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東京・フランス料理情報

デートや記念日には欠かせないゴージャスで完璧ディナー。東京に多数あるフレンチの中から、超厳選した、東京ならではのスペシャルなお店を、個人的見解でもって紹介します。 INDEX






 ガストロノミー ジョエル ロブション   東京都目黒区三田1-13-1-2  03-5424-1347
妻 タイユバンとロブションのタイアップが終了して、同所に「ジョエル・ロブション」として再スタートして早数年。コースは36000円・20皿を並べるという独特のスタイルよ。
2階がロブションブランド最高峰の「ガストロノミー ジョエル ロブション」(1階はカジュアルレストラン「ラターブル ドゥ ジョエル・ロブション」)。
タイユバン・ロブション時代とは打って変わって、壁に鏡やクリスタルを貼り付けバカラのシャンデリアが輝いて、ブラックとゴールドがきらびやかな雰囲気。従来の古典的重厚感からモダンでゴージャス感なダイニングになっているわ。

主人 「オシェトラキャビア 甲殻類のジュレになめらかなカリフラワーのクリーム」、「トマト 毛ガニとともにミルフィーユ仕立て ベルジュテソースを添えて」は、それぞれロブションのスペシャリテを極本の少量ずつ頂くという嬉しいプレート。全体的に一皿の量が少ないため、最初はインパクトには欠ける印象かもしれないけど、ワインに合わせて味わいつつ、じっくり楽しんでいくのがいい。
「新グリーンピースのスープ」は、冷たいスープかと思いきや、ミントが香る温かいスープ。上品なグリンピースの香りが食欲を増進させる。「アワビのポワレ 南仏野菜のムースソース」は、ポワレする前に白ワインで蒸しており、非常に柔らかく仕上げられていた。タイユバン・ロブション時代にも多用されていたグルヌイユは、衣揚げされして供され、そのジューシーさは相変わらず素晴らしい。

途中で大きなパンのワゴンが登場。ロブションのスペシャリテの固めのバゲットのほか、アンチョビのミニクロワッサンなど、こちらも色々楽しめて、ついつい食べ過ぎてしまう。
後半は「筍とフォワグラ」「アイナメ」「的鯛新じゃがいも包み」「オマール海老」「イベリコ豚」「子羊のロースト」。終盤は厨房も疲れているのか、かなり塩を強く感じてしまう。各プレート少量ずつだが、量的には結果満足度は高い。前半のアミューズ、前菜の連続はワイン好きには嬉しい。

ちなみに少量のプレートばかりなので、ワインは頼みにくいと思うかもしれない。そこを意識してか1500円から2300円で、グラスワインを白・赤3種類ずつ用意しているのはうまい。シャンパーニュで通すのもいいだろう。
とは言っても、25000本も揃えているマイナスイオン発生装置付きワインセラーの中から、極上の一本を選ぶのもこのレストランの醍醐味の一つだ。

シェフはタイユバン・ロブションから引き続き、アラン・ヴェルゼロリ氏。とてもスマートで穏やかなシェフだ。大学で経済を学んでいたが芸術好きから料理人に転向した珍しい経歴の持ち主。真面目さや知的さがそのプレートに現れている。

妻 プレートは黒の和テイストや華やかなで個性的な演出のものなど、色々工夫をこらしている。シャンパンワゴンに始まり、バターサービスにパンやチーズワゴン、さらにデザートワゴンととにかく盛りだくさんで、さすが国内トップの豪華さ。
サービス陣も若いながらテキパキとこなして、会話も上手に楽しい時間を過ごさせてくれる。毎日昼夜と多くの客をさばいてさぞハードワークだろうが、フロアでは全くその疲れも見せず皆素晴らしいサービスで感心するわ。

ハイレベルな「フレンチと和食懐石のボーダレス化」的印象で、コンセプトイメージはベージュ東京と類似するも、ここは一線を画す引き出しの多さ。長い時間を掛けて、ゆっくり食事とワイン、会話を楽しむ大人のレストランとして国内最高だとわ。

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 ロオジェ   東京都中央区銀座7−7−5  03-3571-6050
妻 ミシュラン東京で三つ星を取ってから、ますます予約が取りにくくなったフレンチの名店。大きく華やかな洋館の前には、ドアマン達が待機していてタクシーが着くや否や丁寧に出迎えてくれるわ。
フランス人マネージャーの笑顔に迎えられ、ゆっくりと動くエレベーターで2階に上がる。狭い店内に、上質なアールデコの調度品と個性的なコクトーやダリの貴重なアート。さりげなくバランス良く配置されているので、意外と気にならず落着くという贅沢な空間。

主人 アミューズは相変わらずの芸術的で個性的なプレートから出てくる。「根セロリのスープ」は、かすかに日本酒も利用しているという。ウニ・カカオ・キウイがアクセントとして、3色美しく秩序だって飾られている。
まさにアートな「鴨フォワグラのコンフィ」。長方形に形成されたフォワグラのコンフィが、白いプレートに美しく浮き上がる。濃厚な旨みにあふれたフォワグラと、甘酸っぱいクランベリーのチャツネがバランス良く食欲をそそる。ポワラーヌのパン・ド・カンパーニュが添えられていて一緒に頂けるのも嬉しい。

「帆立貝のスープ」。ふわっと泡立てられたブルーテの中にはお得意のロワイヤル、今回は白子のロワイヤルが隠れていた。かすかに感じる帆立貝の海のエキスに、爽やかなすだちの酸味が立体的でバランスがよい。
「真鯛のヴァプール」。蒸煮されたふっくらした真鯛は、キューブ状にかたちどられてる。それを挟んで置かれた「シャンピニオンとオマール海老のカネロニ」は、パスタでくるんであって食感も楽しい。食べ応えもあり、デザイン・魚の仕上がり・付けあわせと、全てのバランスが完璧なプレートだ。

「ベキャスのロティ」。ジビエに定番のソース・サルミだが実に軽やか。カカオの風味が立ち上がり、軽やかさを演出している。ベカスは内臓のペーストも添えるのが典型だが、それさえも美しく演出されている。スコットランド産のベカスは濃厚な風味をまといつつ、肉付きもよくとてもおいしく頂ける。

妻 豪華デザートワゴンが登場するフィナーレ。やっぱりエンターテイメントのフィナーレはこうでなくっちゃの華やかさ。盛りだくさんのお菓子タワーは、是非生で体感して頂きたい。
しかし、その前のメインデザート、今回は「チョコレートのムースとシャーベット」に「マンゴーのコンフィ バナナアイスクリームとココナッツのボストク」はもちろん、付属のマカロンなど小菓子を無視できなかった・・胃に余裕はすでにない(泣)

主人 「ロオジェ」のフレンチは文句なしに美味しい。2005年から就任している若き天才シェフ、ブルーノ・メナール氏と、全てを心得ているスタッフ達が醸し出すその世界は、モダンで美しく、そして甘美で優雅でさえある。

* ミシュラン三つ星のロオジエが2011年3月31日をもって一時休業した。資生堂が銀座並木通りにある本社社屋を建て替えることに伴うもの。サイトによれば、再開は2013年秋を予定しているということだが、ブルーノ・メナールシェフなどの契約延長については触れられていない。

「リヴァロ家の食卓」ロオジエ、来年3月で一時閉店








 キュイジーヌ[s] ミッシェル トロワグロ  東京都新宿区西新宿2-7-2 03-3348-1234
主人 フランスミシュランの三ツ星「トロワグロ」のオーナー、ミッシェル・トロワグロの名を冠したレストラン「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」。ミシュラン東京では二つ星を獲得した。トロワグロ氏本人も年に3回程訪れるという。

木の温もりが印象的な茶色壁に「Cuisine[s] Michel Troisgros」のロゴ、刺し色の赤が印象的な入口。ワインセラーを眺めつつ店内に入ると受付横にはウェイティングスペース、そしてガラス張りのキッチンが煌々と輝く。
インテリアデザイン杉本貴志氏、ハイアットグループではすっかりお馴染み。キッチンの前には大理石が美しい白くモダンなダイニングが広がり、窓からは自然豊かな新宿中央公園が見える。椅子は肘部分が高いのでやや食べにくいかも。

このダイニングの奥には更に第2のダイニングがあり、こちらは一変して会津若松の古民家を移築した温かみある空間が広がっている。手前の柱にトロワグロ親子のサインがあるのは良く知られている。フランスの田舎民家風の優しい造りがコンセプトのよう。

サービススタッフはキビキビとそつがない。料理の内容もきちんと説明し、目が合えばさっとテーブルに。厨房の中では「リオネル・ベカ」シェフがスタッフに指示を行っている様が手前のホールから伺え、厨房内の適度に緊張した空気がガラス越しに感じられる。

「黒トリュフのラビオリ」、ラビオリの上に添えられた黒トリュフの香りがテーブルに漂う。ラビオリの中のチーズが周りに添えられたビーツのコンソメに溶け出し、口の中でハーモニーを奏でる。ビーツの色がアクセントになっており見た目にも美しい。
「オマール海老」はプリプリの身質だ。甲殻類のエキスにやや酸味を感じるソースがオマールにピッタリ。上品でありながら食べ応えのある1品に仕上がっている。
「フランス産の仔鳩」はアーモンドのフリットがまぶされている。胸肉・足の部分をそれぞれ上品に仕上げている。鳩特有の鉄分は上手な味付けの奥に密やかに佇む感じだ。

塩は最低限にしつつ素材の風味を大事にしている。非常に繊細で軽やかな仕上げだが、コンソメに溶け出すチーズ、複雑で立体的なソースなど1品1品にポイントとなる華がある。量的には食べたりない位だが、様々な工夫がなされていて楽しい。

トロワグロといえばデザートも楽しみ、期待を裏切らない。ライスペーパーに包まれたチョコムースやなどもびっくり美味しい。価格帯が低いことから全体的に高価な食材はなく、日本独特の食材も多くある。なのにこの品数、細かい造りや発想と工夫には感動する。

「リヴァロ家の食卓」 トロワグロ親子 来日ディナートロワグロ3世代の歴史をスペシャリテ三昧で味わう








 ピエール ガニェール 東京   東京都港区赤坂1-12-33 36階  03-3505-9505
主人 フランスで96年に三つ星店を倒産させた後に、フランス国家の後押しで復活し、98年には3つ星を取り返したという、伝説のシェフ「ピエール・ガニェール」。
ANAインターコンチネンタル東京に出来た新生「ピエール・ガニェール東京」。ピエール・ガニェールの直営店はパリの2つのレストランのみ。後はロンドン・香港・ラスベガス・ソウル・ドバイ、そしてここ東京で業務提携レストランを展開している。

エレベーターで36階に下りると受付、そして門代わりに美しく設置されたワインセラーをくぐり抜けて店内に入っていく。やや狭い廊下を通ると、ダイニングに行く前の窓際にもテーブル席が用意されている。メインダイニングはゆったりとした造りで、真近に東京タワーが見える窓際にテーブルが4席、隣り合って座れるソファー席が3つ。個室や半個室も用意されている。旧青山店のように狭々しさはなくテーブル間隔も広い。香港の「ピエール」を彷彿とさせる雰囲気。

伊勢海老はメダル型に綺麗に浮かんでいる。ふわっとコリアンダーの香りが漂う。底に沈んでいるカリフラワーのスライスも優しい食感。カリフラワーのムースが印象的だ。
帆立貝は3種類のプレート、いわゆる「デクリネゾン」。ターメリック風味のポワレはわかりやすくて好きな味わいだが、他2種類は微妙な世界が展開。
「レグリーズを利かせたモリーユ茸」はモリーユ茸のムースとモリーユ茸が絡み合い、とても余韻の深いプレート。季節感を全面に出しつつ、食後の印象も「モリーユを堪能した」という満足感を与えてくれる。まさにフレンチならではの完成度の際だつ料理だった。
そして、低温で火入れしてしっとりした真鯛は柚子の香りが印象的。色合いは鯛の白、グレープフルーツの赤、イカ墨の黒など美しくアートされている。

「ブレス産鳩胸肉」はフォワグラ、マッシュルームなどを包み込んだ鳩胸肉はとても小振りで小さい。しかし味わいは鉄分、血の香り、ねっとりした肉質など鳩そのもの。見た目以上に口の中で鳩の存在感が浮かび上がってくるようなプレートだ。

斬新さを折り入れながら、スパイシーなアジアンテイストをふんだんに盛り込んでいる。アートな上にきちんとした技術に裏付けされた各プレートは、食べがいがある。「海に囲まれた日本」を意識したメニューは旧青山店同様のコンセプトのようだ。

フロアーは満席時でも料理の出るスピードもテンポが良くて問題ない。シェフは旧青山店に引き続き、オリビエ・シニョン氏が担当しているから要領は心得ているのだろう。
サービスはホテルのスタッフから選抜されているという事もあって、とても穏やかで礼儀正しい。オープン当初は料理についてもゆっくりと説明するし、また質問すると的確に教えてくれるなど良かったが、一年経つとメンバーも変わっていたり?説明も簡略化された感じもした。
パリ店から来ている髭の特徴的なミッシェル・ドゥレピンヌ マネージャーは相変わらず紳士的で良かった。

ワインリストは1万円から5万円位までの現実的なワインをそろえているが、興味を引くワインは少なくやや物足りないラインナップ。今後、ピエール・ガニェールの料理に合わせてワインリストも充実させていきたいということだった。華やかさやゴージャス感にはやや欠けるが、大人がより安心して通える「ホテルのレストラン」だろう。

妻 チーズのプレートも、食べ頃でクリーミーで食べごろの状態を色々アレンジして楽しい。ワインにも合ってで大満足。そしてフランス本店でも名物とされるガニエールのデザート。本場の様にストップをかけるまで永遠と出てくる訳ではないけど、ガニエールらしい素晴らしい7皿ものデザートは圧巻。

「リヴァロ家の食卓」マンダリンオリエンタル香港・ピエール新生ガニェール、これこそがピエールらしさ
ガニェール来日1周年記念





 レ クレアシヨン ド ナリサワ   東京都港区南青山2-6-15  03-5785-0799
妻 小田原で一世を風靡した「ラ・ナプール」の成澤シェフが、以前のイメージを一掃して青山にモダンな雰囲気のレストランをオープンしてもう8年。美しいシンプルモダンな店内、テーブル間には余裕があるので会話は気にならないわ。
印象的な店名が刻まれた厚めのガラスプレート。シンプルシックな中に、最近はエコな自然の演出もふんだんに使われている。そして出てくるプレートは企画力に溢れ、斬新で考え込まれた作品ばかり。

主人 やはり「デギュスタシオン(21000円)」を楽しみたい。この日は「森とともに生きる」と銘打たれたコースを頂く。「菜園・里山からの贈り物」、「海からの贈り物」、「森からの贈り物」という項目から複数のプレートが提供される。まずは「菜園・里山からの贈り物」の中から2種。「採れたてのラディッシュ」は粒マスタードで「土」を表現し、まさに畑から採取されたばかりのようにラディッシュが配置されている。これを手でそのまま頂くという面白い趣向。そして炭を調味料のように練り込んだベニエの中に、甘い新タマネギが隠れている「新タマネギの炭」。見た目びっくりだがなかなか美味しい。モチモチした食感と炭の風味は何とも面白い。

続いて「北海道産 富良野 ホワイトアスパラガス、高知産 徳谷フルーツトマト、生ハム」。軽く転がすようにソテーしたというホワイトアスパラガスの周りに盛られた色艶やかな野菜達。上質の生ハムの塩気と脂、徳谷トマトの甘み、ワサビ菜カラシ菜の苦みが心地よく調和している。
スムーズなコースの出だしに期待が膨らむところに、美しく飾り付けられた「栗の木の粉を使ったパン生地」が登場。「今パンを発酵しています。発酵が終わったところで、熱々の石窯で12分ほど焼き上げます」ということ。自然な木板に乗せられる出来上がったそのモチモチのパンは、山椒が効いて何だか懐かしいような味わいである。
その他各種バケットが登場するが、無塩バターは可愛い植木鉢に見立てた器の底に入り、上には土に見立てた黒オリーブの粉末、そして草に見立てた紫キャベツのスプラウトが「植えられる」ほどの凝りよう。

「海からの贈り物」として、モクモクと煙を立てながワゴンで「灰 2009 バスクの風」が登場する。これは赤ピーマンを真っ黒な墨にして液体窒素で凍らせたもの・・だそうだ。テーブルには内臓を残したまま火を入れたイカスミが、スペイン産唐辛子のペーストとともに細長いプレートに鎮座している。そのモクモクとした赤ピーマンの「灰」を皿に乗ったイカスミに掛けていく・・サプライズだけでなく、ほのかな甘みと歯ごたえのイカスミが、赤ピーマンの溶け出したソースとともに一体となって美味。レモンジュースの酸味がとてもこぎみ良いアクセントだった。

「菜園・里山からの贈り物」の最後として登場するのは、目にも美しき日本の雅が溢れた「京都 賀茂ナス 祇園祭り」。食用スミレの紫が色鮮やかで祇園祭りの御輿を彷彿とさせる。賀茂茄子のフリット・ペースト・原木椎茸などが三層に重ねられ、その上には涼やかにトマトのジュレのフィルムがかぶせられる。熱々の賀茂茄子とフィルムの食感の対比も面白かった。

「海からの贈り物」に戻り、「ラグジュアリーエッセンス 2007 活ラングスティーヌ」。殻側からほのかに火を入れほとんど生に仕上げたラングスティーヌは、香しい甲殻類の香りがほのかに漂う。そこに「ラグジュアリーエッセンス」と名付けられた、鶏・金華豚・生ハムで取った中華風のスープが「フラスコ」から注がれ、甲殻類と中華が衝突合流した豊かなプレートが目の前で誕生する。
さらに「山口県萩 甘鯛とヤマリの白味噌」。鱗のままバリバリと固めに仕上げられた甘鯛・・・これも中華的な仕上がりだ。京都三千家御用達「山利の白味噌」を使ったソースが、何ともいえない和のコクと旨みで料理にふくらみを与えてくれる。青柚子のソースの香り、そして付け合わせのウド・フキ・木の芽のアクセントも全体のバランスを取っている。アジアン・フレンチといった感じで満足いくプレートだった。

最後は「森からの贈り物」として、世界料理サミット(TOKYO TASTE)で発表された「炭 2009 飛騨牛」が出てくる。アロゼを繰り返して仕上げた飛騨牛は「細胞を壊さず、肉汁を細胞の中にとどめおくことを意識しています」とのこと。火を入れた後に調味料的に炭を表面にまぶしているため、見た目は真っ黒だ。
しかしナイフを入れると、断面は綺麗なツヤツヤしたピンクの仕上がり。確かに繊維(筋)を残しているがとても柔らかく口の中でしみ出る肉汁を強く感じる。赤ワイン・エシャロット・クズで仕上げたソース、そしてキャラメリゼした付け合わせのタマネギも美味で、かなり満腹であったが難なく完食してしまった。和を全面に出した「日本酒のグラニテ」も添えられているのも粋。

各デセールは、「ゼラニウム・杏仁・さくらんぼ」はゼラニウムのエキスとともに優しい食感の杏仁がスルスルと楽しめる。大きな白く波打つメレンゲが印象的な「イチゴ・バラ・オリーブ」は、弾けるオリーブオイルの飴が乗っていて、下にはスイートな苺が隠れている。更に華やかなデザートワゴンが登場する。他種類の小菓子がカラフルに美しく並んで楽しい。

これだけの演出にも関わらず、サービスも滞りなくテキパキと進んでいく。余計な口は開かないクールでスマートな接客だが、質問すればどのサービスからも「的確な答え」と「対応」が返ってくる。客が食事に集中するためのサービスとでも言うべきだろうか(フランスのグランメゾンで感じるような空気)、その方向性・スタンスをスタッフ皆できちんと共有しているのが伝わる。
今回はプレートに合わせたグラスワインを頼んだが、常時10種類程はグラスで用意していると言うだけあって、なかなか満足できるマリアージュだった。料理は日本だけにとどまらず海外を見据える視線を強く感じ、食べ手がその視線を通じて「世界(地球)を体感する」ような印象。独特のグローバルな骨格とエコロジーな思想を感じる。予想した味わいを悠々と超えて着地する、そんな食べ応えのあるフレンチを久々に堪能できた。





 エディション・コウジ シモムラ  東京都港区六本木3-1-1 六本木ティーキューブ1F 03-5549-4562
主人 照明を落したスッキリしたエントランス、メインダイニングは余裕を感じる。奥突き当たりのガラスの向こうにはオブジェの様なワインセラー。個室もある。店全体が黒を基調にしたシックで大人の雰囲気がとても落ち着く。そんなダイニングは、フランス・ブルゴーニュ「ベルナール・ロワゾー」のレストランのウェィティングスペースに似たイメージ。「ラ・コート・ドール(現ベルナール・ロワゾー)」で修行していた下村浩司シェフの感性がやはりつながるのかもしれない。

高い天井から下がる個性的な照明が、こだわりのカトラリー類や料理・ワインの色を、鮮やかに優しく浮かび上がらせている。
まずアミューズが運ばれてきた。生ハムを挟み込んだミニバーガー仕立てのキュートな一品だ。おしぼりにも遊び心があっていい。

前菜1皿目は「冷製ブーダン・ノワールのガトー仕立て」。ブーダンノワールをリッチで滑らかな食感に再構成した一品。リンゴとシードルビネガー添えが効いていて豚の血を感じさせない。しかも丸く可愛い3Dのガラス皿で出てくる、まるでデザートのようだ。
2皿目は「牡蠣の冷製 海水と柑橘のジュレ 岩海苔風味」。この前菜を目的に訪れる常連も少なくないというスペシャリテだ。海水で2・3秒ポシェした牡蠣の下には牡蠣と岩海苔のムース、上には柑橘を効かせたジュレに岩海苔の粉末。まろやかで奥行きがあり、そして綺麗な酸味が全体を支配している。「海水の中の牡蠣」をほおばっているような錯覚を覚えていく。

「カダイフを纏った的鯛のフリット」。メディアでもよく目にするスペシャリテだが、その印象を越えた味わいだった。カダイフは予想よりもとても小さく繊細にまとわされている。
見た目にも印象的なブロッコリーのクーリは、手長海老のブイヨンを含んでいてかすかな旨みがある。レモンのコンフィチュールが衣のサクサク感を殺さず、甘酸っぱさで味わいの変化を与えてくれて、あっという間に皿の上がなくなった。

そしてメインは「シャラン鴨のロースト」。表面の皮に切り目を入れて、それこそカリッカリに仕上げているのが初めての食感。じんわりと火が入っているのだが赤すぎることもなく、口にふくむと鴨のジューシーなジュがしみ出てくるような仕上がり。最近多い他店での「ロゼすぎる仕上がり」が苦手な妻も、あっという間に完食し「美味しい!」と一言。

デザート、まずは「3層の白いデザート」はライチムース、ココナッツアイス、ヨーグルト。お腹いっぱいと思ってたが、プリンプリンでサラッとすっきり口当たりよく美味しい。続いてスペシャリテの「再構築したイチゴのタルト」。キャラメリゼしたピスタチオや分解タルトをイチゴで囲んだ見た目も美しいデザートだ。あとに出てくるマリネしたシャワシャワイチコもそうだが、なるほどシェフのイチゴへのこだわりを感じる。
そして、まるでコアラの顔ように可愛いカカオのムースの「カカオガナッシュとカカウォーター」。生クリームは使われておらず、黒オリーブとオリーブオイルでさっぱり仕上げている。カカオパウダーもスゴイがポイントは塩、これがいかにもフレンチらしい。カカオウォーターもスッキリでまさに大人のデザートだった。

完成度、キメの細やかさやこだわりに、もっとゆっくり味わっていたいと思わせる。冷たいものと温かいものの温度差もはっきりしていて流れがある。バターやクリームを控える味わいでありながら、フレンチらしい立体的でふくよかなプレートの数々だった。現代的で洗練された料理と大人の時間を満喫したディナーだった。

「リヴァロ家の食卓」スペシャリテに酔う至福の夜」、「夏を乗り切る下村シェフの極上フレンチ」、「アンリオ新当主トマ・アンリオ祭新作・春の息吹メニューを満喫するスペシャリテと新作を楽しむ晩秋





 カンテサンス   東京都港区白金台5-4-7 バルビゾン25 1F  03-5791-3715
主人 白金台の一本入った素晴らしい場所にある、話題のフレンチレストラン「レストラン カンテサンス」に伺う。32歳という若き岸田周三シェフは、2000年フランスに渡り、「ジャルダン・デ・サンス」「アストランス」を経て、グラナダグループの「カンテサンス」の料理長に就任した。
カンテサンスはお任せのコース1本のみ15750円。13・14皿といったとこか。同じ日であっても違う料理が出る事もあるみたい。はじめウェイティングスペースで、何も書いていない「メニュー」を渡される。

まずは「原木椎茸とセップのビスケット」。シェフの代表的な1皿。口に含むと椎茸とセップのイメージがパッと広がる。ビスケットといっても見た目の印象より、食感も風味も非常になめらかで、シャンパーニュと抜群な相性を見せる。
続く「山羊乳のヴァヴァロワ」、岸田シャフのスペシャリテのこの1皿にはうなる。荒塩が柔らかい山羊乳にアクセントを与え、さらにふりかけられたオリーブ油が全体の味わいの骨格をまとめあげる。ユリネとナッツのアクセントも素晴らしい。この味わいの何ともいえないバランス感覚がスペシャリテの所以だろうか。

さすがのスペシャリテ。もともと山羊乳チーズ好きなんだが、アレンジしてこんなにバランスの良さを感じた一品はない。フランスを思い出させたこの味わい、ワイン好き・フレンチ好きには外せない。セップのビスケットとこのババロアが続いた所で既に岸田シェフのセンスを感じて、ワクワクした理想の「コース始まり」となる。素晴らしいフレンチレストランは、最初の1〜2皿で客の心に訴えかけてくるものである。

そして「人参のスープ」。たかが人参のスープと思ったら大間違い、このスープを口にしてこの日の晩餐の楽しさを確信する。口に含むと人参のエキスが広がり始め、やがてその姿が頭の中に大きくイメージとして広がっていく感じだろうか。人参を煮込んで裏ごしし、それでまた煮込んでいくという丁寧な作業。ほんの一口二口といった量であるが脱帽のスープだった。

「フォワグラのタルト ビーツ風味」。非常に洗練されて綺麗な1皿。フォワグラの旨みが十分に表現されている。「帆立貝と蕎麦の実」。帆立貝の表面にカリリと火を入れつつ、中はジューシー。表面にふられた蕎麦の実がアクセントになり、実にうまく帆立貝の「海の甘さ」を引き出してくる。ブルターニュ地方から連想した一皿という。
さらに「アンディーブ」、まさに表面を焦がしたアンディーブがダイナミックに供される。薄く切られた唐墨がアクセントになっている。
「青首鴨のロースト 黒トリュフ」、青首鴨は熊本から仕入れたものという。火は十分に入っているのだが身はジューシー。鴨肉の旨みを十分に引き出すために、肉に負担をかけないように低温で3時間ほどローストしている。

店内はブラウン系で統一され、家具類もしっかりしていて、シックで大人の雰囲気。セラー位置も個室の取り方も上手く配置されている。スタッフはまだ若々しい感じだけど、とても優しいサービスで居心地が良い。個性的な吉田ソムリエはいろいろと気配りをしながら、各テーブルに的確なサービスをしてくれる。

ただ、ワイン自体はやや若いものが多いので、もう少し品揃えが広がるとワイン好きも嬉しいかもしれない。岸田シェフの理解したフランス料理という、「プロデュイ(素材)」「キュイソン(火入れ)」「アセゾネ(味付け)」を様々な形で楽しめる。予想を大きく超えた「楽しさ」を味わえた一夜であった。

追記: その後、「カンテサンス」は2008東京ミシュランで三つ星を獲得して以来、維持している。なお店内写真撮影は本記事当時には禁止されていなかったので掲載している。





 フレンチインスパイアダイニング シグネチャー   東京都中央区日本橋室町2-1-1-37F  03-3270-8800
妻 「マンダリンオリエンタル東京」ロビーの階段を降りていくと、水に浮かんだようなグランドピアノとソファースペースが見えてくるわ。降りきってすぐ右手、オリエンタルで爽やか・・女性好みのおしゃれなレストラン。

インパクトある内装は、レストランデザインお得意の小坂竜氏。分かり易いゴージャスオリエンタリズムなんだけど、ここ「シグネチャー」に関して言えば品があってスタイリッシュな雰囲気で、ランク上な造り。シルバーグレーやパープルを貴重に、オレンジや山吹色が品良く差してあり、照明も色々、天井にまでデザインが凝っているのがいい。
入口通路横、オリエンタルなパーテーション越しには女性も団体、奥の広いダイニング窓際も女性達で埋まっている。更に奥の個室からも女性の笑い声がしている・・平日とは言え圧倒的に女性が多い。私達はダイニング奥のソファー席に座る。高層階から昼間の日本橋を見下ろす窓際もいいけど、ゆったり寛げる感じのこのソファー席が好き。

まずは、黒サマートリュフが贅沢に乗せられたスープ。マリネしたセップ茸をアクセントにスープの酸味が心地よい。そして、鮮やかに散りばめた花が印象的な美しいプレートが登場。ネットリとした食感の仕上がりの黒鮑のコンフィは、ポワロネギのゆるりとした食感・甘さ、そして鮑の肝のソースをからめて頂く。

フォワグラはソテーとボイルの2種類の調理法で頂く。マンゴーやココナツなどのフルーツを巧みに使って、レモンパームが香るソースは甘過ぎず夏らしい美味しさ。
続いて一見寿司風な、ほうれん草で巻いた蒸したアカイサキ。酸味程良い甘いフルーツトマトのクーリが敷かれて、これもまた夏らしくさっぱり頂ける。サフラン風味のかぼちゃが見た目だけでなく計算されたアクセントで納得。この2皿には冷えたグラスのムルソーがピッタリで満足。

メインは牛フィレ肉のロースト。付け合せ茄子のコンポジション、コクあるピューレや、水茄子の漬物を思い起こすサラダ仕立ては、センス感じる組み合わせ。今の季節だけの珍しいルバーブと赤ワインで作ったソースは、ルバーブらしいあんずの様なベリーのような・・お肉にもなすにも合う。
チーズ後のデザートは、それぞれのハーブティーに合わせてセレクトして頂き、さらにプティフールも凝って可愛くて、お腹いっぱいなのにまた頂けてしまった。

主人 塩気やソースの出し入れの一つ一つにかなり細やかなこだわりと計算が感じられる。立体的で掛け算されたフレンチの長所をいかしつつ、複雑すぎずわかりやすいシンプルなおいしさ。しかし現代的なエッセンスもそなえた美しいフレンチに仕上がっている。ワインリストもコンパクトだが、グラスやハーフもそこそこ用意されていて「使い勝手」が良い感じだ。
サービスを含め明るく清潔な印象の店内、余裕をもったテーブル配置でゆっくり落ち着いて食事が出来る。洗練されたインテリア・カトラリー・リネン・・実はこのレストランの良さは夜より昼間の方がわかりやすい。大人のランチ会、ランチデートにぴったりだ。

「リヴァロ家の食卓」ボルドー5大テロワール極上ワインと5周年特別メニュー天才女性醸造家が育むテロワールを輝かせるブルゴーニュワインの夕べ」、「ブルゴーニュの至宝、ジュヴレ・シャンベルタンの真髄を味わう夕べ





 トゥールダルジャン   東京都千代田区紀尾井町4-1ニューオータニ東京1F  03-3239-3111
妻 歴史があって格式高いこちらは、本当の意味でリッチな気分にさせてくれる本格的なフレンチレストランね。薄暗い碧いアプローチを進むとタキシードを着た一流のサービススタッフが出迎えてくれるわ(個人的に手袋にときめく)。多数の肖像画壁のウェィティングルームで食前酒を飲み干す頃にはワクワクしてくるの。
シャンデリアほか調度品はとにかく豪華、絨毯や壁、食器類やテーブルクロスなど、チョコレートに至る全てにトゥールダルジャンのロゴが入っているのも、いかにもブランドっぽくて好き。そして「25000本のワイン貯蔵」と言うだけあって品揃えもさすが。


主人 料理の格、ワインの品揃え、サービス陣の確かさ、レストランの規模と調度品、そして刻んだ歴史と経営者の理念・・その要素すべてを備えるレストランの一つとしてここは忘れてならない。そんな「トゥールダルジャン東京」が開業したのは1984年。当時のオーナー、クロード・テライユ氏とホテル・ニューオータニ創業者一族のつながりから、世界唯一の支店が「ホテルニューオータニ東京」内に誕生した。
この日、開業27周年を記念するディナーパーティーが、パリ本店からオーナーのアンドレ・テライユ氏、シェフのローラン・ドゥラブル氏、チーフメートルドテルのミッシェル・クテー氏も来日して盛大に催された。ゲストの年齢層は総じてかなり高く、27年という刻んだ時の重みを感じさせる。

クラシックに軸足を置きながらも、量・塩気など適度に配置されている。凝縮されたフレンチのエッセンスが、軽くはないが重苦しくもなく、バランスを取りながら上手に表現されていた。まさに「美しい音色を奏でるクラシックの楽曲」というイメージだろうか。以前の「濃厚で一昔前の重たいフレンチ」というイメージから一歩踏みだそうという意欲は感じられる。2008年の「日仏交流150周年パーティー」の時より、今回の「開業27周年パーティー」の方が断然美味だった。
プレートを出すテンポも良い。食べるのが早い私たちにはどんどん出してくれたため、2時間位でデザートまで行った(もちろん客席によってゆっくり出している)。おかげで最後はいつも食べられなくなる妻も最後まで楽しめたようだ。このあたりも現代人のニーズを考えて柔軟に対処しているのだろう。

サービス陣・ソムリエ陣は皆さん優しく紳士的。「ホテルニューオータニ」内のレストランらしく教育がきちんと行き届いている感じだ。グランメゾンには慣れてないという人でも、また老若男女問わず、用途を問わず安心して利用できるだろう。グランメゾン=堅苦しいというのは食べず嫌いであって、本物のグランメゾンほど居心地が良いものだと思う。
現代的フレンチ、カジュアルフレンチが隆盛な今だからこそ、余裕のある大人は、世界に誇れるこの「ゴージャスな舞台」を一つの選択肢としてシーンに応じてうまく使いこなしたい。これからも30年40年、そして半世紀とさらにその歴史を紡いで欲しいレストランである。

「リヴァロ家の食卓」由緒正しい歴史には敵うまい?!日仏交流150周年ガラディナー開業27周年記念ガラディナー





 ベージュ東京   東京都中央区銀座3−5−3シャネル銀座ビル10階  03-5159-5500
主人 シャネルとアラン・デュカスが組んで、銀座シャネルビル10階に2004年末、鳴り物入りでオープンしたフレンチレストラン「ベージュ東京」。
ご存じアラン・デュカスは、モナコ「ルイ・キャーンズ」、パリ「アラン・デュカス」で三つ星、その後ニューヨークなど世界各地でコンセプトの異なる店を展開し続ける、今や料理経営者として著名。
シャネルとのコラボというこのレストランは、シャネル銀座ビルの正面からは入れず、横側にり口エレベーターがある。EV内にもシャネルのロゴボタンなど、女性心には嬉しいらしい。

妻 EVを下りたところで荷物を預け、左に進むと照明をおとしたウェイティングスペースがあるわ。左右に数シート美しく並んでるの。ダイニングまでのアプローチを静かに演出といった感じ。
そして視界が広がり、高い天井のモダンで落ち着いた空間が。アッパーゾーン、さらに階段を下りてウィンドーサイドゾーン。
新しいシャネル銀座ビルは、ショップを含め全体的にガラスとモノトーンでクールな印象。10階の「ベージュ東京」は、シャネルのシンボルカラーのベージュで統一されてて、ショップとはまた違った品の良い柔らかな雰囲気。椅子もシャネルらしいツイードでなかなかの座り心地。

主人 ベージュ東京のコンセプトは、アラン・デュカス曰く、「上品、洗練、的確、ビジュアルも美しく、東京の完成されたグランメゾンとは異なる店」。2010年4月に小島景シェフが就任した。以下はその特別メニュー(20000円)。
「旬野菜と地鶏のジュレ、クロスティーニ」。小島シェフの住む鎌倉野菜を全面に出した前菜だ。
「グリーンピースの冷製スープとオマール海老」。目の前で色鮮やかな緑のグリーンピースソースが注がれる。これもグリンピースの味わいを濃厚に表現している。濃厚でありながらねっとりとクリーミー。ただクリームは利用していないということで風味は優しく、後味も軽い。オマール海老もジューシーでジャストの火入れだった。
「アスパラガスとモリーユ茸のエチュベ」。前2品はとても軽やかだったのだが、このあたりで塩も含めてやや強めに変化してくる。モリーユのこもった香りとグリーンアスパラガスの香りがふんわりと漂う。アスパラガスの微妙な繊維の食感とぎゅっとやわらかいモリーユのコントラストが口の中で美しいハーモニーを演じてくれる。見た目はとてもシンプルだが無駄な部分をそぎ落とした、エッジの効いた前菜で良かった。
「真鯛のソテーとフヌイユのフォンダン、黒オリーブとトマト」。南仏らしい軽やかな一品。
「仔鳩とフォワグラのロースト、新ジャガイモのリソレ ソース・サルミ」。サルミ・ソースだが普通のサルミのように血の香りが全面で出るものではない。また若干の食感を感じる。内臓を30分ほど叩いてペースト状にしたものという。このソースがとても美味しくて妻は大絶賛。

正直に言うと前のシェフの料理は美しくて凝ってはいたものの、美味しさが今一つだった。それに比べて小島シェフの料理は素直な美味しさを感じる。ただ量が少ないので、食べる量が多い人には物足りなく思う向きもいるかもしれない。また味付けも品が良く、基本的にシンプルなメニューなので安心して頂ける一方、「ベージュ」に華麗さを求める向きには不満も出るかもしれない。

妻 デザートはプラリネショコラが断トツ人気。帰りにマカロンのお土産など嬉しいわ。全体的な料理の印象は小島さんになって随分よくなった。素材はいいし小島さんらしい野菜に対するポリシーを感じる。日本人シェフによる日本人の好むシンプルシックなフレンチ。若い人には物足りないかもしれないけど、洗練昇華された大人の料理よ。

主人 サービスは開店当初より随分とよくなった。サービスは手慣れた接客で安心して食事に集中できるし、質問すれば的確に色々と帰ってくる。セラーはトイレの並び(アッパーゾーン・入って左奥)に小部屋としてしつらえてある。中を見せて頂いたがかなり狭く、ソムリエの方も「狭くて苦労しているんですよ」ということだった。
パリの「アラン・デュカス」のワインリストも充実していたがそれに並ぶようなイメージ。同じソムリエが監修しているという。「AUDACE」(斬新)、「ELEGANCE BEIGE」(ベージュスタイルの洗練されたバランス)、「EXCELLENCE」(偉大なワイン)の3つの層に分けて整理されている。

ウィンドーサイドゾーン(下スペース)の窓際は4名席で二人ゆっくりできるが、窓側でないところは、2人掛け席がびっしりと並んでいて、食堂状態で会話は丸聞こえ。アッパーゾーンだとまだ安心。特に左窓側の2シートは、日本橋方向の夜景を見ながらカップルでゆっくりとした時間を過ごせる(ただしトイレ近く)。右窓際には8名のシートがあり、ライトアップされた東京タワーの夜景を眼前に楽しめる。

「リヴァロ家の食卓」シャネルは女の幸せ銀座デート小島シェフ就任記念メニューを満喫する」、「シャネルリニュとベージュランチ





 レストラン リューズ   東京都港区六本木4-2-35 アーバンスタイル六本木B1  03-5770-4236
妻 東京ミッドタウンから程近い好立地にある低層デザイナーズ複合ビルの地下一階。緑を上手く配した半外部空間の地下ロビーが印象的。その左手にあるのが「ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション」から2011年2月に独立開業した飯塚隆太シェフの「レストラン リューズ」。店名はシェフの名と時計の「竜頭(リューズ)」をかけたもので「時」をテーマとした店づくりとのこと。

白く浮かび上がるようなエントランスを抜け、中に入るとグレーの大理石とウォールナットを軸に、ダークブラウンのインテリアで落ち着いた空間が広がる。いくつかのテーブル席、オープンキッチンのカウンター席(奥には天井まで届くワインセラー)、ソファーになっている個室(カーブした扉も珍しい)と、こじんまりながらも機能的。天井高なために開放感はある。食器の基本は「ベルナルド」、「アルマーニ / カーザ」の照明にシースルーのカーテン、心地よい椅子とクッション、壁のオブジェやヴェネチアングラスの置物など・・シックな大人のセンスを感じる。

主人 飯塚シェフの「お任せコース(MENU Ryuzu 17800円)」をチョイス。アミューズはアサリのフランにブロコッリーのクリーム。濃厚なフランの旨みの後にブロッコリーのニュアンスが漂う。力強く迫ってくるアミューズにこれからのプレートへの期待が高まる。
前菜1品目は「カリフラワーのムース」をエスプーマに仕上げたもの。中には野菜の旨みの詰まったジュレが隠れている。下からすくって一緒に口に運ぶと、なめらかでリッチな口あたりから濃厚な余韻が広がる。そこに贅沢に盛られた「オシェトラ・キャビア」の海の塩気と風味が混ざる。気分の盛り上がってくる前菜だ。
前菜2品目は「黒トリュフのタルト」。サクサクのパイの上にはキノコ、イタリア産豚の背脂、そして黒トリュフがたっぷりと乗せられている。薄いパイの柔らかな食感の後に、シャンピニオン・デュクセルの風味とトリュフの芳醇な香りが絡み合う贅沢な味わいだ。

続く「ブルターニュ産オマール海老」はローストでふっくらとした仕上がり。オマールの身の甘みを甲殻類のジュと海老味噌のソースで味わう。付け合わせのロワールのホワイトアスパラガスと共に頂く。見た目よりあっさりしたピュアな味わいなので重たくなく、次のプレートへとスムーズにつないでくれる。
魚は熊本産「平目のポワレ」。肉のジュを煮詰めて凝縮したソース、そこにゆっくりと水分を飛ばしていったマッシュルームのペーストがからんでくる。平目を肉のように存在感豊かに仕上げた1品だ。ソテーしたトランペット茸のなまめかしい口当たりもいかにもフレンチらしい食後感。シンプルに見えて、かすかに香る黒胡椒やオリーブオイールのソースもアクセントになり、複雑な構成が綺麗にまとまっている。

メインは熊本産赤牛だったがちょうど先日赤牛を頂いたばかりだったので、鴨胸肉に差し替えてもらう。軽い鴨のジュのソースで頂く鴨肉は旨み豊かに仕上げてある。ゆっくり噛みしめる度に旨みが次から次ににじみ出てくる感じだ。かすかにトリュフの香りをまとわせたスナップエンドウや新牛蒡に春を感じながら最後まで美味しく頂いた。
チーズは「エポワス」「シェーブル」、2年熟成の「コンテ」や1年半熟成の「ミモレット」を残った赤ワインとともに楽しむ。どれも良い感じで熟成しており細かいところにも気配りを感じる。

最初のデセールは「ヴェルベーヌのジュレ」。イチゴ「とちおとめ」とピスタチオのプリンが潜んでいる。ヴェルベーヌの香りをまといながら頂くデザートはすっきりして良かった。
そしてもう一皿、黒いアーティスティックなプレートに盛られた「ショコラのガトーとモカ・アイス」が登場する。ヴァローナのチョコレートを使ったムースショコラの上には、ヘーゼルナッツを飴で包んで(プラリネ)立たせている。横にはモカのアイスクリームが添えられる。

角敏行支配人や佐藤春男マネージャーも、笑顔を絶やさない穏やかなサービスで居心地が良い(若干テーブルウォッチが遅れ気味だったが)。デートでじっくり向き合うも良し、カウンターで料理の様子を見ながらアラカルトを楽しむも良し、個室で家族と賑やかに過ごすも良し・・万能的温かみある懐の深いレストランという印象を持った。「ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション」で5年勤めた飯塚シェフは、さすがポイントを外さず、どのプレートもいわゆるストライクゾーンに球を集めてくる感じだ。

モダン、クラシックを問わず、これからはまずます「真に美味しい料理」が求められる時代になってくる。真に美味しい料理とは8・9割の客が「美味しい」と口に出すものと言い換えていいかもしれない。その意味でここリューズは、まさに「現代的なフレンチレストラン」といえるだろう。





 レ セゾン   東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテル東京・本館中2階  03-3539-8087
妻 ご存知、日本が誇る伝統と格式の「帝国ホテル東京」。中でもフレンチレストランの「レ・セゾン」は、昭和クラシカルな雰囲気の中で、伝統に新風を吹き込むフランス人シェフ、ティエリー・ヴォワザン氏のお料理が頂けるわ。
しかも今回は個室でサービス料込み、なんと「1日1組限定」というスペシャルな内容♪ 特別な晩餐をコーディネートしてくれる、つまりオーダーメイドのお料理なわけ!題して「シュール・ムジュール 〜レ セゾンで過ごす特別な日〜」。

主人 ティエリー・ヴォワザン氏はシャンパーニュ・ランスの二つ星レストラン「レ クレイエール」から鳴り物入りで呼んだシェフだ。
帝国ホテルは、伝統があるだけに、かえって「昔ながらの西洋料理」というイメージがつきまとっていたが、そこからの脱却を本気で狙った招聘といえるだろう。東京ミシュランでは早速一つ星を獲得した。
そんなシェフを独り占めにできる企画だからフレンチ好きには応えられない。

ラングスティーヌのポワレ、キャビア添え。火が入るか、入らないか位の非常に繊細な火入れが、ラングスティーヌの持つ甘さ、ねっとりした旨みをダイレクトに表現する。ホワイトアスパラガスの下には甲殻類のジュレが敷かれて、味わいに立体感を与えてくれる。
前菜2品目は、毛ガニのカプチーノ仕立て。オニオンのロワイヤルがカプチーノの中に浮き上がるようなデザインだ。トマトのジュレの赤色も鮮やかで見た目にも美しい。

フランス産平目の塩釜包み焼き。シェフ自ら目の前で取り分けてくれる。平目の持つ旨みが塩釜でしっとりと引き出されている。コリアンダーの風味とミルクのような舌触りのインカの目覚めのピューレが食欲をそそる。
ポワトゥ産小鳩のロティは、肉厚がありながらとてもジューシー。小鳩特有の鉄分の旨みが肉汁とともににじみ出る。子羊に比べるとやや鳩を苦手とする妻も大絶賛だった。
 甘み、酸味、旨み、塩のバランスが良いため、日本人にも合った繊細な味わいに仕上がっている。しかも素材の持つ個性が綺麗に引き出され、メリハリのある料理の数々だった。

妻 「レ・セゾン」のメインダイニングには沢山の家族連れがいて騒がしい。しかし、個室はそんなざわめきをかすかに感じる程度。内装はフランス人のフランソワ・ル・グリ氏のデザイン。落とした照明に和と洋がうまく融合したエキゾチックなインテリア、赤が効いている。2・3人のサービスが出入りするだけの、静かでゆっくりと流れる至福の時間を堪能できた。
それに、40代半ばのティエリー・ヴォワザン氏がとってもイケメン!スマートでお優しくて、何度も個室に顔を出してくれるなどとてもまじめな方よ。






 レストラン ひらまつ 広尾   東京都港区南麻布5−15−13  03-3444-3967
パリ「レストランひらまつ サンルイ・アンリル」が、開店後4カ月の2002年に仏ミシュラン一つ星を獲得した。それ以来連続して星を維持していて、元2つ星レストラン・フォージュロンを買い取り16区に拡大移転。味は全店マニュアル化されていて、パリと同じメニューが日本でも頂けるのが嬉しい限り。
広尾本店は広尾本店は大使館が並ぶ一角にあり、コンパクトな3階建ての洋館で画廊併設。アンティーク家具と名画に囲まれた落ち着いた空間。入り口ではスタッフがめざとく車窓に目を走らせて、さっと出迎えて下さる。この辺りのおもてなしはグランメゾンならではね。ちなみに、博多店は広い1フロア(1241m2)でアールヌーヴォー様式のゴージャスな造り。

ウェイティングスペースでは、プチシューと生ハムにあわせて食前酒。目を見張る木枠に入った大仰なワインリストが最近若干縮小されたのは残念だが、ワイン好きにはたまらない。トータル的にはここを超えるワインリストを揃えているレストランは少ないね。サービスは店舗開設時から常に人の入れ替わりがあるけど、落ち着きがあって、つかず離れずのサービスは非常に心地良いよ。

妻 2階には化粧室に個室、バーがあるわ。3階がメインダイニングなので、ロングドレスや着物は階段移動にちょっと苦労するかもね。
料理は美味しいだけでなく一つ一つのプレートが美しいわ。野菜のムースやコンソメなどアミューズも、これから始まる晩餐への期待を高めてくれるの。続いて出てくるお料理は、いつも斬新な発想で驚かせてくれる。それに量が少なめだから女性には助かるわね。

主人 前菜「軽いフィユテとラングスティーヌ オランデーズと共に」。「あくまで主役はサロン ブラン・ド・ブランです」と平松シェフ。サクサクと限りなく軽やかなパイ生地の間にはかわいらしいラングスティーヌ。オランデーズの優しい酸味と甘みが、ポワローのニュアンスとともに余韻として広がる。
「青首鴨のムースリーヌ 金柑のコンポートとナッツのキャラメリゼのアンサンブル」。軽くトーストされたブリオッシュも添えられた。金柑、ナッツと香りとのハーモニー、青首鴨のムースリーヌもとても穏やか。そこに厚みのある黒トリュフが加勢する。
「厚切りアワビとアーティチョークのソテー コライユのソースにパセリの香りをのせて」。アワビの胆ソースのネットリしてチーズのような風味が印象的なプレート。セップ茸のふくよかな土の香りも、くせのあるシャプティエのエルミタージュとからみあう。キモのなんとも言えないソースが愉快な接点を設けてくれて感心した。
「蝦夷鹿ロース肉のロースト ソースグラン・ヴヌール 森の恵みのラビオリを添えて」。蝦夷鹿肉は赤身を帯びた繊細な火入れ。「肉の血の加減とワインが合うわ」と妻。2つ添えられた小さなラビオリには、マッシュルーム・トランペット・ジロール・セップなど複数の茸が細かく刻まれて入っており、その森の香りが余韻に花を添える。
マルゴー2000マダムはすべてのテーブルを周って細やかなおもてなし。平松シェフも穏やかな雰囲気を醸し出している。客側も平松家に招待されたような心温まる安心感を感じるから不思議だ。10代で知り合ったという2人が「ひらまつ亭」を皮切りに長年に渡り築き上げてきた「ひらまつ」。その広尾本店で味わう美食とワインのハーモニーは、また何かしら格別なものがある。

「リヴァロ家の食卓」もてなしのワインと料理夏も爽やかフランス香る料理プレステージ・ワイン会ひらまつで豪華なクリスマスを新年会を美酒と特別料理でシャトー・ド・ボーカステル ガラディナー2010秋、初ジビエを楽しむ」、「平松宏之秋のスペシャルガラディナーリストランテASOクリスマスパーティー





 タテル ヨシノ   東京都中央区銀座4-8-10 PIA GINZA12階  03-5405-7800
妻 2006年、9年目にして念願のミシュラン1つ星を獲得したパリ「ステラ・マリス」。その吉野建オーナーシェフが2003年に東京へ出した噂の店ね。芝パークホテル店の内装はかなりラフな感じ、ホテル自体が古いしね。
それにくらべて2008年にオープンした銀座店は、新しいビル12階で高天井が開放的。随分印象が違うわ。でもイマイチ建築を活かせてない?垢抜けない感じがタテルヨシノっぽい(笑)

主人 吉野シェフは、パリの「ステラ・マリス」とココを2週間ずつ行ったり来たり。彼は野ウサギ料理が競われる「リエーブル・ア・ラ・ロワイヤル」で、2000年度最優秀賞を取ったんだ。アラカルトで「ウサギのパイ包み(テゥルト・ド・ラパン)」を頂いた。
このウサギのパイ包みは、大きなパイ包みを半分に割って出てくる。プレートの手前には付け合わせが色鮮やかに。もう少し「ごつい」イメージを持っていたけど、量はともかく見た目は非常にスマートだね。柔らかく大きなパイにナイフを入れると、薄ピンク色の食用ウサギ肉が数段重ねになっているんだ。段毎に違う部位を使っているんだよ。臭みは全くなく、柔らかく繊細な味わいは上品な鶏肉のようで、今までのうさぎ肉のイメージが覆されたよ。

妻 芝パークホテル店のプレートは銀座店と違って、クラシカルで全体的に量も多め。料理のコンセプト自体が違うが、やっぱりウサギはパイ包みで豪快に食べたい。
数十種類の見た目にも色鮮やかな季節野菜を蒸した1品が印象に残ったわ。こんもりと温かい夏野菜・・色々な野菜がコラボして、ジューシーなのはフランスの片田舎って感じがした。銀座のプレートはさらに洗練されて美しい。
銀座店は店舗内装に合わせて料理も少な目ヌーベル・キュイジーヌ的。
笑顔の優しいソムリエが勧めてくださったブルゴーニュの赤ワインもとっても美味しかった。男性スタッフは皆さん優しく穏やかな印象で良かった。

主人 ワインリストは、ボルドーの赤・白・ブルゴーニュの赤・白・・・とそれぞれ種類毎にハーフボトルも2〜3種用意されているし、90年代から50年・60年代まで幅広いラインナップだよ。値段も良心的だったね。
「豪快な素材の旨味」と「洗練された味」をせめぎ合わせているようなプレートばかりで新鮮だった。

「リヴァロ家の食卓」まさに輝く一つ星はステラマリス銀座で大人の洗練ランチ








 ラトリエ ドゥ ジョエル ロブション   東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ ヒルサイド2F  03-5772-7500
主人 六本木ヒルズにある「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」カップルや女性団体客、外国人などで満席。入ってすぐには天井まで届くワインセラー。赤を基本に黒でメリハリを付けた色調が、大人のエキゾチックさで落ち着いた雰囲気を醸し出している。寿司屋を参考に導入したという赤く長いカウンターは、適度に角度を付けながら厨房をぐるりと囲んでいる。
視界を考えた棚やオブジェの配置もさすがだ。グラスやトレイ一つ一つが色やデザインに凝っている。フランス人が思う「カジュアルな和」のテイストは斬新でオシャレ。

ロブション定番の「雲丹とオマール海老のジュレ、カリフラワーのムース」。見た目はかつてのタイユバン・ロブションを彷彿とさせるが、ゼラチンの固さと味がそのイメージとは違う。そして「ソテーされた帆立貝」は、生姜の風味を効かせココナッツとクミンシードのソースがエスニックな仕上がり。ソースの塩・スパイス・風味のバランスがとても良かった。ただ帆立貝の火入れが弱くぼけた感じであるため余韻が弱い。

「手長海老のラヴィオリ」。フォワグラのソースの上に黒トリュフ。柔らかい火入れで優しい食感。やはりラヴィオリもソフトで食後感をふくらませている。先ほどの帆立貝と同様な火入れだ。素材の味わいを引き出すために優しい火入れを徹底しているのだろうが、何となく味のメリハリに欠ける印象の方が強かった。
「ドンブ産のうずらの腿肉と胸肉」。胸肉には小さなフォワグラが挟み込まれ、付け合わせはマッシュポテトに黒トリュフ。優しい火入れと的確で着地点の良い塩振りも功を奏して、うずらの繊細な肉質とその旨みを過不足なく引き出していた。「バンデ産の鴨」はとても綺麗なロゼ色。洗練さと肉感が混じり合った鴨特有の美味しさを上手に表現しているが、やや火入れが弱すぎて肉肉しさには欠けるきらいもあった。

全体を通してみると、日本人好みの繊細な風味と味わいにこだわりすぎている印象を受けた。(ロブション自身、その最新刊「ジョエル・ロブションのすべて」の中で、「日本で評価されるには味だけではなく、懐石料理に代表されるような、季節感や素材を大事にした料理作りをしないと受け入れられません」と述べている)
今回、特に火入れが前述のように功罪半ばしている。和食も「先付け」と「椀、焼き物」と温度の差はあり、それがメリハリになっている。ロブションの「ゆるい火入れ=素材のあじわい=日本人好み」というコンセプトは、ややステレオタイプすぎると思う。

サービス陣はカウンターをそつなく歩き回りそつない対応。料理の説明もきちんと教育されている。特に担当だった女性は客側の需要を先回りして予測していて、料理以上に印象的で上質なサービスだった(サービス全員のレベルではなく差あり)。
ロブションと言えば「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」のプレートのイメージが強いため、ここは期待ほどの味わいではなく思ってしまう。シンプルなジュのソースなど分かりやすい味、素材を中心に添えた複雑でなく分かりやすいプレート構成、日本人には馴染みのカウンターの気軽さなど、現代の客の嗜好をつかんだ「企画勝ち」のフレンチレストランと言えるだろう。

「リヴァロ家の食卓」ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブションで大人スイーツ





 ゴードン・ラムゼイ at コンラッド東京   東京都港区東新橋1-9-1 東京汐留ビルディング 03-6388-8000
妻 イギリスの3つのレストランで、7つの星を維持している、そんな「ゴードン・ラムゼイ が、汐留のコンラッド東京にオープンして、もう数年になるわね。
大人スタイルでも軽い印象。イギリス的爽やかなカジュアルさがある。夏に向いているかもしれないわね。高層階からの望むビル郡と、シックだけど軽やかなコンテンポラリーアート、そしてカラフルポップなモダンフレンチが夏らしく爽やか。
入口がオープンになってて、入ってすぐはカジュアルラインの「セリーズByゴードン・ラムゼイ」。宿泊客の朝食にも利用されるわ。

主人 右手にオープンキッチンを見ながら左手に回ると、奥に向かってテーブルがならんでいる。セリーズ側と違って、高い天井と大きな窓で開放感にあふれている。テーブルや絨毯などの色合いなども印象的に一変する。今回は「2周年記念ランチ」を頂く事にした。
アミューズはトマトのガスパチョ。生地で包み揚げた海老が添えられる。手で頂くが熱々で食欲が刺激される。食事への序奏というアミューズの基本がきちんと押さえられている。

前菜は、タコのテリーヌ仕立て。北海道産のタコを薄く切りテリーヌのように長方形にデザイン。添えられたうどのマリネのきれいな酸味と柔らかい歯ごたえとともに楽しく頂く。プレートを彩る赤ピーマンのクーリーが視覚的にも味わい的にもアクセントになっている。
2品目の前菜は温かいプレート。夏だからといって平気で冷たい前菜を2品続けるセンスのないレストランも少なくないが、前菜の流れにアクセントや意図があると食べ手も飽きない。
北海道産の帆立貝と霧島ポークという取り合わせ。帆立貝は小振りでやや火が入りすぎている。霧島ポークはコロッケ状にしてあり発想はおもしろいがやや塩が強い。根セロリのピューレがやはり視覚だけでなく味わいのアクセント。
魚は鱈(タラ)のロースト。こちらは「綺麗な」火の通りで表面プリプリ、中はジューシー。季節のあさりと自家製のリングイネが添えられている。こちらのプレートもかなり塩が強い。
肉は地鶏胸肉のロースト。テーブルに運ばれ目の前で、チキンのジュが注がれる。鶏胸肉は力強い繊維を感じる。地鶏の素材感を生かしているといえばそうだが、フレンチのの完成度としてはどうだろうか。
前菜までの盛り上がりがやや後半しぼんでしまった。現代フレンチの少量アートなプレートで工夫されているが、ふりかえって何が良かったかと言われると、ややとまどう・・そんな印象だった。

一番印象に残ったのはプレデザート。イギリスらしいアールグレイティのプディングに、アールグレイのグラニテを合わせている。口に含むとアールグレイの香り高い風味が広がりイギリスらしいおいしさだ。
ワインリストはなかなかの品揃えでそれなりに楽しいが、値段はここ最近のレストランでは見ない程の高さ。3倍は裕に超え、4倍ちかいと思われるものもチラホラ。

「リヴァロ家の食卓」シックに大人のディナーを



 レフェルヴェソンス   東京都港区西麻布2-26-4  03-5766-9500
主人 西麻布高樹町交差点から入って少し奥まった住宅街にある今話題の「泡」という名のレストラン。1階と地下部を使ったモダンでクールな造りなのだが、緑を上手く配置して自然に包まれたような温かみある空間演出になっている。生江史伸シェフは慶応大学を卒業後料理の道に進んだという変り種。「ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン」に加えてイギリスミシュラン3つ星の「ザ・ファット・ダック(The Fat Duck)」でも修行した経験が料理の端々に顔を出す。

頂いたのは「願いと光」というコース。アミューズは2種類、まずは「パッションフルーツ、ウイキョウ、越前海老を2口で」。パッションフルーツに越前海老、そして牛乳の泡が三層をなしていて、ウイキョウの香りをつけたリキュール(パスティス)が効いている。生海老の風味がふわりと感じアミューズというより前菜っぽい。そして、液体窒素でマイナス196度に凍らせたマンゴーが添えられる。
2品目のアミューズは「ジ・アップルパイ〜こどもの日の思い出、仔牛のラグー、フォワグラを3口で」。皿の上にはシェフのメッセージが書かれている。子供の頃食べたM店のアップルパイの思い出、そして火を使い熱々のものを嬉々として食べる人間の味覚の不思議さ。その赤い紙箱を開くと、フォワグラ・仔牛のラグーの入ったパイが隠れている。まさに熱々のパイを頬張ると肉汁がじんわりと染み出てくる。

前菜のスタートは「鮎の炙り焼きと自家製うるかの苦味、西瓜と加賀太胡瓜、香り高いバジル」。和歌山産の鮎が、迫力はないが「飛び跳ねるように」プレートの上に盛られている。瓜の香りがすごく、炙ってしっとりした鮎とうるかの苦味に西瓜の甘み、そしてバジルの風味・・・確かに涼やかさは感じる、しかし何とも言えない味の置き具合で味わいの調和は取れていない。
続いてシェフのスペシャリテと言われている「丸ごと火入れしたカブ、パセリのエミュルション、ブリオッシュ」。バターでアロゼしつつ、フライパンやオーブンなど様々な火入れを4時間に渡って行い完成させるという。柔らかいかと思いきや外側は原型をとどめていて、フォークにも力を入れて切る感じだ。ところが口に運ぶと熱々のカブの水分がジュワッと口の中にほとばしる。

「フォワグラのナチュラル&ピサンリ、ピンクグレープフルーツのチャツネとピンクペッパー、オリーブオイルほのかに香る牛乳ジュレ」。フォワグラはとても柔らかく仕上げている。個人的にはもう少し堅いほうが好きであるがそこは好みだろう。赤ワインビネガーと黒糖を使ったというソースは酸が効きすぎていてやや浮いた感じか。

「右と左で〜金宣烏龍茶」。口直しということで小さな烏龍茶が運ばれてくる。右側に熱い烏龍茶、左側には冷たい烏龍茶。ファットダックらしい科学的楽しさも垣間見れるが、やはり好みの分かれるところか。
メインは「岩手短角牛サーロインのロティとそのジュ、グリーンアスパラガス、紅芯大根のピュレ、ナスタチウム」。「春の躍動」と名づけられたとおり、短角牛のサーロインをはやりの低温調理ではなく、通常のロティで外型をパリッと中はジューシー熱々に仕上げている。ジュとピュレを混ぜるとまたひとつの別のソースになって味わいのバリエーションを奏でる。硬めに仕上げたアスパラの食感、鮮やかなナスタチウムのハーブ香というアクセントも一筋縄ではいかない構成力を見せる。

「厳選チーズ」あるいは「時期のお野菜」をチョイスできる。それぞれ頂いた後は「壊したい欲望」という名のデザート「ショコラノアールをまとって、マスカットとポルト酒風味のレーズン、フロマージュブランのアイスクリーム、野生のミント、P125のシュトロイゼル」が登場。ドーム型のチョコレートをまさに欲望のままに叩き壊すと、中から鮮やかなマスカットやレーズンのグリーン、アイスクリームの黄色が流れ出す。
そして世界で2番目に軽いらしい「軽快なモンブラン」。ハーブティと共に楽しんだ小菓子には、ポップロックが入った「チュッパチャプス」風チョコレートがあって面白かった。

現代フレンチの範疇だが、バターやソースもそれなりに使うためワインには合わせやすい。香り・食感・温度をとても大切にしているのが伝わる。味は「ザ・ファット・ダック」元スーシェフらしく科学的な面白さ、そして驚きの組み合わせによって、味覚をさまざまな角度から刺激してくる。ただ味全体の印象は、「一つにまとまった昇華した美味さ」にはやや弱いため、「美味しかった」というよりも「面白かった」のほうがまだ強いかもしれない。独特のコンビネーションを繰り出すその味わいは、万人向けでなく好みは分かれるかもしれないが、今がまさに旬の「東京フレンチ」の一つには違いない。

「リヴァロ家の食卓」今が旬!話題の進化中?東京フレンチ





 レストラン アイ   東京都渋谷区神宮前1-4-20 パークコート神宮前1F  03-5772-2091
主人 美しい全長140mという遊歩道は緑に包まれなだらかに高台へ続く。その中に建つのは完璧に計算されたに自然と建築バランス、建築家・隈研吾氏デザインのマンションだ。その1階、緑そよぐその遊歩道沿いに静かに佇む。仏ミシュラン1ツ星、松嶋啓介シェフ日本初プロデュースの店。

清々しい雰囲気の中で夏限定メニュー「ニースライフ(NICE LIFE)」ランチ8000円をお願いした。森林浴を浴びるような心地よい日差しを、大きなガラスの向こうに感じながら、グラスシャンパーニュと合わせれば、真夏の暑さでほてっていた体も落ち着いてくる。
まず「トマトの冷たいガスパチョ、エビのムースリーヌ添え」。完熟したトマトの滋味深い味わいのガスパチョに、若干の塩気と風味を補うかのようにエビノムースリーヌが鎮座している。もう少し酸味が効いていた方がガスパチョらしいが、この猛暑による完熟すぎるトマトの影響かもしれない。
「真鯛のカルパッチョ、アイオリソース醤油風味“JAPANICE”メスキュランサラダ添え」。南仏らしいアイオリソースに生姜、醤油を合わせた風味が何ともいえず独特でおもしろい。

続いて「鱸のブレゼ、アーティチョーク、ムール貝、イカ、プイヤベース仕立て」。ブイヤベース仕立ての薄く敷かれたソースは、一段深いコクがあって大人の味わい。ペルノーを使っているのが効いている。鱸もきちんと火が入っているのにとてもふくよかな仕上がり。松嶋シェフの魚は過去2回の「凱旋フェア in 福岡」もそうだったが、とても絶妙な火入れが美味しい。
メインは「子羊のロティ、タップナード風味、関東野菜のラタトゥイユ プロヴァンスへの旅」。かなりしっかりと火を入れた子羊だが、噛みしめた後に広がる子羊らしい風味とタップナードとマスタードのニュアンスが良かった。タイムを手でちぎって振り掛ける香りの効果も大きい。レこだわり「地産地消・旬産旬消」の関東野菜のラタトゥイユも優しいほっとするような味わい。

シンプルな構成のプレートだが風味の使い方と後味の着地点が上手で、フランス・ニースの香りがきちんと漂っている。要所要所で使う塩もきいていて、素材の味わいを引き出していて美味しい。2010年春から就任した静井弘貴シェフはニースで松嶋シェフの右腕だったというだけあって、予想以上の仕上がりだった。妙にフレンチかぶれしているわけでもなく、妙にジャパニーズフレンチしているわけでもない、それぞれの良さが調和している。まさに「JAPANICE」なフレンチが楽しめるレストランだろう。

ランチという事もありお客さんも9割が女性で満席、皆思い思いに楽しんでいる。メインダイニングの他にも個室や明るいバースペースなどもあり、イベントやパーティにも使いやすそうだ。





 サンス エ サヴール   東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング 35F  03-5220-2701
妻 南仏の三ツ星レストラン「ル・ジャルダン・デ・サンス」のオーナーシェフと言えば、双子のジャック&ローラン・プルセル氏よね。そしてここもひらまつグループ。
お店のデザインも斬新な原色使いで、個性的で楽しい演出よ。今まさにパリでも流行っているインテリアデザイン。入口にあるプルセル兄弟のフェイスデザインは、ピエールガ二エールを彷彿とさせるわ(こちらが先だけど)

主人 この店、実はプルセル兄弟は、ほとんどメニュー構成には口を出していない。むしろボキューズ・ドール国際料理コンクールの日本代表に選出された、長谷川幸太郎シェフの料理が食べられるレストランと言った方が良いかもしれない。長谷川シェフは、「ル・ジャルダン・デ・サンス」で経験を積んで、サンス・エ・サブールの料理長に抜擢されたんだ。ちなみに「ル・ジャルダン・デ・サンス」と言えば、日本人でミシュラン一ツ星を取った「ケイズ・パッション」の松嶋啓介シェフも修行した店。
ボキューズ・ドール国際料理コンクールは、2年に1度開催される、世界的に権威のある国別対抗のコンクール。フランスとノルウエーが優勝することが多く、日本代表の結果は芳しくない(前回は24か国中12位)。

妻 でも従来の日本代表選出は、無記名で「料理」のみの審査で選出されていたんでしょ? 今回からひらまつの平松氏が日本の責任者になって、この選出方法が変更に。「大会で勝つための基準」ということで、誰の作った料理がわかるようにする、キッチンでフランス語の質問をして受け答えも評価する等になった。
そして、日本代表に選ばれたのがひらまつグループの「サンス・エ・サヴール」シェフとなれば、誰でもうがった見方をするわ。正直私もあまり期待していなかったもの。ところが!料理を口にして、その評価は一変したわ。


主人 「和牛すね肉とフォワグラのテリーヌ」。牛すね肉とフォワグラが綺麗に1層ずつ重ねられたテリーヌ。「牛すね肉」と聞いて、エッと思ったが、口の中で微妙なバランスが広がる。
「ラングスティーヌと根セロリのラヴィオリ仕立て」。大きめなラングスティーヌがカップ皿の真ん中に鎮座し、それを柔らかな泡状のブイヨンが包み込む。隠し味のレモンの風味が切れのよさを印象付ける。非常に軽い味わいなんだが、きちんとフレンチの技術とフランスの香りを感じる。
「天然真鯛のグリエ 蛸の赤ワイン煮込み」。真鯛は皮がパリッと焦げ目が付き、一方、白身は水分・旨みを残して非常にジューシー。厚みのあるプランチャーを使って、高温でグリエしているためここまでの出来になるそうだ。そして何よりも蛸の赤ワイン煮込みのソースが、非常に繊細に煮込んでおり真鯛にぴったりだった。白身魚に赤ワインソースを合わせるという珍しい、しかし、古典的な技法に、蛸を持ってきたセンスにうなった。
「A5和牛フィレ肉のポワレ さつま芋のガレット添え」。文句なしに上質な牛フィレ肉に繊細な火入れでジューシーに仕上げている。ヴィネガーソースには隠し味にケッパー。これがまた酸味と軽やかさをかもし出す。これだけでは美味しいプレートで終わるが、添えられたのがフォワグラのクルスティヤン。かりかりに揚げられた春巻きの中にフォワグラが入っており非常に楽しい。

全体的に軽い仕立てだが、きっちりとその軸足はフレンチ。「軽いフレンチ」という名の元にただの洋食になっているレストランがある中、この微妙なバランス感覚は天性のものだろう。そして押し付けがましくなく、一つ一つの味や素材に頼るのではなく、甘味と酸味のバランス調和を旨みに昇華させている。また新しい「才能」に出会えて、非常に嬉しかったレストラン。サービスはひらまつ系らしくそつなく文句なし。

「リヴァロ家の食卓」コンランレストラン・ボタニカブラッスリー ポール ボキューズ ミュゼ





 ル ブルギニオン   東京都港区西麻布3-3-1  03-5772-6244
主人 六本木ヒルズから徒歩数分。こじんまりとした家庭的な一軒家風の佇まい。シェフもサービスも若いが、笑顔の感じが良いスタッフがいききと仕事をしているね。
菊池シェフは、モンペリエ「ル・ジャルダン・デ・サンス」、ボーヌ「エキュソン」等で修行した後、表参道「アンフォール」を経て2000年に独立。
フランスのエッセンスを強く感じる、しかし日本人向けの食べやすいフレンチを堪能できるレストランだよ。

妻 西麻布で最高のロケーションで、女性好みの優しい雰囲気の小さなお店。ウッドデッキの手入れされた可愛いお花が印象的。季節がいいとランチも気持ち良さそうね。予約が取れにくい事でも知られる人気店なのはよくわかるわ。

主人 ホワイトアスパラガスとハマグリのジュレ。ジュレを口に含むと濃厚なエキスを感じる。おおぶりなハマグリはジューシー。ホワイトアスパラガスはシャキシャキと口の中で音をたて、ハマグリのジュースと交じり合うね。素材の力をいかしたふくよかな1品。
フォワグラのソテーとイチジク。綺麗に焼き上げたフォワグラといちじくが、甘いポルトソースがつなぎになって一体化した味わいを醸し出す。控えめな甘味が好印象でやさしい味わいが口の中に広がるよ。
ブーダン・ノワールのテリーヌ仕立て。ブーダンといえばソーセージを思い浮かべるが、それをテリーヌの形状に仕立てている。豚の血合いの鉄分を強く感じさせつつも、生クリームを合わせることによって、全体としてはやさしい印象に仕上げている。口にふくむと思わず笑みがでる。
ニュージーランド産子羊の網焼き。綺麗な焼き目が見るからに食欲をそそる。夏野菜を敷き詰めただけのシンプルな1品だが、うまみある子羊の脂分は万人向け。
ワインリストはブルゴーニュを中心に垂涎もの。アンヌ・グロやジョルジュ・ルミエなど嬉しいドメーヌが目白押し!値段も2かけ程度だろうか、非常に良心的だよね。ワインに合わせた料理はかなり塩味が強いし、火入れも全体に強い方だろう。ワインを飲まない人にはやや濃いく感じるかもしれないな。

妻 テーブル間が近くて、人気店だからすぐに満員になるの。ゆっくり楽しむというよりカジュアルの楽しみたいお店ね。夫婦・安定したカップル・女友達など、「ガヤガヤとした雰囲気も一緒に楽しむ」という家庭的なレストランよ。
美味しいだけでなく、最後はどんなに忙しくても菊池シェフ自らお見送りして下さる、そんなあたたかい心遣いもうれしいわ。





 ランベリー   東京都港区南青山4-17-33-B1F  03-3423-0131
主人 銀座の名店「オストラル」から独立した岸本直人シェフのレストランで、東京ミシュランでは1ツ星がついている
スペシャリテを集めたという”H”ommageを頂く事にする。まず「濃厚なオマール海老のクリームとマンゴーとキャビアを乗せて」。オマールでかすかに味付けした白色のスープを目の前で注ぎ込む。ふくよかだが重すぎない、細かく切られたマンゴーの甘み、そして添えられたキャビアの塩気がバランス良く調和されていて、完成度のとても高いジュレだった。
スペシャリテの「農園野菜のテリーヌ」。16種類の野菜がカラフルに美しく、テリーヌ状に形作られている。香辛料の風味もかすかに感じる。美しくておいしいが予想の範囲内。予想を超えたインパクトは感じなかった。

そして「フォワグラの3段重」。最近はやりのいわゆるデクリネゾンの1種といえるだろう。フォワグラを3種類の調理方法(ポワレ・フラン・コンフィ)で味わうという。コンフィの冷たい濃厚さ、ポワレの暖かさが同時に口に入るため、味わいがどうもバランス悪かった。ブルーベリー系の甘酸っぱいソースで素材をつなぐ意図は分かったが、食べ手によってかなり好みは分かれてしまうかもしれない。
「活アワビのロティー 海藻の香りと春野菜」。プレートの左側には、海草・海苔で表面を覆ったアワビのロティ。右側には京都の筍。大振りな京都の筍は表面に火が入り、絶妙な柔らかさを残している。サワークリームの軽い酸味とのバランスも良い。鮑もフォークを軽く入れるだけとスーと切れる、とても上品な柔らかさ。表面を覆った海草類の磯の香りがぱっと鼻の奥に広がり抜けていく。旬の素材を柔らかい触感で仕上げ、海草類、サワークリームという軽いポイントでまとめている。見た目にはシンプルだがなかなか考え抜かれた一品だ。

素材をシンプルに、現代的に軽やかに美しく仕上げたプレートは、分かり易い美味しさを感じる。かといって単純ではなく一皿一皿考え抜かれたメニュー構成で、仕上げにも細かい手間や工夫が随所に見られた。季節感もふんだんに取り入れられており、コースの流れもなだらかで優しい。
敢えて言うなら、インパクトが薄いため(味付けではなく、そこはかとなく伝わる色気や存在感という類)、何かしら圧倒されるようなサプライズを受けることは少ないかもしれない。
サービスに関しては、トゥール・ダルジャン出身の長田ソムリエを筆頭に、若いスタッフの過不足ない接客が好印象で安心した時間を過ごせる。








 ブノワ   東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山10階  03-6419-4181
主人 店内1912年パリに創業した「全てのパリ市民が愛する、老舗ビストロ」と賞されるこのお店は、パリ内のビストロで唯一ミシュラン1つ星を持つ。オーナーのプティ家からアラン・デュカスが経営権を取得した。

日本人が頭に浮かべる「ビストロ」の概念を覆す。上質の空間に、上質のサービス、そして素材を全面に押し出したフレンチ。中途半端なフレンチレストランでは到底たちうちできないレベル。

コースもあるが、ここブノワではぜひアラカルトを楽しんで欲しい。「オードブル・ブノワ」。2〜4品(3200円)から選択できる。「アーティチョーク ポワブラードのバリグール風」。イタリア産の大振りのアーティチョークにバジルで味付けをしている。力強い苦みと風味が口の中に広がる。ただしオードブルは少量で食べ応えはないので、2品程度で十分かな。むしろ前菜やメインを思う存分チョイスすべき。

「帆立貝のスナッケとそのジュ アンディーブとともに」。肉厚たっぷりの帆立貝は表面にやさしく火が入れてあるが、中身はジューシー。口いっぱいに帆立を頬張ると、魚と肉の両方のジュで仕上げた旨みが染み出てくる。
「フォワグラのコンフィ 桃とアーモンド」。非常に美しいプレートだ。フォワグラのコンフィは、最近フランスのレストランで流行の細長い形状に、かりっと焼き上げた生地が周りを包んでいる。桃とそのジュレがやさしい甘味となりフォワグラと抜群の相性を見せる。アーモンドがコリカリとアクセントになる。
「子羊背肉のロティとそのジュ 春野菜のグラッセ」。キャレだけでなく、太腿部分を使ったソーセージもあわせられている。そして子羊のスープが目の前で注がれて完成する。子羊はどうしてもその独特の脂からくる香りが強烈なのだが、スープは非常に繊細な味わい。乳飲み子羊の柔らかい肉質、子羊の香りを一緒に味わえる絶品だった。

ただ美味しいだけじゃなく、美しいアートなプレート、上質のカラトリーなど、「日本のビストロ」は少し考えるべき。デザートに来てがっかりするレストランも多い中最後まで「美味しいフランス」を味わえた。「イチジクのティアン」は南仏らしいラベンダーの蜂蜜とピッタリ。定番なはずのショコラとオレンジソルベの組み合わせも、この「ル・ブノワ」に至っては新鮮な食感と。

付け合せもシンプルだが素材の旨みをストレートに表現してある。かといって日本のビストロのような「皿にドン」ではなく、非常に綺麗な洗練された盛り付け。サービス料は取らないが、付かず離れずの目配りの行き届いた、自信にあふれたサービスは気持ちよい。
妻 店内デザイン、フレンチスタイルが可愛い素敵♪ これを乙女チックだと勘違いすることなかれ、計算された上質の南仏邸宅風。シャンデリア・壁紙・カーテン・家具・窓外のオブジェに至るまで、細かなこだわりがある。カラーもフランス特有の赤を巧みに織り込んでいるわ。





 トトキ   東京都中央区銀座5ー5ー13 坂口ビル7階 03-5568-3511
主人 銀座「レカン」で10年前後料理長を務めた十時シェフのレストラン。カウンターが店の奥まで伸びていく、清潔感あるシンプルで独特な店構え。十時シェフらしいすっきりスマートな印象。スタッフはいつでも、マダムをはじめとしてきちんとしてる。コースだけではなく単品も注文可能なので、色々ゆっくり楽しみたい店。
蝦夷アワビとヒラメのジュレ。深みのあるジュレが優しく、おいしく素材を包み込む。期待が広がり、幸せな気分になる。13種類の野菜。野菜毎に時間をずらして火を入れる。野菜本来の旨みをホクホクと味わう。
シャラン産鴨。鴨の上品な脂身が鴨肉と混じり合う。フォアワグラのラビオリ・トリュフ風味。見た目はかなりボリュームがあり、味も濃いそうだが、ペロリと平らげてしまった。
今はやりの単に「軽さ」を競うでもなく、奇をてらった「デザイン」に走るのでもない。古典的・基本的な部分を残しつつ、しかし、今の日本人の舌にあったフレンチが食べられる。そのシンプルなプレートは、素材を生かして旨みが凝縮し、しかもバランスが取れた味わいが広がる。

妻 丁寧で繊細で心がこもってって真面目な・・・そんなフレーズがあふれるお料理よ。ベテランでありながら若手に任せきりではなく、自ら腕をふるうってところ。十時シェフの人柄が店の雰囲気を醸しだして、サービスも優しく心地良い。真面目で真摯な空気がただようわ。
ワインも含め銀座値段で若干高くつくけれど、おいしいものを親しい人と食べるときに最適のレストランだと思うの。カウンターなどで食べ慣れた人でないと好き嫌いは分かれるかもしれないけれど・・。初めてのデートというより、食べ慣れた大人のカップルで楽しんで欲しいわ。

「リヴァロ家の食卓」大人による大人の為のフレンチ





 コート ドール   東京都港区三田5ー2−18 三田ハウス1 03-3455-5145
妻 住宅街の細い路地にある三田ハウス1階。広い庭が印象的に佇む静謐なフレンチレストラン。1986年のオープンから20年を経たわ。
「磨き上げられたキッチン」がよく話題にのぼるけれど、むしろその精神が反映されている、清潔なテーブルクロスや化粧室、落ちつた絵画に家具、玄関先など・・もっと評価されるべきよね。決して豪華な作りではないし、垢抜けているわけでもないけど、客が快くフレンチを頂くことに最大限意を配っているのがわかるの。

主人 選び抜かれたメニューの中からアラカルトで選択する。シェアを前提に「お二人様だと4プレート程度がちょうどいいですよ。」と勧めてくれる。
1981年5月、パリのランブロワジーをベルナール・パコー氏とともに立ち上げ、82年ミシュラン一つ星、83年ミシュラン二つ星(現在はミシュラン三つ星)を取った斉須政雄シェフの選りすぐりのアラカルトだ。
アミューズ「赤ピーマンのムース、トマトソース」。斉須シェフのスペシャリテの一つ。今日はアミューズで頂けた。最近ではこの赤ピーマンのムースも様々なレストランで目にすることが多くなった。コート・ドールのムースは、他店のより固形感を感じ、口の中でよりじっくりと溶けていく。調味料を強く感じるムースも多いが、後味もピュアな赤ピーマンの旨みだけだ。
前菜一皿目「野菜の蒸し煮(エチュベ)コリアンダー風味」。この前菜も他店でよく口にするが、一つ一つの野菜が生き生きとしている。酸味も強すぎず、柔らかいまとまり具合だ。
前菜2皿目「フォワグラ」。表面にはコリアンダー、白胡椒がわずかにふられており、口の中でのふくらみにアクセントを与えてくれる。斉須シェフはコリアンダーシートを多用するので、アラカルトの選び具合によってはややワンパターンな感じを受けることになる。
魚は「博多産クエの煮込み」。上質なクエはプリリとした食感を残しつつバランスよく蒸しあげられている。贅沢に使われたカマの部分には火を入れて別の食感を提供する。ソースもバター、クリームをほのかに感じる程度で、最近のフレンチからするとかなり薄味だ。テーブルに何気なく置かれた塩・胡椒のビン!に「足りなければどうぞ」という自信を感じる。
肉はサービスの方の忠告?も聞かずに2皿注文。1皿目は「ニュージーランド産子羊のポワレ」。ニュージーランド産子羊の強く脂をほくほくに旨みに昇華させている。ニュージーランド産はあまり好きではないのだが、ジューシーな火の入れ方といい、味わいといい、まさに「子羊」にかぶりつくというプレートだ。
最後は、斉須シャフのスペシャリテ「牛のしっぽの煮込み赤ワインソース」。これもドンと迫力のある味わい。口の中で溶けていくような牛のしっぽを最後までむしり取るように頂く。
最先端のフレンチとは対極に位置する。最近の(若い世代の)フレンチ好きの中には物足りなく思う向きも少なくなかろう。しかし、「ああこれが」とか「ここが」とか・・1990年代日本フレンチの原点、日本フレンチの出発点を味わえるというか、考えさせるレストランだ。
そして、一番関心した点は何よりサービス。フランスで受けるようなキリリとしたサービスではない。「心地よく食べてほしい、何なりと言ってほしい」というおもてなし・ホスピタリティにあふれたサービスだ。ワインリストも贅沢・豊富ではないが、限られた中でソムリエの方が知恵を絞った工夫の痕がうかがえる、そんなやさしいリストだった。








 ブラッスリー ポール ボキューズ ミュゼ   東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館 3F  03-5770-8161
主人 ポール・ボキューズは、40年前、1965年に当時フランスで11件目の3つ星レストランになった。リヨン以外に出店をすることのなかった「ブラッスリー ポール・ボキューズ」が世界に先駆けて東京・六本木、「国立新美術館」内にオープン。
国立新美術館は、東京ミッドタウンのすぐ近くにあり、あの黒川紀章氏の設計で、緑の中に浮かぶ美しいウェーブの外観が印象的。中に入ると、吹き抜けの中に、上手く配置されたカフェやレストランが浮かんでいるような変わった造り。

妻 全体が見渡せるいかにもカフェといった趣。ランチは、プリフィクスのランチコースのみ。予約も受け付けていないので今でも30分以上は並ぶ必要があるわ。1日400名以上もの人が来店しているのよ。
2500円とは思えない味わいのプレートを楽しめた。場所柄ゆっくりと食事を楽しむところでも雰囲気でもないが、コストパフォーマンスはなかなか。

主人 「牛肉と野菜のゼリー寄せ ブッフ・ア・ラ・モード」。写真でわかるように非常に美しいプレートだ。味わいも非常に繊細で、鼻の奥で「昔ながらの牛肉」といった風味が広がり、舌先には野菜のゼリーの凝縮した旨みが広がるイメージ。
「鴨のテリーヌ カンパーニュ風」。非常に大振りのテリーヌだが、 ディナーではもっと厚くなるというから驚きだ。鴨のテリーヌも大味だととても食べられたものではないが、シンプルでありながらテリーヌの良さを引き出した1品。ピスタチオがアクセントになっており楽しい。
ランチで唯一追加注文できるのが、アスパラガス。ボルドー産のびっくりする位大きなホワイトアスパラガスは、ナイフを入れると縦に綺麗に裂けるほど、繊細な繊維質の旨みにあふれている。アスパラガスには目がないが、久しぶりにため息のでるレベルだった。
地鶏モモ肉のコンフィ レンズマメを添えて、カリリと火が入った地鶏モモ肉。残念ながらリヨン・ブレス産の地鶏ではないが、十分に迫力のある味わいで満足した。

妻 デザートは、そもまんま「昔ながらのゴーフル・グランメール」や「ムッシュ ポール・ボキューズのクレーム・ブリュレ」。この値段のランチでこのデザートはスゴイ。

「リヴァロ家の食卓」サンス・エ・サヴールコンランレストラン・ボタニカ






東京・イタリア料理情報

デートやランチには欠かせないカジュアルイタリアン。東京に多数あるイタリアンの中から、超厳選した東京ならではのスペシャルなお店を、個人的見解でもって紹介します。 INDEX






 リストランテ ASO   東京都渋谷区猿楽町29-3  03-3770-3690
主人 大使館やセレクトショップが建ち並ぶオシャレな旧山手通り。そこに面した「カフェ ミケランジェロ」の中を横切り進んだ奥が「リストランテASO」。ひらまつグループの阿曽達治氏率いるイタリアン部門、東京ミシュランでも2ツ星を獲得していて今や日本を代表するイタリアンレストランとも言えるわ。支店である銀座「アルジェントASO」とはまた違う趣の建物に雰囲気。

この建物は昭和初期に建てられた一軒家を改造したもの。それを間取りや骨組みは変えずに、ちゃんとイタリアの田舎の邸宅風に造り上げているのは素晴らしい。ダイニング間の不自然な段差があるにしろ、窓や階段など古さを生かして回廊なども上手く仕組んでいる。
1階メインダイニング(2階にはダイニングと個室)の窓際、テラコッタな中庭が良く見える素敵な場所。スタッフが皆で手入れしているという美しい花々がたくさん並べてある。料理にも登場したミニトマトやハーブなどもも植えてあったりする。中庭を挟んだ向こう側には、広々としたガーデンサロンと、更に広い屋内サロンがあって、ウェディングの環境にも優れたレストランと言う事がわかるわ。

自家製ホイップバター3種(スモーク・オリーブオイル・プレーン)とパン7種(グリッシーニ・セサミ・ハーブ・トマト・クリなど)が運ばれる。まずは「トマト 3種類の調理法で」。プチトマトが隠されたシュー、そしてはずしたグラスにはトマトのスープが注がれる。フレンチで良く見るようになったデクリネゾン(変化)のプレートのように、異なる表現法でトマトを味わう趣向で気持ちが引き込まれていく。盛り付けも金飴包状態などユーモアがあって楽しい。

「松茸と穴子のリゾット」。米は日本人に合いやすいように静岡のミルキークイーンをあえて使用しているという。下から吹き出す松茸の香り、穴子のこってりした風味、そして芯を残しつつ刻んだ松茸の入ったリゾットは三位一体の美味しさ。松茸のダシとドライアイスでモクモクと湧き上がる松茸の香りと煙の演出はさすが。
「薫製にしたフォワグラのテリーヌ」はこれまた煙の演出で、鴨のフォワグラを杉の香りでさっとスモークしてある。周りに添えられたハチミツ・アプリコット・マーマレード・ガレットなどを好みで添えて頂く趣向だ。

「きのこのスパゲッティ」。クリアな桜色のビーツのジュレが印象的な美しいプレートと、ホイップミルクの乗ったパスタが細長のグラスに入って運ばれてきた。グラスに入っているスパゲッティをかけて混ぜてる。トランペット、ジロールと交じり合ってこれまた視覚的にも味覚的にも計算された楽しいパスタ、妻も大満足の様子だ。

メインは「熟成和牛ロースの炭火焼き」。ASOこだわりの50日熟成和牛が2種類。いわゆる希少なトモサンカク部位で、一つは栃木産内腿肉、一つは北海道産のやや外腿肉という。噛み締め甲斐のある肉質、脂身を感じる肉質とそれぞれの違いが引き立ち美味。シンプルな炭火焼きと的確な塩加減で、十二分に熟成牛の旨みが引き出されていた。

ふわふわまろやかな「パイナップルのムースシャーベット」。微妙なシャリシャリ感の残った味わいが口直しにぴったり。様々な果物を使ってみたが、最終的にこの感じが表現できるパイナップルに落ち着いた定番の一品だという。
お茶と共に出てくる小菓子やフルーツは、フラワーアレンジに見立てられて提供されいて嬉しい演出があちこちに用意されている。「メニューの名前」こそシンプルだが、運ばれてくるプレートは想像を超えて遊び心に溢れた上質の味わい。そしてひらまつグループらしい細やかなサービス、値段・保存状態とも素晴らしいワイン、完成された空間・・・大人が安心して楽しめるイタリアンレストランと言えるだろう。

「リヴァロ家の食卓」銀座でクリスタルなアルジェントASO、「リストランテASO×レストランひらまつ、合同クリスマスパーティー





 アロマフレスカ 銀座  東京都中央区銀座2-6-5 銀座トレシャス12F 03-3535-6667
主人 広いダイニングは20席程という贅沢なゆとりある空間。穏やかで暖かな照明の中、中央には降り注ぐように輝く豪華なシャンデリア、その輝きを受けるかの如く大きなフラワーアレンジメントが鎮座する。ダイニングに入るや目に飛び込む華やかな演出としても圧倒だが、テーブル配置も上手く席に付くと客の視界を遮る効果となり、半個室のような落ち着きで食事に向き合える。
全体的に植物や水の流れを照明と巧く組み合わせた自然の温かみある店造り、そうそうお隣の「サーラアマービ」は「アロマフレスカ」と厨房を兼ねており、50席程のサロンとなっている(ランチはこちらのみの営業)。銀座という場所を意識してピアノの生演奏なども行っているそうだ。

ロゴ入りオリジナル「レ・マンザーネ コネリアーノ・ヴァルドビアッデーネ D.O.C.G プロセッコ・スペリオーレ」が供せられる。「Menu Staginale」をスタート、最初の一皿はアロマフレスカ定番の「ウナギの一口」から。軽くスモークしてカルダモンの香りをまとっている。続いていきなり「目玉焼き」が登場する(笑) 何とそれは白トリュフでわざわざ香り付けしたもの。黒トリュフで香り付けした玉子はよくあるが、その白トリュフバージョンといったところ。つかず離れず適度な白トリュフの香りをアミューズ的に楽しむ。

「赤座海老のクルード」、「こんな身が大きな手長海は初めてね!」と妻もびっくりしている。殻から炭火であぶってとてもレアな仕上がり。プリッとした大きな身は柑橘系の爽やかさをまとった上品な味わい。ほんのかすかに生姜の風味をからめたミソも美味だ。下に引かれた完熟トマトのソースが優しいアクセント。

続くは「真鱈白子のフライパン焼き からすみとラディッキオ添え」。カダイフをまとわせカリカリに焼き上げた真鱈の白子。添えられた焼いたスダチの酸味がとても面白い。ネットリした唐墨にクリーミーな白子、そしてカダイフという様々な食感が楽しい。そこにスダチの酸味とラディッキオの苦みが丸い円を描くように上手に配置されている。「黄色いスープを少し」。フォワグラのフランの入った上海蟹の小さなスープで体を温める。

さてさて白トリュフのリゾットは「パルメザンチーズのトリュフリゾット」で頂く。これはプラス4000円で「海の幸のリゾット アロマフレスカ風」から差し替えてもったもの。まん丸の「ピエモンテ産白トリュフ」がこれでもかとふんだんに目の前で削りかけられる。
ふんわりと白トリュフの妖艶な香りがテーブルを包み込む。お米自体に白トリュフの香りをまとわせている効果もあり、このシンプルさこそが究極の「白トリュフ・リゾット」を生むのだろう。

さらに続いて「マルサラ酒で煮込んだキジ腿肉のタリアテッレ」。手打ちのタリアテッレに濃厚なキジ腿肉をからませた一品だ。シチリア特産の酒精強化ワイン・マルサラ酒のニュアンスも残った濃厚な味わいで、前半の「繊細なプレート」から原田シェフのギアも一段と上がってきた感じ。
ヘーゼルナッツが掛けられ、イタリアンパセリの苦みと爽やかさも効いている。ちょうどなめし皮のニュアンスが広がり始めた赤ワインとも良く合う。

「クエの炭火焼き パッシート風味」。網脂を巻いて炭火焼きで仕上げた「クエのカマ」が、ボリュームたっぷりに添えられてこれは贅沢。陰干しして糖度を凝縮したワイン、パッシートのソースが敷かれている。上にもパッシートを泡状にしたソースが美しくこんもりと盛りつけられる。その甘酸っぱい風味がクエの芳醇な身をさらに引き立てる。まるで中華の甘酢餡かけソースをイタリアンに変貌させたような食後感だ。

「柑橘のシャーベット」で口直した後は、「猪のロースト ジロール茸、根菜と秋トリュフ」が登場する。濃厚に仕上げているが、下に添えられた辛み大根が中和する。そのため柔らかく風味豊かに印象に昇化し、何とも美味しい。また自らの水分だけで仕上げる「野菜のココット」は赤茄子。ホクホクしてまさに冬の旨みを感じる一品。
ここからは「お楽しみの皿」を含めてデザートを頂く。秀逸な「紅茶のスフレ」やエスプレッソ・アイスが添えられた「チョコケーキ」、そしてホクホクに美味しかった「マロンのココット」。

「繊細」という言葉でくくられがちな「アロマフレスカ」だが、実は各味の配置が緻密に計算され、ポイントにした風味も強く立体的な味わいだ。イタリアンの様々な顔をのぞかせつつ、生姜・スダチ・赤茄子など和のテイストもそれとなく盛り込んだ「日本人に馴染みやすい美味しさ」にあふれている。コース自体にもメリハリがあって流れが良い。「起伏に富んだ美しい清流のようなコース」とでもいうべきだろうか。多皿だがペースが良く次々と供されるため、ストレスなくワインとともに楽しめた。







 ピャチェーレ   東京都千代田区丸の内1-8-3-28F  03- 6739 7888
妻 「シャングリ・ラ ホテル東京」28階にあるメインダイニング。何とも素敵なのは海のような深い緑系の内装インテリア、引き締めるようにブラウンが入る感じ。ベージュグレーの大理石上に敷かれた絨毯もダークブルーとグリーン。これはよく見ると水面に滴が落ちて広がってるようなデザイン。イギリス在住の香港人デザイナーのアンドレ・フー(Andre Fu)氏が手がける、モダンでありながらクラシックでもあるゴージャスな空間。
吹き抜けの天井6mには優雅なヴェネチアン・ガラスのシャンデリアが輝く。天井まで届くワインセラーには、最高級ビンテージを含め常時2千本の品揃え。輝くクリスタルやシルバーに加え、食器類は鮮やかなグリーンも多く美しい。
フロアは「ソムリエ・スイート」「メインダイニング」「ラックス・バルコニー」と3エリアに分かれていて全110席。鏡の円柱前にそびえ立つ艶やかなフラワーデザインは、ホテル全館のフラワーデザインをプロデュースしているニコライ・バーグマン(Nicolai Bergmann)氏。デンマーク出身らしい北欧スタイルと、繊細な和の融合を感じる事ができる。

主人 イタリア人シェフのパオロ・ペロシ(Paolo Pelosi)氏は、フィレンツェのホテルやミシュラン2つ星「リストランテ・アルフォルノ」などで修行したという。ランチメニューの中から5品(うちパスタ2品)のコースをチョイスする。アミューズはウズラの卵とトマトが乗った「アーティーチョークのヴェルーテ」。
前菜は「ヴエネト産 仔うさぎのクロスティーニ 黒トリュフとミニリーフサラダ、12年熟成バルサミコ酢」と「じゃがいものヴェルーテ 墨烏賊のポワレ、北海道産雲丹とイカ墨ピューレ」をそれぞれチョイスした。仔うさぎのクロスティーニは、熟成したバルサミコ酢の奥深い味わいと黒トリュフの香りがこぎみよいアクセントで、ランチにはぴったりくる前菜だ。「じゃがいものブルーテ」はネットリした食感にイカ墨の風味が混じって、濃厚な口あたりでありながら食べやすく余韻は軽やか。

ワインの品揃えも充実している。グラスワインが複数用意されている点は評価が高い。こういう点もホテルダイニングならではの楽しさだろう。
最初のパスタは、ディナーメニューの中からチョイスさせてもらった「ミントとリコッタチーズを包んだパッパルデッレ、仔羊のラグー」。仔羊の風味を生かしたラグーはかなり濃厚。不思議な食感のパッパルデッレ(Pappardelle)に、口元にとろりと残る凝縮したエキス分を感じるソース。それらが重なりあって一層重厚感を深める。今日最もイタリアの風を感じる力のある一品だった(ランチにはかなり重いからディナーメニューに配置されているのだろう)。2品目のパスタは「トマト、イカとブロンテ産ピスタチオオイルのタリアテッレ」。こちらはとても綺麗に仕上がって優しい口当たり。先ほどの仔羊のラグーとはまた異なる軽やかさが、大きなコントラストを描いてくれ良かった。

メインは「北海道産黒毛和牛のスライス キャンティーとエシャロットソース ラディッキオトレヴィーゾ じゃがいものロースト」。上質の和牛をエシャロットと赤ワインソースでうまくまとめていて普通に美味しい。
チーズはイタリアを中心に充実した品揃えで、「クリストフル(Christofle)」製の大きなワゴンで運ばれてくる。何と150万円もするもので国内には4台しかないという。お勧めチーズを3種類盛り合わせ。コンフィチュールやドライフルーツがたっぷり付け合せてある。
デザートは、パオロ特製のデザートで「パッションフルーツのクレームブリュレ」と、バニラ・チョコ・ミルク三種の「アイスクリームのセレクション」。色鮮やかな鉢植え生ハーブからチョイスした「ハーブティー」とともにゆっくり味わった。

とても美しくセンスある盛りつけ、しかし味わいの中にはきちんと「イタリア風土」のニュアンスを感じ、予想を超えて楽しく美味しいかった。「落ち着いてゴージャスな空間」「シェフソムリエの的確なサービス」「豊富な品揃えのワイン」と3拍子そろっている。デート・夫婦・家族・女性同士など、それぞれの用途で思い思いに優雅な時が過ごせる大人のレストランだろう。

「リヴァロ家の食卓」キラキラ優雅なイタリアンでランチデート








 アルマーニ/ リストランテ銀座   東京都中央区銀座5-5-4 Armani/銀座タワー10F  03-6274-7005
妻 銀座に立ち並ぶ、GUCCIやDiorと向かい合う場所に「ARMANI/GINZA TOWER」は鎮座するわ。巨匠ジョルジオ・アルマーニ氏とイタリアの建築家フクサス夫妻がデザインしたそのビルは、日本を象徴する「竹」をモチーフにしたファザードが美しい。竹の葉が輝いてヒラヒラ舞うデザインがさすがのアクセントよ。
ビル内も、床は黒い石タイル、天井には黒いスチールパネルといかにも。ゴールドのディスプレイ棚はまたもや竹の葉モチーフ。なるほどまさに「アルマーニネロ」だわ。黒と金がベースでシックでゴージャス!
10階にあるイタリアン「アルマーニ/ リストランテ銀座」。ちなみに11階は会員制のバーで朝5時までやっているの。金色のエレベーターを降り立つところから、モードさがヒシヒシ来て嬉しくなるのはファッショニスタ?としては当然(笑)
このオシャレなレストラン。テーブルやソファはもちろん、グラスからフォーク・ナイフと隅から隅までアルマーニブランド(4階のカーザで買えるわ)。ショップ同様黒と金の内装が豪華なのにシック、個性的なのにシンプル。トータルで造られるって本当に素敵。トイレまでモード。BGMはコレクション・ランウェイで使われたものかしら?まさに大人、アルマーニワールドね。そんなモード感に浸りながらの平日ランチデート、女性にとっては至福なはず。それにしても、大人の女性同士客が目立つけど、伊系男性スタッフばかりだからかしら?
このレストラン、イギリス王室やアメリカ・ホワイトハウスの総料理長を務めたエンリコ・デルフリンガー氏が監修。イタリアのカリスマと言われる彼直営のお店自体は、表参道に2年前オープンした「オフィチーナ ディ エンリコ」で、時々エンリコ氏も来日しているわ。

主人 この日は、ランチコースの「ASSAGGIO(5800円)」をチョイス。まずは、魚を肉に見立てたというトスカーナ的面白い物と、サーモンに鶉の玉子という爽やかな2種の前菜。
次は、目の前でプレートに注ぎ込まれる真っ赤なトマトが、ゴールドのテーブルに映えるガスパチョ。
濃厚なトマトの凝縮感あふれる甘みと舌触りが、水牛のモッツァレラチーズの爽やかな酸味と舌触りに混じり合う。添えられた香草のびっくりする位の苦み、モッツアレラチーズを乗せた小麦粉チップスの、カリリとした歯応えが素敵なアクセントになっている。残暑厳しい初秋のランチにはぴったりの1品。
アルデンテなパスタには、細切れでやや存在感の薄いラングスティーヌがからめられている。黒オリーブのソースが下に敷かれていてオイリーだが、甘みのとっても強く存在感のあるトウモロコシでバランスが取れている。ラ
60度でゆっくりと火を通したオーストラリア産の葡萄牛は、葡萄を食べて育ったという柔らかい肉質が綺麗に表現されていた。合わせたピクルスの甘みと酸味が良く合う。
全体的に塩味やバターはかなり控えめで強烈なインパクトはない。カロリーを気にする女性とブランドイメージを第一に考えた上品で柔らかい味わいがコンセプトのようだ。
サービスは、ブティック・スタッフのようなキリリとした接客で、好き嫌いが分かれるかもしれない。ただ、プレートの説明を求めると的確な答えが返ってくるので、サービスとしてのレベルが低いというわけではない。
ワインは、グラスワインを3杯、または5杯ついたセットメニューがあるのが楽しい。スプマンテは気品の感じられる「ベラヴィスタ」、赤は複雑だが繊細なタンニンの「バローロ」など、食事と調和する上品なグラスを用意していて嬉しい。
ブランド直営のカフェやレストランが増える中、ここは女性同士やランチデートとして使うと、ゆっくりとした上質な時間を過ごせる事ができるだろう。





 アッカ   東京都渋谷区広尾5−19−7  03-5420-3891
妻 広尾の商店街、通り沿いにたたずむかなり狭い店。タイルに白い壁で清潔感はあるわ。入ってすぐにカウンターがあって、コートや手荷物はそこに山積みされてしまうのはイタイわ。
右に長方形に細長い店内が広がって、2人掛けのテーブルが5卓、家具をはさんで、奥に4人掛けのテーブルが2つ。奥の水周り系前スペースに、3人(4人)掛けのテーブル。

主人 まず、オリーブで揚げられた芝エビとニンニクが、パンとともに出されてランチがスタート。それから30分後に、ふんだんに魚介類を盛り込んだ前菜の大きなプレート。特にコハダのマリネは東京らしく素晴らしい。そのジューシーなコハダは下手な寿司屋は到底及ばないレベルだったね。
魚のフリットにはレモンを搾り、タコ、表面を軽く焦がしたホタテが円形にもられている。グラスのシャンパーニュに合わせて。
続いて雛鳥のラグーンのパスタ・自家製のパンチェッタ添え。繊細なラグーンのソースが濃厚ながら、歯ごたえのある手打ちのパスタとぴったり絡み合う。パスタ好きにはたまらない一品。一気に食べてしまった。

魚は甘鯛の表面をぱりっと焦がして1品。ナイフを入れると、「パリリッ」と音がし、口に入れるとまた「パリ」と。表面をオリーブオイルで揚げたように仕上げて、ジューシーな味わい。
お肉は、蝦夷鹿のハンバーグにマッシュのソテーを合わせて。口の中でモグモグする、その堅めの食感と蝦夷鹿の風味がすばらしい。

サービスは、若い子がきっちりと対応しており、言われているほど悪くない。確かに手は足りない時があるが、そのキュッキュッと気合いを入れて歩く態度や頑張りが好感もてる。ワインリストは見ていないが、グラスワインは1000円前後で、キャンティ・クラシコの赤などとても良かったよ。