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外に出ると、裸の木々に静かに雪が舞い降り、色彩のない季節の訪れを感じさせる。その景色が、引っ越しの忙しさと煩わしさ故に別れの感傷に浸るゆとりもなかった私の心を揺り起こす。
「この一年は短かったね。」と皆に言われるけれど、私はとても長く感じた。海を隔てた引っ越しの大変さ。そそっかしい私はたくさんの失敗を重ねる度に、あるいは新しいことに出会う度に、英語能力の不十分さから余計なエネルギーを費やし、時には深い疲労感を覚えさえした。
しかし、それ以上に恵まれた出会いや数々の感動を伴う経験は、マディソンでの生活を私達家族の歴史の輝かしい一年間として位置付けることだろう。もう二度と見ることはないであろうマディソンの初冬の風景を見ていると、この1年間がまるで夢でも見ていたかのように思えてくる。
ちょうど一年前、マディソン空港に降り立った私達を迎えにきてくれたデイビー教授。まるであの時のビデオテープを逆回しするように、あの時と同じ赤いジャケットを着た彼が同じように彼のトラックに私達の荷物を積んで、空港へと続く道を走る。彼には経済的な買い物術を教えてもらった私だった。彼を含めたユニークなたくさんの友人達。彼らにはもう2度と会えないだろうと思うと今になって初めて寂しさがこみあげてくる。1年前、私は同じこの座席に座り、新しい生活とテピの療育に対する不安でいっぱいだった。そして今は後ろ髪を引かれるようにこの街に別れを告げようとしている。
飛行機に乗るのが楽しみではしゃいでいるテピ以外、それぞれの1年間を思っていたのだろう。マディソンを発つ時、私達は言葉が少なくなっていた。
飛行機は飛び立った。大きな湖に挟まれたマディソンの街がどんどん小さくなる。延々と続く校外の牧草地が眼下に広がり、最後にしっかり見届けたかったマディソンの街は涙にゆがんだまま、一瞬のうちに消えてしまっていた。
「ありがとう、マディソン!」
遠ざかり、消えていく風景に、私はそう呼びかけずにはいられなかった。
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