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(再掲載)
何と言われようが親父は親父 ふんっ
世の中どうなろうが親父は今日も鶴ハシを振るう土をふるう ふんっ
親父は晴れの日にゃ毎日 日の丸弁当で仕事へ出向く ふんっ
ラジオTVが新聞が期待の無い担保の無い何かを言っている ふんっ
小言 言った日にゃカカアが終日 何かをブツブツ返して来る ふんっ
役所から落下傘の親方ぁたまの現場で何わめく おとなしくしな ふんっ
沈む浮世 産業の空洞化 親父の仕事表も空きっぱら ふんっ
グータラと思われようが雨の日は複雑な気持で骨休み ボキボキッ ふんっ
汗水が報われるだと何 甘っちょろい事を・・それでも真人間は正直に生きる
一日一杯の酒が人生の哲学ってか大げさな ふんっ
退屈な人生だと勝手な目で見るんじゃねぇ ふんっ
何も無い人生だと何も無い顔しているだけだ悪いか ふんっ
ふんっ それがどうした皆んな親父カカアになってが長いぞ
自分一人で育ったのか ちゃまちゃま若造アッと言う間の人生だ 大切にな
もっとも百歳から見れば親父も若造か ふんっ
一句:水玉の ますらおタオル 一文字
一首:高いもん 勝ち負けつける それ幾ら まけて嬉しい 花いちもんめ
後書:犯罪は六法で裁けるが必要外の風圧やトリック 世の中の不道徳
システムは犯罪を作る元凶 本音と建前の大差が乱れの素・・犯罪を減らす
は道徳である事 誰でも分かる・・うそぶく安易な人間が紛れ込む昨今 景気
上昇の政策立案可能な誰も気力が出ず ふんっ 親父達はゴチャゴチャ
複雑に あおられるほど馬鹿では無い 時代遅れの何でも思想と付合うほど
ゆとりも無い 現代法律が総ての顔する人がいる 道徳を古い価値観と言い
くるめる人がいる 後から しゃしゃり出て来て言いたい放題の人達に
ふんっと鼻であしらうしかないと怒りを抑え無気力になる普通の人達に
問題が有るのか 安直な大声で不愉快を作る者達と
思わせ振りは常識的善良に通じぬ事が分らぬ者達と同類とも言う
職業では無く働く人達一人一人のモラルの違い
人それぞれ気にするほど暇では無い
勝ち組を求め続ける詭弁に負けてはならぬ道徳・・仁道とも言う('02/2記)
○O 。 踊る観光 。O○
@車の流れが止り始めた道路
サイドカーの女房がハシャギだしたので観光地に近いと思った駐車スペースに停めて
老齢のジャンプスーツ姿の2人は胸元を広げ身体の火照りに空気を入れ少し距離を歩き
目当ての敷地に足を踏み入れると建物の陰に聳(そび)える一本の老大木が眼に止った…・
A陰の薄い男女が木陰に立っている
何処から持って来たのか釘で樹木に落書きをしようとする若いカップルに
老夫婦は「お止しなさいよ 木が泣いているよ・…ほらっ聞こえるだろう…・」と
木に耳を当てる・・・・「こんな所で注意されたら嫌な気がするだろうね しかし木は もっと痛がっているよ」
「・…」「ここの木は建築物用に切るために存在しているのではないのよ」老婦人が優しく話した
「ここで歴史を見つづけるためか」「…観光客に見られる為かも」などと老夫婦で幾つかの話をつなぐ
若いカップルは恥ずかしそうに黙って話を聞いていた・…
B4人は園の外に出て小奇麗な喫茶店に入る
「へぇ〜この写真の あそこだ・…凄い昔と同じだ」と腰を下し乍 誰へともなく話す若い夫
「…150年前の写真かぁ・…あの建物も庭も…木も同じよ」あいづちを打つ若い女房
黙って笑顔で返事する老夫婦と他愛も無い無邪気に話に花を咲かせ続けていた時に
「大変でしょうサイドカーの旅なんて・…」若夫婦のどちらかが外を見ながら独り言のような質問をした
「いえいえ以外とエコ的なんだ 運転は自然と集中力を切らさないし服装にも気を抜けないし
老人の大敵 呆け防止になるし大疾病(だいしっぺい)の脳卒中や糖尿病対策なんかも女房と旅行すれば
自ずと注意していてくれるし排気量250tなら車検なしの高速道は二輪車料金走行で駐車料金は高い所で
二輪車2台分かサイドカーは自動二輪車だからと殆どの所では無料かバイクと同じ料金なんだ・・アクセル
グリップを握り乍 走ると言う事は握力が無くなった或種の老人には自動的安全策になっている」
「ふ〜んっ良い事だらけですねぇ」
「でもフェリーは狭い船で場所を取るからと普通自動車料金になるのよ船会社の集客努力は知れてるわね
それに冬は凄くっ寒いし雨が降ったら濡れればいいさなんて事はなくて危険で…屋根を探すのは大変よ」
「しかしね…雨宿りの御蔭で何か小さい嬉しい事と出会える時もある…でも気象への対処は予防の内で
…それが天気予報の確認は病気予防に繋がっているし…で観光旅行の一番の効用は…思い出の地に立つと
目前の自然も町並みも一つ一つの建物も樹木も何10年も前と同じなんだ・…人には何も変わらない
観光地が心の平安を感じさせてくれるのさ長寿の為の観光療法とでも言おうか(だから欠片一つも
持ち帰っては駄目 ゴミ一つ残しても駄目 一つの傷を付けても駄目なのさ・…)ねっ」
「はいっ観光もエネルギー源と分かりました(済みませんでした先程の浅墓は とても反省しています)」
C喫茶店の外
「現地を自らの足で観るのは心に光りさす如くですね」
「そぅ…それに もし2度と同じ場所に行けなくてもテレビで再度観て懐かしく感動したり
変わらずに在るのだろうと想像するのは楽しい事ですよね あなたっ」
「御意…女房殿の言われる通りです・…宿に着いたらお調子1本を所望で御座る」
「・…調子の良い奴め・…同席の新婚さんに免じて今夜は特別に許そう・…」
「へへ〜っ」
「(このように場合に応じて かかあ殿下の家庭が宜しいのよ)」と笑い目線を夫に送る若女房
「(へいへいっ承知ですよ奥様…)・……・御一緒出来て楽しかったです」目線を女房から老夫婦に移す若い夫
「・…旅は感動的で2度と会えない惜別感・…これが一期一会の心です」老夫婦の どちらかが呟いた
「はいっ 代りに情景と思い出は持って帰ります 勉強になりました」若い夫婦が同時に笑って答えた
「ごきげんよう さようなら」と老夫婦の少し大きな声での挨拶
「済みませんでした有り難う御座いました」と礼で別れの挨拶をする若夫婦
「カシャッ」
1.緑の そよ風 いい日だね
蝶蝶も ひらひら 豆の花
七色畑に 妹の
つまみ菜つむ手が 可愛いな
2.緑の そよ風 いい日だね
ぶらんこ ゆりましょ 歌いましょ
巣箱の丸窓 ねんね鳥
ときどき おつむが のぞいてる
3.緑の そよ風 いい日だね
ボールが ぽんぽん ストライク
打たせりゃ二塁の すべり込み
セーフだ おでこの 汗をふく
4.緑の そよ風 いい日だね
小川の鮒つり うきが浮く
静かな さざなみ はねあげて
きらきら金ぶな 嬉しいな
5.緑の そよ風 いい日だね
遊びに行こうよ 丘越えて
あの子の家の 花ばたけ
もうじき苺も 摘めるとさ
実態のある自然な開放を歌った 清水かつら詞 草川信曲「緑のそよ風」より
後書:それでも観光地には安くて感動的と残念だが高くて安っぽいがある ('08/10記'09/05中旬掲載)
余談:時間の掛かる海を旅すると陸や空とは違った情景に出くわす
船旅も当然に各国が締約した万国海洋法によって一定のルール上を航海しているが
日常の船文化は其れよりも もっと奥深いルールである不文律の水夫の法による場合がある
例えば船客同士で如何してもと結婚を望んだ場合に水夫の代表である船長は神父や其々の師や
時には神主ともなり祭祀を司り結婚証明書を書く時には船内の事件事故や捕獲した海賊の裁判を執り行う
が海戦法優先の戦時ではなく平時では船上でか若(も)しくは本国で必ず悪党の裁判はしなければ成らない
又は次の立寄り港で取締官へ引渡すとの総執行も本国のアドバイスにより船長の判断である
もし自分の船から誰か落ちれば例え死刑囚でも一旦引き揚げるは水夫は日常的に危険な機会に居るから
船上で船客や難民の子供が産まれれば旅券の代用となる仮出生証明書を書き時には名付親となる
義務として海事の正規記録証明でもある航海日誌に其れ等を嘘偽り無く記すは水夫の法による
が増える女性船客の喜ばしさの一方で女水夫の増加に反比例して水夫の法は段々と薄らぎ行く…
追記:敵性国船を助ける不文律の法を守る某国海軍の報に核家族的逆光が仁光で法が埒を開かせよと願う
…因みに別国の知的財産権を乗っ取り続け変異型の海賊盤を立法化するを不分立の黄砂化と言う
殆ど時間が かぶる頃 更に別の某国では給付金と千円高速渋滞で地球温暖化促進環境の反比例
〜「誰だ歩いた方が早いなんて真っ当な事を言う奴は給付金を貰えないぞ」「金より仕事が欲しい」
「…普通の仕事 ずるい仕事 仕事自体が無い ぱくられる仕事・…社会も重体か」(ここも笑う処では無い)
電気自動車普及前の旅は♪鈍行(普通)列車が少ないなら排気ガスが少ないサイドカーで如何と自問すると
昔 流行ったフレーズ・ミックス♪ディスカバー日本そんなに急いで何とする〜我等が守るべき正解はある?
一首:路探す 五分の魂 サイクリング(下の句は各位御随意に)
〜〜〜〜 路地裏の魔女36駿風 〜〜〜〜
@近所の家のラジオからなのか軽快な音楽が流れている・…
「〜 ♪ Umagahashitteku ! Umagahashitteku !! Dekkai Hanano〜 ♪」
長崎港を一望する丘の淵に腰掛ける青年へ草道を駆け登り乍 声を掛ける友人
「お〜い中之村の次男坊〜」
「お〜近くの住人 三男坊かぁようココが分かったな」
「帰りに お前んちに寄ったら小母さんがココやろって言いなさっとったけん」
「まっズズズィーと そこいらにく つろいでくれ良か風ばい」
「久しぶりにギターでフォークでもどうかなとっ・…何にゃそりゃ爺臭かな〜」
「あ〜っ 是か 掛け軸の虫干しさ風をあてとっとさ」
「…下手な絵やな…もしかして馬か…豚のごたる肥っとるばいね」
「確かに絵は上手うなかね」
「こん横に小さく書いてある名前は作者か〜中…将…堀内中将?」
「たぶん知らんやろ…」
「…知らんなぁ古臭か遺物かぁ そいに愛山て…馬の名かぁ??」
Aそこから時代が遡(さかのぼ)ること七十数年・…
旅順校外水師営会見場の庭先に広がる空を眺めている数人
「大将閣下っ跡取の御子息を亡くされた事を御見舞い申し上げたい」
「…ありがとう…だが私の事です…将軍…あなたの陛下の兵も
私の陛下の兵も多く御魂に成りました私の子供達も其の中の二人に過ぎません
…私は西南の役では連隊旗を奪われての屈辱の勝ち戦でした
…台湾総督の時は飢饉水害から多くの民を救えずの失態続きで
この度は・…双方甚大な戦死での旅順要塞開城ですから」
「…せめて私の愛馬を頂いて欲しい」
「・…では気持だけ頂こう」
「それでは帯剣を許された敗軍の将の私の気持が済まない…」
「困った…」
「じつを言いますと この馬は対馬馬とスタンダードブレッドの交配種で
山岳馬としての速歩と重量積には無類のチカラを発揮する長崎系で
彼のプチャーチン提督の愛馬の血統でコンドラチェンコ将軍と私
だけに二頭のみ頂き乗馬していたものです…だから一頭だけに成りました」
「(やはりプチャーチン提督の影が参戦していたのか敵乍天晴れな
粘りと潔(いさぎよ)さの気配は…是だったのかも知れぬ…)」
B数日後・…露営を巡回中の将軍達
「副官っ…堀内さんへ私事で済まないが夕食を御一緒したいと
頼んどいて呉れまいか…うんっ…宜しく…」
後刻 時折ジッジッと鯨油の燃える芯が小さく音を発しているランプの下
「閣下っそれは名馬ですぞ素晴らしい」
「堀内さんも そう思いなさるか…」
「頂くのが礼儀に叶っておりますが…」
「分かりました頂きましょう…だが私は現在の雷号とは人馬一体ですので…」
「・……・」
「…ですから私は…私は隻眼なのです…気付きませんでしたか…
片目の不自由な私が今まで左方向からの攻撃にも対処できたのは
雷号の御蔭なのです…ステッセル殿からの馬は私が頂きます
…が…そしたら直ぐに あなたに貰らって頂きたいのです」
「・……・はっ」
「名馬ですぞ…」
「・…はっ」
「…速く走るのは得意ではなさそうだが速く力強く歩ける駿馬だと
思います特に丘越えには素晴らしい馬力を発揮するはずです
戦いは済んでも処理しなければ成らない事は多いですぞ」
「・……・はっ承知致しました是非」
C時代は戻り音楽が続いている・…
「〜 ♪ hirogete Umagahashitteku ! 」
今日の仕事を終えた荷馬が馬子に連れられ後ろを通り過ぎ丘から下りて行く
其れを二人は気付かない…海を隔てた対岸の丘の上方が暮れ染まり始める
「引き揚げ軍と其の駿馬が愛山と名を変えて長崎に上陸したかぁ…」
「戦い戦いに明け暮れて誰も気付かんやったとね名馬でも歳を食うとば
・・で せめて諏訪神社横の馬場で乗馬馬にでん余生ば送らせたかと」
「その堀内中将さんから松崎の婆っ様にプレゼントされたのが…」
「この愛山か…小世界史のヒーローの一人である松崎内調所之助の孫
の孫である婆っ様に…それじゃ もしかして おとなに成った後の
姿三四郎もこの御馬様に乗った事のあっとやろうね…」
「多分ね…小さか世界ばい」
「…そいにしても良か名たい愛山って…東郷元帥の命名なら面白か」
「うんにゃ…其上 拝領名らしか」
「凄っ…色んな世界ば…色んな心ば乗せたとね…重たかったやろうねぇ…
そう思うて見れば肥って見える胴長短足の馬も…ぐすっ 良か味たい」
「……そして其の時 親戚一同のうちにもと分けられた目録としての
掛け軸がこいさ…まっ遺物さ…ばってん…たかが遺物の
一振りの掛け軸でん其の後の第一次世界大戦や
第二次世界大戦にも生き残って来たばい…安寧ば求めて…」
「…頑張る人達に囲まれて…・生きてきたとね」
「・…何も無か家やけど こいと大きな船時計だけは次男のおいが将来分家して
受け継ぐことになっとると…そいに見合う旅ばせいと親父の遺言も付いとる…」
「ふ〜ん・…あるのは時代の匂いか魂の香りか…」
「もっとも金銭的価値は貧乏しとってん認めたら遺憾ても言われとったばい
…一寸古紙臭かごたる…遺伝も匂うか」
「はははっ本当たい古臭か匂いは良か香りたい…遺言と遺伝じゃ避けて通れんぞ
ばってん野の露と消えるか海の藻屑と化すか よしんば何かをなしても…
出る釘は打たれて足を引っ張らるっだけかも知れんばい
…そいでん頑張らんば天命やっけんね」
「兄貴は没落旧家の立てなおしで おいは報われん宿命か…」
「ばってん能力に見合う普通の生き方なら普通の事しか出来んけんね・…
わいにしか出来ん事もあっとたいね おいは平凡で良かったぞ・……・
星の動きば読むごと人が動きも解かっとやろ 今は星は出とらんね・…夜にならんば」
地べたに寝転がって二人の視線は夕暮れ前の天空を望む
「晴れとれば昼でん星は見ゆっとさ 星々は今でん頭上にあるばい・…」
「・・・・ ・・・・ ほんなこつ見えた …」
「・・・・ ・・・・ ほんなこつ はははっ」
「そいにしても・…結果ば出しても報いは間尺に合わんか・…いんやっ馬尺に合わんか」
「ふっ・…ばってん こうして風にあててやると愛山が笑いよるごたるけん」
突然「ブルブルッ」とクシャミにも似た馬音を聴いた二人は驚く
「ええぇぇ〜掛け軸の馬が・…笑ろうた」
砂利での埋め戻しが甘い横穴防空壕の通風孔を中之村の履く下駄が踏んでいた
辺りに重なるようにサラサラと小高い丘を吹き上がる風は とても気持良かった
松崎内調所助:路地裏の魔女・女神戦争で登場する長崎奉行所別当奉行代で
主水(船方馬方荷役炊役)総与力格の上席代官並とされた長崎御船手組頭
姿三四郎こと西郷四郎:警視庁師範に講道館柔道が採用されたきっかけの
柔道選手だったが西郷四郎は当時 反官軍とされた会津藩士の子ゆえイザコザを
理由に講道館師範代を泣く泣く辞退し記録からも歴史からも消された
後に長崎の日の出新聞社(戦後解散)に国際記者の職を得た
未だ病弱な一人娘に養子すら取れなく旧家存続難しだった時に爵位への内々の話を
無念にも辞退した旧勤皇浪士の一家や旧幕府方の旧敵味方に関らず少なからずに
信頼されたが生前は講道館から破門されたままで名誉回復されなかった
後書:物に宿る魂が有ると言う 歴史の中に生まれた掛け軸が
別の物語の太平洋戦域開戦前夜 東シナ海を駆け抜けた石炭雑貨船の船室に
掛けてあった生き証人の時計と一緒に同じ家で時代を刻み続けていた不思議
其れは人 魂を棄てずば浮かぶ瀬も有れと苦しみに語りかけているようだ
尚 自国敗戦犯として死刑判決のステッセルを助けたのが乃木嘆願書だった…
('07/10記'08/4前掲載)
一首:不器用の 手から漏れるは 水の精 そっと運べば 煌き見せる
一首:早まらぬ 時の歩みは こつこつと 荒野の馬子と安寧を知る
,,,, 落し物 ,,,,
(再掲載・読者完結方式)
@瀬の向うを見詰め乍ら背中の赤子をあやす お下げ髪
「早よ寝ろ泣かんで」「アバアバ」「おろろんばい♪おろろんばい」「すーすー」
「今日も帰って来らしゃれんかったねー」
杖をついた老人がやって来る
「おはる もう遅かけん おどみゃも戻ろうか」「あっ・・・・こん子が寝たら・・」
「もう寝とっごたっ 良か顔しとっねー 貰い乳で腹も収まったとやろ」
「あーほんなこつっ重とぅなっとる」「夕げは豪勢に素麺の油揚げたい さあ早よ」
「和尚しゃま・・」「何んね」「お母しゃんお父しゃんは何時帰って来らっしゃるとやろ」
「あんね・・うんにゃ 降って来っばい 早よ寺へ戻ろう」「うん・・・・・・・・痛たっ」
砂浜から出ている物が足に当る
「あら・・何んやろ」
A街の古物商
「こいは良か仕事しとっねー大発見やろか 待てよ・・・大甲国の大王が乙大国の
巫女の一人への恋文に添えたと甲国録に記されとる首輪かも知れん
きっとそうくさー 海中から三千年ぶりに打上げられとっとに・・・そがんとに
完璧な保存状態くさー」
Bそれより百年前 玄界灘に漂う二舟
「コッチノ文献ニハ載ットラン ソレニ公ノ朱印貿易ノ餌ヲカラメテゲサク本デ
噂ヲ モウズット流シ続ケトル」「大丈夫ナノカ」「噂ノ元ノオイドンモ其ノ噂ヲ
信ジ疑ワンゴト成ッタ ダケン大事ナカタイ 贋作モ本物トシテ大量販売クサー」
「・・・見本ヲ先ニ届ケル 抜ケ荷ハ獄門ダカラ気ヲ付ケロ・・・クサ」
「ジャガタラ(割符)ヲ」
C脇に大事そうに抱えて浜を急ぐ頬っかむり
「ドンドンピャララドンドンピャララドンドン」
普賢岳焼山眉山の大変を鎮める鎮守祭のお神酒に酔った若集が横切る者を見る
「よそもんのごたっねー」「からこうちゃろか」「止めとくばい」
「ほんなこつ ほっとけ ほっとけ」「何んかくさかー怪しかー」
一人が頬っかむりへ駆け寄る
「待たんねー」
びっくりした頬っかむりが逆に走り出す 包みが落ちる
「ポチャッ」
ジャガタラが開き流れ 潮が金銅の首輪を隠す
「ザーザー ザー」
暮れ行く戸張の閉る気配と重なる様に 童が唄う子守り歌が近づく
「♪あねぇしゃんな どこ行ったろきゃい 姉ぇしゃんなー ♪」
一首 : かか様と とと様いずこ 待ちわびて 音無き空も また貰い水
後書:2地方の方言で構成したフィクションにてエンドレス書式ではないので
Cから@へは継続しない。@からCの時代を読者各位で自由設定する完結方式。
発想の原点は盲人文人の宮崎康平の「幻の耶馬台国」と「島原の子守り歌」である。
('00/03記)
余談:雲仙普賢岳の噴火で真っ赤に焼け崩れた山々の一つが眉山焼山として残り
其の時 対岸の熊本で「島原大変」の文中句が生れ「大変」の言葉が今に残るのは
有名。「宇宙2099」の中で使用したスタンダードNo名のゴーン・ザ・レインボウ
(和名:虹と共に消えた恋)に出て来る「シュバババクー」は島原地方の子守り
あやしの「おろろんばい」と同様擬音の意で主にアイルランドの穏健派の今に
伝わる。バイバイはいわんばい・・('99掲示板掲載分をHP用に再編集した)
## 路地裏の魔女(28)にほひ ##
@少年時 通院し世話に成りし病院 立喰いし御茶を貰ふ和菓子屋
前を通る時 少々心安らいだ生花店 おおむね旧知の風情 空洞化す
きびすを返し街外れ とある小店の前を通り過ぎんとす侘しき男
漂ふ にほひに心ざわめき辺りを確かめんとす
調子悪き筈の彼が鼻腔 心の奥に何か軽やけく ささやき掛けん
Aにほひへ引き込まれる如く暖簾を潜る 4人掛けにては小ぶりの
しなびたテーブル4卓 店内に在り 板壁には短冊に書かれ画鋲で
貼り付けられしメニュー さり気なく一巡すれば たたずまい安普請
なれど特に磨かれたカウンターの向ふにてスポーツ新聞を読みし店主
らしき中年 味気もなく床へ向け頭 少々下げ何がしか一言発す
蛍光灯点けず外光にての営み涼感を誘ふ 男は風の通り道を選び
テーブルに腰を落とし店に入る前 決めしを注文す
B壁側 「麦茶ご自由に」と書かれし飲料クーラーのスウィッチを押し
自分で底の低い御茶碗へ注ぐ横の灰皿を一緒にテーブルの上に置くも
安息の状態に有るを知る男 胸のポケットに在りし煙草とライターを
出すのを止める 突然カタカタッと鳴りし風音を聴き 開け放たれし
店前の寂れた通りの方を漠然と眺めんとすと軒下に吊り下げられし
数本の珍しき竹水筒が目に入る「(其れ麦茶を入れ土産代わりに買って
帰るべし)」と心がニヤリと笑ふ 暫らくし厨房より出でしは如何にも
脂 少なに見ゆる小間切れを使いし他人丼 上には三葉ではなく
青エンドウが配置は期待通りで有る 卵の半熟加減
店に似つかわしくなき漆が器 是は正しき憶えか思い込みか偶然か
其処に少し遅れ やって来し ざる蕎麦の薄くも煌めく汁の光沢
刻み海苔は有明産と信ず して何と申し難き この重なる にほひ
男が心の一部 記憶が描きしシナリオ通り特に かほり と言ふべき
にほひ の記憶は遠くも近し
C田舎との距離 縮まるを感ず男 目が慣れし頃 変わる風の流れし
先を見ん 簾が奥の居間 籐椅子にウツラと坐す老女が後姿 風に
ささやかれしか 彼女は体ごと顔を振向け男を擬視す 彼と一瞬視線
合ふも直ぐ老女が姿は背に戻り在り されば彼は おぼろ気に
何事か思い出しかくる さやめきつぶやき決す男
店主へ この店 いつ頃より此処で営みしか「昔は違ふ店」では等と問ふ
店主が返答 元は役所職員食堂兼一般レストランと かまえしを先代が
この地へ移し 先代亡き後 奥の老母と一緒に頑張って来しが近頃
景気低迷も有り 今は自分1人で厨房も出前も充分だと寂しげに申す
…気が付けば思い出は田舎を発つ前 一般客歓迎の札 掲げられし食堂
一世代前の夫婦が姿 仲良き哉 厨房を店内を切り盛りし其の女房が
背にはウツラとす赤子…この にほひ 未来へのDNAを つなぐを
誰が知ろう 川を溯上す鮭の如きに似て青年が にほふメモリーは
数十年後 薄らと回帰すか
男は店の家人と特段の えにしも ささやかなふれあい有りし訳でなし
只 奥の老女の姿を移ろい気に見知っている のみで有る 何か昔話をす
いはれもなし されど微笑みし風情の得も言へぬ懐かしさに
胸が熱くなる このにほひの不思議 旧知の風に向かひ「人が記憶移ろげ
ど香順の礼いまだ忘れず」…すると少年が歌う声 げに高らかに聞こゆ
「♪夏に成れば童子(わらしこ)泳ぎ どじょっこ だの 鮒っこ だの
鬼っこ来たなと思うべな♪・・・・・・・・ただいまぁぁああ〜〜〜」
一首:目を閉じて魔法のかほり聞きませう 安息にほひ思ひ出にほひ
一首:この記憶にほひの奥は何あらん 開けて気付くは白い髭
一首:控え目に はにかむよふに ほのかほり 線香の筋 夏空に消ゆ
後書:時には香や線香の白檀の香りに似て食事処の匂いが心を
落ち着かせるを知る偶には通りの寂れた小さな食堂へ行くも良し
香りも順に時を歩み良き匂いと再会あれば心は淳(すなお)と成る
是を香順良心と呼ぶ明らかな忘れ得ぬ道標の原風景であるを思う
('05/6記)
余興31:動物が生まれた時 最初に見たものを親と思う"刷り込み理論"
は間違いで有る「親の様なものと思い込む」ので有り人も含め動物は
其の時に見て匂ったものを親と信じるので有る視力聴力弱き者は
心眼と嗅覚に優れていると言う天は香るべくバランスを与え給うた
### 路地裏の魔女L類 ###
(再掲載)
@偶々其の時 他の釣り人が居なくなっていた田舎の小さな海岸
一人の男が療養を兼ねてノンビリと糸を垂れていた・・
・・気配に男は急に後ろを振り向き間髪容れずに「どちらの方
遠くからですか」と・・驚く大の男2人は立ち尽くす「・・・」
「いくら釣り場だかって音も立てずに近づいちゃ駄目ですよ
・・尾行好きのカルトや思想連じゃ有るまいし・・」「・・・」
「こちらが気付こうと気付かまいと竿を振り回していたら
大怪我ですよ・・こんな所を足音も無く歩いていたら・・怪しまれ
ますよ・・」「・・・」「ホラッあっちば見んですか・・対岸の家ですよ
・・あの御婆さんも戦果が気に成る様子(よかタイミングばい
・・偶然の魔法使いの御婆さん・・)」「失礼しました何が釣れている
のカナと思って・・」「・・・・(ふーっ)」
近くの実家で小魚をさばく男「お袋・・おかしか連中に出くわしたよ
一寸急か岩場を よじ登らんと行けん釣り場とにスーツに革靴姿ばい
しかも息を殺して歩きよった」「・・そげんね怪しかね」「日本人離れ
した脂ぎった骨太で きつか眼ばしとったとよ・・最近釣り人が強盗に
遭うた とか誘拐されたとかの話は有ったね」「うーんっ聴かんごった
ね」「うかうか釣りも出来んごったね最近は・・」
A都心に戻りぼちぼち仕事を始めた男は・・実は男が知人から紹介
された不動産屋の仲介で仕事場兼住いにしていた所の大家 其の者は
其のカルトの信者だったので有る 何も知らない男が自分の背中に
大きな標的のマークを付けられている同然の事に気付くのはズッと
後の事だったので有る
其の標的の所へ助手として送り込んだ己の身内からの情報で標的の
対人関係を調べ乍 実体は国際基準でカルト認定でも某国では大不況
を言い訳の広告営業に金次第でカルトの実体を隠す宣伝も自由勝手
に ぬけぬけと付け込む何処かの軍事独裁者然とする教祖の喧伝の為
の選挙教と言われている其のカルトと陰でこっそりと手を結んだ後
の眠眠党国会議員候補・・標的の手紙電話をチェック 行動を追い・・
偶然と言い逃れる必然で標的の神経を逆なでし続ける
B若さで弾き返していた標的にされし男は或る日とうとう軽鬱状態
と都心の神経科の教授から診断された事をキッカケに・・ただ其の老
教授は「現在置かれている環境に問題が有るのでは・・自認しているな
ら特段の心配は無い数日から数週間で快方に向かうで有ろう」と言明
していた・・が 徐々に標的は行き場が無くなる程に悪い噂を関係者の
処へ流される
周りをゴミで囲まれアンモニア臭が篭もる犬猫の末期あずかり場
生気を失った標的は来る日も来る日もペットの唸り声の中 日に
数百匹の臭い下の落し物の清掃で有る・・だが欧米等外国人の友人達
の中には突然連絡途絶えた彼に不穏な運命を感じ始める者もいた・・
・・「此処で辛抱出来ないなら止めても いいんだよ・・でもねぇ
行く所 無いんだろう 折角紹介してやったんだよ」
暫らくした某選挙事務所
「・・ふんっしぶといな未だ生きているのか・・そうっもう暫らくで
飼いならせるか自殺するんじゃないか・・」
C標的が行方不明と成る
同じ頃 同姓同名の似た者が隣県に程近い大学病院の精神科の窓口
に現れる・・そして入院・・程無くして標的が重症の精神病で廃人
に成ったとの作り話が まことしやかに流れる・・標的は社会的生命
を絶たれた・・
月日が流れ男を知る人々の記憶からも消え始めていた・・
紛れ込み無党派的首長と成った元眠眠党議員は己が標的の面倒を
見ていた上司だったと・・標的にした男の やって来たオリジナルの
仕事に影響力を行使して来た様な顔をし いい処取りの平安主義者の
紳士的態度を装っていた
しかし標的に されし男は泥水を啜る如きで生き延びていた
自分に しか出来ない事がマダマダ残っているを自覚するが故
再起を図る如く・・
街の片隅にて夜空の雲の切れ間から覗く月をじっと見上げる男
「♪・・早よ寝ろ泣かんでオロロンバイ
鬼ん池 久助ドンが連れん来らるばい」
後書:類(たぐい)まれな能力と言われし男が卑劣な類(るい)は
類(るい)と繋がる連中に何をされしか・・親の葬式に出席出来ぬ程
ぼろぼろの身体に成っても気力の残り火を灯すのは何の為かを今で
は知る者少なく無し・・其の標的にされし男は其の後も類類の非道
を受け乍も思った「・・是は忘れるべき事・・記憶に残すだけでも
不浄の如き事か・・」と・・丸く収まる道を知る・・即ち大不況消滅の
特効薬のグランドデザインを出来る男も未だ気力出さず
('04/2更新)
一句:らち明かぬ 納得できぬ 我慢とは
一句:茜空 降りみ降らずみ 秋津島
一句:復讐は 刀汚れる 捨ておけと
余興13:昔昔 引き揚げ途中の婦女子に鬼畜の行為するソ連正規兵
を異常に煽った演出の蔭に隠された者達は何に人だったろうと強盗
強姦人さらい惨殺・・何が隠されていたんだろうと非道の工作を感
じたのは少なく無かった・・成る程「日露平和条約」の前提の一つ
「北方領土問題解決」も潰すは易しか・・盗人に三分の利を認めよは
テロ支援話と言う・・何でも反日にするは もう沢山な類
♪♪なっちゃんの手目♪♪
(再掲載)
なっちゃんは、ヤンチャな子。
そして、四角色、丸色、三角色、星色、ミッキー色、ドナルド色などという色を
持っている。
今朝は、お父さんに駄々をこねて困らせた。
ミッキー色の靴をどうしても履いて行くと言う。お父さんは、渋々、昨日洗って
まだ乾いてない靴を新聞紙で良く拭いて、なっちゃんに履かせた。
なっちゃんは、生まれつき顔についている目が見えない。
しかし、手についている目で形を理解しながら色を覚える。
それを、「手目の魔法」とお婆ちゃんは、言う。
ラブラドールの黒兵衛と盲学校へ毎朝通っているのだが。
彼は、ミッキー色と言う言葉に納得しない。
なぜラブラドール色では駄目なんだと、ミッキーに少しだけ妬いている。
しかし、一番嫌なことは、学校帰りに寄り道をしようとする、なっちゃんを
彼が、思いとどまらせる時に、なっちゃんが下品な言葉を使う時だ。
・・・・「てめーのあほー。」・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ 笑フフフッ
. ('00/07更新)
//// 路地裏の魔女O船上の開き ////
@エンジンを搭載していない大型木造船
博次「なっ こうすれば船の煙突から煙が出ているみたいだろう」
真太「・・・・」
一則「だって 此れじゃ只の七輪の上に穴明きバケツが載っている
だけじゃん・・」
博次「ははははっ おかずの鰯の開きも焼けているじゃないかよー」
真太「・・だって この船は砂運びの ダンペ船・・自分では進まないよ」
博次「ほら上見てみろ・・雲が流れている・・寝っ転がって上 見てりゃ
曳船なしで自力で走ってるみたいだぞ・・上を見ろ・・真太」
真太「わーっ ほんとだ よーそろー」
一則「ほんとだ よーそろー」
さと「よーちょろー」
A数日前の小学校の校庭
真太「土砂を運ぶだけのダンペ船だからね 父ちゃは曳船の船長に
言われたら次のシュンセツ地迄 移動する準備をしなくっちゃ
でも其れ迄は遊べるよ」
一則「お前んちは其の船と誰かが言っとったが・・そうなのか」
博次「・・そんな質問はするな一則」
真太「・・うんっ・・いいんだ」
一則「なら お前んちで遊べるか」
博次「ヤメロッ一則っ・・遊ぶ所は何処でもええからな・・し・・真太」
真太「うちの船でもいいよ・・でも父ちゃは人嫌いだから・・」
博次「真太の親父は人嫌いでも真太が いいなら船がええ
俺は船が好きだ どんな船でも好きだ」
一則「俺だって船は好きさ」
B狭い後甲板への渡し板を渡る真太と博次
博次「一則 怖かったら・・ほらっ」と手を陸の方へ差し出す
一則「いい・・へっ平気さ・・」と恐る恐る渡りきると少女が1人居た
真太「こいつは妹の さと・・未だ4歳だから」と紹介すると真太が始めて
連れて来た友達に大喜びして耳から鉱石ラジオのイヤホーンを
外す さと 其の時 向いの波止場に在る小店の御婆さんが呼びかけ
手招きをすると真太は渡り板を今度は逆に渡って行った 博次も渡り・・
一則は半べそをかき乍 何とか渡って小店へ駆け寄った
たすき掛けにヒモで繋がれた さとは船上から笑い乍 皆を見ている
御婆さん「真太君 お父さんから夕食の材料 頼まれとったから
これ・・用で帰りは遅く成るから先に食べといてと言っとったよ」
真太「・・何時も済みません」と編み篭を見る「(又 干物とキュウリか)」
御婆さん「・・・・珍しいね友達かい・・」
博次と一則「ちわっ友達の博次です」「一則っ」真太「はいっ・・」
御婆さん「元気がいいねぇ・・んーっ・・ちょっと待っといて」と
奥から冷えたビンのコーラを4本持って来る「あんた達 帰る時
ビンは横の空きビン入れに入れといてねっ預りビンは1本10円もする
からね勿体ないからね・・中身は上げるよ さとちゃんにもねっ」
真太「・・いいんですか・・・・有難う御座います・・」博次と一則も会釈す
御婆さん「・・・・ええよ気にせんといて」
船へ戻り後部に2つ有る開け放たれた木造の四角いハッチ・・陸から
遠い方は通風と採光用の天窓で雨の日は閉めておく・・近い方の出入
り用を下の6畳位の部屋へハシゴで下りると金毘羅宮の御札が
祭って有る立派な神棚には曳船の船長との連絡用のトランシーバー
が大切に置かれている他には水道のない流しの下にはアルマイトや
木地だし製の食器や箸を入れた わら縄で編んだ丸篭 机代わりにも
しているトランクの上には団扇と所々擦り切れた一寸法師の絵本が
開かれ むき出しだが布団とカヤは隅にキチンと畳まれていた
煮炊きは上甲板で 風呂は船溜り近くの銭湯か時には流しで体を
拭くと言う・・壁に窓はないがハッチを閉めても空気弁が通って
いる事や だんぺ船は舵だけで自力運航が出来ない事も 学校から
学校への転校は旅芸人一座やサーカス団の子弟と同じく短い期間が
多い事も教えてくれた・・ハッチから垂れたコードの先に針金の笠で
包まれた裸電球が壁のフックに掛けられ揺れている・・特別に小型の
自家発電機のエンジンを発動して黒い壁掛け扇風機をカタッカタ
カタカタ・・と回して呉れた・・小店の御婆さんは頼み事 以上に
何でも出して来る魔法使いかもと短い時間に何でも話しをした
船の上で3人並んで立ち小便もする程の仲に成っていた
妹の さとがこの船で生まれた事を聞いた時 何時も軽口の一則が
父と3人暮らしの家族らしい真太兄妹の母の質問をしようとして
さすがにグッと言葉を呑み込んだ・・
翌日博次が岸壁のゴミ捨て場から穴明きバケツを拾って来る・・
Cそれから何日か経ったホームルームの時間
先生「それから・・連絡事項・・真太は転校だ」
博次「先生っ・・それは何時ですか」
先生「えーっ今日来ていないな・・じゃ今日だな・・うーんっ
手紙を自分で出したい者は後で先生に局留めの郵便局名と
住所聞きに来てくれ急がなければマトメて転校先へ出すぞ」
博次「・・・・」
1時間目が終ると下級生の一則の教室へ走り そして直ぐ其の
教室も出て上履きのまま校庭の端へ走り出した2人は低い塀の上へ
手をやり船溜りの見えない波止場の方へ目を凝らし乍 話している・・
授業が終ると直ぐに数km離れた波止場を目指し息を切らし走る2人
石段を石畳を下り商店街を繁華街を抜け電車路を横切り全力で走る
其処にも港を見渡しても何処にもいない 博次は小店へ小走る
博次「御婆さん御婆さん・・・・真太のダンぺ船は・・どうしたんですか」
御婆さんは首を振る「朝一番で曳船に曳かれて港を出ていったよ・・」
博次「何か言ってませんでしたか・・」
御婆さん「何んも・・んーっ・・・・サヨナラが辛くなったのかな」
名残惜しそうな顔をする博次と緊張し黙り込む一則「・・・・」
御婆さん「・・この菊 持ってくかい ほら店先で挿し木にして
増やしたの(菊は本質的に強く暑さ寒さにも潮風にもへっちゃらで
茂り自分だけでなく周りの小さな山野草の花々さえも はえさせる
から)・・あのダンぺ船へも今朝 持たしたさ君達へも良かったら」
博次と一則「・・・・」
御婆さん「君達・・真太君や さとちゃんを忘れなかったら
この港が真太兄妹の故郷になる・・君達次第かも知れないね」
暫く店先を離れ難く御婆さんに会釈をしトボトボと家路に就く博次・・
挨拶も忘れた一則はボーッとし乍 歩き始める
博次「もう子供の時間は お開きさ・・」
一則は泣き乍「くーっ くーっ ・・又 逢えるかな」
博次も目を潤ませて「逢えるに決まってる・・絶対に決まってる」
遠くから近くから夕刻の御寺の教会の鐘の音に混じって何処からか
漏れて来る長期出張者のコーランの声が寂しく耳に感じる
道すがら博次には言い得ぬ気持ちが幾度となく胸に迫り来るのを
生まれて初めて憶えた そして彼の父が何故 人嫌いなのか
人嫌いは淋しさの裏腹に在るものだと小学生の心にさえ
漠然とだが判り始めている・・・・
自分達の町内へ近づく2人は当然大切そうに菊の鉢を胸に抱えていた
♪たーかく はなつく いそのかに ふだんの はーなの かおりあり
なぎさの まーつに ふくかぜを いみじき がくと われはきく
「われは海の子」より
一首:昔はね 猫の餌並 扱われ 現在鰯は高価格か
一首:いつかきっと幾膳の箸萌ゆる頃 浴衣も染まる白いカーネーション
後書:確かに子供達の心を親・教師そして出会いの多くが各位可能な
方法で包んでいた現実界 何時の頃から其の伝統文化が激減し始め
たのか・・故郷が一つ有る人は幸せだろう 幾つかの故郷が有る人は
心に深い思い出の故郷が見えていると名を博次と設定した男は
信じている 第2次世界大戦後の引揚者対策の一環と始り一部に
昭和40年代頃迄残り 石・土砂や或る時は精霊流しの危険な
燃えカス等を曳船に引かれて運ぶ・・生まれ乍に海好きも
仕方なくも真っ当な自営の船上生活者が其処にいた・・・・
尚 数ヶ月前から予定より2ヶ月遅れのストック原稿を掲載す
('03/5更新)
追記:昨今の報道の危険性・・瞬時の殺人は重罪だが先進国で日本だけが
不特定多数向けのユックリの跋扈煽り(教祖の個人喧伝・思想洗脳・嘘
とも言う)は罪にならない不可思議・・他の先進国では新興宗教団体の
事実上の政治活動と其の宣伝の場を提供するマスコミ等も重罪となる
追句:移る学 普遍道徳 急き綴れ
余興18:善人だけの世なら法は無用と誰も分かる故に最低の道徳を
法と呼ぶを知る者少なからず して最近 法が道徳に近づくを見掛る
時も有 五木村の件しかり 問題は其の対処方・・治水ダムを造るなら
地下を掘りなさい我日本のゼネコンにも其れ位のワザは有 まさか
決断の責任者迄 連れし類に染まり混沌で混濁に落つるで有るまい
なら有明海も道徳により法のギロチンが消ゆるか空に唾吐く者よ
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