またバレンタインがやってきた。 クリスマスに比べて、バレンタインってロマンチック度が高い気がする。 クリスマスは、プレゼント貰って、ケーキ食べて、っていうお楽しみがあって、 わくわくする気持ちが大きい。バレンタインは、それよりももっと甘い愛の日。 ラジオからはラブソングが流れて、まわりじゅう赤いハートが溢れてる、そんな感じ。
かといって私自身にはあまり愛の思い出はなく、何をしていたか
覚えていない年も多い。ちゃんと覚えているのは、こんな思い出。
あれは小学校5年生のとき。初恋の男の子がいた。わたしがその子を好きなことは
クラス中が知っていて、でも「違う違う!」と否定していた、そんな
かわいい小学校5年生。友達3人でチョコを手作りして、好きな人に渡すことになった。
確か休日だったので、一生懸命作って、それぞれの好きな子の家を回った。それなのに、
他の2人はがんばって手渡したのに、わたしはおじけずいてしまった。
「私のこと嫌いだったらどうしよう?明日また学校でみんなにわいわい言われるのいやだなぁ」
そう思ったら、どうしても渡す勇気が出なかった。
そこでわたしはそのチョコを、差出人を書かずに、彼の家のポストに入れたのだった。
宛名だけ書かれた、手作りのチョコレート。今思い出すと、何やってるんだか、という
感じだけれど、当時はそれが精一杯だった。
案の定、翌日学校で「おまえやろ?おまえやろ?」と言われたものの、ひたすら
「違います」と言い続け、結局そのチョコレートの差出人は不明のまま終わったのだった。
その彼のことは、中学が離れても好きだったけれど、結局思いを伝えることはなかった。
10数年後、運命的(とは本人が思っているだけで、単に小規模な同窓会で会っただけ)な
再会を果たし、やっと想いを通わせることができたのだけれど、短命なその恋は、
夏に始まり冬を越すことはなく、結局彼には、きちんとしたチョコをあげることはなかった。彼のことは、いまでもつきあっていたころのことより、
片思いしていたころの方を懐かしく思い出す。年月が思い出を美しく変えたのかもしれない。
「大好きな人に告白します、今、チョコレートを作っているところです」なんていう、 ラジオから聞こえてくるかわいらしいメッセージ。今年の私は、チョコを作ることもなく、 受け取ってもらえるかどうかわからないプレゼントに想いを込めることもなく、 ただそんなメッセージを聞きながら、がんばれ、なんて心の中で思ったりしている。 ここ数年「また義理チョコ買わなきゃ。いやだなぁ」なんて思ってもっぱら憂鬱な日だったけれど、 誰かに想いを伝える絶好のチャンス、そう思ったら、結構バレンタインもいいものかもしれない。 きっと今ごろ、どこかで温かい気持ちになっている2人がいるはずだから。
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