「あとさき考えず、相手の気持ちも考えず、ただ好きだって言える、そんな歳じゃなくなっちゃったんだよ・・・」
ドラマの主人公が口にした台詞。この主人公は30を過ぎていたけれど、わたしにも十分当てはまる。
もうずっと昔、まだ10代だったころ、世界は無敵だった。好きな人には当たって砕けろ的にぶつかっていた。
そりゃあもちろん、向こうから来てくれるに越したことはないけれど、残念ながらわたしはそんなにモテる子じゃなかった。
そして、たまに「○○くんがなおちゃんのこと結構いいって言ってるよ!」なんて聞いても、
自分が好きだ!って思える子じゃなければ「ふぅん。でもわたしはあんまりだな。」なんて答えていた。
これだ!っていう男の子じゃなければ、打算的に一緒にいるのはイヤだったし、それだったら友達と遊んでいるほうが
楽しかった。当たって砕けても、何日か泣いたらすぐ忘れられた。
もう少し大人になると、好きだなぁ、と思ってもさすがにすぐに告げたりはしなくなった。
そのかわり、色々駆け引きを試みた。「彼女はいるの?」「お休みの日なにしてるの?」から始まって、
「じゃあ今度遊びに行こうよ!」なんて誘ったりもしていた。
だけど、今ではそんなことはない。「気になっているんだけど・・・」と言われれば、自分に恋人がいない限り、
そしてその相手がよっぽど「合わないなぁ」って人じゃない限り、とりあえず付き合ってみる。
誰かが側にいないと不安だから。
そして、いいなぁ、と思える人がいても、決して自分から名乗りをあげることはない。
「今度ごはんでも連れて行ってくださいよ!」が最終ラインかもしれない。これで誘われなかったら、それで終わり。
向こうはわたしに気がなかった、縁がなかった、はいサヨウナラ・・・
こんな調子だから、最近は恋焦がれるような片思いなんてしたことがない。(もちろん、付き合っている相手の
気持ちがわからない、本当にわたしのこと好きなの?的な気持ちを持つことはあるけれど。)
片思いをするくらいなら、その気持ちをなかったことにしてしまう。
ずっと側にいるけれど、言い出せないまま時が流れる。言えない思いが胸を焦がし、辛い気持ちを隠しながら
平静を装って着かず離れずの位置をキープ・・・・
考えただけでくらくらする。
言いたいけれど言えない、そんな気持ちを抱えながらも、
相手の気持ちが見えないまま「好き」と伝えるにはもう歳を取りすぎている・・・・
だったら、相手の気持ちがわからないなら、別の人にすればいいじゃない、と考えるのは簡単。わたしならそうする。
でも、昔なら「好き」というその言葉、口に出来たのに。何も考えず、自分のことだけを考えて、
「あなたが好きです」と言えていたのに。なのにわたしは、言いたいけれど言えないというこの主人公のような
状況に陥ることすら、避けるようになってしまった。
歳を取るほど保身に走ってしまうのは、仕方のないことだけれど、純粋な気持ちを正直に口にするその勇気、
いつの間にか失くしてしまったその勇気を思って、少し悲しくなった。
この主人公は、結局胸のうちを告白し、ドラマはハッピィエンド。
こういう風にして始まる恋、もういちど経験してみたいな、と思わせる、とてもとても素敵な笑顔が印象に残った。
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