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  親の活躍(普通学級)

  Written by Eriko on April 5, 1997


■ヨピの新しいクラス

 普通学級での私の手伝いは、特殊学級においてのそれよりも多かったような気がする。

 3年生になったヨピの新しい担任のペイトン先生(昨年度インターナショナルウィークには日本をテーマに選んだ)との個別懇談は夏休み中に行われた。私達の帰国が近づいていることが先ず話題になり、彼女は「あなたにはまた色々教えてもらおうと思っていたのに......。」と儀礼上でも残念がってくれる。

 後になって、彼女は親をボランティアとして上手に使うテクニックの持ち主であることがわかるのだった。

■多様なボランティア

 私にとって学校の年度の始まりを体験するのは、これが初めてだ。学校(ヨピのクラス)から届いた多くの書類の中で特に目に留まったのは、担任の先生から親に対するボランティア活動の依頼だった。ボランティアの内容を記した細かい項目があって、自分にできる箇所にチェックして提出するものだ。雑用から、遠足等の付き添い、特技の披露、自分の専門分野を教授することなど多伎にわたっている。そういえば昨年度の学校からのニュースレターに、整形外科医が本物の骸骨を持参して子供達に講義をしたことが書かれていたことを思い出した。また今年度になってからヨピのクラスのお便りの中に、自国の昔話を披露しに来た母親、「祖父母の日」に老人病について講義をしに来た老人病専門医の父親、衣装や道具を持参して南北戦争の話しをしにやってきた、南北戦争の演劇俳優を趣味としている父親、定期的に先生の雑用を手伝いにやってくる母親達のことが紹介されていた。

■日本の先生方、御苦労様

 私も簡単なお手伝いに行くことがあるが、それを知っているテピのアシスタントの一人がこう言っていた。 「先生達は一度に20人余りの子供を見なければならなくて大変なの。だからあなたのようにお手伝いに来てくれる人がいると本当に助かるのよ。」  これを聞いて、もっと大人数の子供をかかえ全教科を一人でこなす日本人の先生達のことが思われた。常に質素で活動的な姿で忙しく働く日本の先生達ご苦労様、と言いたくなった。

■先生のゆとり

 行動面などで気にかかる部分のある子供の観察・対処はスクールソーシャルワーカーの力を借り、一緒に対策を練ることができる。また、体育、美術、音楽、コンピューターの授業などは専門の先生に任せた上、親に何かと手伝ってもらうのが当たり前のここの先生達はそのゆとりのせいか楽しみながら仕事をしているように感じることがある。真っ赤なマニキュアと長い爪、大きな指輪を数個という華やかな手をしていても十分仕事はこなせる環境。先生のゆとりが子供達の心のゆとりとして伝わるのかもしれない。そして親が関わることで新鮮な空気、新たな好奇心が子供達はもちろん先生も涌きおこるようだ。  親達の仕事はあくまでボランティアであり、先生達は上手に親の心をその気にさせ色々な仕事を与える。また親達もとても協力的で、仕事をもっていても積極的にボランティアを引き受けている。ある母親は「子供の様子を見たくてボランティアを引き受けているのよ。」と言っていた。そういえば授業参観という行事はなかった。

■担任の先生を指名?

 ここでは地域、親、学校が対等で柔軟な関係にあるようだ。  お子さん3人がこの学校を卒業された知り合いの日本人が、過去にお子さんの担任の先生を自ら選択・指名してそれが叶えられたことを語っていた。  そんなことまでできるなんて信じられなかった私は、PTOで活躍している知人に確かめてみた。確かに数年前まではそういうこともできたのだそうだ。でもそれには問題があり、先生を指名できることを知っている古くからここに住む(白人が多い)親達の子供だけが人気のある先生のクラスに固まり、白人だけのクラスができてしまうという問題がでてきたのだそうだ。

■暗に示唆は可能

 直接先生を指名することは今はできなくなったが、子供の学習環境をよりよくするために毎年、年度末に送られてくる次年度のクラスに対するアンケートに、遠回しに希望の先生をほのめかすことはできるのだそうだ。  例えば、「うちの子はサイエンスが大好きなので、その興味を深められる学習環境を強く希望します。」と書けばサイエンスに力を入れているA先生の クラスを希望しているんだなと分かる、また「うちの子は叱られると萎縮して自分の力を出せなくなるので、むしろ誉められながらのびのびと学習できる環境に置きたい。」と書くと、よく怒鳴るB先生を敬遠しているのだなと分かり、その希望が叶えられることが多いのだそうだ。こういったことの書くために得た情報量は日頃のボランティア活動の収穫なのかもしれない。

■親以外のボランティア 

 学校に関わるものだけでも、いろんな形のボランティア活動がある。 上に述べたものの他、地域の人達がスポーツ指導やクラブ活動の手伝いに来たり、ソーシャルワーカーの卵がボランティアで10歳以上の子供のレクリエーションを企画したりと地域の人的資源は十分に活用される。  

■PTO活動

 小学校PTO(日本のPTA活動は米国のものを真似て発足したのだそうだ)の活動もボランティアの中にはいるのだろう。PTOの会合や行事は夜か土曜日に行われることがほとんどで、ざっと見回してお父さんとお母さんはほぼ同数のようだ。  学校の中でPTOは強い権力をもっていることを思わせる話を聞いた。 その学校の校長先生を選出する際、教育行政より数人の校長候補が送られてきて、親達による面接試験があるという。親達は面接の結果その中から2人を選ぶことができ、その2人のうちどちらを選出するかといった最終決定は教育委員長が行うのだそうだ。  また新しく教員を採用する時も校長先生だけではなく親達も面接試験に立ち会い、評価をする権利が与えられているらしい。

■寄付は常識 

 ボランティアという意識がキリスト教的思想をベースにしているとして、同じベースをもつ寄付活動も学校の中でも気軽に行われる。PTOの大きな行事には参加するにあたって献金が付き物であるし、学校の備品もニュースレターで寄付を求める。その他PTOの予算が不足すると、父兄に寄付を求めることもあるようだ。学校で行われるパーティーなど食べ物が付く行事の際のお菓子や料理はほとんど親からの寄付で、私も3度ほど手料理を運んだ。  日本のようにPTO会費というものがない。しかし、お金集めには工夫を凝らして毎年15000ドルもの収益をあげている事実も権力に結びつくのだろうか。  親達の積極性と発言権はどちらが先かは分からないけれど、相関関係にあるようにも思える。   児童の約半数が外国人だという条件下にありながら市内でもトップの学力を持ち、誰もが口を揃えて素晴らしいと絶賛するショウウッドヒルズ小学校。それを支えているのは、教育熱心な親達の力であると、親達自身が自負して語っている。



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