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 ハロウィン

 Written by Eriko on January 19, 1997


■イベントカラー

 アメリカでの数々の行事のうち、最も面白いと思ったもののひとつがハロウィンだ。この手の国民的行事がある時は、その1、2ヶ月前からあらゆる商店はそのお祭りのカラーに染まる。

 サンクスギビングは茶色をベースにした実りの色、クリスマスは赤や緑に加え金銀などきらびやかな色、バレンタインデーは赤と白、セントパトリックデーは緑、イースターはパステルカラー、独立記念日は星条旗の3色、そしてハロウィンはオレンジと黒。

 オレンジはかぼちゃ、黒は魔女や黒猫などを代表する闇の色なのだろう。店に並べられたお菓子からコスチュームまでのハロウィングッズの中には、おどろおどろしく趣味のいいとはいえないものもたくさんある。家々は窓辺にお化けや骸骨を飾ったり、玄関先に作り物のクモの巣を張ったり、かかしを置いたりと競いあうように工夫した飾り付けを始める。最もポピュラーなのがジャコウランタン。かぼちゃをくり貫いて作った提灯である。

■パンプキンパッチ

 我が家でも大中小の3個のかぼちゃを用意した。大きいかぼちゃをヨピが選んで彫り、パンプキン・パッチという学校で行われたコンテストに持って行ったら、「最も大きくて恐いで賞」という賞をもらえた。素晴らしい賞をもらったのは良かったが、大きいかぼちゃだったので運搬を請け負った親のほうは大変だった。

 ランタンにろうそくを灯すと幻想的でなかなかいいムード。私は故郷の灯篭流しを思い出してしまった。

■コスチュームパレード

 学校ではクラス毎のハロウィンパーティーと全校でのコスチュームパレードが行われた。ヨピは自ら希望したかぼちゃに扮した。かぼちゃの顔を描いたオレンジ色の提灯型の衣装を着用。

 よく猫の鳴き真似をするテピは猫がぴったりと思い、黒猫にすることにした。テピの猫コスチュームの正体は、耳を縫いつけた私のベロアの黒帽子、尻尾を縫いつけた私の黒のタートルネックセーター、私の黒コールテンズボン、私のフェイクファー付き黒手袋、それに黒のフェイスペインティングカラーで猫の鼻と髭を書いて出来上がり。

 パレードを見に行くと、アシスタントのリサが「エリコ、テッペイのコスチュームすごくいいわー。」と話しかけてきた。ポカンとしている黒猫のテピを見て、思わずアハハハ・・と笑わずにはいられなかった私に、リサはまた「ほんと、いいアイディアだわ。」と言いながら釣られるように一緒に笑っていた。

 校長先生を初めそれぞれ好みの仮装をした先生達も、自分の役になりきり得意げに行進していたユニークなパレード。その中にテピもニコニコと嬉しそうに加っていた。

■ハロウィンの夜

 「ユニバーシティーハウスとイーグルハイツは子供が多いから、お菓子をたくさん用意しておかないと大変よ。」と友人が忠告してくれた。トリック・オア・トリート(子供達が家々を訪ねてお菓子を貰う)のためである。

 辺りが薄暗くなる頃から、かわいいモンスター達が訪れ始めた。ドアをノックして「トリック・オア・トリート!」と言ってはお菓子をねだる。それぞれ持っている大きな袋やバケツにお菓子をひとつかみづつ入れてあげると嬉しそうに帰っていく。  訪れる子供達の姿を見ているだけでも楽しかった。時々付き添いのお父さんがすごい扮装をしていてさらに私を楽しませてくれた。

■我が家のモンスター達

 さて、我が家の子供達はというと、やはり扮装した(というより私が半強制的にさせたことになるのかな)裕に付き添ってもらって近所を回ってきたのである。   裕は太った骸骨になった。ハロウィン直前に安売りしていた骸骨のコスチュームは、厚着した服の上から着ると太った骸骨になってしまう。

 フェイスペインティングはPTO行事カーニバルの時、ペイントする係りをボランティアで引き受けて依頼味をしめていた私だった。友人は一番やりたくない種類の仕事だ、と言っていたが、私は一番面白そうと思って引き受けた。やはり面白かった私は、今回は裕の顔を骸骨にすることに決めていた。

「一回きりのことだから、楽しんじゃいましょう!」と裕を励まし塗りたくる。  笑いが止まらないくらいグロテスクな顔ができあがった。

 子供達を連れてお菓子をもらいに出かけた裕。テピは何を思ったのかキャーキャーはしゃぎながら付いて行く。

■泣いた黒猫のテピ

 訪れる他の子供達のために家に残った私は、10分後にテピの泣き声に気付きドアを開けることになった。テピは訪ねた家のドアが開けられると、中に入りたがる衝動に駆られる癖がある。今回も例外ではなく、訪ねた家々、中に入りたがる事の繰り返しで、なかなか納得してくれず最後には泣いてしまったのだそうだ。テピを家に残し、また出かけていったふたりである。

■闇に吠える

 帰ってきたヨピはお菓子をたくさんもらえたと喜んでいた。
 裕は訪ねた家々の人達が、裕の顔を見ては恐怖におののくような表情をするのに、段々耐えられなくなってきたそうで元気をなくしていた。

 しかし、その直後にうちにやってきたゴリラに扮装した付き添いのお父さんと
「あなたも!?」
と突然意気投合し、お互い嬉しそうに肩を組んで写真までとったのだった。この時のカメラに向かってポーズをとりながら吠えていた2人の声までは記録できなかったのが残念。

 テピは黒猫のコスチュームが気に入ったようで、その後しばらく脱ごうとはしなかった。
 エキサイティングなハロウィンの夜は、お菓子の山を残してふけていった。



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