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踊る確率(後編)
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(再掲載)
@帰宅を待って自宅へ逮捕に踏み込む飛行署と港湾署の警察官達
警官A「…だな…一昨日の夜の事だ分っているな…」
犯人「なんだよ何いってんだよ…そんな一方的に叩かれても
ほこりも出ないぞ…そこから入るな無断進入だぞ…
俺が何をしたんだ…令状を見せろ令状をよぉ…」
警官A「是が…飛行機に対する航路危険妨害の容疑 及び傷害罪と
器物破損罪 其れにゴミ捨て禁止条例違反で逮捕状だ」
犯人「…不当逮捕だ…くそったれぇ…このパックマン野郎…」
警官A「抵抗は するなよ罪が重くなるだけだぞネタは挙がってんだ
レーザービームの不当使用だ…分ったな…じゃぁ
逮捕するからな両手を…施錠っ 逮捕っ 現在時間は…
同時に家宅捜査も するからな正直に答えなさい…」
犯人「ねぇねぇ降参したからさ…和解は出来ないの」
警官A「わっ和解ぃ何じゃそりゃ…想定の範囲外の事は答えられないな」
警官B「妄想か(…刑法犯に和解なんてあったけっ…有る訳ないな)」
警官C「イャー色々出て来るねぇ…こりゃ あいず磐梯山だ鑑識さん」
鑑識「えっ何ですか合図万歳さんって…」
警官C「宝の山って事さ…ガサのついでに唾液も採ってDNA検査へ
回しといてね是で言い逃れられぬ完璧な証拠だ」
A一昨日土曜日 夜…全席シートベルトで下降中の飛行機内コックピット
「機長 夜景が美しいですな…」
「…おおっ…折角だから乗客サービスの下界眺望を」
「オーライ…では機体を ゆっくり振ります」
「…じゃぁ そろそろ私が操縦しよう…管制…こちら…」
「(・…・…・…・…)」
「…了解このままターンライト降下率3度で進入する
管制の許可が出た此の侭でギアレバー フラップ下せ…5…10」
「フラップ10オーライ」
「現在の風速は…」
「東14ノットです」
「横風14か少しキツイな…よしエンジンスロットル クォーターダウン」
「エンジンスロットル クォーターダウン オーライ」
「ウワーッ…なんだ…」
「どうしました…ウォッ レフトウイングが上がり過ぎです」
「…目が目が…チッ…少し残ってたコーヒーが…たれたぞ」
「機長っ大変ですAPP自動着陸ビーム受信ランプが消えてます水平儀も
機能していません」
「まずいなミッションケーブルジョイントがショートしたか
未だ片方の視力が回復しないでは水平安定飛行を保つには無理がある」
「着陸やり直しのタッチアンドゴーにも無理が有ります…機長っ私が…」
「この環境の規定では副の着陸は エーィッ安全の為だ君が代わってくれ」
「代わります…車輪下します エンジンスロットル ハーフ絞ります」
「車輪下しロック手動で確認…エンジンスロットル オーライ」
「フラップ20」
「フラップオーライ」
「高度…100…50…ランデングナウ フラップブレーキ全開」
「フラップブレーキオーライ」
「逆噴射っ」
「逆噴射ブレーキオーライ」
「タイヤブレーキ絞ります20%40%%……80%誘導路へ入ります」
「…オーライ」
「タラップ確認しました誘導員の指示に従います……ブレーキロック
フー もう安心です どうされたのですかコンタクトレンズの脱落ですか」
「…目がくらんで慌ててしまった…レーザービームを目に受けた様だ」
「そりゃ大変だ直ぐ飛行警察へ いや医務室が先か…」
「医務室へ警察を呼んでくれ」
B一昨日 土曜日 朝 犯人の自宅
爽やかな薫風吹くも窓を締め切っている部屋の隅で独り言を
ブツブツ言ったりラジオやTVを点けたり消したりしている小太りの犯人
「(法は此方の味方だ ずるいで悪いか約束は破る為に有るんだろ
巷は合法不道徳だらけだ良いも悪いも口数が多い方の勝ちだろ…世間を
左へ向かわせるにはもっと真中へ寄せろと刷込み宣伝もしてるだろぅ)」
ネクタイを刻んでいた手が本棚の中の分厚いマニア本の一冊を抜き
表紙を開く 拳銃の形に刳り貫かれた穴から組立て式の実銃を
取り出し磨き始める「(…何が ずるいだ…相手も分かっていた筈だ
何でもビジネスさ金儲けの何処が悪い下品で悪いのか くそっ勝手だろ
あいつ等だって上手くやって来ただけじゃないか同じじゃないか楽して
成金に成ったくせに金と票が有れば何でも言いたい放題 買い放題
やりたい放題と腹の中で思っているくせに何が笑われて何ぼと笑われ乍
頭良さそうに見せて自身では世間に気付かれていない人格下品レベルの
お笑いタレント並だよアイデアは聞きかじりだけど…それを物にする
のが何処が悪い どうせ忘れ去られる悪役支配人タレントと思っている
くせに…最高学府までだけはマジ頑張った最高学歴様だぞ狙ったものは
みんな高い所から落してやる…くそっ)」手を休め壁に飾ってある
モデルガン風のエアーガンに装着しているレーザービームスコープを
スクリュードライバーで外し窓を少し開け隙間から遠くを覗く…
夕暮時 飛行機の進入路近くの倉庫街の路上に車を停める犯人
車の窓を少し開け手には何も持たないで空の雲に銃を撃つ格好で
雲を狙って見る…そして暫らく携帯電話でゲームし乍 完全な日暮を
待っている…その手に持つ吸殻を窓の隙間からポィッと落す…
空の彼方から少しずつ機影と其の点滅灯が見え始める…
C…ちょくちょくのTV取材等で市民の冷たい視線にも小さく成り
頭を下げ続ける爆発寸前の帝都港湾局の総務課長代理は又も週末に
目前の身勝手 爆走や駐車の列の やりたい放題に怒り心頭だが
今日は朝から重装備の準備をし日暮時から三脚の上にはプロ
顔負けの一眼レフカメラ腰には真新しい厚手のビニール袋の
束を ぶら提げ…軍手の手にはゴミバサミ…
翌 日曜日の深夜 倉庫街から一番近い24時間コンビニオフィス
サービスショップで写真を出力し台紙に貼り薄手のビニール袋に
包み終え…週明け月曜日の朝 出勤時間前の他に誰も居ない港湾局の
ソファーで課長代理は天使の笑顔で高いびき…目覚まし代わりにセット
していたラジオから軽快なDJの声が流れ始めた「…沖縄県の匿名希望の
めんそぅれさんからの葉書を紹介しましょう…『…南国と言っても毎朝
受ける風は同じではなく涼しいときも寒い時も雨の日も…新聞の配達が
一段落して配達ミスがないか待機している時間に楽しく聴いています
心のこもった面白いトークの数々が有ったから リスナーでいられた……
このラジオは新聞配達を続けられたパワーの一つだと思っています…
頑張って下さい』ウーンッ嬉しい励まされるお便りですね…どれだけ
科学が進化しようとも一枚の葉書…グスッ此方は夜が明けました沖縄は
未だ夜明前でしょうか…心温まる味の有る葉書の字です細くても強さを
読み取れます貼られているプリクラの顔は とても美しくエキゾチックで
ああそれから こう書かれています『スタートラインからハンデ背負って
辛い時も有りますが夢はキチンと持っています今の仕事を続け乍 地元の
学校を卒業して お婆と一緒に米国で住める所に就職する事です』…
めんそーれさん貴方の耳に足に此方からも頑張れと言わせて下さい
其れでは めんそーれさんの御婆様が好く口ずさんでいたと言う懐かしい
リリーマルレーンのリクエストです この曲はマレーネ・デートリッヒの
歌で有名ですが第二次世界大戦のラジオから独軍陣地には独語の 英国軍
陣地には英語の 米国陣地には米国訛の英語の各リリーマルレーンが
流れている間は自然と休戦状態に成った逸話が有るんですよ・・・・
ではララ・アンデルセンの英語版で…エッいい処だったのにディレクター
から無粋なメモが…スポンサーは大切よ エーでは ここで全空機内責任
販売会社のCM番組を先ずは いっぽん放送してから…お聴き下さい…
『♪乙名の歩き蛸風煎餅は お・と・な に成ってから御買い求め下さい
ファイトォ未来のセレブ待ってます♪ルンッ…e.t.c;e.t.c:…』…
♪パパーンパ パンパンパーン♪霧にむせぶ街角の ゲート近くに佇む
二人の別れに 無情の朝が来る ああ愛しいリリーマルリーン♪…」…
…倉庫街のフェンスには一昨日 夕暮からの色々な違法かつ不道徳な
各車の写真がズラリと透明ビニールを被せ貼られている それぞれには
各車のナンバーとフロントガラスが写っている車窓内には人影が…
各写真の下には厚手の透明ビニール袋が一つずつ ぶら下っている
その中には…空缶 ガムの塊 一山ずつ纏まった吸殻 アダルト雑誌に
◎×▼…口に出すのもはばかれるような物まで色々と一目瞭然で有る
そして一個の煙草の吸殻が入ったビニール袋その上の一枚の写真には
フロントガラスの中で蠢く赤い光線…自治港湾局総務課長代理の写真の
技術は遠い街明かりや頭上の月光を受け夜間の消えかかった暗い街灯の
下でも露出を開きっぱなしでナンバーも含め諸撮影出来る腕前で有った
人 誰も確率を持って生まれしも真っ当な頑張りと運命に確率の変化知る
♪おじょうさん おまちなさい
ちょっと おとしもの
しろいかいがらの ちいさな イヤリング♪
アメリカ民謡「森のくまさん」より
一首:仰ぎ見て それでも唾を 吐く者は 己に落ちる怖さを知らず
後書:シチュエーションを違わせた後編も当然戯曲で有るが…守る方が
いざと言う時のレーザースコープ付きの警護武器も持たぬでは…安全も
美しい環境も守るは簡単では無い日本は悪意のイタズラやテロに対して
巷では平和呆け的風潮の煽り未だ止まず…同じ価値観なら偶然の阿吽の
呼吸で怠慢が作る道徳心の荒廃を防げる可能性は十分有り得る
余談:時差式パート消防団員の採用の勧め…昼間は町内の会社総務庶務
社員が夜間は町内に住むサラリーマンがパート団員として年に数回の
消防団員として演習に参加しては如何か…いざ火事への出動だが希に
しか有り得ない本番出動多なら所轄消防官を配置換え等で増員するから
問題なし尚パート予備団員として青少年訓練団員に偶の昼夜間防火防犯
の為に指導団員や消防官や警察官に連れられて廃屋や街角の死角を巡回
するは如何か(この余談は掲示板に載せているものの一部修正版で有る)
一人で成り難し何事も確率上げるに各位の個人的質と数は必須条件
('05/3記)
♪♪♪♪ 路地裏の魔女(22)オデッサ・フィル ♪♪♪♪
(再掲載)
@お客が なかなか入らなかったオデッサ・フィルの
定期演奏会に或 作為のない優しさがキッカケと成り
入場客がじょじょに増え始めた初夏の頃
市民会堂劇場から遠くない旧埠頭通りは外国から来た
新婚旅行者達等の多くの幸せそうなカップルで
賑わっていた
A以前の或る日の夕暮 離れゆくバスの後ろ姿を
見 乍 息を吐く弦楽器のケースを持った青年は
バス停のベンチに腰掛ける お婆さんを見て
何故 乗らなかったのだろう誰かを見送った後で
其の場を離れ難いのか等と思いを巡らす・・・
暫くしても座ったままの お婆さんヘ声を掛ける
「お身体の調子でも・・」「此処で待っていると やって
来るバスから今にも夫が降りて来て私に頬擦りをする
そんな気がして次のバス 次のバスと遂 待って
しまうのよ・・ホホホッ・・」と痴呆なのか悲しき冗談
なのか分からない・・・聞くところによれば娘2人は
遠くへ嫁ぎ1人残った ご婦人が亡くなられた御主人との
思い出のアパートを離れられずに侘しき日々との事
後日 古き街並み故か他にも様々な事情が耳に入った・・・
Bそして其の数週間後の午後一番お婆さんが1人で住む
アパートへ書留郵便で一通の立派な招待状が届けられた
市民会堂劇場で開催中の演奏会・・オデッサ・フィルからで有る
C特別客演の外国人マエストロに鳴り止まぬカーテンコール
マエストロの代理でコンサートマスターが今夜は特別と
最前列の1人のお客様へ声を掛ける
「何か ご希望の曲は御座いませんか」と
1番気に入っている服を着飾って座っていた お婆さんは
一瞬 驚いたが気を取り直して お爺さんと若い日に
こっそりと2人で聴いたレコードから其の
「ドクトルジバコのララのテーマを」と言うとマエストロはずっと
交替で小太鼓を打ち鳴らさせ乍 亡くなった楽団員の思い出話等を
通訳を通し又 通訳も心得てマエストロと掛け合いでアドリブを
入れ乍「今夜は特別に此方の ご婦人1人の為にブッツケ本番の曲を
命懸で捧げたいのですが如何でしょう」と問うと久方振りに空席の
ほぼない客席はヤンヤの拍手で答えた10数分間の間にスニーカーを
履いた楽団マネージャーは阿吽の呼吸で足音もなく走り回り
各自の譜面台に劇場事務所の雑曲ストック帳からコピーして来た
譜面を載せ用意したマンドリンの調律が終わり掛けた時・・・
マエストロはコンッコンッコンッとタクトを自分の
譜面台の横で打ち鳴す そして最初にハープを指しタクトを天に
振り上げ演奏を開始した・・・少し不自由な耳に成っていたが
お婆さんの眼は少女の様に輝いて楽しそうに聞き入っている・・・
割れんばかりの拍手の中 劇場より一緒に招待された二人の娘の
内一人が お婆さんの手を強く握ったまま・・・じっと母なる お婆さんを
見詰ているもう片側の席には劇場附属医院から来て横に座っていた
医師が脈を診て時計を確認しマエストロに他の団員に小さく十字を切る・・・
瞳を閉じ手に小さなロザリオを捲く お婆さんの死顔はとても嬉しそうに
最愛の人との再会の如く頬擦りで微笑んでいるかの様で有る
ステージ上の皆は各位 下方の客席を覗き込み それぞれに悟った
幸せそうな喜々とした死顔が有るという事を そして お婆さんを
天国へ招こうと近くに天使が舞い降りて来ている筈と捜す者もいた
自分達が其の様々な役目を持った天使に一時 成り代っている事を
気付かぬまま・・・
・・・雷の様な拍手を制したマエストロは自らスキャットを始めた
楽団の方と客席の両方へ両手をユックリ振って一緒にと促がした
♪ラララーラー ラララーラー ラララーラー
ラララーララー ラララーララー ラララーララー
ラララーララー ラララーララー ラララーララー
ラララーララー ラララーララー ラララーララー
ラララーララ ラララーララー ラララーララー♪
「黒い瞳」から
一首:叶い有り 天が瞳に 外れ無し 悲しみ通り 慈しみへと
一首:世界一 好きな貴方へ 逢いに行く 世界一の幸せな私し
後書:是は あくまで戯曲で有る ララのテーマと黒い瞳の関連性は
現在の処 不明なれど今日もし辛き苦しき事 有りても
明日の心を晴れさせる祈りを込めたスキャットも悪くなし
('04/03記)
追記:如何なる状況下に於いても拉致誘拐にアアダこうだは見苦しい
速やかに被害者の戸籍主 及び国籍国の要請を無条件で実行しないと
権政者には毎日罪がカウントされるを忘れるべからずと世界の常識
追追記:チェチェーンとテーブルにつけばロシア茶のうまさよ
残照学習
経済心理学:経済学を実経済の経済学と虚経済を形成している経済心理学に分けてみる
生産性が先に立つ実経済と違い雰囲気の誘導に因る虚経済は経済心理学として捉えられる
それは地域単独の国策ではない各企画の伴なう地域起こしの支援(税金投入等)や
高額納税者から低所得者への資産環流の緊急国策支援等の実経済とは別の擬似的な
全国規模に国家収入を単純な景気刺激策として投入する虚経済のものや
ねずみ講(マルチ商法)を指し生産無き生産活動の総ての域を範疇とする
余談:日本のインスタント食品は世界に胸を張れる程の文化である それに引き換え
名だけは同じインスタントでも出来た経緯から前文以外の憲法や緊急改正して来た六法は
テロリズムや犯罪者に とても優しく時に善良な国民を守り切れなく たかが数行の法文に泣かされる
因って それを補う如くに日本では極刑制度を廃止できないのである 独裁国の死刑制度との違いである
そして法律論の道を煙に包んでいるのがイメージの良くない者達が組織やメディアを賑わせている事
それ等は世も納得し難く潜在的にも法律以前の問題として事件事故を増えさせ納得しているのは個発性の
犯罪類と裁判所内外の不幸多発を革命のエネルギーとしている工作類である・…・…
蛇足:愛国者も紛れ込みも皆 中立公平に扱えと誰が言っているのであるか
読心術を使えば人権違反に成るぞと脅す人達に何を握られているのか
追記:マルチ商法(ねずみ講)は違法ではないと無限連鎖防止法は過去物と言わんばかりの一部報道に
誰も何も言わせない不可思議な混乱の時代に誰がした
余談:自殺の循環(先進国編)
少し体調が優れなくなる
↓
気分の落ち込みがある
↓
頑張っても頑張っても状況は変わらない
↓
メディアでは調子いい者が目立っている
↓
子供の陰の世界では粗暴が物を言う
↓
大人の世界では調子いい言葉の者達だけが選挙ばっている
↓
職域でも誰を信じて良いか判らなくなる
↓
世間では価値観の崩壊が時としてざわめく
↓
生きていても真っ当なものに利が無いように思える
↓
頑張らないのが良いと思う
↓
たかが7〜80年くらいの寿命が終る迄 死への恐怖を味わうだけと虚しさが鬱積する
↓
生きる気力も無くなる
↓
少し体調が優れなくなる
↓
気分の落ち込みがある
↓
何度か同類循環の先に・…悲運が有るもの無いもの
(この一般性自殺の循環には心的外傷症候群や食毒誘因体調不良者は含むも
重症切迫感・業務圧迫感・重度不眠と切迫感・無気力症候群や犯罪被害者・加害者や生存困窮者等除く)
#### 踊る以伝 ####
@或る日 老人がブツブツ言い乍「(どうせ時間はタップリある
くたびれて奉仕活動もしていない 楽しみ方も知らん年金暮らし
…釘は抜いた物を真っ直ぐ伸ばして再利用するとして…糊は
天麩羅やフライに使った小麦粉の残りを集めといて素早く
お湯で硬く溶かせば接着糊)」店を一周し何も買わずに立ち去る
背筋がキリッと伸びた其の老人へ「毎度有難う御座いました
又のお越しを御待ちしております」と頭を深深と下げる支店長
A店のオープンから暫くは売り場の狭きD.I.Yショップ支店長へ
「テニス用品を並べてよ御客を連れて来るからさ」を口癖に
している者や流行の長髪にポックリサンダルで よくこける若者
等の異業務の関係スタッフの気分で手伝いの方が客より多かった
……何時来ても何も買わない何時もの退屈な老客も居た
それから又 暫くが過ぎウインドウショッピングだけに立ち寄る
老客に不安を感じ始めていた頃 先行の赤字が少しずつ減る気配を
見せ始めてもいた…そして徐々に黒字化に向かい始めたのは
件の老客への挨拶に心が こもり始めた頃でも有ったろうか
しかし完全に黒字になった転換の日の事はD.I.Yショップだけで
なく通りの主だった者達も覚えている不思議な情景だった
B何時もは お天道様が真上に差し掛かる頃やって来ていた
彼の老客が其の日に限り開店の時間に合わせて入って来て
「新しい植木道具で猫の額の様な庭の花壇を整備してやるのだよ
…恥ずかし乍 古女房にプレゼントさ…」
何時もは独り言の様に無表情でブツブツ言っていた老客が
ほのかに微笑み言葉爽やかに話し様々な買い物を
して頂いた事にも支店長は感激していた
しかも帰る時は鼻歌まで唄って…
後に会長や商工会会頭に重任する巨大企業の一族副社長石島が大柄の
秘書を一人だけ伴って二つの傘を咲かせていたが雨は上がり
其の通りに並んだ列は名画座の入り口へ徐々に吸い込まれている
其の列の横を通り過ぎようとする手に買い物袋を下げた彼の老客と
並びの中の副社長とがすれ違いざまに笑った
昭和二十年結核療養中の学徒の時の其の副社長が焼夷弾を降らす敵機
に背を向け地下壕へも入らず黙々と自宅の庭に畑をつくっている
一年後 所々にバラックが建つ焼け野が原の林檎箱に座る友人へ
声をかける「戦争に負けても愛国心まで負けたわけではない軍部を
捨てても魂まで捨てたわけではない…此れからは更なる
国づくりで有る 其の為にも体力をつくらなければ成らんと思う
で天意により昨日の敵のペニシリンと是に命を救われたよ…はいっ」
持参の袋の中には山盛りの薩摩芋 近くでは歌声野外音楽会で
音楽師範らしき人がタクトを振り繕いの有る制服姿で おさげ髪の
女学生等に混じって片腕の復員兵が手に粗末な歌詞カードを持って
歌っている二人も後ろに参加し声を上げる
「いのち短し 恋せよ乙女 赤き唇 褪せぬ間に
熱き血潮の冷えぬ間に 明日の月日は ないもの♪…」
二人は復員兵に気付かれない様に彼の汚いリュックに
そっと芋を二本入れた
C丁度お天道様が真上に差し掛かった頃から店に客が増え始め…
今は混雑している…或る客は家族の為にリビングの壁一面に本棚を
造るのだと大工道具を…或る客は自宅の余計な木の枝だけでなく
隣近所の高齢者だけの家々の伸び過ぎた枝もやってやるのだと
伸び縮みのきく剪定バサミを…或る者は立ったまま使える
柄の長い塵取で家の前から周囲まで掃除してやるのだと
顔に書いて有るようだ…彼の日 通りの名画座は
黒田監督作品「つくる」の幾度めかの再上映初日だった
通りで働く者達も映画を観終えて帰路の途中に店々に立ち寄る
来客達も何時もの自身の顔より少し違うのを感じていたのか
陳列棚に商品を補充する元俳優の支店長が鼻歌で唄う
「♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪ いざ手をとりし 彼の船に
いざ燃ゆる 頬を君が頬に ♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪」
近所の診療所の非常勤代診医が其の陳列棚に端に並ぶ補充品の
サービス販売日用品のタウリン100mgドリンクを見つけて
「おっ…もっと頑張るか」と言うと後ろの妻が頬を染めた
其れを籠に入れて医師夫婦が照れ臭そうに鼻歌を歌う
「いのち短し 恋せよ乙女 波に漂う 舟の様に
君が柔手を ♪♪♪ ♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪」
通りのスピーカーから上映の音楽が流れている
「♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪ 褪せぬ間に
心のほのお 消えぬ間に 今日はふたたび 来ぬものを」
一首:目の前の 銀幕に居る 我が思い(下の句は各位御随意に)
件の(くだんの):前に述べた処の 上述の 例に触れ申し上げたの意
本文中の引用歌:与謝野鉄幹の同門文士 吉井勇「コンドラの唄」より
後書:金持ち貧乏に拘わらず真面目なる故 普遍の価値観を持たぬ
紛れ込みに因り不運を経験す場合有 例えば寝耳に水の部下の
不祥事で業界に必須の実力者が進んで無念の引退や騙すつもりで
地方の木っ端役人へ提出される悪意の書類を見抜けるは
天文学的偶然が必要と そうなる以前に如何に防御すべきか進化は?
……・・人の人生たかが120歳(平成47年〜平成57年の予測平均余命)
人それぞれだが心熱き今日に可能な事は出来る事はしておかねば…
D.I.Yを舞台をとの声が聞こえしか 戯曲を書く('06/3記'06/5掲載)
追記:何の為に盗み見るか原稿漏洩が見とめられるは不快で有る
…何が有っても掲載のペースを崩さぬが自己執筆自己html構築者
←←←←路地裏の魔女(29)ラストフライト→→→→
@日暮の機内 老人のイヤホーンから米国の軽音楽が流れている
「〜♪ムーンライトセレナーデ〜」
スチュワーデス「あのぅ お時間ですが」
老人「ぅううふぁあ・・・おっ…有り難う」
スチュワーデス「お薬の前の お茶菓子と お茶と服薬の お水です」
老人「ああ有り難う 有り難う」
少し若いやんちゃな老人達の1人が口火を切る「それは無いでしょう」
次々に「如何にも隊長殿 我々が付いているのですよ」「水臭いですな」
隊長「若い お嬢さんから起して貰った方が寝覚めがいいんだよ君達ぃ」
団体の次席がとりなす「其れに水臭さも美人から貰えば水香るですな」
そこに機内放送「ツンッ 左手 前方に良い月が御覧になれます ツンッ」
隊長の老人「あの時も美しい月が出ていたな・・・是が最期の慰霊行かな」
次席の老人「まだまだ かくしゃくとされているでは ないですか」
隊長の老人「次男が言うのだよ長旅は そろそろ控えた方が良いとね」
次席の老人「医者をやってるって息子さんですか・・・」
隊長の老人「数多の逸話が眠る慰霊碑を若者達が如何に祈って呉れ様か」
A小雪の降る日 市街地から遠く離れた丘の上の広い林檎園で
両親の手伝いをする少年の日の老人 寒さで手を摩り摩りしている
其処へ郵便局員が手紙を届けに来る「海軍さんがらで有りまず」
雪避けの頬かむりを取り腰を折る母親の髪に雪が積もっている
白い息と赤い頬っぺが はにかみ笑う 皆も笑顔で「おめでどう」
江田島から近隣へ休暇を楽しみに出かける黒々とした顔の級友達と
歩き乍 笑い内火艇で目だけ笑い路面電車の中で希望に満ち溢れている
半球屋根の建物から夫人と腕を組む米海軍士官とチェコ海軍士官が一緒
に出て来る目が合うと士官達と兵学生達は敬礼を交わし「ちゅらさゃ〜」
「ほぉじゃの」河畔の背低い草地に円陣で腰を落とし手拍子で歌っている
「♪いいじゃあ〜りませんか海兵は春の三月桜時 夕や〜みせまる太田川
互いに見合す顔と顔♪」其処へ地元出身の同期の華麗な親戚が矢がすり
の着物に はかまを履き髪の後は大きなリボンの いでたちで お茶を
入れた水筒と花チラシ寿司を詰めた重箱を持参すると…同期が礼を言う
「ご苦労さん♪じゃけん」背の方の産業奨励館から風なびき桜が吹雪く
青年時代の老人が顔を赤らめ うつむいたまま「どっ同期の桜じゃの〜」
と軽口を叩くと皆も「うんだ」と一斉に顔を真っ赤に下を向く
壮齢の頃の老人 家族に見送られて館山航空隊の待合所を出ようとす
「ああ其れと何があっても お母さんと離れ離れになってはいけないよ
君にも くれぐれも頼みましたよ子供達とは離れないように…」
「分かりました貴方この身に代えても子供達は守り通します…」
「お父さん敵を やっつけてね僕らの為にも…」
機内担当搭乗員が駆け足でやって来る「中佐殿 離陸命令がでました
荷物は自分が持ちますので お急ぎ下さい」
夜間行の為 真っ暗い中 飛び立つ輸送機
帽子を振り乍 次男が飛行機の方と思われる方角へ叫ぶ
「お父さん僕 絶対海軍軍人になれる様に勉強も頑張るからね〜」
B中佐が宿泊する旅館
中佐「ただいま戻った」
女将「お戻りなさいませ…あのう今夜は お食事を先になさいますか
お風呂を先になさいますか…」
中佐「女将 如何かしたのかなイツもらしくないぞ」
女将「いえ裏の お婆が良い魚を持って来て呉れたのものですから」
中佐「…何か話でも有るのかな魚は技術軍属の隊へ回して上げなさい」
女将「はい分かりました・・・・」
中佐「…お婆に言って下さい話しは聞くだけは聞きますからと」
座敷の縁側の手摺に手を掛けて空を望む中佐
横の お婆「中佐はん 其れで其の子の母は産後の肥立ちが悪くて…
でもね あの朝鮮ちゅうの父親は子供を母方の両親に見せる為に
わざわざ今の鹿児島の自宅から はるばるやって来たさ義理の両親に
孝行者だよ でも まさか米国の艦隊にぐるりと囲まれ 帰るに帰れなく
なってしまったさ …出来れば子供だけでも朝鮮とは言わないけどね
鹿児島の親戚の家へ帰してあげたいさ ここで男手で幼い子供を
どうにも出来ないさぁ イツ大掛かりな戦が始るか分からないからね
子供は軽いからさ どなたかの膝にでも乗せて貰えないものかね…と」
中佐「…相変らず お婆は突然やって来て難しい事を言いますな
其れに よく分かりましたね鹿屋行きの最期かも知れぬ飛行機の事…
しかし子供1人での旅 賛成出来ませんな この時世です私は反対です」
お婆「其処を何とか御願い出来ませんか」
中佐「いやで有る………離れ離れは いけません…絶対にいけません」
お婆「・・・・ふーっ」
中佐「誰か1人 次の鹿屋行き迄 降りて待って貰わねば さて誰に頼むか」
C親子を機に乗せる中佐「椅子に座ったらベルトを締めて
そっそう…上手いよ何か有ったら頭を低くして絶対に鹿屋に着くから
お父さんと何があっても離れ離れになってはいけないよ良し お利巧だ」
口を一文字に結びコクッと中佐の目を見て頭を下げる子供
中佐「これは鉄道切符です門司からの連絡船に乗り換える時には
こちらの食糧切符で食事と何か お子さんへ買って上げて下さい…
いやいや是は餞別代わりですから お礼は無用 ああ間違っても満州迄の
行過ぎには注意して下さい この切符は国境を越えては使えませんから」
両手を合わせている親子へ「では外で飛び立つのを見送りしますから
…全員が乗り込むのに もう少し掛りますからね」と機を出る
其処へトラックで やって来る搭乗者の技術軍属の一隊
会議を終え本土へ戻る同齢の佐官級軍属が敬礼し「美しい月夜ですな
戦陣に天を仰ぐ…か 今宵の月は どこはかとなく寂しげに見えますな」
礼を返し中佐「参りましたな今夜の月は美しすぎる是では輸送機は飛び
にくいな機影が見えたら米軍は空一面に落ちる迄一斉射撃ですからな」
軍属が出した恩賜の煙草を貰い火を着ける中佐「是くらい明るいと
煙草の火も変に気にしないで堂々と吸えるのも悪くないですな」
軍属「・・・・」中佐「まあ軽口も言っていられなく成るほどの戦闘が
直ぐ始りますから 精々今宵は最期の見送りをさせて貰いますよ…」
軍属「貴方に預ける私の部下に銃を持たせないでくださいよ視力が悪く
何を撃つか分かりませんからな…四男と言うだけで残すが技術は…」
中佐「国の宝 分かりました 今も さっそく紫電改の自動空戦フラップと
新しい排気タービンの調整方法を技術兵に再指導して貰っております」
軍属「間違っても国際法に則ったと言う避難船に乗せないで下さい」
中佐「分かっています偽装軍船だと偽情報の工作をしたスパイに操られ
米軍に疎開避難の対馬丸が沈められたらしいとの噂が有りますから…
制空海権を取戻す迄 此方で確りと預かっていますから御安心を…」
軍属「もしも我々が無事到着しなかったら靖国参拝の節は我等搭乗者
全員の名前を呼んで下さい出てきますから」
中佐「…あっ そう言う意味ですか…はははっ悪い冗談を言われる
離陸して暫らくの辛抱です名瀬から護衛機の迎えが来ますから御安心を」
其処に突然 西の空に弾幕を張る米艦隊群
中佐「特攻が今夜も沖の米艦へ突っ込んでいるのだろう おおっ
雨雲と硝煙弾雨で月が隠れたぞ今だ今なら飛ばせるぞ ささっ急いで」
軍属「機長っ離陸だ頼みますよ…(大声で)御武運を…」
中佐「(大声で)御武運を…同乗の親子も宜しく御願いする…」
敬礼する軍属の一隊と親子が乗った輸送機が離陸を始める
薄月の前空を見上げ帽子を手早く回し振る中佐の叫び
「我々が持ち堪えている間に半自動操縦装置を全自動に完成させて
くれよぉぉぉ…多くの命の特別攻撃をしなくて済むように…」
そして向きを変え西の散華の方へ最敬礼をする
「♪ あめ雨 ふれ降れ 母さんが 蛇の目で お迎え 嬉しいな
ピッチ ピッチ チャプ チャプ ラン ラン ラン ♪ オンマ〜ッ」
一首:あの山の向ふに見ゆる青ひ海 唄にも有るは林檎の気持ち
一首:今生きる萬出会いも運不運 照りも風も雨も緑声
一首:小鳥飛ぶ木にもとまらぬ空に溶け 琉球松 安芸もみじの夏
一首:在りとては見上ぐる程にゆうな花 気付きし香り蟻も涼みぬ
チェコ海軍士官:チェコやスイス等は海無き海軍を持ち川湖のみでなく
自国船の海上護衛や連絡調整の為に各国大使館に駐在武官がいた他国
の駐在官と家族ぐるみで自国が関る地や建物への旅行も平時に普通だった
オンマ:ハングル語の幼児言葉でお母さんの意 家族内では成人も使用す
問題:このラストフライトの後に路地裏の魔女K打電を後編と読めるか?
ヒント:是は路地裏の魔女K打電と同じくK中佐 近辺のドラマで有る
蛇足:本文を掲載以前に相変らず盗み読みする下衆の存在はネットの
普及率や小生の意欲を押し下げている原因の一つで有る
後書:2年間ボツ原稿にするしないと様々迷うも慰霊御幸に勇気得決断す
この沖縄戦初期 大掛かりな上陸戦が始る寸前 最期に離陸した飛行機は
この親子等を乗せ …無事 鹿屋飛行場に着陸した
そして当時の敵味方からも気付かれる事なく台湾から「カトンボ」と
揶揄された複葉観測機が小型爆弾を吊るし超低空飛行で夕暮過ぎに
2機の編隊特攻を奇しくも散華で遂げた日でも有った 総ての悲運に合掌
('05/7記)
|||| 最期の食事 ||||
@近くに鉄路も無い荒地の一本道に段々と聴こえ来る
重厚なディーゼルエンジンの音「シュッシュッキュルン
シュッ キュルン シュッ シュッ キュルン キュルン」
突然地鳴りの如く変わる音「キュルン ゴォォオオオオ」と
同時に空に響き渡る機銃音「ドッドッドッドッドッドッ」
道端に倒れし者から剥ぎ取ろうとしていた青龍刀や鉄砲を
手にした路盗軍の一隊が乗って来た馬を
さっと牽いて荒涼とした平原の凸凹へ隠れ各自
の本来の仕事場の農家や野良へ散って行く
其処に天に長く伸びるアンテナに日の丸・大隊旗・白旗
を上から順に掲げた2両の戦車と3台のトラックが停まる
「キュルン シューッ カタカタカタッ ギギーッ」「キキーッ」先頭の
97式単独改戦車の上から首に双眼鏡を下げた戦車長の若い少尉が
傍らの親子を確認し下りる後のトラックから老実な曹長も下りて
来る右手の短身の南部14年式乙型騎兵拳銃の銃口は空を向いている
「くそっ…もう少し生きていて呉れれば…」まだ体温を感じた少尉は
言い放ち曹長に見習い胸のホルダーより拳銃を抜き撃鉄を引き置く
曹長は片手で合掌し2人の下士官を呼んだ「そこに穴を掘ってくれ
伍長の班は着剣で周りを見て来てくれ」若い兵隊達は粛々と動いた
胸元に縫い付けてある名前等を書いた白い布を丁寧に外した…
拾って来た そこそこの石に名前等を刻み仲良く並べた2つの土饅頭
の上に置いた小さい方の石の裏には【・・が長男すこやかに育つも
初節句を迎える事も無く時の運これなく母の傍を青山とす】と隊長が特に
書き残した…誰か野花1輪を供えた…主だった者達は並び敬礼した
近くを歩哨していた警戒班も合図とともに戻り各自軽く墓に敬礼し
トラックに次々と飛び乗り戦車隊は急ぎ撤収を続けた
A最期の哨戒任務に出撃準備中の戦車中隊の車両不良の為に
優秀な機械科員の曹長を本隊から派遣して貰っている間に
戦争は終戦を迎え今は本隊の戦車大隊が所属する連隊へ
おそらくは最後に完全無傷で残ったで有ろう武装解除前の小隊規模
の車列は米英連合軍との約束の日迄の原隊復帰の途に有った
…本隊に合流 又は しかるべき官史に復員途中で
残された走り書きのメモと一緒に名前等の白い布を
渡すべきか…引揚者に喧伝革命分子を紛れ込ませなくする為に
戸籍の適切処置の為にも遺族に霊を弔ってもらう為にも
等と揺れる車上で隊長の中尉へ手話形式にて相談する若い少尉…
長女の方の捜索は状況的に諦めなければ成らないと分ってはいても
悲痛な思いが若い胸中を去来する親子の最期の数日…
若い母親は赤ちゃんを背中に背負い茶碗代わりの お茶碗
と箸を入れたハンゴウと水筒を両肩からハスに ぶら提げ
其れを両脇で抑え乍ござを手に もう3日も強行軍で有った…
…身も心も どん底のボロボロそのもので有る
小走りに走っては身を潜め小走りに走っては身を潜め
赤い夕陽の後に闇が迫ると短い草の上に敷いたござの上で星の
瞬きを見乍 眠りに就いても疲れ過ぎの中 寄る虫を払おうと直ぐ
目覚めるを繰り返すも赤ちゃんは寒暖の差が激しい時に あっても
肌と浴衣地おしめの間には揉み解した枯草をオムツ代わりにし
母の着物に包まれた安心感からかスヤスヤと夢の中…
…姉の方は一昨日 手放した
B街道から少し離れた農家の入り口
「アー ウンザリタネ 只デ食ベサス物ナンカ何モ ナイサ」
「…何も無いのです もう何も無いのです一握りの
コーリャンでも宜しいのです…お願い申します」
「何ッ コーリャン テモ イイダト 偉ソウニ 地ベタニ
頭テモ コスリツケテミナ…ヘッ家ジャ コーリャン ナンカ
作ラナイノサ…大麦サマ シカ作ラナイノサ」
「すみません お詫びします何でも致しますから…」と
言われた通りに頭を地べたに つけ平伏す若い母親
「ザマーナイネー…コノ子ハ幾ツダイ…」
「…4歳ですが…」
「コノ子ナラ買ッテヤルヨ モウ立派ナ働キ手ダ
…タカク 売レルカモ…」…
「・・・・・・・・」
「何ウロチョロシテンノサ」
「・・・・・・・・」
「サッサト国ヘ帰レッ目障リタ ホレッ ポケット ノ中ニ
大麦ハ チャント入レトイタカラ…此レ以上アンタ等ト
関リタキャーナイノサ サァア…帰レッ」
農家の出口の外へ強く押され「ピシャ」と戸を閉められる
泣きじゃくる幼い娘を振り切って走り出す若い母親に
漂う後ろ髪と後ろめたさに極まる悲愴感・・・
C黙々と進む母子 時々振り向き娘が追い掛けて
来てはいまいかと…そんな筈は無いと分かっていても
又 振り返る「(御免なさい赤ちゃんを助ける為に…
親子3人全滅するより今は…御免なさい…)」
…薄い大麦粥を親子2人すすった後 乳をねだる赤ちゃんへ
欠食で母乳が出ない おっぱいを吸わせる母親の無念の幾ばくか
片手に1杯分の大麦は既に無くなった
引揚げと言っても内地の親戚との手紙は途絶え
現地の人達に請われて異郷の地で指導開業していた歯科医の
夫へ終戦の日に手の平を返した その現地の暴徒に因って殺害
されし若い身空に親身になって助けてくれる者等は居ず各自
自分の事だけでも必死な数人の長期出張者や現地で新しく
家族に成った人達の小さな引揚げ集団で有った
とうとう背中の子供と2人だけ取り残された…
世界の何処にも寄る辺など無い事も気力を衰えさせていた
…前日の朝 水も無くなった翌日の昼下り
街道を先に行く誰かが落として呉れた紙袋を拾い
中を覗くと硬い胡麻パンの欠けらが少し残っていた…
路傍には薄紅色の花が咲く撫子の群落が風に揺れている
その風の音に紛れて近寄り取り囲む路盗軍の一隊…
…周りの気配で生への微かな希望が絶望へと変り
既に体力気力の灯火は消え様としていた親子2人に
遠く彼方より土ぼこりを上げて近付きつつ有った
最前線より戻る戦車隊の隊列に気付く余裕など有ろう筈が無い
…最期の気力を出し尽くして紙袋の中の物を口に含み柔らかくし
表情も無くなった赤ちゃんに口移しで最期の食事をさせた
いらかの なみと くものなみ
かさなる なみの なかぞらを
たちばな かおる あさかぜに
たかく およぐや こいのぼり
文部省唱歌「こいのぼり」より
一首:沈む陽に染まる大地と踏まれしも 誰も怨まず何も憎まず
受首:靖国で逢おうと誓った戦友と ついでではないあの親子とも
手話形式:騒音の激しい戦車内での会話は電話式・通信管式・黒板式
等が有るが地図や指令書や手紙類を前に手話式を当時進歩させた
*:(葬送の辞を)隊長が特別に書き残したものは小生の想像による
後書:何の主流か…普遍の価値観を持つ日本の世界の主流は混沌
混同に惑わされる事なく旧年の不幸も苦労したねと言える時が
新年で有るとスラリと心の切替が上手く行く年に成る事を祈る…
(軽)機関銃中隊や装甲車分隊の逸話など等 幾らも有る是からも
取材済みのストック原稿を掲載する しないは小生の自由で有る
('04/11記)
一首:不幸から這い上がりたや誰もかも そんな時代も過ぎれば歴史
番外首:三国史カスバ徐州カサブランカ 時も歩むや外人部隊
狂歌汎声:覗くれば双眼鏡に歴史もテロ支援本家の六十年も
独裁首:死なば神 日本文化知っているくせ 無理やり煽る国と友好?
_____ コラム・倭は日本に非ず ____
@尊敬する宮崎康平先生の邪馬台国島原説や九州北部説も
当然 近畿圏説も当らずと思考した場合 総ての歯車の錆が
取れ油が注され歴史が整合性を持ち回り始める例えば日本
と中国の公式国交は聖徳太子の時代迄 事実上なかったが
日本が倭の延長で有るとした場合 其れ迄の事にはズレが
多すぎる何故なら朝鮮半島との交易を続け中国との交易が
なかったとすれば日本は中国と長年に渡り紛争状態同然と
言う事に成る当時は互いに知る国の間には交易か戦かの
二つに一つが互いの立場を分からせる国際関係で在った為
A邪馬台国として馬祖神を船神の繋がりの一部延長線的に
思考し馬祖神が知られている時代より更に時代のズレを
調整可能なら台湾 又は台湾の中の一国及び周辺国を
抑えていた女王を卑弥呼だと出来るし歯車の噛み合せにも
無理がなくなる して黎明後期の大和朝廷に朝鮮半島より
嫁ぐと同様 倭国より大和朝廷へ姫が嫁ぐ事は熊襲や蝦夷や
南城(みなみぐすく)から姫を迎える事と然して変らずで有る
B倭寇と言うアジア版バイキングにても拠点を台湾とし黒潮に
続く対馬海流に流された海賊等が台風時等の主な隠れ避難所を
五島・平戸・唐津・馬渡島・志賀島・壱岐・対馬や済州島・朝鮮半島
海岸地帯等とし日本人の主体が海洋民族の末裔で有った事に
よる難破者救援の精神等により或時期から日本の一部地方の王や
豪族が倭の名を引き継いだと推測するは可能で有る自然科学的視点や
考古学的視点の本来の文学的歴史を無理なく読み終えられる
して其処に見えるモノは台湾が邪馬台国とした場合の海流に
乗り交易をする安定感で有る当時は風力より海流主体の海路が
出来ていたとするが より自然で有り海流間移動時等に人力等を
使用とする技術は完成されていた時代を遡った倭寇の乱以前
に書いたとされる魏志倭人伝の倭の国が日本とされる見方は
自然科学的には断定され得ない
Cして倭とは台湾 又は其の極一部と思考すると辻褄が歴然と合う
魏志倭人伝の倭の国を日本で有るとす前提を外す事により
更に自然科学的にも社会科学的にも解かり易い納得の道が生まれるが
万世一系の口伝と朝が変る度の勝者がつくる歴史書そのドチラに
整合性が有るかと特段の期待はしない世界の神話には先祖の英知を
未来に残すとの前提に立てば日本の場合皇紀元年の遥か数千年以前
に日本の土着人の先祖は例えば神話伝説の「いざなぎ」と思考されるを
筏船団長とする人々がインドネシア方面よりジャポニカ野生種米を持ち
(マレー半島から北上しブータン・チベット・モンゴル・中国・朝鮮半島
シベリア方面へ落着く群団ともフィリピン・台湾へ落着く群団とも別に)
…氷河期の終り頃に食糧となる大型哺乳動物を追い旧石器人が大陸と
地続きだった日本列島から氷河の残地域へと移動し…気候の急激な変化
により地殻変動も激しく大陸と列島を繋いでいた氷も切り離されたり
沈む多くの島とは逆に霞の間に火山の小島が幾つも吹き上がり出現した
南西諸島・九州南部・四国・近畿・関東へ上陸し筏船団長の一族が中心の
大和を築き一族とは別の支族郎党が日本各地より朝鮮半島へ渡る群れや
黒潮に乗り南北米の種族の一部として土着したり又は先住と混血し行く
群れが思考される其れより以後フィリピン・台湾・シベリア・樺太や
朝鮮半島経由で北海道や九州へ渡って来る人々を弥生の渡来人と呼称す
この縄文期以後は誰も以前から理解の通りで有るが それ以前を石器時代
と一口に言わず歌や口伝継承が残る日本と日本以外の外国も含め
歴史として並行させる神話期と名づけるを提唱す
後書:インドネシアと日本が神々の島々と言われるのも皇紀を共有する
のも何の不思議もないとコラム執筆の途で理解す成り…例えばエジプト
ピラミッドの採光窓・英国のストーンヘッジ・古代南北アメリカ・縄文期
日本や世界各地に残る石遺構等に於ける暦の礎や古代人と旧石器人の
DNAの研究が進むと このコラムに書き記し事が証明されるで有ろう歴史を
此れ迄 記憶し黎明期土着の古代神話も今では自然科学的に其の表現力を
判断可能成りて…我々が知るより数千年上った点より下る此れが近未来の
日本の世界の内容深く濃い一万年の歴史教育と偲び神話を侮れないを悟る
('04/4記)
余興26:当時の文章文字と密集都市・技術に於いて4大文明と呼ぶ…されば
文章文字なく人口少なくも日々に必須な数の数え方と太陽の高長を読むは
文化文明の発祥とすは一松流の緩やかな自由連合の第二文化文明論とす
注:コラムにて態々四コマにコマ分けの必要なし意味のない遊び心なり
♪ももたろさん ももたろさん お腰につけたキビ団子 一つ私に下さいな
あーげましょう あげましょう これから鬼の征伐に ついて来るなら
あげましょう♪…童謡「桃太郎」より桃太郎伝説の歌とす百人を維持可能
な水代わりの果物と雑穀等の食糧持参の兵を従えた王子が弓矢の上手い
キジ羽根部隊と犬並に足の速い伝令部隊と猿の様に木上からでも石投げの
上手い投石部隊を途中から更に従え吉備の敵陣へ向かい平定した神話とし
歴史は弥生時代から縄文時代へと時代を遡る事も有り得ると小生は思考す
追記:鬼は中国語漢字で髑髏(ドクロ)の意だが日本語漢字では主に敵の意
例えば氏の鬼塚姓は「敵も死なば神」の日本海洋精神に法り敵の将兵の墓
を守った人々の末裔を意す 鬼頭は誉れ高き元敵将の家系の姓にて他に
勇猛・強い・精魂・死魂・無慈悲人間・地獄の番人等良き意も悪しき意も有り
諸辞書も色々な人が執筆編集に加わり作りし物うっかりも工作的なものも
間違いは少なくなし更に電子辞書の普及でより単純なミスも増えるを憂う
追追記:日本の古語で男に対した「ぎ」の意を持った「いざなぎ」と女に対した
「み」の意を持った「いざなみ」の文化より始り大王諸王と雑兵庶民・敵味方
・善と悪・有名王と無名の王・高名な賢者と無名の下人・有名下人無名大人・
悪しき有名と正しき平凡等々が造りし歴史は一松流に於いては停流無風の
動かざる海をも勇気を以って越えた「いざなぎ」と熱心を以って波を切った
「いざなみ」の如く男は男らしく女は女らしく此れからは総ての個人が歴史を
残す・・・考古学文学は自然科学と並行し進歩す度に本流に戻るを納得す
一首:古を 覗く我等の 年輪を 誰かが覗く平安あれと
一首:シバ神も マリア様とも マホメッドも 我等が仏陀も穏か望む
一首:それにても じっと我が手をば 見つむると 神仏にも腹の虫泣く
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しんせつ餅屋は餅屋
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( 再掲載 )
@シャッターを少し降ろした店先
「カッタン ぺッタン カッタン ペッタン」
「今晩は。・・何方かいらっしゃいますか。鬼塚餅店の方・・・・。
あのー未だ宜しいですか。」
「はーい。あっ、いいですよ、どうぞ。・・お入り下さい。」
「その先の横丁を入った富士見荘の佐藤と申します。
この餅米でお願い出来ますか。1升だけでお恥ずかしいのですが
一応洗って有りますのよ。」
「はい分かりました。一寸お待ち下さい。」
「はい。」
「あんた。どうしよう。」
「ほー今時、珍しいな。持ち込みか。・・よしっ。俺が相手しよう。
この蒸篭分は、8合鏡と1升鏡の店出し用だ。後、頼む。」
「あいよっ。」
「いらっしゃいやせ。どうゆう風に仕上げやしょうか。」
「今晩は。・・・・小さな鏡餅1供えと、出来れば他に仏壇、神棚、
お勝手、それに玄関・・・・。」
「えー、するってえと鏡餅1供えと供え餅4供えで宜しいんで。」
「1升で出来ますでしょうか。」
「お任せ下さい。何なら、全部のサイズも任せて頂けりゃ。雑煮用
の小餅もこしらえて置きやしょうか。」
「えーっ。出来ますの。一升で。」
「商売でござんす。・・決まった手間賃は頂やすが
小さくてもきちんとした物をこしらえさせて貰いやす。」
「あー良かったわ。御免なさいね、こんなにも遅くに、・・・・
私、この街に最近越して来たばかりで。しかも引越し疲れで
入院してしまったものだから街に不慣れで、病院から今日
戻って来るのにも迷う始末なの。しかも、動きが鈍くて。
餅米買って、洗ってとしていたら、こんな時間になってしまって。
・・・・言訳ばかりで御免なさい。」
「時間の事何ざ、お気になさらないで・・・・。今時は、メーカーからの
出来合いか、正月用でも事前にこちらで作ったものを買って頂く
のが多くなりやした。勿論注文は、有るんでやすが、総て
こちら任せが一般的に成ってきやした。本来、持ち込みの米を
こうやって、お客様の代わりに深夜まで、私共が搗くのが年の瀬の
何て言うか・・・・。皆様と一緒に正月の準備をさせて頂くもの
でしたが・・・・忘れかけていたものを思い出させて頂やして
有り難う御座いやす。あっ、処で。失礼でやすが。あんこは、
如何でやす。」
「お幾らですか。」
「いえっ。食事制限何ぞ有りますんでと聞こうとしたんで・・・・。」
「まあっ、私とした事が・・・・塩分と脂肪以外は、特に有りません
のよ。只、予算の都合も有りますから。」
「・・・・ご家族様は、何人様で。」
「二人です。私と・・・・仏壇の主人と二人です。」
「・・そうでやしたか。・・分かりやした。では、明日の日暮までには
仕上げさせて頂きやす。」
「あのー・・」
「あっ。お代は、えー今年は未だ11年だから1升で丁度1000円の
決まりになっとりやすが、宜しゅう御座いやすか。」
A次の日の夕暮れ
「それに数は数えてませんが丸小餅と延べ切り餅。
こっちゃ、あんこを入れときやした。残り物のあんこで
済みやせんが、あんことお届けは、大晦日最後のお客様への
サービスと決やっとりやすんもんで。」
「まあ、大福。」
「大福じゃ御座んせん。近頃は、パンメーカー製造の物や小売
専門の菓子店さん等では大福と言っている様ですが。
うちは、餅屋でやす。餅屋では、昔よりチカラモチと言いやして
杵搗き餅には、神霊宿ると申しやす。だから、あんこを入れた物
も只のあんこ餅と言っとりやす。」
「成る程。この歳で初めて聞く事も有るのですね。有り難う。
有り難う。」
「あっ、いやっ。トンでもねえ。口幅ったい事申しやして・・・・。
おいっ。このトロ箱を佐藤様のお宅迄、佐藤様と一緒に付いて
行って届けて来てくれ。」
「あいよっ。」
「有り難う御座いやした。もし満足して頂ける様でしたら
又、来年のお越しを決っとお待ちしておりやす。・・良い年を。」
御主人様にもと言おうとしてうつむく餅屋
B白い息を切らし乍ら帰ってくる女房
「あんた、あれどう見たって1升じゃないよ。それに大晦日最後の
サービスって何時始めたんだい。」
「せえなっ。だからどうするってぇんだ。餅屋は餅屋。膨らませる
のが商売でえ。・・それよりお客様にばれなかったろうな。」
「何、言ってんのさ。あたしゃ餅屋の女房だよ。分かっていたから
黙ってキチンとお供えして来たさ。只ね、あたしも大晦日最後の
お届けしたお客様への餅屋の風習だからって、仏壇に鏡餅用の
橙とお供え餅用の伊木力みかんをお供えして来たよ。」
「・・・・・・・・。」
「でも、佐藤様に話しても得したと喜んだろうに。」
「大袈裟な馬鹿言ぃやがれ。そんなお客様じゃねえや。
出過ぎた押付けゃいけね。穏やかなお年寄りにゃ、恩着せがましい
こたしねえってのが世間の常識じゃねえか。自然を越えた事
言っちまったら正月が台無しでぇ恥ずかしい事言ぅんじゃねえ。
お客様が驚いて喉に餅を詰めらせっちまうぜ注意しろい。」
C一枚降ろしたシャッターには日の丸に迎春のポスター風貼紙
「あんたー。年越さないうちに、そば食べようよ。・・延びちまうよ。」
「おう、ご苦労様・・・・もうちっとやらしてくれ。」
木枯しに舞い上がる朽ちた傍らの草が軒下の小さなしめ縄に当たる
何故か、何時もより明るく漏れている店先へ
奥のTVより聞こえてくる除夜の鐘
綺麗な天空の気に冴え渡る月光
手の切れる様な水にも苦にならないで
黙々と大掃除している餅屋
恒例の正月用の重たい新聞を運ぶトラックが横を駆け抜けて行く
何処かで「カッチッ カッチッ」と火の用心の拍子木が鳴っている
店の神棚には小みかん無しの小さな供え餅 狭いが温かい居間では、
女房がポンコツパソコンの顧客名簿に富士見荘・佐藤様御夫妻と打ち終え
海外からのTV中継を観ている
そしてもう一つの器の中味が延び切ってしまうと心配し乍ら
ネギがのっただけの年越しそばを食べ始める
この正月だけは部屋の鏡餅は
残りものの丸小餅を二つ重ねたものに代わっている だが家中に
八百万の神々の笑い顔が充満しているのに女房は気付かなかった
一首:気は心 道がともし日 いつの代も 残りものにも ふふっ福きたる
大福餅:餡子菓子包を餅米粉又は屑餅米で包み吹かした餡子餅の代用物
('01/11更新)
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路地裏の魔女V・コイン
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( 再掲載 )
パリ 枯れ葉散るリュクサンブール公園 ベンチ 気難しそうな婦人が一人
横に建つ原型ブロンズ像に話し掛けている
界隈を通り過ぎる急ぎ足の人々は老人の戯言と誰も気に留めない
「ウィウィ確かに私ゃあんたの分身の様に世界の多くから尊敬されて
いないよ でもね私とあんたは何時も同じ流れを見て来たのさ
少しやり方が違っただけさ だから私にゃ分かるのさ何れあんたも
忘れ去られるのさ」
「・・・・・」
「・・残りの話 何処までだったっけね あっそうだ二度目の世界大戦が
この欧州から始まる前夜の上海だったね 後に色々と有名な紛争秘話が
世界のあちこちで語られるが 此れも五万と有る忘れ去られた小さな話の
一つさね 私ゃ私なりに例えばあんたの横顔に良く似たコインに・・」
「・・・・・」
「私ゃ騒然として来た気配に魅力を感じなくなって早々と旅を切上げ様と
荷を纏めていた日 私の従姉が其の大佐の下宿先のマダムにフランス刺繍
を教えていた縁で 私も大佐の部下の送別会に出席したんだよ ええ
洋の東西別れてっのは自分の事じゃ無くても心寂しいね と言いたい所
だけど 日本の軍人にしちゃ面白い人達だったね」
「・・・・・」
「えっ そこ迄は昨日話したっ・・あーらそう 其の先は・・
A
租界の陸軍司令部司令官室
「銃の盗難が遭った様だが・・苦力に混じって混沌を煽る輩との関連報告が
来ているが どうか」
「ハッ 社会の混乱を段々に拡大させる作戦の第三段階だと言う事迄は
掴んでいるので有りますが 目下内偵中で有ります」
「・・そうか急いでくれ 港湾監理・老板会の董事長からも安全業務を
保障しろと やいのやいのの催促だ・・所で例の独領事や武官からも
リストの作成と行動の規制をと言って来ておる件だが・・日本人地区には
来ておらんのか」
「閣下 それは米人地区か露人街等に住む者達が偶々日本人地区に
所用で来ていたのでしょう」
「大佐 海軍を信じない訳では無いが ここは一応自分の目で視察の
要有りだな・・・・一応」
「ハッ では明日お供を・・」
「先の大戦で戦ったわしの九死に一生の交戦相手は後に独陸軍の優秀な
勲章者の大尉だと知った・・そして今 独で何が起きているのか解り難い
何に理が有り何に非が有るのか誰が漁夫の利を獲るのか・・あっ失敬
此れはわしの独り言だよ 確かに今の独国防軍は信ずるに足りる
我友軍なのだが ・・手間を掛ける 明日中に確認して独武官へ打電
せにゃならん(それにつけてもユーゲントの政治将校は鼻に付くわい)」
「・・では自分は戻りますので失礼します」
部屋を出て急ぎ裏通りの海軍特務機関の在る小さな海運会社へ向かう
一番奥の部屋
「(困った時間が無い急がねば)」
「コンコンッ 副支配人・・自分であります」
「二番番頭か入れっ」
「ギィー」
「どうした何かあったか」
「ハッ いいえ愈愈明日日本への帰途に就きますので暇乞いに参りました」
「おー そうだったな」
其の時遠くの日本寺の鐘が聴えて来る「ゴーン〜」
「五時か丁度今 兵役が解けたな・・この難しい時局に能く奉公してくれた
礼を言う おっそれから推薦していた君の昇進だが間に合ったな
星が三つに増えたよ お目出とう退役大尉 葉巻でもどうだ」
「ハッ 有難う御座います ・・恐縮です シュッ・・美味いっ」
「此れからどうするのかね新聞社へ戻るのか 君は若いから心配は無用か」
「自分は除隊後 郷里の長崎で妻を娶って浦上地区に在る鉄砲廠下請けの
銃身工場の共同経営者にどうかとの話が有りまして・・」
「そうか妻を娶るか君も落着くか・・段々と雲行きが怪しく成って
来ているから 私に出来る事が有れば何なりと言ってくれ」
「ハッ 有難う御座います 長崎は天然の要害で有ります それに
不沈艦二番艦の造船が始まっている強力な兵器廠の軍港で有ります
・・それに景気も悪くなさそうです で有りますから心配は有りません」
「例の二番艦の話は秘密事項なのだが」
「自分は大佐殿付の特務副官で有ります それに長崎では誰でも知ってる
秘密の造船で有ります」
「ハッハッハッ誰でも知っている秘密かそりゃいいや ・・おいっ所で君は
白系パレスチナ人の事を如何思うかね」
「・・・・」
「気にするこたねぇ上官じゃなく只の俺らに話してんだよ それに今君は
一介の民間人だーね」
「・・パレスチナ・・色々の民族が仲良く暮らす国際管理の雑居地ですね
もし神戸や横浜に外人が居なかったら神戸でも横浜でも有りません
自分は明治維新を開き報われる事無く歴史の陰になった尊王開国派志士
の孫として長崎に生まれた者で有りますから・・」
「ハハッ参ったよ相変わらず君のは技有り一本だね じゃ一寸耳を・・
B
丸い藍色レンズの眼鏡・中山服装の白髪のバイオリニストのシャンソンが
ゆっくりと ゆっくりとスウィングし始まると・…
一夜の恋人達の会話は止んだ 妖艶な女達も呑んだくれの
各国の水夫達もメロディーに我が身の運命を静かに重ね合せている・・
其のカフェの二階 海に面した安ホテルの一室・大佐の部屋
「ラビ殿 明日の日暮迄に全員日本人地区を離れてもらいます」
「我々に何処へ行けと言うのですか艱難辛苦やっとこの地に着いて
見つけたばかりの仮とは言え安寧を得ているのですよ
皆疲れきっています 他の租界地区ももう一杯なのです」
「・・査証の収得状況は如何ですか」
「約半数が米国領事より頂きました」
「そうですか では後は」
「米国行きの船が出るのは来月です それ迄に残りを・・もう暫く此所に
居てはいけませんか租界の外では我々の命は三日と持ちません」
「残念ですが時間が有りません」
「どうすれば・・ 私一人の命なら何時でも差し上げます・・だから・・」
「もし良かったら明日の夕暮れ時に長崎へ戻る船が有るのですが」
「・・・・でも我々の同行の者達の中には逆に長崎経由で此所に来た者も
居るのですよ それに査証が」
「長崎に着いたら其の場で仮上陸の許可を貰えるように手配して
おきました 其の後米国へ着く頃には全員査証無しで上陸出来る様に
成っているでしょう 敵対性国人も味方もなしにラビ殿達の為に
働いている米国人から直接聞いた話ですから それに『何時の代も希望は
総ての民族に脈々と繋がっている』とはラビ殿の御言葉ですよ」
「おおっ素晴らしい 主・エホバよ」
「明日17時に全員あの桟橋で乗船します」と窓のカーテンを少し開ける
「貴方は大予言者・イザヤの様にもう御見通しなのですね 感謝します」
「乗船迄決して陸軍憲兵に見つからない様願います 相手が下級兵でも
私には手も足も出ませんので あっそれからこのコイン ここのマダム
から良く叶うと頂いたのですが お別れの記念に貰って下さい」と
指ではじく「ピィーン」
桟橋近くの路地裏
「あのー 火を貸して貰えませんか・・調達屋さんですか」
「愛の言葉は2人で1人分の料金です」
「シャローン 宜しく 宜しく御願いします」
「此方こそ名誉有る支援に参加させて貰い光栄です 新米の船長ですが
宜しく・・此れで全員ですか」
「ハイ」
「荷物は・・」
「此れで全員の全財産です」
「・・・・」
「どうすれば」
「あっハイっそれでは自分が先に行きますから女・子供を挟んで3〜4人の
班に別れ 5分毎にこの腕時計を後に回し乍ら あの煙突にマークが
入った雑貨船へ乗り込んで下さい 海に落ちない様に注意して下さい」
木の扉を閉めた丸窓と進行方向に大きな時計の有る船室
「明日は我々の特別な安息日なのです
特例を除いて自分の所有物以外に居る事を許されないのですが・・」
ニヤニヤ笑う大尉「そうですか・・では」
そこに伝声管より「船長時間が有りません出帆します」
「よしっ微速前進もといっ半速前進」
「チリンッチリンッ 半速前進 宜候」船体がググッと右にぶれる
「おっと・・ではこうして頂けませんか 貴方の其の胸のポケットに
コインが入っていたら 安息が始まる時間にそれでこの船を買って下さい
日本に着いたらそのコインで私が船を買い戻しますから」
「ハハハッ大佐から」
「貴方がたの伝統有る文明は聞いております 筋書きは総て大佐から・・
そして長崎で船を乗換え神戸迄そこでペルー行きへ又乗換え そこからは
貴方がたの同胞の指示に従って下さい ほぼ手配は済んでいます
それから大佐からの伝言です『こんな状態が続いた歴史は有りません
何れ世界の混乱が治まる日が来ると信じます 今度はゆっくりと
御囲碁でも御手合わせ願います』との事です
「おおっ素晴らしい 貴方がたはまるでモーゼの様に この短い時間で・・
私はこの船のマークを見た時に感じ始めていたのですが今はっきり
しました この船は我々にとって海より出でし希望のダビデの星
其の物なのです」トランクの中の服の胸に残る縫い跡の六角星に手を
当てて「我ダビデの星3つを ・・各3つの角を互いに合わせて行くと・・・・」
「おおっ神様仏様・・スリー・ダイヤモンドだ」
感極まり咽ぶ2人
C
「女神リバティ如何だい私のコインの魔法は・・」
「・・・・・」
「所であんたの分身は米国の独立100周年記念でニューヨークへ贈られた
事は有名だね それからもう一つお寺と教会の鐘の音心地よく混じる長崎
其の港を見下ろす様に聳える大浦天主堂の玄関に建つ小さな聖母像は
明治維新に約二百数十年ぶりに多数の死の弾圧に耐え名乗り出た
隠れキリシタンの奇跡に同じく仏国より贈られたもの それも有名なの」
「・・・・・」
「何そんな話より大佐はどうなったかって その先ゃ話たくないね・・
夕陽を背に2台のサイドカーに先導された車列が埠頭にやって来る
車から降りる司令官「ガチャ」
殆ど同時に先頭の車から何時もの私服姿の大佐が降りる「ガチャ」
「やはり何処にも居なかったな大佐・・」
「ハッその様です ・・閣下 丁度あの三菱の徴用船で自分の副官だった
退役大尉が日本へ戻って行く所です」と囁き船に帽子を振る
司令官の足下から薄靄が掛かり始める
「・・そうか さらば(無事を祈る)」と言って葉巻を左手に持ち替え
姿勢を正し出船へ挙手の最敬礼をする老兵
それ程遠くないトラックの幌の隙間から覗き見ている3人
「同志あの偉そうな葉巻吸っている日帝の鬼の隣のカンカン帽がいい」
「どうせなら日帝の鬼の方がいい」
「そうだそうだ」
「嫌 駄目だあいつを殺ったら後が大変だ俺達が逃げ切れない 将軍の隣の
民間人なら 港で大衆が日帝の鬼に惨殺され始めたと噂が立つ
・・・おいっ発車準備しておけ」
「ハォ」
96式銃を構える同志 足で荷台を蹴る「トントンッ」
トラックの運転手がエンジンの手動ペダルを回す
「キュルルン キュルル キュルルルル ダッダッダッダッッダッッッ」
撃鉄を引き 引き金に指が掛かる「・・・」
「ボォー〜」
船の汽笛に重なりまるでバックファイヤーかパンク音の様に変る銃声
「パーン」
一首:渦を巻き 鎌首もたぐ 風雲急 総て飲み干し 歴史が「ゲップ」
('00/9記)
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