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シカゴ・ジャズフェスティバル
Written by
Yutaka
on 16 February 1997
ジャズは私達夫婦の共通の趣味だ。だから、あこがれのシカゴジャズフェスティバルが始まったときにはこれを逃す手はないとばかりに、夏の終わりの金曜日の夜にシカゴまで車を走らせた。
シカゴジャズフェスティバルは、毎年シカゴで開催されている歴史のあるイベントである。年々規模が縮小され、大物の出演も少なくなったとはいえ、これを楽しみにしているシカゴ市民は今でも多いと聞く。
シカゴ美術館の裏にあるグランドパークがその会場になっている。芝生席は無料で、たくさんの人々が座ったり寝ころんだりしてジャズを楽しんでいた。よく見ると、ろうそくを灯しワイングラスを傾けながら優雅にジャズを聴いている人達が沢山いる。芝生の上の敷物は大きくて厚い毛布が一般的で、米国人の典型的なピクニックスタイルをジャズフェスティバル会場に持ち込んだという感じだ。
私達もこれに影響されて、最近ではビニールシートの代わりに毛布を持ち歩くようになった。アメリカの大きな洗濯機や乾燥機なら毛布の洗濯も苦にならない。ただワインなど用意するところまでは気が回らなかったことを後悔しつつ、4人身を寄せあって毛布の上に足を伸ばした。
ニューヨークの摩天楼よりも美しいシカゴの高層建築の夜景に囲まれて聴く本場のジャズは、いいようのないほどの味わいがあった。夜空に向かって女性ボーカルがシャウトし、ビッグバンドがスウィングする。
ビッグバンドの演奏が佳境に達したときのことである。それまで大人しく座っていた哲平が突然騒ぎだした。甲高いトランペットの音を嫌がっているのだ。以前から哲平はトランペット恐怖症だったのだが、私はそれをすっかり忘れていた。
しかし、哲平が多少大きな声を出したところで、それを気にする人はいない。立って躍る人、ひっきりなしにおしゃべりする人、ひたすら抱き合うカップル、持参した縦笛をでたらめに吹き鳴らしてステージのミュージシャンと競演しているつもりになっている迷惑な若者などが周りにたくさんいるから、哲平の声は目立たないのだ。
幸い哲平の気分が最悪になる前に演奏グループが交代して、哲平の騒ぎは収まった。次は大物ミルトジャクソンの登場である。哲平は木琴の音も大嫌いなのだが、ミルトジャクソンの奏でるビブラフォンは、むしろ彼の琴線に触れるようで、哲平はうっとりしてそれを聞いていた。
ミルトジャクソンのグループを最後に、その日のフェスティバルは終了した。終了と同時にミシガン湖上で始まった打ち上げ花火に時が経つのを忘れて見入った後、私達は満足感を胸にグランドパークを後にした。
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