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自閉症児の休日

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インコのミント

Written by Yutaka 10 May 1997


 我が家に小鳥のヒナがやってきたのは3月の末のことだった。ペットを欲しがるヨピが転勤族の我が家の事情を考えて選んだのが、セキセイインコだった。まだ羽毛も生え揃っていないインコにヨピはミントと名付けて母鳥に代わって懸命に世話をした。

餌を食べるミント

 やがてミントは止まり木にとまることができるようになり、賑やかにさえずり始めた。私たちはミントの様々に変化する声を楽しんだが、テピには苦痛だったらしく、ミントが鳴く度に不快の声を出した。

 ヒナのうちから育てた甲斐もあって、ミントは手乗りになった。羽ばたいて飛べるようになると、人から人へと渡って肩や頭に止まって遊ぶようになった。時にはテピに飛び移ることもあり、ミントを恐れるテピはこれを嫌がって「この変なものを取り去ってくれ」と言わんばかりに私たちに助けを求める。このとき、テピが手で払いのけたりはしないので、ミントはテピを恐れない。

ヨピの肩に乗るミント

 ミントは本当に人に良くなついた。ミントはまるで自分が人間であるかのように振る舞う。私たちが食事やおやつの時間に食卓に集まると、決まって自分もテーブルにつきたいとカゴから出たがる。出せば私たちが食べているものを欲しがるので、食事が終わるまではおあずけだ。

 小鳥がこれほど人になつくものだとは私は知らなかった。もう家族の一員である。実を言うと私はテピが自閉症だと分かってからというもの、ペットに夢中になる人をお気楽な人生を歩んでいる人達だと、ちょっとひねくれて見ていた。でもミントのおかげでそんな歪んだ気持ちは吹き飛んでしまった。

 ミントが我が家に来てから1ヶ月が経った頃には、テピもミントの鳴き声にすっかり慣れ、少しの時間ならミントが肩や頭に止まっても平気になっていた。時々ミントのことを「チコちゃん」と呼ぶ。これは盛岡の親戚の家で飼っている、テピが良く知っている子犬の名前だ。きっとテピはミントをペットとして認めたのだろう。

テピの頭の上のミント

 ゴールデンウィークがやってきた。私たちは遠出をすることもなく、家でのんびりと休日を楽しむことにした。かたわらにはいつもミントがいる。連休初日の夜のことだった。夕食を終えた時、私たちはミントがこの日に限ってカゴから出たいと騒がなかったことに気がついた。

 異変に気がついたとき、ミントはすでに冷たくなりかけていた。

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 ミントは今、白樺の木の下で眠っている。



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