昔住んでいた事もあるフランス・パリ、今では毎年秋の季節に訪れている。サイトでは、日本人目線の観光を基本に考えた、安全でハイクラスな旅を紹介。 INDEX |
2007年春からJALもANAもファーストクラスに新シートを導入。革張り豪華売りのJALに比べてANAは、機内座席の完成型とも言われる個室のようなBOX座席。従来のフラット型も横になって眠れるので好評だったけど、今回の新シートは完全なるプライバシー重視、寝心地重視の理想系。「ワインの品揃えはJAL、食事はANA」という明らかな評判があるが、私的には部屋のように眠れる環境の方が何より。不自然な気圧の中でワイン三昧ともいかないし、食事は目的地で楽しめるし。 それに、知り合いのJAL・FクラスCAが、余ったドンペリで手を洗うなどと自慢げに話していた興ざめな経緯もあり、最近国内線を含めサービス面でもANA優勢なので、今回のパリ行きはANAファーストクラスに決定。成田の南ウイング、きっちりクラス別チェックインで混雑はない。ファースト専用ラウンジも静かで心地よい。でも最近はテロ対策で、荷物制限や機内持込チェックが厳しくてうんざり。 F・Cクラスは別検査入口で比較的スムーズとは言え、私にはコートや靴・ベルト・アクセサリーに至るまで脱ぎ着はイラツク。 機内に入ってしまえば、早々に更衣室でパジャマに着替え、パリに到着するまで耐えうる努力に尽きる。しかし、今回の新シートは壁で仕切られ、完璧なる計算された電動シート、私はほとんどベッド状態で静かに13時間を過ごす事ができたわ。揺れも余り気にならないし、しかもこの日は貸切状態。しいて言うなら、前々からだけど女性用のアメニティはJALの方が充実している。Fクラスはほどんどが男性なので仕方が無いかもしれないけど、ちょっと悲しい。 |
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シャルル・ド・ゴール空港から迎えの車に乗る少しの距離が凍るように寒い。今年の日本は暖かいから、その差が身に堪えるように思うわ。紅葉美しい街並みを眺めつつ、かつての城壁を越えてパリへ入る。パリに住んでいたのはもう十数年前。今では毎年秋に訪れるけど、このパリの景色はもう私にとっては第二の故郷の様な懐かしい気持ちがする。 有名すぎるパリのコンコルド広場、そこに浮かび上がるフランスで最も格式が高いホテル「オテル・ドゥ・クリヨン(Hotel de Crillon)」。 天皇陛下をはじめ世界のVIPが宿泊するこのクリヨン、日本人を見かける事はほとんどない。プラザアテネやムーリスなどのホテルとは少し雰囲気が違って、フランスの文化やフランス語が苦手な方は向かないかもしれない。エリゼ宮や大使館が周りにあるせいか、紳士淑女の社交の場的様子が伺える。 時差ボケの為、旅行の前半数日はだいたいホテルの部屋で過ごす事になる。パリではこのクリヨンでの部屋が我が家みたいなもの。寝室やクローゼットルームも広いこの「デラックススイート(2200€)」、実はあのマリーアントワネットがパリ宿泊の際に使用していたお部屋なの。中庭に面したまさに隠れ家的静かなお部屋。 そして、今年2008年には改装されて間取りも変わっていた!主寝室を挟んで反対側にリビングが新設。つまり入口が逆になってる。不思議な感じ・・バスルームが一つに減ったし、かなり狭くなったわ(60m2)。新しい入口の前は「サロン・マリーアントワネット」があるの。 今年もまた歴史深いこの部屋で、日本では到底味わえない歴史と文化をヒシヒシ味わいながら、徐々にパリの空気に染まって行く。 |
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オテル・ド・クリヨンでの楽しみの一つにルームサービスがある。ホテルのダイニングでの食事はまずまずでも、ルームサービスになると極端にレベルが落ちたり、品揃えが悪かったりするホテルがある。宿泊客にとってはかなりがっかりだ。特にヨーロッパの場合、到着時間では時差で食事にいくのがつらいこともある。そんな時にルームサービスのしっかりしたホテルだと嬉しい。 この点、この「オテル・ド・クリヨン」は、ミシュラン二つ星の「レ・ザンバサドゥール(Les Ambassadeurs)」で食事をしてもいいし、ルームサービスでもかなりのレベルの食事が取れる。「Les Classics Crillon」と「Signature Crillon」があるが、今回は、「LesClassics Crillon」からチョイスした。 「Soupe a loignon en gratinee」。濃厚なオニオンスープだ。じっとりと焦げ目がついた刻まれたチーズがスープと混じり合う。パリに着いたばかりで、その寒さになじめない体を中からほくほくに温めてくれた。 「Oeufs brouilles au saumon fume」。Les Ambassadeursのシェフ、ピエージュは、Les Oeufsをうまく取り込んだメニューが多い。その影響だろうか、卵を使ったルームサービスも多い。今回依頼したのはスモークしたサーモン入りのスクランブルエッグ。ワインのつまみにはぴったりのふくよかな味わいだ。その他にもトリュフ入りスクランブルエッグなどもある。 「Pigeonneau/Foiegras de canard roti」。何と言っても抜群だったのがピジョノー。カリカリに火を入れられたピジョンはまさにダイニングで頂いているかのようなレベル。下にはトロトロのフォワグラが敷かれている。ピジョンの大腿部はコンフィされさらにカリカリの食感だ。手で大腿部にかぶりつくとピジョンの野趣っぽい厚みのある香りが鼻先に広がる。今夜合わせたワインは、デュジャックのモレ・サン・ドニ1999年。保存状態も抜群。元来薄い色のモレ・サン・ドニだが10年近くが経ち、既に枯れたような色合い。ところが、飲み干した後の柔らかい余韻がじっくりと、そしてゆっくりと広がる。ワインが口の中にいつまでも居座るような感じだ。ピジョンの厚みのある香りとハーモーニーを奏でてくれた。 ついでに朝食。バケット・フルーツのシンプルな朝食だ。添えられた熱々の牛乳とコーヒーを一気にカップに注ぎ込みカフェオレを作る。妻は決まって濃厚なショコラショー。 フレッシュも色々、トマトジュースは口の中にトマトをほうばったような凝縮感。グレープフルーツジュースは果肉がふんだんにふくまれていて甘く、南仏の糖度の高いワインのような旨みだ。レモンはすっぱいだけでなく放縦な香りと甘味もある。 バゲットなどパン類は、クロワッサンをはじめとして日によって様々。銀のトレーに山盛りに供せられる。バターの香りあふれるクロワッサンをほおばりつつ、熱々のカフェオレを喉に流し込むと時差ボケが解消されていくようだ。ちなみ夜食には「レ・ザンバサドゥール」から頂いたパンと、柔らかな風味のショコラオレを。東京のホテルの朝食のような繊細さはないが、一つ一つの良質な素材をそのままシンプルに提供する。農業国フランスの力強さをひしひしと感じる朝食だ |
オテル・ドゥ・クリヨンに宿泊する更なる楽しみは、メインダイニングの「レ・ザンバサドゥール(Les Ambassadeurs)」でのディナー。アラン・デュカスの右腕で、モナコの「ルイ・キャーンズ」・「プラザ・アテネ アランデュカス」を歴任したジャン-フランソワ・ピエージュが、2004年に就任するや2005年にはミシュラン2つ星、2007年にはエスポワールを獲得し、ミシュラン3つ星に最も近い2つ星といわれている。 クリヨンのホテルフロントのすぐ脇がウェィティングサロン、その横にフランスらしい「こじんまりとしながらしっかり重厚感ある」ゴージャスな空間が広がる。 席に案内されるとメニューボードがさっと置かれ、手を使わずにメニューを見ることができる。この趣向はアラン・デュカスを継承したもののようだ。デミサイズの3プレートを頂けるコースをお願いすることにした(degustation de trois meats en demi/fromages/dessert・210ユーロ)。 サービススタッフの英語は、フランスなまりが強く英語が分からないスタッフもいるが、背筋をキリリと伸ばし、テキパキと笑顔でサービスする立居振舞は美しい。 ![]() 各テーブルで説明する際も笑顔を絶やさないが、ベタついたサービスではなくクール。ミシュラン3つ星に一番近いレストランを支えているんだ、そういうプライドをひしひしと感じる。 アミューズ・ブッシュは噂の、ピエージュの遊び心満載「4品盛り合わせTVセット」。 銀紙に包まれたトリュフ・バターはパンにつけて頂く。人参のスープは固形の人参をかみ締めるような存在感。鶏レバーのムースも相当に濃厚な凝縮感。食欲を刺激するアミューズというより、前菜といった趣だ。 「殻なしの殻つき風卵」。卵の殻風に見立てたクロケットにナイフを入れると、卵がとろりと溶け出し、ジロール茸・エクルビスと混ぜながら頂くという趣向だ。ジロールもエクルビスも小さく刻んでいるが圧倒的な存在感。いつまでも卵と交じり合った、野趣っぽい?香りがいつまでも残る。 日本のフレンチの繊細なバランス感ではなく、骨太のバランス感なので、味覚の切り替えに時間がかかる。 「ほたてと西洋かぼちゃ、黒トリュフを添えて」。豪華なケースに入れた黒トリュフの山をテーブルで見せてくれる。ケースの蓋をパタパタとユニークなしぐさで開け閉めすると、黒トリュフの香りがテーブルの周りに立ち込める。このプレートもアート感覚にあふれている。ナイフを入れるとその黒トリュフの香りが再び濃厚に立ち上る。身厚のある帆立とかぼちゃのソースがネットリと交じり合い、見た目よりかなり重たい味わいだ。レ・ザンバサドゥールのクリエイティブな料理のイメージに合わせ、コント・ドゥ・シャンパーニュ1989年(370ユーロ)を頼んでいたが、ブランドブランの繊細さと料理の重さがあまりフィットせず。シャンパーニュではなくムルソあたりがピッタリくるプレートだった。レストランの満席になって来るざわめきと共に、照明も少しずつ落とされて雰囲気が良くなって行く。 「乳飲み仔牛のリードボー」。ジャン-フランソワ・ピエージュの代表作「スパゲティカルボナーラ」が添えられている。カルボナーラスパゲティを再構成したもので、口に含むとまさにその味が広がる。リードボーは表面はからりと揚げられたような食感だが中はとってもジューシーでとろける。日本で頂くリードボーとは全くの別物、素材が違う。 ランシュバージュ1995年(370ユーロ)に合わせる。こちらはベストフィットだった。 本場のチーズはもちろん、凝ったデザートや小菓子も盛りだくさんで、食べきれない程。食後をゆっくり楽しむ演出はさすがフランス文化。鉢植え状態?の生ハーブが、大きなワゴンでわんさか運ばれてくる。好みのハーブをチョイスするとその場でカット、軽くつぶして香り豊かなティーにしてくれる。これもアランデュカスと同じサービスだ。この器に綺麗にセットされた火が、各テーブルを仄かに照らす演出も美しい。 ピエージュというと古典を再構成したユニークなフォルムのプレートにおちゃめな組み合わせというイメージが先行していた。だが実際に頂くと、むしろ素材の迫力、古典をベースにした濃厚な味わいのインパクトの方が強かった。日本人にはかなり濃厚な味わいだが、のぼり調子のシェフ、そしてスタッフの勢いを満喫した一晩だった。 |
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大きなお腹と丸いお顔が印象的だったシェフが、見違えるようにスマートになっていた!自慢げに腰に手をあててフロアを歩く気持ちもわかる。どうやってダイエットしたのかしら!?フロアは年配のオシャレなカップル、場慣れした家族連れ、正装したビジネス集団など大人の社交場という感じで素敵。そうそう、女性が犬を連れてきてて、その犬は当たり前にテーブル下に入り、礼儀正しく待っていたの。こういった所も日本では考えられない、粋なフランス文化だわ。 |
4区のサンルイ島にあるベルティヨン(31,tue St-Louis-en-l'lle)と言えば、世界に知られる「パリで一番美味しいアイスクリーム」の店。セーヌ川沿いの散歩がてら、片手にアイスが丁度いい!と良く言われるけど、私は歩かないので、車が前に付けれる落着いたサロンでゆっくり頂く。売店とサロン(Quai d’Orleans)は違うのでご注意。サロン側は観光客も少なく、地元の人達の空気で過ごしやすい。 |
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フランス人は本当にカフェ好きだ。老若男女が長時間座って、思い思いの時間を過ごしている。そう、凍えるような寒さでも外椅子でお茶している!平日でもこうやってのんびり過ごす光景は、日本の慌しい日常生活からすると不思議な感じがする。日中でも日本より5・6度低い寒さ。なのに妻が、ベルティヨンを食べたい!と言うのでやって来た。もちろん熱々のクレープを頼む事にする。 私はグランマニエを加えてフランベしたクレープシュゼットを。妻はクレープにショコラソース、季節の栗のアイスクリームを乗せて。 ソースもマロングラッセもアルコールが強い感じ。日本の様に「繊細な甘さ」というのではなく、どっしりとした「重厚な甘さ」。見た目通りボリュームあって食べきれない程なので、二人でワンプレートでもいいかも。デザートだけでなく、カフェオレやジュース類も、そう野菜も含めて全て、自然素材をいかしたどっしりとした美味しさが、フランス食文化の特徴だろう。 |
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ついでに、ここサンルイ島やシテ島には散策名所がたっぷりなので紹介。「パリのへそ」前に佇む、シンメトリーが美しい「ノートルダム寺院」。天国と地獄を表す正面の彫刻はまさに圧巻。 天井高のゴシック建築のはるか向こうに、キリストの遺体を抱き悲しむマリア像が浮かびあがる。囲むように美しいステンドグラスは、外光を取り込みカラフルでまばゆいばかりよ。左右のステンドグラスは、それぞれ旧約・新約聖書の世界を表現するというわ。「ノートルダム」、聖母マリアという言葉通り何度見ても素晴らしい建築物ね。 もう一つの大きな観光名所は、パリ裁判所内のコンシェルジュリー。革命時に牢獄であった事はあまりにも有名ね。 入ってすぐに広がる素晴らしい中世建築の「衛兵の間」。ここは王宮で働いていた2千人の食堂。キッチンの場所や食卓の一部が壁に掛けてあるなど面白いわ。お隣の礼拝堂サント・シャペルもノートルダム同様ゴシックが美しい。 |
パリ・リヨン駅からTGVでブルゴーニュ、ディジョン(DIJON)に向かう。まずは駅構内2階の「ル・トラン・ブルー(Le Train Bleu)」で軽くお茶をする。ル・トラン・ブルーといえば、天井や壁の絵や造りが有名。歴史的価値ある建物を、普通に駅構内のカフェで使っている所がフランスらしい。なかなか良い雰囲気で、旅行客・ビジネスマンが思い思いに時間をつぶしている。 ところでTGVに乗り込もうとホームに向かうと、妻が憮然としている。実は期待のラクロア車でない事に気付いたらしい。パリから近距離のディジョンへ向かう電車にラクロア車はないのだ。(なんでラクロアじゃないのっ!?) TGVに乗り乗り込むと、予約していた1等・2人席に、見知らぬフランス人が当然のような顔をして座っている!こちらがチケットを確認する素振りをしても知らぬ顔。チケットの座席番号を示して抗議すると、ようやく、しかし平然と「ああ、そう?」といった顔で席を立っていった。さすがはフランス人(笑) よくある事だ。直線が多いせいだろうか、新幹線より揺れは少なく快適だ。(でも新幹線のグリーン車の方が広いわ) 郊外に出ると見渡す限りの畑、放牧地、そして地平線。日本だと車窓から見る景色も、畑にすぐ山が迫ったり、集落が迫っている。それに比較すると恐ろしくなるほど広大な地平線が広がる。そこを放牧された牛や羊が、丸々と太ってしかも筋肉質、ストレスのない環境でゆっくりと時間を過ごしながら、のんびり草をほうばっている。 「料理は素材がすべて」とは言い古された言葉だが、自給率100パーセントのフランスと輸入大国日本では、その「素材」に大きな差が出てしまう。日本のフレンチとフランスのフレンチも、その一番の違いは、素材からほとばしる香りと味わいの深さに行き着くのだろう。そんなことをあらためて実感するTGV、1時間40分の小旅行だった。コート・ドール(Cote dOr)の出発点「ディジョン」に到着。工事中の構内には多くの旅行客とおぼしき人達が行き交う。思ったより大きな街だ。 早速迎えの車に乗り込み、南下してコート・ド・ニュイ(La Cote-de Nuits)へと向かう。大きな、しかし埃っぽい幹線道路だ。周辺には大きな工場、郊外店が展開しており風情はない。かなりのスピードで車を走らせるうちに、広大なぶどう畑がみえてきた。 続く・・・ |
今フランスは空前の寿司ブーム、中国人などが経営するなんちゃって日本食屋がたくさんある中、きっと本物のお寿司屋さんもどこかに存在してるはず・・という事で今宵は「レストラン花輪」で握りを頂くことにした。「花輪」とは、20年ほど前からパリで和食を提供し続けてきた名店「KINUGAWA」の支店になる。衣川は2005年のミシュランではエスポワールも獲得している。 ブランド店が立ち並ぶモンテーニュ通り、シャネルから脇に入った所にあり、2007年4月にオープンしたばかり。入口は赤黒で斬新なエキゾティックデザイン。中はモタンなインテリアに照明、奥行があってかなり広々としてる。中庭なども綺麗。工事はかなり大変な作業だったらしい。 念願の「花輪」のオープンを楽しみにしていたオーナーは、残念ながらオープン直前に亡くなられた。 寿司カウンターは2階の端にあり、カウンター内には日本人スタッフのみがいる。フロアスタッフはアジア系の片言日本語?と言う感じ。料理長はパリに来る前は京都「たん熊」で修行していたという。スタッフには厳しく、客には優しい接客態度を見ていると、フランスにいることを忘れそうだ。地中海のマグロ、ヨーロッパ近海の白身などを柔らかいシャリで握る。舌に懐かしい味が蘇ってくる。20年近くパリの日本人に愛されてきたのが分かる柔らかい味わいだ。 ウニの軍艦巻きはパリパリの海苔の風味と食感が懐かしい。煮物はアナゴではなくウナギだが、煮詰めとともにおいしく頂く。 日本の握りと比べろと言われれば、もちろんマグロの酸味が足りない、白身にクセがある、シャリは柔らかすぎべたつく、酢が足りない、口の中ではらけないなどという感想になってしまうが、それは野暮というものだろう。 接待のフランス人、箸を自由に扱うフランス人親子、コーラーで寿司を食べるカップルなど、思い思いに寿司や和食を楽しんでいる。和食がいかにフランスに浸透してパリジャンに愛されているかを強く感じた。20年以上もフランスで日本食文化を伝え続けてきた「衣川」に敬意を表したい。また逆に、フランスで頂ける和食のレベルを前提に、「東京の和食」を評価すれば、東京ミシュランのように甘い評価になり、たくさんの星付き店が誕生するのも分かる気がする。 「東京は世界に誇る美食の都」というミシュランの評価は、半分は東京ミシュランを売らんがためのリップサービスとしても、半分は本音ではないだろうか。 |
シャンゼリゼ大通りを凱旋門に向かって一直線に森を・・・というのも勿論素敵だけど、クリヨンの裏手、ヴァンドーム広場やマドレーヌ寺院方向に行くと、洗練された落着いた街並で最も好きな地域。パリで一番好きな教会「マドレーヌ寺院」。ここから眺めるコンコルド広場のオベリスクは素晴らしい。昔から通っているこの教会も、来るたびに改装・修復されて、どんどん華やかに綺麗になるわ。 このフォーブル・サン・トノレ通りとロワイヤル通りが交差する界隈は、マキシムやフォションなど高級グルメショップが立ち並んで、エルメス本店やグッチなどのショップも集まっている事から、歩く人も小奇麗な大人が多いの。 更にゆっくり歩いてオペラ座界方面に向かう。途中見つけた「ラ・メゾン・ドゥ・ショコラ」を覗くとエクレアが見えたので、衝動的に入って買う(笑)歩きながら食べるつもりが他にも色々やっぱり買ってしまったわ。結局エクレアは部屋に戻ってシャンパンと頂く。この規模のショップだと日本と全く同じ感じ。日本人スタッフもいるわ。 |
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寄り道も楽しく歩いて行くと、だんだんと人の雰囲気が変わってくる、店の種類も変わってくる。オペラ座界隈はかなり観光地で、色んな人種や色んな年齢がごちゃごちゃと入り混じって混雑する。工事中のオペラ・ガルニエが見える「カフェ・ド・ラ・ペ」に入る。妻曰く「ギャラリー・ラファイエットでお買い物後は、チェリーを連れてよく座ったわ~」というココは、150年の歴史を誇るレストランで、併設されているカフェも高級感あふれる。 観光客もほとんどおらず、ビジネスランチ、接待などそれぞれが優雅な時間を過ごしている。平日の昼間というのに、時間の流れが日本とは違う事をつくづく感じる。 ニコラフィアットのグラスシャンパーニュを楽しみつつ、フォワグラ・ド・カナールを頂く。瓶のまま供せられるフォワグラは、カフェで頂くにしてはフォワグラの旨みを表現しなかなか上質のもので大満足。サラダも野菜の味が日本に比べると強くてワインと相性がいい。グラスシャンパーニュに続いてボーヌ・プルミエ・クリュのグラスワインを頂きながらゆったりとした時間の流れの中で、素材感あふれるカフェ料理を堪能した。 |
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そしてまたグルッと回って、サン・トノレ通りに戻って来たわ。 まずはジャンポール・エバンの本店。2階にはカフェも併設されているわ。この日は夜ディナーの関係で、残念ながらカフェには行かず。しかし、1階のショップでパリ本店限定、ココでしか入らない「チーズ入り」チョコや「ハート3D」チョコなど購入♪ これは自分達へのお土産と言ったところかしら。 そしてもう一店、マドンナやグウィネス・パルトローがお忍びで訪れるという、隠れたセレブ後用達といえば「ミッシェル・クルイゼル」。 ここは、カカオ豆の生産からチョコレートの加工までを一貫してこだわって事で知る人ぞ知るショコラブランド。お土産に代表的な板チョコを買う。でも、意外に日本では知られてないしビターなので、わかる人にしかあげられないかな。そうそうついでに、今パリで一番トレンドというセレクトショップ「コレット」も紹介。フランスの物というよりヨーロッパ全域のクリエイター作品が沢山。日本のキャラクターなどもあったわ。好きな人にはたまらない空間よ。ここで、パラパラムービーやイギリスの絵本などを購入、お友達やキッズに配ったら喜ばれるわ。 |
パリ散歩、更に左岸にあるパリで最も古いデパート「ル・ボン・マルシェ」まで足を延ばすことにする。高級住宅街サン・ジェルマン・デ・プレのマダム御用達といわれる。高級ブランドからクリエイター物までもちろん何でもあるが、この日の目当てはグラン・エピスリー(食品館)。 中に入ると美しいカラフルなデザート達にクギ付けになる。更に進むと、美しいパテ・アンクルートなど沢山の惣菜に目移り。野菜売り場には香り放つ山積みの、野生の濃いい香りのするトマトや芳香を放つ旬なセップ茸、氷の上で美しく輝くサンピエールにチュルボなどなど・・。日本のデパートとは異質の楽しさにあふれてる。ワインコーナーもさすがに広い。店員のお兄さんが笑顔で近寄ってきたので「ボンジュール」と挨拶すると、「コンニチワ、ゴヨウデスカ」とあいさつされて苦笑。 ユーロ高もあり全体的に日本よりも高く感じる。ただ、デミボトルの多さ、セカンド、サードワインの豊富さはさすが。アンジェリスのセカンド、シュバルブランのセカンドなど品揃えはとっても楽しい。一人でゆっくり買い物するおばあちゃん、仕事帰りに待ち合わせて一緒に夕食の買い物をする夫婦、パリらしい出で立ちのOLさん・・優雅ながら活気にあふれたマルシェだった。 |
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他も見たいのに、主人が食材系から離れてくれないので、仕方なくまた色々買ってしまった。最近は高級菓子より、ここで買う菓子類の方が珍しがってもらえるのよね。そうそう、今日本でも流行っているエコバック、ボンマルシェのも沢山種類があっていいわ。丈夫で大きいここのエコバック、帰国して重宝した物の一つ。 |
高級ブランド街といわれるオシャレなモンテーニュ大通りといえば・・・当然、世界のセレブ御用達の「ホテル・プラザ・アテネ」。フォーシーズンズホテル・ジュルジュ・サンクと迷ったけど、今回はプラザアテネに決定。赤い日よけと赤いゼラニウムが目印よね。
伝統と格式のクリヨンに対し、アテネはパリで最も洗練されたゴージャスなパラスホテルね。この日もマスコミのカメラが、ホテル前やロビーに集まっていたわ。 ![]() アテネにはご存知、巨匠アラン・デュカスの素敵な仏ミシュラン三ツ星レストランが入っている♪ 宿泊は、豪華なリビングも素敵だけど、広々寝室で気持ちがいい「デラックス・スイートルーム(2300€)」。しかもアテネの歴史的名所の中庭が見下ろせる高層階。中庭も赤い日よけと赤いゼラニウムがキュート。 大荷物なので、クローゼットも10扉あると収納に助かるわ。部屋に毎日運ばれてくる大輪の薔薇も私にはとっても嬉しい。 宿泊したフロアーには、世界のVIP用の部屋があって、防犯ガラスで仕切られてる前には強面SP達が立ってたりするので、エレベーターに乗る度ドキドキした(笑) ガラスの向こうに運ばれていくなが~いクローゼットには、男性用のスーツがビッシリ数十着並んでいたのには驚いたわ。 リビングはシックな深紅の薔薇色が基本な大人の部屋。ゴールドも映えてとっても気に入ったわ。窓際で中庭を見下ろしながらの朝食は、少し窓をあけて気持ちよく頂く。お味は正直普通。クリヨンが美味しいだけに差を感じたわ。中庭挟んでお向いの部屋は、どうも花嫁が式の支度をしているようで、真っ白いウエディングドレス姿で中庭を見下ろしていた。 寝室は広々していて、高い位置に配してある大薄型テレビを、床に寝転がって見れるような造り。滞在にはのんびりリラックススペースは必要。寝室は穏やかなアイボリー色で、赤紫のカーテンに合わせて、こちらにはピンクの大輪の薔薇が置かれるのも素敵。アテネと言えば赤色がトレードマーク。お土産もアテネロゴが入った赤いクマさん、キャンドルやタオルにポーチーなど。アテネのチョコなど喜ばれるのでお勧め。 |
ホテルのエントランスロビーを通り抜けて、突き当たり正面フォークとナイフを持ったオブジェが印象的。そこがミシュラン三ツ星「アラン・デュカス オ プラザ・アテネ」の入り口だ。 予約した20時に伺うと、既にぽつぽつと先客がいる。グラス・シャンパーニュは、5~6種類のシャンパーニュを冷やした豪華なシャンパーニュワゴンの中から選べる。店内の赤い絨毯や椅子と色合わせした妻のロングドレスに、更に合わせてロゼをチョイスする。若いソムリエもサービスしながら「ドレスとピッタリですね。」と褒めてくれる。このような贅沢な選択が可能なところが、グランメゾンの楽しさの一つだ。 メニューはテーブルに立てかけられるので非常に見やすい。天井からはスワロフスキー製シャンデリアが美しく輝く。インテリアは全体的にモダンで洗練されていて、落着いた雰囲気。 注文が終わるとチーフソムリエが笑顔でやってくる。「アラン・デュカス」では、ソムリエが注文したプレートに合わせたワインを強く勧めることで有名。そこで敢えて、こちらの希望を伝えてみる事にした。 リヴァロ 「白は、ルロワのコルトン・シャルルマーニュ2000でいこうと思うんだが。」ソムリエ 「おお、だけど、最初から飲むには胃に強すぎると思います。それにチョイスした肉には合わない。」 リヴァロ 「いや、肉には赤ワインを別に頼むよ。妻がアニョ・ロティだから定番のポイヤックで。私の小鳩にも合うように優しい味わいのシャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ドゥ・ラランド2002のデミボトル(180ユーロ)を考えているんだが。」 そのソムリエは笑顔でちょっと考える・・ ソムリエ 「OK。ワインリストには載せていないんだけど、デュクリュ・ボーカイユ2000年のデミボトル(250ユーロ)がある。最近飲んだけど抜群なんですよ。サンジュリアンだけどアニョ・ロティにも十分合う。」「それから白は、M Niellonのシュバリエ・モンラッシェの96年はどうだろう(480ユーロ)。飲み頃で今日の料理にも合うし、あなたがチョイスしたルロワ(580ユーロ)より若干お手頃だと思いますよ。」 非常にスマートな勧め方だ。 デュクリュ・ボーカイユの大好きな妻が大喜びで「トレビアン♪」を連発すると、空を見上げて鼻高々なリアクション。他のスタッフも一緒になって、テーブルが笑いに包まれる。 「ルレ・ベルナール・ロワゾー」のソムリエは、私のチョイスに対して「素晴らしい選択ですね。おいしいし合うと思います。」と笑顔でリップサービスし気持ちよく飲ませてくれた。 一方、「アラン・デュカス」のソムリエは「あなたのチョイスは、こうこうの理由で僕はこちらがいいと思う。」と言ってくる。客の選ぶワインはどうしても自分の能力内にとどまり、発見や驚きが乏しくなりがちだ。その意味で責任もってワインを勧めてくるアラン・デュカスのソムリエのポリシー、そして経験と知識に裏付けられた自信には感心させられた。1品目は、妻がキャビア・オシェトラのデミサイズを。ほのかに火を入れたラングスティーヌの上に、宝石のようにキャビアが敷き詰められている。 アラン・デュカスのスペシャリテの一つだ。ギュと凝縮された甲殻類の甘味と旨みが、キャビアの塩味と風味と交じり合う。私のチョイスした舌平目は、プリリとして食感を残した絶妙な火入れだ。ふっくらとした身質は少し力を入れないと切れないのだが、口の中に入れると柔らかくほぐれ溶けていくイメージだ。 付け合せの貝類にパセリのソースの風味。日本人にはなじみのある味わいのおいしさだ。ソムリエのチョイスしてくれたシュバリエ・モンラッシェとのハーモニーを堪能する。 ![]() そして時間と共に照明が落とされて、レストランのざわめき会話も皆弾んでくるのが分かる。ワインもすすみ晩餐が盛り上がって、いよいよメインの料理の登場となる。 妻のチョイスしたアニョ・ロティは、火を入れた片手鍋をテーブルまで持ってきて、その場で切り分けてくれる。ロゼ色を残したとても綺麗な火入れだ。 子羊の色々な部位が切り分けられており、かみ締めるうちに子羊独特の風味が鼻に抜けてくる。まだまだ力強いタンニンのデュクリュ・ボーカイユにぴったりだった。 ![]() 私のピジョノーは、日本ではあまりお目にかかれない肉厚に圧倒される。溶かしバターでパン粉をまぶした上で、じっくりと火が入れられている。分厚い肉を口いっぱいに頬ばり噛み締めると、小鳩の優しい鉄分の風味が鼻に広がる。りんごのゴーフレットがちょっとしたアクセントで楽しい。 肉まで味わったところでお楽しみのデザートタイム。ここアラン・デュカスでは「クープ・デュ・モンド・デュ・パディスリー」で優勝したパティシエの芸術的なデザートが楽しめる。 ![]() 妻は是非にと勧められた可愛いフランボワーズのグラス、私はスペシャリテのババ。フランボワーズはとても新鮮で酸味があふれでている。それに甘いソースがかけられ、甘味・酸味・果実実が渾然一体となる構成だ。色んなパターンが盛りだくさんで出てくるので、とても全ては食べつくせない。バーブティーも合わせてチョイスしてもらい、豪華で美味しい。 ババにはラムの香り華やかに、たっぷりのクリームが添えられ、更に一杯のラム酒が添えられる。ワインと料理を堪能した後に、食後酒的にデザートを頂く趣向で男性には嬉しい。 なおサロン・ド・テで出しているパティスリーは、ホテル・ロビーに芸術品のように季節のコレクションとして飾られている。その中にある、期間限定の星座モチーフの大きなチョコレートを頂いた。かなり分厚い板チョコだが美味しくてあっという間なくなったのは言うまでもない。 フランスの3ツ星グランメゾンとはこうあるべきという姿、「卓越した料理」「優雅なサービス」「洗練さと重厚感」を心地よく味わえた一晩だった。 |
「ホテル・ル・ブリストル」は、1925年にイギリスの旅行家・ブリストル伯爵邸を改装して開業したもの。広い庭園と最上階の船型プールが有名な、一味違った開放感あるパラスホテルよ。エントランス正面扉が開いている、そこがメインダイニングのミシュラン2ツ星「レストラン・ル・ブリストル」。芸術家のパトロンを趣味?としていたブリストル伯爵が、邸宅内に劇場まで作っていたという、その劇場部分が今はレストランと言うから面白いわ。 イギリス的な落ち着いた中にも、華やかな金装飾や大絵画があってなんともゴージャス。赤い椅子に赤いクロスに華やかな絨毯。全体が楕円型で、オーク材の重厚な内装がなるほど変わった雰囲気。 ちなみに夏場は全テーブルを広大な自慢の庭園側に移動して自然を楽しむ演出なの。 マダムが案内してくれて席に着く。既にチラホラ食事を始めたらしいゲスト、そこから離れた見渡せる、景色良い静かな席でよかったわ。 |
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まず大きなシャンパンワゴンが運ばれてくる。フレンチレストランで心躍る瞬間だ。日本ではシャンパンワゴンまで用意できているレストランは数少ないが、フランスの特にホテルのグランメゾンでは豪華な物がきちんと用意されている。 現在この「レストラン・ル・ブリストル」は、仏ミシュラン2つ星でエスポワールがついており、3つ星間近と言われる。当然そんなエリック・フレション料理長のメニューに、嫌でも期待感が高まるというものだ。貝殻の中にウニのフラン、そしてガーリックバッター。ホテル・ド・クリヨンの「レ・ザンバサドゥール」のTVセットを彷彿とさせる。そういえば、このエリック・フレション氏はその「レ・ザンバサドゥール」にいた時代がある。 フランはとても繊細だが風味にたけており、バランスがとてもいい。フランスで頂くフレンチにしては、塩味も抑え気味で自然なスタートだ。緑のムースの下にはフォワグラのムースが隠れている。とても柔らかいが、フォワグラの芳醇な脂のうまみをとじこめている。やはりバランスが絶妙だ。 最後の前菜は「燻製ベーコン、黒トリュフ、ジロールのロワイヤル カルボナール仕立て」。トリュフのブイヨンソースがなければ一瞬、デザートかと見まがうばかり。端にはトリュフのクーリが添えられている。フォークを入れ口に運ぶとトリュフの香り、卵とバターの香りが交じり合いながら鼻の奥へ抜けていく。コース中盤でやや重みのあるプレートに変わってきたのが分かる。 魚は強く勧められたスペシャリテを頂く。ウナギは香ばしくカリカリにポワレされている。パセリのピューレの「緑」、ブイヨンムースの「白」など絵的にも美しい。ムースには薄っすらとニンニクの香り付け。ウナギにはかなりどっしりとした塩がふられていて、舌がややしびれる感じさえする。前半の穏やかな味わいから中盤を経て、更にかなり強い味付けへと変化していく。 ノルマンディ地方出身で魚料理が得意というエリック・フレション氏だけあって、「剛速球」のようなプレート。ただ日本人に馴染みのある「魚の繊細さを残す、うなぎの独特の風味をいかす」という方向性ではなく、「魚の臭みを失くす、うなぎの個性を中和して食感を楽しむ」という方向性なので、日本人の評価は分かれるプレートかもしれない。 そして本場のチーズをワインとともに頂く。輸入とは違う風味と食感、それぞれの個性がはっきりと浮き出る感じだ。こんな時人間自ら飛行機に乗って食べに来る意義を感じずにはいられない。デザートも同様モダンでシンプルなプレートが美しい。妻は「カワイイ、美味しい」と別腹で完食の様子。 ![]() 超ベテラン風のサービスがゆっくりと優雅にフロア全体を見回しつつ、時折流暢な英語で話しかけてくる。担当の男性ソムリエも貫禄があり頼もしい。他にも若いスタッフがてきぱきとよく動く。楕円形のふくらみのある豪華なダイニングは、心地よい社交のざわめきでとても落着き過ごしやすい。 ただ宣伝に力を入れているためか、日本人客も少なくない。日本を忘れて本場の雰囲気でフレンチを味わいたい人には、やや違和感もあるかもしれない。しかしそれに目をつぶっても頂く価値のある料理だった。 古典に忠実でどっしりした味わいでありながら、現代風のエッセンスもふんだんに盛り込まれている。しかも、コースの流れには緩急がある。まさに「旬のフレンチ」を堪能した。 |
ミシュラン3つ星「ルドワイヤン」のクリスチャン・ル・スケールの指揮のもと、いわゆる今流行の3つ星レストランの「セカンドライン」「カジュアルライン」にあたる。ピエール・ガニエールやプラザ・アテネなどにいたベルナール・ピノーが腕を振るう。パリでは「ネオ・ビストロ」、つまり一流レストランで働いたシェフが、手頃な値段で一流技術のプレートを出すビストロが脚光を浴びて久しい。それに呼応するように、三つ星、二つ星レストラン自体も積極的にカジュアルラインを展開している。ここ「エトセトラ」もそんなコンセプトで2008年4月オープンしたばかりだが、2009年ミシュランで早速一つ星を獲得している。 入り口、真っ赤な劇場風カーテンが開かれて店内に招き入れられる。入り口左、厨房横にはガラス張りのオシャレな最新設備のワインセラーが埋め込まれてあり、実は2本分の奥行きがあって1キューブに100本ずつワインが収納されているという。 中央部分をクローゼットとキャシャーにして、周りに窓際・壁際に46席ほどが配置されている。店自体かなり手狭な印象だが、鏡など巧く使って窮屈感を緩和している。テーブル間隔もかなり狭くちょっとしたカフェスタイルだが、シルバーやダークブラウンに赤の差し色でシックでクールモダンな雰囲気だ。昼はビジネスランチ客中心で、夜はアメリカやヨーロッパ各地から、フランス以外の客が多いという。 簡単なメニュー構成で、前菜(18€)・主菜(36€)・チーズ(12€)・デザート(13.5€)から好きなものをチョイスする。前菜だけでも主菜だけでもOK。本日は前菜と主菜を頂くことにした。前菜を待つ間は、細長いプレートにどんっとバケットが7~8個供される。日本のバケットにはない塩味を強く感じながら、本日チョイスした「シャトー・カントナック・ブラウン(Chateau Cantenac Brown) 2000年(120€)」を味わう。例の入り口の豪華セラー、なんと赤と白それぞれに違う温度で管理されていて今は500本ほどのワインがあるそうだが、ワインリスト自体は見開き1枚のごくごく簡単なもので手頃なワインばかりを配置している。 前菜「Moelleux doeuf fermier/Creme de champignons」。濃厚な味わいと風味のソースの上に、メレンゲ状の卵白の中に半熟の卵が隠れている。モリーユの香りをまとわせたネットリとした食感を味わう、とてもフランスらしい前菜だ。 続いて「Anchois Frais Marines/Caviar Dolives」。キャビアを添えた冷たい前菜は、オリーブソースの塩気とマリネされたアンチョビの奏でる心地よい酸味の調和を楽しむ一品だ。妻は「サシミ~」と楽しそうだ。 主菜は「Canard Sauvage/Potimarron」。鴨はジビエらしい野趣ぽさ。日本で食べる鴨はどちらかというと上品だが、いかにも沼地などでたくましく育ったという感じの野生っぽさが、タンニンのまだまだ強いカントナックブラウンと相性抜群。左にはパイ包みの鴨が、右にはびっくりするほど甘いカボチャのピューレが添えられている。 そして「Noisettes DAgneau A La Sarriette」。子羊のノワゼットは、子羊らしい肉質を生かしてあり、色鮮やかな付け合わせも美味しい。 力強い素材の味を円の中心に置いて、塩・甘み・酸味をそれぞれドンと周りに配置したような骨太のイメージ。大きなスケール感を持つフランスらしい味わいの数々だった。「日本のおしゃれで軽い味のフレンチビストロ」をイメージして訪問すると違和感を感じるだろう。特に主菜はワインを飲まない女性には難しいかもしれない。2名のサービスは暇なときは談笑したり背伸びしたりと、これまた「ルドワイヤン」のサービスとは一線を画したほどほどで最低限の動き。ワイングラスが空いてももしばらく気が付かず、「おっとと」という感じでやってくる。まあいわゆるフランスらしいサービスだが不快ではない。 「Epicure Traditionale Cuisine」の頭文字を取った店名通りに、昔ながらのフレンチらしい濃厚な味わいを、ちょっとした現代風のアレンジ・盛りつけで気軽に味わえるカジュアルラインでありながら、素敵なモダンレストランだった。 |
8区シャンレリゼ、凱旋門近くの大きなルイ・ヴィトン本店の角を曲がり、華やかなジョルジュサンク通り沿いにある豪華なホテル、そこが今回のパリ拠点よ。素晴らしい秋晴れ、遠くパンテオンやグランパレ、ノートルダム寺院まで見通せる!この絶景は「フォーシーズンズ ホテル ジョルジュ サンク パリ」、滞在していた部屋のプライベートテラスから見たもの。 中庭に面した高層階の「1ベッドルーム デラックススイート」、一泊2545€というだけあって素晴らしい場所。テラスの別方向からは、すぐ近くのエッフェル塔一部も見える。 横長な配置で100m2はないな、でもそれくらい広く感じるわ。ゴールドカラーを基調にしたリビングルームやベッドルーム、大理石のゲスト用パウダールームや広いバスルーム、そしてクローゼットルームまでも全てがテラスに向かい開放的で明るい。それが夜には、中庭の照明がまたぐっとイメージを変える。 リビング窓際にある書斎スペースが気に入った主人は、部屋にいる大半はそこにいた。シャンゼリゼから程近い場所にありながら、中庭奥に位置するだけあって静か。窓を開けると風と共に教会の鐘音が入るくらいね。 やはり滞在が長くなると色々と妥協は出来ないものだが、フォーシーズンズになってからの「ジョルジュサンク」は3年掛けた全改装も済ませ、世界的な評価の通りソフトもハードも細部まで申し分ない。これが予想を越えて素晴らしかった。不満がないまま過ごせたのは世界でもここだけではないだろうか? 家具もフォーシーズンズらしいいかにもなヨーロピアン家具だが、傷もなく手入れされていて綺麗な状態。当然ながら大薄型テレビ2台に空調設備、配管水周りも清潔で問題なし。スパやフィットネスも(同フロア奥)完備している。その点「オテル・ド・クリヨン」の唯一の問題点は設備投資が出来ていない事だった(バスルームが特に)。あちらは歴史的建造物としての価値を優先しないとね。 午後、毎日部屋に届けられるアメニティーは、シャンパンに始まり花(胡蝶蘭・チューリップ・薔薇)、ケーキや小菓子など細かな気遣い。日本茶とモダンな茶器もある。たっぷりのミネラルウォーターにグラス類、たっぷりのタオル・・一日3度ものルームメイキングは清潔感があって良いわ。ルームサービスもオールデイで充実していて頼み易い。 どのスタッフも英語が出来て丁寧な応対。ホテル出入りの度に、ロビーやラウンジなどですれ違うスタッフ全てがきちんと笑顔で挨拶する。しかも名前で呼んだりもする。なかなかこうは行かないものなのよ。 パリのパラスホテルは新参フーケッツ以外は行ったけれど、今好印象1番はこの「フォーシーズンズ・ジョルジュサンク」と言えるわ。 不況の影響で観光客減少しているのが見て取れるパリの街並み、今パリのパラスホテルも稼働率が半分程度ではないかと言われている。確かにそうかもしれない、ホテルオーナーはアラブ人だけどアラブ人ゲストもほとんど見てない。日本マーケット(ツアーなど)に力を入れているムーリスなどは、日本人スタッフや観光客を沢山みかけるが、ここフォーシーズンズでは滞在中日本人に会う事はなかった(スタッフも不在)。私達にとっては、パリを静かに満喫する意味で喜ばしい事だったけどね。 ![]() 夜のホテルはロビーやラウンジの照明もかなり落とし、中庭をライトアップさせてシックゴージャスな雰囲気。そうそうこのホテルの名物と言えば、NY仕込のジェフ・リーサム作のフラワーデザイン。しかし残念ながらこの時期のそれは、ホテル中を「落ち葉のアレンジメント」で覆うもので、期待した「華やかで美しい花々の演出」を楽しむ事は出来なかった。 |
地図上で見るパリはコンパクトで、これくらいなら歩けるだろうと思ってしまいがち。ところが実際はかなりの距離と石畳だったりするのでかなりハード。パリのタクシーは小さく古く、助手席が使えなかったりもするので、毎度専門業者やホテルにお願いして「綺麗な大型車と優しいドライバーさん」を用意して頂く。という訳でパリを語るに外せないセーヌ河、中でもシュリー橋(Pont de Sully)からイエナ橋(Pont d'Iéna)までのセーヌ河岸約8kmは世界遺産になっているわ。徒歩や自転車、混雑する観光船でなくても楽に楽しめるセーヌ河岸自動車専用道が私は良い。日曜やパリ・プラージュ以外で水量が低い日なら、とっても美しい景色をセーヌ河目線でザ~ッとドライブできる。ルーブル河岸まで来たらならやっぱり立ち寄りたいのは「ルーブル美術館(Musée du Louvre)」ね。 シンメトリーが美しいルーブル宮、ミュージアム・パスさえあれば地下駐車場から上がって、ガラスのピラミッドに並ばず混雑なしでスルー入場出来る。世界最大の美術館だけあってとにかく広いので、3つの建物(ドゥノン翼・シュリー翼・リシリュー翼)の中から一つ選択して、他は後日にする事をお勧めしたい。どうせ数回の訪問ではこの宝物達を見尽くす事なんて出来ないのだから。 今回はドゥノン(Denon)の大ギャラリー「イタリア絵画」を鑑賞。さすがにモナリザの部屋は人がビッシリ・・よって当然スルー。夢中になって絵を追っていたら2階行き止まり、お向かいのリシリュー(Richelieu)まで飛んで行きたいのはやまやまだが、それでも1時間半歩いててヘトヘト。どちらにしろまた長~いに道のりを必死に戻る、サモトラケのニケが見えてきたとこでホッとするが、とにかくこの宮殿は広い。そしてやっとピラミッド下のショッピング街まで着いた。本屋(お土産屋?)で美術本や絵葉書をバタバタと選び、お隣にあるお目当ての「ラ・メゾン・ドゥ・ショコラ」でお土産含めて色々買う。ここルーブル店はガランとしていて意外に穴場で日本人スタッフもいる。そうこうするうちにピラミッド下には観光客や子供達がドンドン入ってきた。 |
| 寒さ寒さもヨーロッパ、なんて言葉があるくらい、こんな季節にはヨーロッパに行きたくなる(全く、全~く聞いた事ありませんよ;) 「なら僕ん家来る?」「ま~ヨンジュ!ならば滝修業に連れてって♪」(ま、まさか;) ヨンジュのフランス帰国に合わせて私もパリへ逃避行、温暖化な夏日福岡を抜け出し、チェリンヌはショコラ滝へ修業に参る(色々と突っ込みたいが、ともかくヨンジュさん、彼女はどちらに;) 「ココならチェリンヌもタラフク1人カンヌ祭開催だね」 そうなの、ココとは「カカオ・エ・ショコラ(Cacao et Chocolat)」と言って、パリに数店舗あるキュートなチョコレート屋さん、いつもお邪魔するのはパリ6区、サンジェルマン大通りから入ったビュッシー通りの本店。いつも笑いの修業に付き合ってくれる仮名マリーがお出迎え(あ、スタッフね;)「チェリンヌ、いつもにも増してチョコレートをジャブジャブにしたわよぉ」(お~、これはチョコレートフォンデュじゃないですか) 「マリー、じゃ~、修業に入るわ。全メニューをヨンジュと二人分ね」(しゅ、修業て;) パリでチョコレートの洗礼よ、普段あんこに占領された胃袋やジャパニーズ五感を、ワールドに切り替えて鍛えるのよ。なんて言っても秋から冬にかけての乾燥したパリではチョコレートがたまらなく美味しいから。そうそう、ショコラショーの飲み歩きにも適した時期だと思う(ハシゴですか?) そりゃ~鍛えると言ったら菓子屋のはしご以外に何があるの!?(え~~~ありますよぉ) 「チェリンヌ、今日は評判のエクレアも準備したよ、1つ3.3ユーロだって、こっちの袋菓子達もやっぱり可愛いいね~、今回もお土産に沢山買っておくよ」 「マリー、こちらってばラ・メゾン・デュ・ショコラの姉妹店なのに、何故お手頃な寛大金額設定なの?味は確かに比べるとカジュアルだとは思うけど」 「こちらは工場製造生産のお菓子達になるの、だから気軽に味わって頂けるお値段で提供出来るし、パリの人の日常に溶け込めるお菓子だと思うわ」 「なるほど~、じゃ私にはカジュアル過ぎるわね、おほほ」(おい、ちゃんと話聞いてたか?;) 「チェリンヌ、サロン・ド・ショコラにも出店した事もあって、日本人も来るようになったみたいだから、日本にお店が出来るのも時間の問題かもな」 「そうね~、日本で手に入らない物はなくなってきてるわね」(来年は日本で修業出来そうですね) |
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ついでにキッチン雑貨のお店を紹介。「カカオ エ ショコラ」のあるビュッシ通りはかなり下町な雰囲気で、そこから繋がるサン・タンドレ・デ・ザール通りには、若者好みの服飾店やキッチュな雑貨店などがあって賑やかなの。中でもいかにもポップで華やかなフレンチ雑貨が揃うセレクトショップ、オレンジの外観が目印の「エヴァ・バザール(Eva Baz'Art)」。一見派手なショーウインドウは怪しげでワクワク、カラフルで楽しいキュートなキッチン雑貨が所狭しとびっしり並んでいるわ。 ルクルーゼなどの高級キッチン用品も多く揃っているけど、それはさて置き溢れんばかりの小物類に注目!エッフェル塔やメトロ、ワインボトルやスイーツなどをモチーフにしたマグネットや、パリらしい可愛いランチョンマットにナフキンリングなどなど盛り沢山。ピンクなどのポップな人体型ナイフブロックには驚いたけど確かに可愛くもある。 2階には大物のカートやエコバッグ、エプロンにトレイなどなど。オシャレな女性スタッフも好印象。 |
この界隈と言えばその昔貴族が住み、そして「カフェ・マゴ」「カフェ・ド・フロール」に代表される文化人が集い、今はファッション関係や芸能関係が住みたがる最も物価が高い街。「サン・ジェルマン・デ・プレ教会」前には、所狭しと高級プランド店が立ち並んでいる。まさにゴーシュ・キャビアな雰囲気。![]() そんな教会の一本横道、サンブノワ通りにある話題のお蕎麦屋さん「円(YEN)」へ行く事にする。 ビストロに挟まれて一見「禅」風シンプルな店構え、外からガラス越しに蕎麦打ちスペースが見える。 1・2階と木を生かした日本のカフェスタイル風ですっきり小奇麗な店内。テーブルには蕎麦蒸篭がいくつかオブジェの様に重ね置かれて日本風情を演出している。大半はオシェレなパリ市民で埋まっていて、地元で愛されている事が伺える。 実はここ「オンワード樫山」の経営だが、10年程前パリで開業するにあたり、わざわざ蕎麦修行に松本へ職人を出したという。最近では「吉兆」出身の料理人も入れて蕎麦以外の日本料理も格段に充実したと評判だ。 さすがは人気と言うだけあって満席。サービスはのんびり?で注文取りも遅いが(フランス式ではある)、日本人と仏人の女性スタッフのサービスはまずまず的確で好印象だ。日本人といっても皆フランス語が流暢なので、フランス人客も安心してやりとりしている。 ランチタイムの定食(38€)には刺身・天ぷら・イクラなどが詰まったお弁当に加え、蕎麦は温蕎麦と冷蕎麦(盛り)を選択できる。厳しく言えば、盛り蕎麦は表面のみずみずしさがない、蕎麦粉の香りにも乏しくやや鈍重な印象でキレはない。まぁしかし、それなりにコシもあって海外で食べる蕎麦としては十分な味わいだろう。食後には漆風の赤い器や雰囲気のある器で、蕎麦湯が供されるのも嬉しい。 ![]() 他におつまみメニューも充実していて、帆立貝柱やインゲン梅肉和え(10€)、雲丹湯葉のジュレ添え(15€)、マグロのぬた和え(15€)などなど。純粋な和食の味わいではないが、フランスの和食としては心地よい酸味のインパクトが、ワインにも合わせやすいし、フランス人にも分かりやすいだろう。 ワインリストは、シャンパーニュ・白・赤とある。赤にはラトゥールやマルゴーなどもリストアップされていて値付けはやや高め。注文したのは酸味の強い味わいにあわせて白ワインからオリビエ・ルフレーヴ(OLIVIER LEFLAIVE)のピュリニー・モンラッシェ シャン・ガン(PULIGNYMONTRACHET 1ER CRU CHAMP GAIN)130€。 日本の江戸前蕎麦屋と比較するのは野暮だが、海外で食べる「ジャパニーズ・ソウルフード」のレベルとしては十分。一昔前のフランスにはこのレベルはあり得なかった。刺身なども「日本料理 花輪」より美味しいかなと思う。 パリジャン・パリジェンヌ達が思い思いにワイン片手に箸を操り蕎麦をすする雰囲気はなかなかのものだ。かなりの人気なので、予約か空き具合を確認して訪問したい。 |
噴水が目を引くサン・シュルピス広場の前、2つの塔聳え立つ修復中の大きな教会。窓々から光がたっぷり注いで明るく、ひと気もまばらで有難い状態。印象的なのは入ってすぐのパイプオルガン、さすがはヴィドール(Widor)のオルガン、すごい迫力。すぐ右第一礼拝堂にあるのが、あのドラクロワの大壁画「ヤコブと天使の戦い」、12年掛けて描いた最高傑作ね。明るい時間でよかった、暗い夜は見えないらしいわ。 教会のちょうど真ん中、豪華な祭壇の天井に浮かぶステンドグラスのキリスト、空に浮かぶその姿はまさに神々しく輝いて美しい。更に祭壇のずっと向こう、教会の1番奥にまるで雲から飛び出したような3Dのマリア像。映画でも印象的だったけど荘厳なお姿。 静粛な空気の中、祈りを捧げる地元の人々と共に主人と椅子に腰掛けてしばし眺めていた。迫力ある中にもすっきりとしたクールさで男性好みの教会だった。 |
夕暮れのパリは大渋滞。というか、パリのドライバーて尊敬する。ほんとこんなに狭くて入り組んだ石畳を、クネクネぶつけずお互い摺り抜けて行く!交差点にルールなんてあるのかしら?みんなすごい。パリは夜の街並も素晴らしいわ。ロンドンやローマから空港に降り立つ時いつも思うんだけど、パリのオレンジに浮かぶ夜景て懐かしく温かいわ。激しくない、でも華やかでロマンチックな照明に浮かぶシックな建物。 渋滞のお陰でゆっくり進む車。 ようやく見慣れた美しいチュイルリー公園、向いはル・ムーリスもある通りで、怪しい?お土産屋など売店が立ち並び、夜のざわめきを感じる。そして見えて来たコンコルド広場。この時間が一番きれいかな。空が暗くなる手前の紫色、コンコルドに浮かぶオテル・ド・クリヨンの迎え側に見える・・・1時間に10分だけ輝くエッフエル塔!2万個もの電球を点灯してキラキラ輝くエッフエル塔。ピッタリの時間に到着。夜は景色の一部として色んな角度から見るのがパリらしくていいわ。 ちなみに昼間、真近に見るエッフエル塔・・・鉄の塊的無骨な感じ? 。さすがは観光名所、休みに行くと、この広場一面人の頭だからご用心。やっぱり昼も遠目のエッフェルが綺麗。 そして2009年10月22日から年末まで行なわれているのは、「エッフェル塔設立120周年記念」のイルミネーションイベント。2000年から始まったエッフェルのライトアップは、2004年には中国の赤、2007年はラグビー・ワールドカップの緑、2008年はヨーロッパ連合議長国の青に金星が輝き・・・そして今年はまさに、7色のイルミネーションが色んなデザインに変化しながら12分、夜空に浮かび輝き続けるカラフルなエッフェル。 セーヌ河沿いにエッフェル塔を正面から見る事ができる絶好の場所がトロカデロ広場。当然ながらそこには沢山の人人人・・、夜はさすがに冷え込むけど、私も車から降りて暫く眺めていたわ。 |
セーヌ河に程近い静謐な小さな路地三叉路、アンリ4世が暗殺された1610年にルイ13世が王位継承した修道院がある。今はレストラン「ルレ・ルイ・トレーズ(Relais
Louis XIII)」だ。 さすがいかにも歴史を感じさせる佇まいだが、修道院だったという面影は一見ない。古びた木製ドアを通り抜けると手狭なウェイティング、ステンドグラス窓から入る光でオレンジ色のセピアな印象がまた良い。そしてメインダイングに入る。ステンドグラスが美しい窓際、石造りに大きな木の梁が存在感を見せる中、壁にはルイ13世と王妃の肖像画が飾られている。意外と奥行きはあるがテーブル7卓の小さな空間だ。 ダイニング一番奥にキッチンがあるらしく、ワインセラー周りにさらに2卓と個室もある。2階にトイレがあるので、客が階段を上るたびにギシギシと音が聞するのも風情だ。 小さなプレートをやや多めに味わえる「ムニュ デギュスタシオン(Menu degustation)」、中でもシャンパーニュが1本ついたお得感のあるコースを頼むことにする(140€)。同じ名前ですよとシャンパーニュ「ルイーズ(Pommery Cuvee Louise)」を持ってくるところがなかなかニクイ。 アミューズの根セロリのスープは、セロリを噛みしめるような風味が口いっぱいに広がる。セロリに塩をつけて噛みしめるような苦味の余韻も長い。前菜は3皿。ホタテのテリーヌ、蠣のグラタン、リエーブルのパイ包み焼きと続く。とてもシンプルで複雑さやインパクトはない前菜達だが、火を入れたホタテの甘みとテリーヌの繊細さのハーモニー、プリッとした蠣と表面を少し焦がした甘いソースのグラタンをストレートに味わう感じだ。 パイ包みは、パイがサクサクと綺麗に仕上がっており、家禽ウサギの身とフォワグラをからめながら頂く。迫力こそないものの綺麗で丁寧な仕上がり。魚は鮟鱇。身質はなかなかだったが、ソースの印象が蠣のそれとかぶってしまっていたのが残念。 一番おいしかったのはメインの子羊。とても綺麗に火をいれてロゼ色に優しい味わいの肉に仕上がっていた。ねっとりとキャラメリゼしたような食感の付け合わせ茄子が、アクセントになって最後までおいしく頂けた。 合わせた赤ワインは「ムートン・ロートシルト(Chateau Mouton-Rothschild)1988年」。290€だから日本円にして何と4万円弱、つまりほぼ現在の市場価格そのものだ。その他「ラトゥール」も年代によっては290から350€あたりと、全体的に安めで良心的なワインリスト。ワイン好きというシェフらしく、最近備え付けたような近代的なセラーが美しく輝いている。そのシェフ、マニュエル・マルチネス(Manuel Martines)は、「ルドワインヤン」「クリヨン」「ネグレスコ」などでキャリアを重ね、「トゥールダルジャン」の3つ星時代に料理長を務めた。その後ここを買い取り、2001年からミシュラン二つ星を維持している。 必ず各テーブルに顔を出し客と握手をしていくのをポリシーとしているようだ。4~5回はフロアーに顔を見せに来ていた。喜ぶ妻にウインクで返すシェフはさすがフランス伊達親父といった感じだ。 厨房には見習い含めて10名もいるそうだ。なるほど、料理はどのテーブルも待たせることなくテキパキと提供されてくる。女性ばかり3名程のサービスは、料理の説明も丁寧だし態度も優しい。ただ料理を運ぶのに忙しくて、ワイングラスが空いても注ぐのは滞る。ワインも気軽に扱うのでオリがグラスの中で舞っていたが、まぁ2つ星レストランとは思えない値付けだから良しとする。 同じミシュラン2つ星の「ル・サンク(Le Cinq)」と比較すると、圧倒的にル・サンクに軍配があがるが、「歴史的シェフが歴史的建造物の中で、クラシックなフレンチをシンプルに気軽に提供している」というのが肝なレストランといえる。 小さいテーブルは間隔も狭く、客層も地元客が多いため独特の空気がある。マルチネス氏宅の山荘に招待を受けたような感じだろうか。日本人にとっては「唯一行く星付きレストラン」としての期待にはそえないだろうが、「滞在時の変化球」という感じで利用するレストランだろう。 |
いわゆるフレンチ風情が人気のこの界隈には、ドラクロワ美術館や美術学校、書店や骨董屋などが立ち並んでいて、つまり6区でカルチェ・ラタンな雰囲気が残る場所。その真ん中辺りの好立地にあるのが今回お邪魔した「ラデュレ(Laduree)」。 ジャコブ通りとボナパルト通りの角にあるこのサンジェルマン・デ・プレ店(Laduree Bonaparte)は、実は夏にオープンした「日本橋三越店サロン・ド・テ」のモデルとなった店舗。シャンゼリゼ店やマドレーヌ本店の豪華なパリらしさとは違って、ここはエキゾチックでクラシカルな造り。マドレーヌ・カスタンデザインやルイ・フィリップ様式のサロン・ド・テがよく知られている。確かに、パステルなラデュレカラーもここは落ち着いて見える。 この店舗最大の特徴は、なんと「ショコラティエ」があって、しかもそこは「ラデュレの雑貨店」でもある言う事。ショコラケースと対面に天井まで届く棚、そこには2年前から始まった「スクレ・ラデュレ」「ラデュレ・ボーテ」がびっしりと並んでいて、当然簡単に選べる状態ではない。 カラフルなアロマキャンドルにローション、テーブルクロスやエプロン、ポーチやトレイに傘、ノートや本にトランプ・・・どれもラデュレオリジナルのマカロンや犬、エッフェル塔などのキャラクターがデザインされていて可愛い。 奥のサロン・ド・テ目当てで日本人も並んでいたが、ショコラティエで雑貨自体を買う人は私達以外見なかった。雑貨ついでに?定番ショコラや超新作のバラ型チョコ、流行りのギモーブなども購入する。昔ながらのパリ文化と少しクラシカルで知的?なラデュレを感じる為に、わざわざ来る価値はあるかも。 |
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いい加減ママ、豊かなる知識の泉垂れ流し罪で捕まるわよ。私なんてラデュレ狂い罪で、強烈芳香ギモーブを一年分食べ続けるという重~い刑になりそうだったのよぉ(確かにかな~りの香りらしいですね、ギモーブ;) ニンニク大食い大会で新記録を出した選手に、翌日ラデュレのギモーブを食べさせれば、ま~びっくりお菓子の芳香剤効果!いや、もはやお菓子じゃないわね、そんな事より他にもホワイトチョコで作られた薔薇があって・・・うっっ(よほど辛いみたいね、聞くまい;) ま、それは良いとして(な、泣いてますけど;)このクラシカル的バルコニーのような天井の高い素敵な店内はさすがラデュレ、グリーンの壁に美しい装飾、私とのコントラストに最高のシチュエーション、ほら、皆の者シャッターチャンスよ(やめんかい!ど日本人!) 見てよ、ただでさえピンクの箱が愛しい板チョコが、開けると銀紙までピンクよ、どこまでチャリンコを翻弄するの!(店内で乗るな!) 「お客様、そのご様子じゃ~満足なさったようで」 「ふっ、日本人だから理解出来ないと不覚にも的発言、そうよ、芳香剤なお菓子にも負けずにチェリ~ナの第七感をフル稼働でラデュレを翻弄したわ」 「に、日本人にも第七感で歴史を翻弄する人間がいたとは、まことに不覚であった;」(武士か、アンタ;) 「奥が深いスイーツが何もかもが美味なんてまやかし、しかしフランスの血が騒ぐチェリ~ナは負けない!人類皆スイーツカーニバルよ!」 「マ、マドモアゼル、せめてお名前を~」(アナタね~;) |
2009年のパリ旅行で最も素晴らしい時間を過ごせたのは、宿泊先の「フォーシーズン・ホテル ジョルジュ・サンク」、そのメインダイニングである「ル・サンク(Le
Cinq)」での食事だ。2008年秋からは「ジャマン」「ル・レジャンス」などを経て「レ・ゼリゼ」でミシュラン2つ星を取っていたエリック・ブリファーを招聘している。3つ星も近いのではないかと評価は鰻登り。そんなエリック・ブリファーの料理を楽しみに訪れた。毎週変わる「花のオブジェ」で包まれたフロントを抜け右手進むとラウンジ、その奥に「ル・サンク」の豪華な入り口がある。ゴールドがメイン装飾で華やかかつエレガント、品のあるグレーでポイントを抑えたゴージャスなインテリア。各所の鮮やかな花々がアクセントになっている。まさにこれ以上の贅沢な空間はないという感じだ。 案内されたのは奥のソファー席。その独立した空間は広く静かで、中庭へ続く計算された眺めはデートにぴったりの場所だ。特にこの日は、海外のゲストはVIPらしきイギリス人と私達の2組だけで、後は常連らしいフランス人ばかりだったため、しっとりとした本物の社交場といった雰囲気を味わえた。 ふんだんな種類のシャンパーニュが惜しげもなく冷やされているシャンパンワゴンが運ばれてきた。ちょっと迷ったがせっかくなのでボトルで頂くことにする。ずっしりと重みのあるリストは開くだけで楽しい。 「テタンジェ コント・ドゥ・シャンパーニュ1998年」400€。ブランドブランの透き通るようなエレガントな旨みがここルサンクの雰囲気にぴったりだ。ソムリエも「excellent!」と言いながら楽しそうに注いでいる。 数人のスタッフが替わる替わる挨拶に訪れゆっくりとメニューを選ぶ間にフリットが供される。穏やかな油と塩気、柔らかい触感でコント・ドゥ・シャンパーニュと美味しく頂く。ちなみに、海藻バターですら完成度が高く期待が更に高まる。まずは3点盛りのアミューズ。カボチャのムースの柔らかい風味、豚バラ肉のちょっとエキゾチックな味わい等が食欲を刺激してくれる。私がチョイスした前菜は「ブルターニュ産アワビのソテーとホタテ」。エリック・ブリファーの新作スペシャリテの一つだという。日本でも15年働いていたエリック・ブリファーは日本食材も積極的に「ル・サンク」で表現しており、これもそんな一皿だろう。 ソテーした鮑の下にはカボチャとジャガイモを和えたものが敷かれている。海の風味豊かでとても柔らかい鮑とカボチャのネットリした触感の甘みがハーモニーを奏でる。一粒、二粒乗せられた岩塩の塩気と歯ごたえも微妙なアクセントだ。一方の帆立の上にはクレソンのソースとジュレが添えられており、その柔らかい苦みが帆立のジューシーな甘さをより引き立ててくれた。 さらに2種類の付け合わせがまた楽しい。カップに入った鶏のブイヨンスープは軽くショウガが利かせてある。ブイヨンの中には薄く切ったアワビが潜んでおりその食感をまた楽しめるという趣向だ。貝殻の上に載せられたのはホタテ。軽くマリネされているのか風味良いホタテはとても柔らかく、そしてとても甘い。 上品な繊細さのバランスが主素材の味わいを引き立てて、最終的には主素材を主役に躍り上がらせている。日本人にはとても親しみやすい、しかしエレガントな複雑さを持つ完成度の高い前菜で大満足だった。 妻がチョイスした前菜は「ランド産鴨フォワグラのロティ」。1羽分ではないかと思われるほど大振りなフォワグラは綺麗にロティされている。断面には綺麗に火が入りきっているのだが、口にふくむととろけていく。よく中が半生のフォワグラロティに出くわすが、その半生のとろけかたではなく、フォワグラ本来の脂がとろけていくような抜群の火入れだ。そして付け合せのイチジクの甘さとネットリしたソースがアクセントになっていくらでも食べられそうだ。妻は「もうこれからは、他でフォワグラを食べられないわ・・」などと感歎のため息。 メインは、せっかくだからジビエ(gibier)を楽しみたい。すると、鹿が良い状態でココアのソースで抜群という。私はその鹿で妻は子羊をお願いするが、残念ながら子羊は二人から。ということで・・・色々検討した結果、二人とも同じ物にして「ピチヴィエ(pithivier)をお願いする事に。数種類のジビエをパイ包みにしたピチヴィエは、「ラルース料理事典」に掲載されたことでも知られる、エリックブリファーの著名なスペシャリテ。シェフの師匠であるジョエル・ロブションも絶賛している一品だ。 ジビエということで、サンテミリオンあたりを中心にワインリストに目を走らせ、「シャトー アンジェリュス(Chateau Angelus)1998年」をチョイスしようとした。すると、先ほど「コント・ドゥ・シャンパーニュ1998年」を選んだ際には「excellent!」と世辞を言っていた若いソムリエが真剣な顔で「アンジェリュスは素晴らしくていいが、ピチヴィエの濃厚な香りには、98年より2000年の方が絶対合う」と力説。2000年だと強すぎないかなと話すが再度引き下がらず繰り返し説得してくる。「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ (Alain Ducasse au Plaza Athenee)」のソムリエもそうだったが、一見の客に対してさえ、プライドをもってスペシャリテに合うワインを勧めようとする、その本気度が嬉しい。そこまで言うのならと2000年にした。 切り分ける前のピチヴィエが、香ばしい香りと共に丸状の焼き上がりで運ばれてきた。本来菓子を意味する「pithivier」らしくお菓子のような綺麗なパイ包み。表面の色気あるつややかな光沢はハチミツを塗っているのだという。それを目の前で切り分けて4分の1ずつ供される。そこへ「PITHIVIER!おおすごい香り!」と言いながらプレートを持って登場したのは、伝説と謳われる「ル・サンク」の支配人エリック・ボマール(Eric Beaumard)。 エリック・ボーマールと言えば、1998年の世界ソムリエコンクール準優勝するなどソムリエとして著名だが(ラギオールに彼のモデルナイフがある)、現在はマネージャーとして「ル・サンク」の表舞台を取り仕切っている。それまで各テーブルに厳しい目を光らせつつ、主に常連客の相手をしており、こちらのテーブルには来なかったエリック・ボーマールも、シェフのスペシャリテを運ぶのは俺しかいないという風情でやって来た。 しっとりとしたパイ生地の中にはコルヴェールの胸肉、腿肉のミンチと共にフォワグラや野菜が入っている。口に運ぶと熟成した野生の動物の香りが強烈に香ってくる。付け合わせには塩気たっぷりの野の穀物類。 デキャンタージュしていた「シャトー アンジェリュス 2000年(900€)」が注がれる。メルロー比率の多い アンジェリュスは、どちらかというとサンテミリオンらしくない繊細さが好きなのだが、この2000年というビッグイヤーのアンジェリスは、果実味豊かな香り、濃厚なタンニンとアルコール分がインパクト抜群だ。確かに野生の香りが強烈なピチヴィエには、これくらいのワインでないと合わなかっただろう、さすがだ。 一口一口食べるごとにジビエの香りが鼻奥に漂う。なんだが自分が森の中に入り込み、ジビエの内臓に食らいついている気がしてくる(。森の中で獲物のジビエと穀物を食べている、そんな感じだ。半分ほどでギブアップした妻を見て「お代わりもできますよ、もういらないですか?本当に?」と女性サービスがニヤリと笑う。前菜のおだやかな味わいから一変して強烈なインパクトを残すメイン。それは「美味しい」というより、「野獣まで食べ尽くす人間の強欲さ」と「生の高貴さ」をあらためて考えさせる一皿だった。 美しい盛り付けのデザートも甘みと酸味のアクセントが心地良い。フォンダンショコラに焼いたパインは、なるほど絶妙なバランスだ。デザートワゴンに山積みの小菓子達はさすがにもう食べ切れない・・・というのに「本当に?ひとつも?」とまたもや微笑む女性サービス。・・というわけで、小さなトリュフ入りマカロンを頂く。鼻に抜ける香りが不思議とまた食欲を盛り返させる。ちなみに、中でもお土産に頂いたフルーツの生キャラメルはとても気に入った。 「良いワインを飲んでくれたので、レストランからサービスです」と食後酒を出してくれた。私たちの喜ぶ様をエリック・ボーマールが遠くからさりげなく見ており、視線を送ると自然にはずし、何気ない様子で別のテーブルに歩き出す。そしてフィナーレは、テーブルに鮮やかな薔薇の花びらを散りばめてくれた。 料理の世界に限らずどの世界でも、何気ない日常の中で全力を尽くす事ほど難しい事はない。日本のレストランも波があるところは少なくないが、安定した味・サービス・雰囲気をスタッフ全員で出し切るように教育された厳しさ、それに比例した客側の心地良さが印象的な「ル・サンク」での食事だった。 |
ワイン好きなら一度は行って見たいグランクリュ街道。コート・ドールの出発点ディジョンから、南下してコート・ド・ニュイへと向かうワイン畑紀行。 INDEX |
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シャンボール・ミュジニィを後にして、クロ・ド・ヴージョ(CLOS DE VOUGEOT)へ。ブルゴーニュの丘陵地帯は、穏やかでたおやかでとっても美しいわ。柔らかいその広大さが、青く澄んだ大きな空と一体となって、優しい気分にしてくれる。こんななだらかな広さは日本では決して見る事はできないわ。しかもこの収穫後の静かな季節、畑がまさに黄金で染まり、太陽をたっぷり浴びて輝いている!これこそコートドールと言った感動。ここで出来るワインが美味しくないはずがない。 コート・ドールで歴史的な象徴と言えば、慈善施療院オテル・デューの畑から作られるオスピス・ド・ボーヌね。 そしてこの地の発祥と言えるロマネ・サン・ヴィヴァンの畑。元々修道院が所有してて色々歴史的深い逸話があるわ。斜面上部にあるロマネ・コンティもここから分かれた物。サン・ヴィヴァン修道院は今遺跡(廃墟?)として残っているけど、昔シトー派という修道僧達によって築かれたこのシャトー・クロ・ド・ヴジョーは博物館的に見学できるわ。細々としたワイングッズのお土産もここでゲット(笑) |
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畑の面積は50ヘクタールを超え、コート・ドゥ・ニュイの特級畑としては最大だ。作り手がたくさんいるため、クロ・ド・ヴージョの特徴があまりつかみきれず、あまり好きではないが、観光としてはおもしろい。ボーヌ・ロマネ村(VOSNE-ROMANEE)では、赤い門が印象的なDRCの醸造所を見学しつつ、定番のロマネ・コンティの畑へ。訪問を歓迎するかのように曇っていた空から日の光が差し始める。 ロマネ・コンティのぶどうを口に含むと、 先ほどのシャンベルタンとは異なり非常にすみきった透明感のある味わい。同じピノ・ノワールでもこんなに味わいの差が出るのだとあらためて実感する。ロマネ・コンティの周りには、ロマネ・サン・ヴィヴァン、リシュブール、ラターシュなどの有名畑が近接している。実際に自分の足で歩いてみると、本当に近い距離にあることが分かる。 ロマネ・コンティを左手に見ながら、エシェゾー、グランゼシェゾまで足を延ばす。澄み切った空気の中、ピノ・ノワールの低い房が見渡す限り一面に広がる。その斜面の頂上付近は、岩が多くはげ山のようになっている。 そのはげ山を登る人影、そして時々「パン、パン」と乾いた銃声。野ウサギを射止める銃声だという。ワインが単なるアルコールという地位を越えて、手作りの農作物と言われる由縁を、肌で感じた素晴らしいグランクリュ街道のドライブだった。 |
ブルゴーニュの旅に話を戻そう。コート・ドールから車で30分、ソーリューの街道沿いにミシュラン3つ星「ル・ルレ・ベルナール・ロワゾー」が佇む。ミシュラン三ツ星降格の噂とともに、ベルナール・ロワゾー氏が2003年に自殺した衝撃からもう数年経った。体制を刷新して、ミシュラン東京なども成功させたミシュランだが、2003年当時は「シェフを殺した」などと逆風の嵐だった。 このような悲劇的な事件を乗り越え、店名も「コート・ドール」から「ル・ルレ・ベルナール・ロワゾー」へ。そしてマダムとロワゾーの右腕だったパトリック・ベルトロンが、今も3つ星を維持し、都会から離れた穏やかな時間を提供する。 |
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パリからTGVで、更に車で・・・長い時間かけてやっと辿り着いた小さな田舎の街。閑散とはしているけど、道も建物も手入されて新しい空気がするわ。ここは観光客が世界中からやってくるオーヴェルジュですものね。外見はペンション風で、ちょっと古くさい?感じもする。内に入ってよく写真などで見るレトロなカウンターにレンガ造りの待合室。フランスの田舎らしい佇まい。ところが案内されたエレベーターはガラス張りで新しい設備と、近代的な事に少しびっくり。地下にはキッズルームやフィットネスもあるの。 最上階に着くと長い長い廊下を進んでいく。部屋数も思うより多くて驚くわ。すれ違う従業員は皆笑顔であいさつをしてフレンドリー。突き当たり更に少し階段を上がると、そこが今回の宿泊する「ベストスイート」。 ベストスイートと名が付くだけあって、最も広い見晴らしの良い部屋。屋根裏的な童話の世界に出てきそうな可愛い造り。大きなフカフカのベットの目線で見える屋根窓からは、暗く大きな森の上に静かに星がきらめく。本来洗練された部屋好みの私でも、この童話のような空気は、まるで魔法がかかったかのようにピュアな気持ちにさせてくれるわ。壁や床がレンガで素朴に見えつつ、設備はすっかり現代的で、薄型TVやスチームサウナ、空調設備に加えて歴史を感じる暖炉がリビングにある。 |
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リビングの窓からもブルゴーニュの森がすぐそこに見える。レストランの厨房煙突から立ち上る白い煙も、まるで絵の一部のようだ。ソファ前に大きな暖炉があり、自分で簡単に蒔をくべることができる。暖炉のバチバチという音と、ゆっくりと蒔が燃える炎と匂いに包まれながら、静かにディナー前のひと時を楽しむ。バスルームも綺麗で、予想外に?洗練されている。大き目のバスタブに疲れた身を横たえると、天井の窓から星空が見えるという素晴らしい設計だ。 部屋だけでも十分に堪能した満足感にひたりながら、ディナーに向かう準備をする。 |
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素朴なホテルのエントランスを左手に進み、メルヘンな木馬を見ながら少し階段を下りると、そこまでの世界と全く違って、モダンで洗練さえたウェィティングスペースが広がるの。一瞬目を疑う(笑)クールな照明や黒を巧く使ったインテリアは、これからの時間を期待させるわ。 モダンな黒い革張りのソファに落着き、グランシャンパーニュを頂きながら、ゆっくりとメニューをチョイス。その間にアミューズが運ばれてくるわ。 このウェィティング正面に広いメインダイニングがあるけど、左手に進むと個室風のダイニングもあるの。 ダイニングは昔のままなのか、ホテル全体の造りと同じ、田舎らしい素朴なインテリアなよう。 |
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アラカルトで、故ベルナール・ロワゾー氏の代表的料理と、現シェフのパトリック・ベルトロン氏の料理を組み合わせて頂くことにした。前菜はいずれもパトリック・ベルトロン氏から。「フォワグラのポワレ、バニュルスビネガーソース、いちじくのロティ添え」。フォワグラは絶妙の火の入り。いちじくの甘味、バニュルスの柔らかい酸味でまとめあげている。 「エスカルゴのプチグリ」。アーティチョーク、トロンペット茸、ベーコンがねっとりと交じり合う。 かなり濃厚で塩気も強いが、ボノー・デュ・マルトレイ のコルトン・シャルルマーニュにぴったりだ。本日訪問した禿山のような独特の形状のコルトンの丘を思い返しながら頂くと、また別格の味わいだ。 魚はベルナール・ロワゾー氏のスペシャリテからチョイス。「グルヌイユとパセリのソース、ニンニクのピューレ添え」。『水の料理、ロワゾー』を一躍有名にしたプレートといっても過言ではない。日本で頂くグルヌイユはガーリック処理が強くて、鳥だか蛙だか分からないものも多い。それに比べてこのグルヌイユは、柔らかな身質ながらほのかなグルヌイユ独特のクセが生きている。 パセリのソースはニンニクのピューレと混じりあうとまた別のソースに変化していく。イメージ通りの洗練さ、イメージを越えるおいしさだった。 「川かますの赤ワインソース、エシャロット添え」。こちらもロワゾーを代表する料理だが、良い意味でイメージを裏切られる。赤ワインソースは日本で一般に頂くものではなく、限りなく薄く酸味が全面に出ている。柔らかく煮込まれたエシャロットとの相性がよく、あっという間に食べてしまう。『水のソース』というと軽さだけが強調される。もちろんバター、クリームは軽いのだが、素材とソース、そして付け合せの三位一体で別次元の料理となる。 肉はロワゾー氏とパトリック・ベルトロン氏から1皿ずつ。 まずロワゾー氏からは「リードボー、トリュフ入りのマッシュ添え」。マッシュとリードボーの大きさもさることながら、リードボーは口の中でネットリとした存在感だ。ベルトロン氏からは、「仔牛背肉のファミエールソース、アスパラガスとセージのニョッキ添え」。ワゴンで運ばれてきた大きな背肉を目の前で取り分けてくれる。こちらの背肉は噛み応えがあり、どっしりとした存在感だ。 赤ワインはやはり今日畑を訪問したアルマン・ルソーのシャンベルタン2000年。口の中でそれぞれ柔らかさ、噛み応えという相反する存在感を見せる肉とともにおいしく頂く。 最後のデザートは、ロワゾー氏の代表作「チョコレートのサブレ」。美しい見た目の印象とは随分違う、かなりどっしりしたダイナミックな味わい。甘さと焦がしたビターさが荒々しい迫力にも感じた。料理と同じで、味も量も完食とはいかない、田舎らしい迫力がある。印象に残ったのは、やはりロワゾーの『水の料理』。思い描いていた印象よりもはるかに洗練された味わいだった。バター・クリームを極力排して、塩や赤ワインの酸味をうまく利用。別次元のフレンチを実現しようとして、思い半ばで倒れたロワゾー氏の得がたい個性を感じたディナーだった。 |
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| ちなみに、かつて世界一と言われたこちらの朝食。今となっては人気だったビュッフェスタイルではなく、噂の朝食の面影は全くないわ。名物?の手作りヨーグルトは頂ける。 その朝食用のダイニングには、故ロワゾー氏の懐かしい写真が沢山飾られていて、かつてが偲ばれるわ。 |
ブルゴーニュの締めは、小さく可愛いボーヌ市内を散策。意外に小奇麗で賑やか。商店が立ち並ぶ中心部は、さすがに本場、ワイン関係のお店も多く主人はあちこち目移り。真ん中に位置する公園では、ちょうど蚤の市があっていて、骨董品がズラーっと並んでいた。あちこちから沢山の人が集まっていて、お祭りみたいに賑やかだったわ。 ![]() そのすぐ側にはひときわ大きくそびえる、あのオスピス・ドゥ・ボーヌのオテル・デューがある。外壁など修復中で幕がかかっていたのは残念。小さな村だけど、ノートルダム寺院もあるし、さすが教会も多いわ。 そうそう、この村には故ベルナール・ロワゾーの妻が最近出店した「ロワゾー・デ・ヴィーニュ(Loiseau des Vignes)」というレストランもあるの。ワインが全てグラス売りという話。 ![]() そうこうするうちに時間も迫ってきたので、またコート・ドールの丘を眺めつつ、高速を飛ばし駅まで向かうわ。晴れやかな澄んだ空の下、黄金に輝く葡萄畑や深い青々とした森、豊かな自然達に惜しみつつ別れを告げる。 地平線に日が落ちて行く美しい景色、広々とした牧草地帯の中私達の乗るTGVはパリへ戻るわ。 |
フランス料理の前身と言われるトスカーナ料理。芸術と食欲の秋!やっぱり歴史溢れる本場フィレンツェで味わうべし。 INDEX |
今年もパリのシャルルドゴール空港にいつものように降り立った。やっぱり寒い。ロンドンでは記録的な寒さで雪とか・・。そして今回はいつもと違って、更に飛行機に乗り継ぐわ。今年9月に新しく出来たターミナル2Gまではシャトルバスで移動よ。フレンチポップなキュートでコンパクトな新ターミナル♪明るくて可愛い。行き先は少し暖かいイタリアのフローレンス。フィレンツェのペレートラ空港、別名アメリゴ・ ヴェスプッチ空港は、アメリカ合衆国の名前になったアメリゴさんの名前から取ったらしいわ。この小さい空港は滑走路が一本しかなく、いわゆる狭い土地に無理矢理作った的なので、中型以下の小さな飛行機のみ乗り入れとなるの。ファーストクラスなどなく、それどころかビジネスクラスもサイズはエコノミー同様で、機内食が違うだけになるとか。はぁ、かなり憂鬱。 |
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フィレンツェまでは日本から直行便がないため、パリ・ドイツ経由で飛行機ではいるか、いったんローマを経由して飛行機・電車ではいるしかない。今回はパリ経由で入ることにしたという訳だ。エアーフランスのコードシェア便でとても小さいが、パリの上空をかなり低い高度で飛ぶため、かえってパリの夜景が眼前にきれいに見える。凱旋門からコンコルド広場に続く町並みもはっきりと眼下に映る。東京の無秩序にきらめくビル群の白熱灯のような強い夜景ではなく、低い建物と道路をクリスマス時期にライトアップしたようなオレンジ色の優しい夜景だ。しばらくの間、窓からみるパリの夜景に目を奪われた。 フィレンツェの空港は滑走路が短いため離着陸が難しいという。雲の切れ目からフィレンツェの街の灯が見えてきた。小雨が降る真っ黒な闇の中にところどころ点々とした光が見える田舎らしい夜景だ。そんな思いを抱いているとあっという間に急角度で着陸。 空港からフィレンツェ市街までは車で15分位だ。フィレンツェは土地面積が少ないため、部屋面積は総じて小さめ。地下鉄がないためラッシュアワーは車で渋滞するという。川を一部つぶして電車路を作っているともいう。 宿泊先は、今年夏にオープンしたばかりで話題の「フォーシーズンズホテル フレンツェ」だ。(ホテルの話はまた次回に。)夜遅く到着したので、ホテル内は静かで、フレスコ画や石像が幻想的にライトアップされて綺麗だった。広めの「ギャラリースイート」でウェルカムのシャンパンをゆっくり頂き、その日は眠りに着く。朝早めに目を覚まし窓を開けると、フィレンツェのやわらかい日差しが窓から降り注いできた。散歩中に朝の挨拶をかわす地元の人や通学する高校生の声も聞こえてくる。 そんなフィレンツェの朝焼けの中、ルームサービスで朝食を頂くことにする。卵料理、ソーセージなどいずれも上品な味付けだ。微妙な果肉が残された絞り立てのフレッシュオレンジジュース、イタリアらしい甘み十分のデニッシュ、しっとりとしたバターの風味が豊かなクロワッサン、そしてカプチーノ。ゆっくりと味わううちに長旅の疲れも癒されてきた。 |
遥々やって来たイタリアのフィレンツェ。ローマやヴェネチアも良かったけど、フィレンツェはまた違った、独特の文化味わう事ができる芸術の街よ。若い人なら徒歩でだいたいは回り切れるであろうこじんまりとした街中心部。屋根の煉瓦色が印象的で、石を積み重ねた様な壁が荒々しく無骨な感じがする建物群。石畳で歩き辛い小路があちこち広がって、車は入れない狭さ、そして一方通行。 全体的に京都やパリの様に洗練された歴史の街ではなく、昔のまま、ただそこにそのままあり続けてきたという、この粗野な感じがフィレンツェらしいと言えるわ。 そんな中に一際目立ち聳えるのが、カラフルな白・ピンク・緑の大理石の巨大建造物。皆さんご存知フィレンツェのシンボル、世界遺産の「ドォーモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)」ね。最近は映画や落書きでも話題になったわ。奥天井に輝くクーポラはさすがだけども、他の内部は意外にすっきり素朴な印象。地下には近年発見された遺跡があったりする。 街自体が美術館とも言える昔のままの風情。石畳に少し歩き疲れたら、小路沿いにあるジェラート屋さんに入って栄養補給をしたいわ。フィェンツェで1・2位を争うらしいこちらのジェラテリア「ヴィヴォリ」では、お勧めのヨーグルト味が美味しかったわ。日本のより少しシットリ感が増す感じ。 歩いていると、あちこちの壁や柱に残るメディチ家の紋章。マーキング的な感じね(笑) 豪華な宮殿や1キロに及ぶ空中回路・・「大富豪メディチ家」の歴史こそがフィレンツェの歴史のようなものね。しかし、私がメディチ家の偉大さを感じたのは、ルネッサンス文化を体感できる「ウフィッツィ宮殿」。まさにルネッサンス美術の宝庫! コジモ一世がヴァザーリに設計させたこの宮殿は今は美術館。メディチ邸宅に隣接して作った、その名の通り「事務所(ウッフィツィ)」よ。古代彫刻や絵画4800点のうち2000点が公開されてるの。何より大好きなボッティチェリのプリマヴェーラを始め、ダヴィンチやラファエロ、ミケランジェロという巨匠達による彫刻や絵画が一堂に揃う。全ての歴史を変えたジョットの聖母子像やマルティーニの受胎告知などなど、なんと実物の素晴らしい事か!!芸術こそ時代の豊かさを、文化を経済を顕著にあらわしている。見る角度や光で異なる姿を見せる本物の芸術作品。色や質感の驚くべき事、意味深いメッセージが伝わってくるのに衝撃を覚えるわ。 とても一日では十分見て回れない、勿体無い作品ばかり。この時代、芸術家達が伸び伸びと芸術に邁進できる環境と、チャンスを与えたメディチ家は歴史的称賛に値する。ここにある作品達を見る為にフィレンツェ来たと言う気持ちになれる。そして、外してはいけないフィレンツェ最古の「ベッキオ橋」。高所から見ると絵画的に素敵だけど、橋自体は宝石商ばかり立ち並び、観光客や恋人達のたまり場的になっていて、ちょっとごちゃごちゃした印象。しかし夕方、橋から見るアルノ河はフィレンツェで最も美しい景色と言われている。トリニタ橋などいくつかの橋が遠くまで架かり、河添いに建ち並ぶ黄色やオレンジの家や店々は、いかにもフィレンツェらしい景色ね。 んなベッキオ橋から近い河添い、話題のスポット「ホテル ルンガノ」があるわ。あのサルヴァトール・フェラガモがフィレンツェ内に所有する四つのホテルうち、最初に手掛けたのがこちら。 散策に疲れたら、一階のラウンジに立ち寄って、今度は窓から目前に広がるアルノ河とベッキオ橋を眺めるわ。本場イタリアンワインと生ハム、モッツァレラや猪のラグーなどなど・・満喫しつつね。普通に横に飾られている絵画が、フェラガモ家所有のピカソだったりするからびっくり。河を挟んだ向こうには同系列、全室スイートタイプの「ルンガノ スイーツ」という長期滞在型デザインホテルもあるわ。 ![]() そうそう、フィレンツェを去る時には、幸運の豚ちゃんに再訪のおまじないのコインを。いつまでも変わらぬフィレンツェの景色でありますようにとね。 |
世界中に豪華ホテルを構えるフォー・シーズンズ・グループ。今年の初夏には、鳴り物入りでフィレンツェにもゴージャスホテルをオープンさせた。元々イタリアは、ホテル文化がイマイチと評価は低め。確かにローマやヴェネチアでは、不満な気持ちになる高級ホテルもあったわ。しかもフィレンツェとなると更に田舎でホテルのランクも微妙。 それで考えた末、かつてのメディチ家枢機卿が所有してた宮殿を、大改築したという話題のホテル、出来立てホヤホヤ(そこが一番問題だが)の「フォーシーズンズ・ホテル フィレンツェ」に連泊する事を決意。 15世紀ルネッサンス時代の宮殿。細い路沿い、一見わかりにくい正面玄関を入ると、ワインの神様出迎えるゴージャスな吹き抜けの中庭。漆喰装飾やフレスコ画がぐるっと囲んで、誰もが見上げてしまう石造り。そこを抜けると自動芝刈り機が滑ってる広々緑の庭園、横にはスパ・エステと豪華プールと言うアメリカ風リゾートスペース。 建物の中、フロントやダイニングバーは、キラキラのシャンデリアに華やかな装飾のソファや迫力の調度品。レストランは明るくまた違う華やかな色彩。ワインセラーまで黄色に輝いてたりする。さすが資金たっぷりなフォーシーズンズ、かなり豪華な感じだけど、一瞬気持ちにブレーキがかかるのは何故かしら?新品ピカピカだから? 古びた良さがあるフィレンツェの雰囲気には何だかマッチしないような・・。 ![]() 元々宮殿だった建物を生かして改装修復とあって、造りはしっかりしているわ。天井や壁の絵はさすが見応えありよ。客室も元々の造りを利用して構築、個性が違うようにデザインしてあり、面積は全体的に小さめ。そこで私は、数あるテーマ別スイートの中でも、絵画やフレスコ画など芸術にポイントを置いた「ギャラリースイート」、しかも広めの105m2(2200€)の部屋をお願いする。残念ながら今の円高ではなく、円安時の予約だったので、随分お支払いしたけど、日本のホテルの105m2表示より明らかに広いわ。 新しいだけあってバスルームも綺麗で広いし、クローゼットもトイレも二つずつ。リビングや寝室共に薄大型テレビで、気になる空調など設備等は文句なし。アメニティは「ロレンツォ・ヴィッロレージ」プロデュースで良い香り。ちなみに夜食で頂いたルームサービスのマルゲリータは、チーズが少なくて少し残念な気分(笑) 数日を過ごすとなると、やはり設備は最新がいい。家具などの調度品は重厚なはずだけど、まだ新しいせいか何となく軽く感じちゃうかな。いいけどね、確かにハードはいい。 イタリアの、人や文化のフレンドリーな所が日本で人気な理由だと思うわ。でも、その雑?でアバウトな感じは、ホテルのホスピタリティ、サービス精神とは少しそぐわないかもしれない。まぁ細かい事は書かないけど、新しいホテルはどこの国でもやはり色々と不満が出やすい。いくらスタッフをヘッドハンティングしてきても、下々までは行き届くには時間がかかるわ。人材教育が1番大変ですものね。幸い、このホテルの総支配人は、とても礼儀正しく優しい紳士な方で、色々丁寧にお話しして下さったわ(とてもオシャレだし)。そうね、まだオープンして半年も経たないから!これからのフォーシーズンズ・フィレンツェに期待したい。歴史深いフィレンツェにじっくり馴染んでいってほしいわ |
歴史の香りがそのまま現代に流れ込んでいるフィレンツェの街。秋の涼しい風と色付く木々に見とれながら、細い道をくねくね車で向かう先は、「イタリアで最も美味しいレストランさ!」とフォーシーズンズホテルのドアマンまでご自慢の「エノテーカ・ピンキオーリ」のフィレンツェ本店。ウェイティングルームは、赤やピンクでまさに女性好みの「カワイイ」インテリア。キレのいいサービスの女性がフロアーに案内してくれる。イタリアでは珍しく良い意味での緊張感があり、さすが三ツ星という雰囲気を醸し出している。 ここ「エノテーカ・ピンキオーリ フィレンツェ」では、4万500本を越えるという垂涎のワインも楽しみの一つだ。本店まで来て普通に頼んでもおもしろくない。そこでグラス売りのワインコースの中からチョイスすることにした(なおグラス売りだが数杯ついでくれる)。 目にとまったコースは、Amiotのモンラッシェ1996年、ソライア1990年、ラスカーズ1990年、マルゴー1990年、そしてアンリ・ジャイエのヴォーヌロマネボーモン1990年にペトリュスの1990年という、そうそうたるラインナップだった。さすがに一瞬躊躇する値段(1人4500€)だったが、ここまでのワインをまとめて飲む機会はそうないだろうと意を決して注文。これが大正解だった。「モンラッシェ」は黄金色の輝きにとろけるような舌触り。重々しい味わいにシャルドネのミネラルの深い余韻が広がる。 本日のラインナップの中で唯一のイタリアワイン「アンティノリのソライア」(ANTINORI Solaia)。トスカーナ、特にボルゲリのカベルネは、樽の強いタンニンが強調されていて余り得意ではない。このソライアはサンジョベーゼとさすがのバランス。飲みやすいんだがふくよかで気品がある。今日のエノテカ・ピンキオーリの料理とのマリアージュだけを考えれば、むしろソライア1本で通した方が良かった位だった。 「ラスカーズ」の1990年。他のワインは全て私達のために開栓したボトルだったが、これだけは既に開けられたボトルだった。くぐもった動物の毛、枯葉、腐葉土の香りというムッとこもった熟成香。タンニンは綺麗にとけ込み酸とのバランスが抜群だ。サンジュリアンの素晴らしいワインの前半戦(20年目)の一つの到達点・・・という味わいだった。 「マルゴー」の1990年。これまでに飲んだマルゴーは、10年以内と若かったためまだまだ強いタンニンにあまり感銘を受けなかった。が18年を迎えたこのマルゴーはさきほどの「ラスカーズ」以上に抜群だった。薄いルビー色は見るからにエキスが凝縮された感じ。鼻を近づけるとフワーッと香水のような華やかな香りが立ちこめる。ワインにとけ込みシルクのようなタンニンは柔らかくフレッシュでとてもみずみずしい、しばらくすると杏のような香りが出てくるが、しかしそこで枯れず、さらに別の複雑な香りと味わいが次々と波のように展開していく。上品で綺麗な酸と、果実とタンニンが極上の味わいを表現してくれた。本日のコースで一番のワインだった。担当していた若く美男な主任ソムリエも「僕が一番好きなエレガントな味わいです」と誇らしげだった。 「アンリ・ジャイエ(Henri Jayer)のヴォーヌ・ロマネ・ボーモン(Vosne Romanee Beaumonts)」。アンリ・ジャイエはこれまで飲む機会に恵まれず、今回初めて味わった。「このビンテージのジェイエのボーモンは、私もまだテイスティングしていないんですよ」とソムリエもなんだが嬉しそうに開けている。 なるほど、ブドウの茎・植物の青臭さが全面に広がる。その独特の香りが、口に含んだ時に感じる優しい果実身とタンニンをコーティングしているような感じだ。自然派ワインの出発点を味わい、今の玉石混交ともいうべき自然派ワインの潮流を理解できた気がする。しかし妻はこの「アンリ・ジャイエ」は少々苦手だと言う。 そして最後に「ペトリュス」の1990年。最初にソムリエがチョイスしていたが、後になって上司から言われたのか、「まだ早いのでこちらでどうですか・・」と「ルパン1990年」への差し替えを提案してきた。 「もちろんルパンの1990も魅力的だが、やはりペトリュスの1990でお願いしたい」と伝えると、その若い主任ソムリエも「ですよね!」と、最初に自分がチョイスしたペトリュスのボトルをまた嬉しそうに開けていた。ワインを愛するソムリエの一挙手一投足というのは客にも楽しさを伝染させてくれる。 エノテカ・ピンキオーリの独特のキャップシールの開け方がおもしろい。真ん中をくり取り、クイッと180度ボトルの外に回して垂れかけ、くりとった真ん中部分にコルクを挟み込む。 口に含むと、ヨーロッパの雨上がりの腐葉土、木のイメージがこれでもかと果てる事のない余韻でもって広がる。妻曰く「大きな森を飲んでいるみたい!」 これが後10年20年経つとどう化けるのだろうか。そんな想像をするだけでウキウキする味わいだ。数十年後に「ペトリュス」のこのビンテージを開けて味わいの変化を感じてみよう、そんな楽しさを一つもらった。とにかくどのワインも保存状態が素晴らしかった。日本ではどうしてもダレてしまうのだが、生き生きとワインが息をしている、そんな感じだ。 チーフソムリエは「僕が選んだ完璧なリストです。満足頂けましたか」と笑顔も見せずに、最後まで自信満々キリリッと繰り返していた。 食事中、一歩引いた細やかなサービスが素晴らしいソムリエがもう一人付いてくれていた。「エノテーカ・ピンキオーリ」フィレンツェ本店と名古屋店を行き来している吉村順之介さんだ。もう7年もこのレストランにいる。食事後特別に、彼の案内で、まさかの巨大地下ワインセラーを見せて頂く事になった。 吉村ソムリエの案内で地下に足を踏み込むと、ひんやりとした冷気と湿気。そしてなんていい匂いのカビ。まさに「ああ、ワインが嬉しいだろうなぁ・・」という初体験の空気だ。 そしてまず目に飛び込んでくるのは、大量に積み上げられたペトリュス、なお吟醸ワインの木箱の山々!それが永遠に続くかのように奥まで見える。圧巻の景色。さらに進むと迷路のような道が次々と現れてくる。一つ一つのボトルにワイン名、年代を書いた札が丁寧に付けられているのはさすが。縮小したワインラベルを貼りつけたボトルもあり、とても綺麗で分かりやすい。数え切れない本数の、ワイン全てに分かりやすく目印を付ける、その途方もない努力に感嘆する。そして様々なストーリーを持ったワイン。例えば、ロマネコンティのNO,1。ロマネコンティが誕生した、最初の、その1本なのだ!世界に何本存在するか分からず非売品との事。当然だ。1800年代のムートンに絵柄が書かれる前のボトル、1920年代のペトリュスなどなど・・まさに博物館。 「エノテーカ・ピンキオーリ・フィレンツェ」の地下セラーは、ワインが幸せに生活し、ボトルが開けられるその日を待っている城、そんな雰囲気の素晴らしいセラーだった。 さて料理。10種類近くが出てくるデギュスタシオンメニューを注文した。そのプレートもカラフルで絵画のようにデザインされている。フランスとは違ったイタリアらしいビビットでポップな色彩。 楽しい趣向だったのは、スモーク塩やハワイ塩など7種類の珍しい塩と、本場のスペシャルな3種類のオリーブオイルの中から組み合わせてチョイスし、その場で温めたパンに乗せて頂く物。 リコッタチーズを包んだタリアテッレは見た目のも美しい一皿。濃厚なんだが、まぶされたモッツァレラチーズが優しさを、そしてケイパーが酸味を表現しており、バランスよく仕上がっている。赤ワインとのマリアージュが素晴らしい。デザートは、チョコのねずみがアイスの迷路を通って、チーズに辿り着くという可愛いプレート。アートにあふれたフィレンツェならではの楽しさだ。 東京のエノテカ・ピンキオーリは、どちらかというとインパクトの少ない控えめな味わいの印象だが、ここフィレンチェ本店は「素材の濃厚なインパクト」。味付け(塩・オリーブ)もこってりだが、素材自体の強さも特徴だ。フレンチではないが、単純なイタリアンでもない。イタリアワインよりフランスワインが好きだというオーナーの吟じが表現されている |