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自閉症児の休日

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自 転 車

Written by Yutaka on 18 February 1996


■ゴールデンウィークの課題

 自転車に乗れるようになったのは、1993年の5月の連休でした。北海道のゴールデンウィークは、まだまだ寒くて天気も不安定なので、行楽には不向きな季節です。毎年今年はどうしようかと悩むのですが、この年は「補助輪なしで自転車に乗れるようになる」というテーマを長男(当時小3)と次男(当時幼稚園年長)に課したのです。
 それまでは、補助輪を付けた自転車に3年間乗っていました。だいぶバランスがとれてきたかなと、思っていたのですが、補助輪を外したら、兄弟そろって全く前に進めない状態。いろいろ補助の仕方を工夫して、教えたのですが、どれも効を奏せず、進展なし。

■つり上げ法

 最後の手段が、子どもの着ているジャケットの背中の部分をむんずとつかんで、半分つり上げ状態で自転車に乗せて、とにかく前進させるという方法でした。
 当然親に相当の負担がかかりますし、兄弟2人分で一日に10キロメートルくらい走ることになりますから、運動量はかなりのものになります。しかし、この方法を3日続けたところ、徐々に自分でバランスをとることを覚え、手のひらを背中に当てているだけで、かなり上手に乗れるようになっておりました。こうなれば、こっちのもの。併走しながら知らん顔して背中からそっと手を離しても、子どもはそれに気がつかず、一人で走り続けたりするようになります。気がついたとたんにバランスをいっきに崩すのが面白い。

■自転車乗りに関しては重度自閉症児と普通児との間に差はない

 そんなことを繰り返しているうちに、4日目に兄弟はほとんど同時に自転車走行を完全マスターしたのでした。この進歩の過程で兄弟間には全く差異が認められませんでした。つまり、自転車走行をマスターする能力においては重度自閉症児と普通児との間に差がないということです。自転車乗りに関しては、言葉や模倣による指導は効果が薄いということは、みなさん体験から実感できると思います。言葉や模倣が有効でなく、実体験をフィードバックしながら技術をマスターするしかない場合には、重度自閉症児も普通児も同じように進歩すると、わたしは思うのですが、いかがでしょうか。

■はじめはペダルこぎができなかったテピ

 自転車に乗る以前の問題として、ペダルをこぐことができない場合もあると思います。私の長男がそうでした。補助輪つきの自転車に乗せたのはいいのですが、ペダルをこぐと前進するということが全く理解できない様子でした。普通児の次男は当たり前のようにして最初からこいでましたから、このへんが自閉症児らしいところかなと思います。
 結局ペダルこぎは、自転車とは関係ない、湖上で覚えました。白鳥の形をした二人乗り用のペダルこぎボートに乗りたいと騒ぐので一緒に乗ってみたら、私のこぐのに合わせて自分でもペダルをこぐようになったのです。次の日自転車に乗せてみたら、見事にペダルをこいで前進できるようになっておりました。なんだかもうけたような気になりました。

■ブレーキ操作を覚えるまで1年以上かかったテピ

   もうひとつ、ブレーキのかけ方を覚えさせるのには苦労しました。補助輪なしで乗れるようになっても、ブレーキレバーを握ると止まるということが理解できず、足ブレーキでスピードをコントロールしていました。こういう子どもはワイヤーを介したブレーキ操作のような遠隔操作が苦手なのでしょう。ペダルこぎにしても、歯車とチェーンを介した遠隔操作ですし。パソコンのマウス操作も同様です。最終的には時間をかけて理解させましたが、ペダルこぎにしてもブレーキにしても壁を乗り越えるのはスキーより大変だったような気がします。



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