●旅に出よう

初めての海外旅行は20歳のときだった。
アメリカ、ワシントンDCへの2週間のホームステイ。わたしはそこで外国にかぶれた。
海外旅行について、人は2つのタイプがあると思う。
時間とお金に余裕がある限りいろんな国へ行きたいとおもうタイプと、 海外なんて遠いしめんどくさいよ、行ってはみたいけれど・・・というタイプ。
わたしは前者。旅好きの両親の影響で、子供の頃から国内旅行は色々行った。 お休みだからといって、特に出かけない、という友達の家の話を聞いて、 GWや夏休みは旅行に行くもの、と思っていたわたしは、結構衝撃を受けた。

そんなわたしも、20歳にして海外初体験。目から鱗状態だった。
外国ってこんなにも日本と違うものなのか!!
わたしだって、それまで映画や本やテレビなどで嫌というほど外国風景は見てきた。 でも、自分で見るものとは比較にならない。 異国の地で風を感じ、空気を感じ、水を感じ、言葉や国民性はもちろん、果物の味や家々の佇まい、 スーパーで売られているものの些細な違いに驚く。
そして、こういったことに一番敏感になれる年代というのは、きっと10代〜20代の間なのだと思う。 つまり、この間に一度でも海外に行ってしまうと、「また行きたい、何度でも行きたい」という気持ちが発生するのだ。

最初に挙げた2種類のタイプのうちの前者、海外なんて面倒だわ、という人たちもたくさんいる。 その子たちに共通するのは、まだ海外に行ったことがない、ということだ。
「旅行行こうよ」ということになって、「じゃあ4日あればアジアなら行けるね」と言うと、 「えぇ〜、国内で温泉とかは?」となってしまう。 彼女たちにとって、海外に行くことは、既に「めんどくさい」ことなのである。
国内が悪いわけではない。日本でも秘境と言われる場所は山ほどあるし、京都の街並みや九州の温泉街も素敵だ。
海外サイコー!と言えるほどいろんなところに行ったわけではないし、国内の良さを知り尽くしたうえで言っているわけでもない。 歳を取って、穏やかな気持ちで世界と向き合えるようになってからの旅も、きっと楽しいだろう。
だけど、物事に対していろんな感情を持っていられる時期に、自分が住む国以外の国に触れる。 ものすごい感動が襲ってくる。その年代にしか味わえない感動。その感動にやられて、人は何度も海を渡るのである。

5年前、パリのシャンゼリゼ通りに行ったとき、うわーキレイな通りだなぁ、なんて思った。
このあいだ行ったニューヨークで、5thアベニューに立って、御堂筋とあんまり変わんないなぁ、と思った。
シャンゼリゼも5thアベニューも、大都市の大通り、という意味では大差はない。 それでも、21歳のわたしの眼に、シャンゼリゼは「きらびやかな世界」だったのだけれど、 26歳のわたしが見る5thアベニューは、日本にもあるようなブランド街だった。
エンパイアステートからの夜景や、タイムズスクエアなんかは「ああアメリカだぁ・・・」と感動できたのに、 自分でもこんな気持ちになるとは思わなかった。憧れの5thアベニューだから、 きっともっと感動するだろうと思っていたのだ。
もちろん、御堂筋もずいぶんきれいになったのだが、多分、この5年の間に私の気持ちが変わったのだと思う。
仕事を持って働くようになり、ビジネス街に慣れた。海外も何度か行くうちに大都市にも慣れた。 物事に対して素直に感動する気持ちが、悲しいけれど薄くなってしまったのかもしれない。 色んなことを吸収するには、やっぱり若いうちのほうがいい。

日々の生活の中で、人間はどうしたって保守的になっていく。
昔はがむしゃらにできたことに対して躊躇するようになり、いつの間にか、がむしゃらだったことすら忘れてしまう。 旅に限らず、いろんなことに制限がでてくる。 その制限ができてしまう前に、まず世界との間にある壁を破ってみたらどうだろう。
初めて知る世界ってきっと無条件に楽しい。まぁそんなに深く考えなくても、環境を変える、ということは単純に楽しい。
自分に新しい空気を入れる、という意味でも、旅はおすすめである。旅に出よう!



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