〜〜イッテQ!」(完全に聞いた事ありますよ、それ;) 昔から地元に愛される昆布屋さん「五辻の昆布」。ご近所に住む方にお聞きしました。

お婆さん「あ〜渡部、渡邊なんだけど、渡部のほうが楽なんだよね」
チェディ「こちらは長いんですか?」
お婆さん「そだね〜、会員番号4225番だから、あながち古いとも言えなくもないかなぁ」(何の会員なんでしょうか?)
チェディ「なるほど〜、『五辻の昆布』さんの何がお好きなんでしょう?」
お婆さん「え?昆布?あぁ、それで思い出した、『五辻の昆布』さんにお土産を持っていくんやった」
チェディ「有り難うございました、良いお話を伺えましたね」(最後だけじゃないですか、昆布の話;しかしあながちフィクションでもないらしい雰囲気なんですよね;)

昔から地元民に親しまれている「五辻の昆布」の最近注目の商品がこちら「おやつ昆布」(まぁ、何だか可愛らしいですが、何ですかこれ) こちらはその名の通り、おやつにチマチマ食べてちょをコンセプトに開発された、味は一流、見た目にキュートのおやつ昆布でございます。通常、なかなか料理でもメインでは出会えない昆布ちゃんを、おやつでお側に置いてつかぁさいな商品(は、は〜;)

熊の形に切り抜かれた「こぐま昆布」をはじめ、うさぎの形に切り抜かれた「星うさぎ」、所々に星形も(完全に手作業に見えますね、何だか;) 他にもハート形に切り抜かれた「ハート昆布」や、シーズン物の「さくら 」。こちらもオススメで「梅風味」や「れもん風味」各550円となっております。あ、「ほのか」ちゃんだけは味付けプラスな出来ですので600円(は〜;) まぁ、最初にご紹介した熊や星などは形が違うだけで完全に同じ味の商品になります。

一つ一つ、お婆さん達が手作業で切り抜いたんではないか?幼稚園児に好評なのではないか?しかし幼稚園児は昆布をおやつにするか?といった疑問はさておき、最近の女子達京都土産のリストに加えられる商品である事はまちがいございません(確かに雑誌で取り上げられてますよね) さて、これでもかと土産は買ったぜ〜い、さぁ、地元に帰ろうぜ〜い(スギちゃ・・・お疲れ様です)





 嵯峨豆腐 森嘉   京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町42  075-872-3955
妻 嵐山まで足をのばしたらやっぱりここには寄らなくてはいけないわ。でも帰る日で、かつ寒い時期でないと持ち帰るのは厳しいかも。
嵯峨釈迦堂の門前にある、この風情在る佇まいのお豆腐屋さんは、いつも行列ができてて、私達のようにタクシーで乗り付けて来るお客も少なくはないわ。

吉兆」でここのお豆腐を使っているから・・と教えて頂いたのが最初。後から知ったけど、古くから天龍寺はじめ有名旅館・料亭の贔屓で、嵯峨豆腐を代表するのがこの「森嘉」なのだそう。川端康成が小説でも取り上げたとの事。
まさしく納得のお味。注文してその場でパッケージされるその美しくみずみずしい豆腐。その柔らかい豆腐は、こくがあって甘みもあって本当にとろける美味しさ。豆腐だけでなく、お揚げや納豆もたくさん買って帰るけど、いつもあっという間に食べきってしまうの。機会があればぜひとも味わって頂きたいわね。





 雲母漬老舗 穂野出   京都市 左京区上一乗寺谷田町43  075-781-5023
妻 一乗寺下り松や詩仙堂の近く、比叡山へと向かう雲母坂にある、知る人ぞ知る「きらら漬け」の名店。京都市指定文化財でもあるだけあって、風情在る佇まい。昔比叡山にお参りに行く方々の休憩所だったという名残的な独特の雰囲気。

色んな骨董的?品々が雑然と置いてある薄暗い店内には、テーブルセットやベンチがあちこちに。石碑や銅像などまで置いてある(笑) そこでは旅行中の年輩の方々が、お茶をすすり試食用きらら漬けをつまみ歓談中。

小茄子や胡瓜を白みそで漬け込んである、甘しょっぱくて癖になるお味のきらら漬け。ご飯はもちろんお茶請け、お茶漬けにお勧め。
お会計は中庭を横目に店の裏手側で。自家製の梅干しもあって、お願いすると、穏やかで優しい女将が食べ頃の物を選んでくれるわ。





 大徳寺一久   京都市北区紫野大徳寺前20  075-493-0019
妻 大徳寺一久は、五百数十年に渡って大徳寺塔頭の料理方を努めてて、屋号も一休禅師から賜ったという由緒在るお店。
趣在る昔ながらの店頭(屋敷)の奥は、大徳寺に従属した精進料理店があって、現代風なとても大きな黄色い建物なんで不思議。さすが茶道三千家など各家元の御用を務めてるだけあって・・という印象。

ここの名物といえば、麹菌を使った粘りがない黒くパサパサした「大徳寺納豆」よね。一休禅師が伝えた事でも有名。この納豆を作る時期は店を閉めると言う程大変な作業らしいわ。
まず九州ではお目にかからないし、見た目ですでに納豆と思えない。まず一口頂いてしょっぱさにこれまたびっくり。そんな私の反応に一久のご主人は、「そんな辛いおしたら、砂糖でもかけりゃよろしおす」と京都人らしくバッサリ(笑)

食べ続けてると、これが不思議と癖になる感じで。お茶受けはもちろんだけどお酒に合うの。主人も気がついたら「とまらない・・」って感じで、チーズのようにワインと合わせてる。栄養価は高いし、お漬け物や佃煮好きの方からは喜ばれるお土産ね。