#過去という宝物

恋人ができると、まず聞くようにしている。「今までどんな人とどんな風につきあってきた?」
自分の知らない彼の過去。いまさら変えようのない、彼の過去。 でも聞かずにいられない。聞いたら聞いたで悶々と考えてしまうのもわかっていながら。
こういう人ってきっととっても多いと思う。

自分の過去なら、辛いどころか、幸せな気持ちで思い出せる。
わたしは、楽観主義というか、咽喉もと過ぎれば・・・ってタイプで、 辛く悲しい恋の終わりさえ乗り越えてしまえば、あとは楽しかった思い出ばかりがよみがえるタイプです。 なので、よくよく考えてみればそんなに楽しかったわけはないのに、「あの時つきあっていた、あの子との あの思い出は貴重だなぁ」なんて思い返しては、昔にタイムスリップしたりしている。

そんなわたしなのに、相手も同じように美しい思い出を持っていると思うと、やきもちを焼いてしまう。
頭ではわかっていても、例えばそれが女友達だったなら、そうだよね、忘れられないよね、と言えるのに、 自分の恋人にだけは嫉妬してしまう。
逆に、「昔なんて嫌な思い出ばかり」なんて言われてしまうと、 今度は、そんな風に思うまで苦しめられた女の子がいることにやきもちを焼く。
今まで生きてきた、彼のバックグラウンド。今までがあるから、今の彼がいる。 どうしてそう思えないんだろう?

答えは簡単。彼の今までのなかに自分がいないから、だから悔しいのだと思う。
もっと若いころ、例えば学生のとき、朝から晩まで遊びまわっていたあのころの記憶のなかに、わたしはいない。 何もかもを共有して、濃い密度で恋愛ができたあの時期に、一緒にいられなかったことが悔しい。 自分が一番だって、いつも安心させてほしい・・・
こんなことを思われても、相手は困るだけなのだけれど、いろんな妄想が頭から離れない。 もう破滅的にどうしようもない。
ぼんやりしていると、すぐにこういう状況におちいってしまう。

そういうときはこう考えるようにしている。
でも、これから知ることは全部一緒だから。 同じ景色を見て、同じ道を歩いていく。きっと相手もそう思っている。
気持ちを切り替えることは簡単ではないけれど、でもやっぱり、 後ろ向きに生きるより、前向きに生きるほうが全然楽しい。 だからせめて、昨日より今日が楽しくなるように毎日を過ごしたい。 そうしているうちに、お互いが過去という宝物を大事にしまって、同じ未来を生きていけるように なると思っている。



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