(8)<br> 不知火 & 路地裏の魔女(35)女神戦争<br> & 水枕 & 宇宙軍2099 & 四国河童守三郎 & 千年会議準備憲章<br> (8)
不知火 & 路地裏の魔女(35)女神戦争
& 水枕 & 宇宙軍2099 & 四国河童守三郎 & 千年会議準備憲章





不知火  
''бδб 街のシラヌイ δбδ''
( 再掲載 )

木枯し寒く 深帽子の初老
黙して街頭を清掃す
投げ捨てられし缶 酔っ払いの小便
犬の糞 煙草の吸い殻 ポリ袋 ・・・
若きアルバイトは汚い仕事だと
若者の街へ行くと一日で消えた

若者の街と 老人の村と誰が決めた
都会の駅前広場も 里山へのバス道も
国中を掃除しているのだ
消えていた街灯は目を覚まして呟く如く
・・だから綺麗な仕事だと
  小さな街灯はパッと黄昏を照らす

外套の襟を立て通りを急ぎし人
何に急かされているのか
人生を急ぐように
誰も街灯を見上げようともしない
それでも街灯は灯る
本分は駸駸と 人生は慢慢でと

なくしものが届いた日
我に返り家路に就く
いつもの通りは深深と更けゆく
独り ふと立ち止まる
ショーウインドウに街灯が
浮かぶ













一首:がいとうを 心に灯す 募金箱 小さき気持ち 熱き寒晴れ
一句:真夜中の 廊下を廻る 手にライト
一句:おやすみと 風花降りて 始発待つ
一首:通り過ぎ 又戻ろうか 初詣 恋人達の献血記念
一句:くじを引き 浮かぶ瀬もあれ とまりぎに

後書:不知火も吉凶も心のあり様で見え方が決まる
  浮世も見方に因ってはと幸を求めた一年の小作品群で在ったが
まだまだ言わなければ書かなければとの気持ちは廃れぬ
皆様 此れからも互いに少し頑張りませう
('00/12記)





























〜〜〜〜 路地裏の魔女(35)女神戦争 〜〜〜〜


@港南口 突端の船番所横の海 灯篭付近へ やって来る老人達
髪の少ない隠居髷(まげ)では一見して皆の身分は分らないが中に
身奇麗な褐色の肌や赤みを帯びた白い肌の髷が居て実力隠居の一団と解る
片手に水菓子を入れた籠を持つ連れの美しい手伝いの娘 千代の後を追い
皆の弁当と釣竿を両手に持つ元服近い若き侍が後ろから問う
「爺様達 この辺は難破船の多か所ね」
「な〜してね貴八郎」
「水と火の石(石炭)ば沖売りしとる薩摩兵児どんがプロイセンの水夫さんから
長崎の港口付近は恐ろしか魔女ローレライの岩礁に似とるけん港に
入って来られんって言うたって…丸山界隈で もっぱらの噂らしかですばい」
「知っちょるっ余計か噂たい・・そいに よう分からんばってん鳴滝塾の
宮原医生さんの話じゃローレライは河の魔女やけん心配は要らんて・・」
「流石に南宋王族の末裔と言われて几帳面やね〜シーボルト先生の門下生〜」
「♪薩摩の甘藷に耐えかねて青白きかなジャガタライモよ〜…うぐっ…みっ」
「トンットンッ…な〜んば おぬしまで青白うなって…ほいっ命の水たい」
「今じゃ賄(まかな)い稼ぎと万国友好の為にと幕府が やり辛いこつば薩摩が
代わりにする言うて薩摩海防備隊が居座って密貿易でん やり放題ばい」
「そりゃ密貿易じゃ港にゃ入って来られんやろうたい…お宝を持っとっても」
「そぎゃんこつ言えば清とも国交は無かとに御奉行が朱印ば捺した割符ば
清の商人へ渡しとるけんね…京方の知らん密貿易は武家方の知る交易…」
話に上の空の千代が足下を見ている「…何んやろう・…」
「…あん人達ゃ野郎隊♪あん頃チカラみなぎる おい達ゃ節度ば持っとった」
「琉球の那覇と肥前の長崎は薩摩の領地と見まがう程だと もっぱらの噂たい」
「いっそ八百余州薩摩領になれば全部 密貿易で開国ですたい…いゃ悪か冗談」
「くっ只でさえ むつかけしい薩摩っぽが徒党を組んで あの声でギャハハッと
くりゃ寄合の月乃家や京屋ん おなごでん無くっとも嫌がるや・ろ・う・た・い」
「長崎ぃ〜♪名物ぅ〜旗揚げ裏山吹ぶき〜
ようかおなごに惚れて江戸の風吹きゃ紙風船は沖の島流し〜
ばってん目に付く尉きな遠山の〜桜ぱっと散らして馬道ふさぎ〜
おつな陸(おか)の小島へ長崎街道〜惚れもする風流人の道に何流す〜♪」
「がっはっはっはっあんまし大きか声で言えんげど 琉球も長崎も どっちも
商人(あきんど)会所の大人(たいじん)集や乙名(おとな)集が
一番の実力者ばい こいが本当の話したい」
「くっなんが小さか声か…ばってん中之村の御隠居殿…ここいらは不思議に
オランダ船も三千石の南下北前船も潮や風に煽られ難破したり…」
足下の水面下に蟹が戯れている・・良く見ると何か沈んでいる先日の台風で
海底まで掻き回されて浅瀬に寄って来たのだろうか…女神の像である
「ほら あん頃は色々有ったばいね…四昔くらい前やろうか」

おりしも時代は英国人の豪商グラバーが中継地 喜望峰でアジアへの風を待ち
国境と通商の為 皇帝の国書を携えたプチャーチン提督率いるロシア艦隊が
サンクトペテルブルクのクロンシュタット港を出て喜望峰を回り長崎へ向い
沖合いの小島や那覇の港 それに小笠原諸島へも捕鯨船が水や石炭の確保に
上陸を始めた米国はペリー提督の全権団にバージニアのノーフォーク港を
出港させ同じ喜望峰回りで米国東インド艦隊と合流し江戸へ快走している頃
英国フランス等の列強艦船は長崎沖で貿易等の洋上取引を既に開始し
肥前国に少なくない長崎の深堀地侍子孫とルーツを同じくする江戸千葉分家
道場で土佐の竜馬が剣術や学問に汗を流し 以後様々な世界で使われる基本の
方角世界地図を描いた黒田家蘭学指南の永井青崖の門人として勝蘭学塾塾長
兼務で諸藩の大砲鋳造を商いで請け負っていた勝海舟は未だ幕府では無役で
西国諸大名が屋敷を構え桑名が勤番を仙台や福島藩が御用商人を置く長崎に
幕府の法度の枠ギリギリで才能と志のある浪士や農町民が世間に絡み付く
嫉妬心の紛れ込みに気付かぬまま遊学に勤(いそ)しんでいた

A英国思慮王ジョージ三世の全肌色奴隷禁止の号令を受け漕ぎ手 奴隷の涙の
代わりに蒸気タービンエンジン外輪船黎明期の蒸気釜ピストンクランク式
動力フィン船が世界の海に向け産声の産業革命の海序章が憤怒の唸りを発し
一夜に花を咲かせる如くに世界の海路を包み始めた時代に少しさかのぼる…

…長崎の外港に点在する遠見番所すら見逃す程の濃霧が続いた日の朝
近づく不審の外国船団…外海を一望す港西口の小高位置の物見地番所
番目付の小庄屋 西之首兵衛が見つけ狼煙を上げるも連らる艦砲の備え等を
伝えるために物頭大番所へ早舟を走らした・…
港の沖合いに現れた船尾に2枚ピストンフィンを持つ快帆走フリゲート艦隊
大きな旗艦と3本柱4張り帆の一つに三日月が描かれた巨大なダウ艦が1隻
伴走艦2隻 それに小型の通報コルベット高速帆走艦 其の高速艦に
乗っている海軍士官の手に用意されていた長崎総督(奉行)閣下宛の手紙…
『…オランダ本国は我がフランスと併合した よって貴国のオランダ人
居留地 出島のオランダ国旗の掲揚を止めるべし云々…』

出島前に繋留されているは一部破損で故障している旧式ガレオン商船一隻

昼下がり大社格の総社では鎮西護国平安の祈願祭が催され太鼓の音が周りに
響き渡っている近くの立山にある奉行所に奉行・目付・船手与力・西国蔵代官と
近隣藩より遊学と港番を兼ね出向中の備え十人組頭が港の見える部屋に居た
船手与力「フランス艦隊から こちらへ1度に向けられる砲が96門でござる」
奉行「それで如何しても戦しかないのか・…」
奉行用人「されば御奉行宛に戦してでも旗を降ろさすと言って来ております」
奉行「ふ〜っ・…・…・…・…・…致し方あるまい」
目付「それで こちらの対応は先ず物見を要所要所へ配し木戸の封鎖と
武器弾薬の改め それから…支援の取り付けにと根回しの書状を この場で
書いて頂く・・拙者の書状は早飛脚で 江戸表の大目付様を経て若年寄様へ
西御奉行殿の書状は海路 船飛脚にて江戸在府の東御奉行 曲渕甲斐守殿を
経て御老中様へ 十人組の各々方の書状は隠密裏に主家を通じ内裏出入りの
御公家集など各位へ火急の事とて まとめ飛脚取扱い掛かり候へ(そうらえ)」

一夜明けた出島
大通詞 本木庄左衛門「カピタン殿このフランス語の翻訳を御検視頂きたい」
『口上書 我が国は今尚オランダと限定通商関係を持つにより
国交無き貴国よりの要望は叶えられない 長崎に在する国保護下の総ての
オランダ人等外国人は其の他の国の何人とも如何なる交わりをば持つを禁ず
明朝までに この地を離れられよ此れ以上港へ近づきまかり成らん』云々
と日本語とオランダ語で それに翻訳フランス語の書状を添付してある
暫くし外港の船番所前に繋留された通報コルベット艦で待つ
フランス海軍大尉へ手渡す徒目付と小人(こびと)目付連れの船手与力…

昼前の出島旗広場天幕の中
奉行土屋紀伊守と家来 目付遠山左衛門之尉と配下 船手与力松崎内調所助
西国蔵代官 高木作右衛門 防備備えの十人組の組頭兼通詞など諸役 役頭同心
  大通詞 長崎会所(商工ギルド)の乙名集と町役人頭取 町目付集 名主・庄屋集
キャピタン ヘンドリック・ドゥーフ 副館長兼蔵役ヤン・コック・プロンホフ
次席医務官 ドクトル・マースや副官通訳等が各々のスタイルで座っている
奉行「…常備番1200町年寄差配の兵児が800と主水400 代官差配の地侍組で50
十人組他長崎番45目付配下と東西奉行家来配下250で2745人か勝負になるか
ここは常策通り近隣諸藩より32000は入り用・…なんとするか…」
目付「西国諸大名へ早馬で伝え備え駆けつけに8日いや9日は掛かりますぞ…」
船手与力「手習師範の浪人と商家お雇浪人の中から若干助太刀 申入れあり・・」
広間に水を打ったように静かな短い時が流れる
目付「さてっ諸氏 構え詰めているだけでは何も詰りませんぞ…」
奉行「フランス艦隊が一番恐れるものは何でござろうやカピタン殿」
カピタン「それは航海で常に減り続ける水.食糧.弾薬等の消耗と無気力です」
船手与力「こちらの砲台の位置は有利ばってん…台砲2門では…少なか」
乙名総代「え〜っ商い物で射程の短かか石弾用の臼砲では役に立ちませんか」
奉行「あそこまで弾は飛ぶかのぉ…でっ数は如何ほどや」
乙名総代「80門程でございますばい」
目付「おいおい幾ら防御の石弾用とは言え商いに80門もの砲か…」
役頭同心「おそれながら申し上げまっす・・商い目録は出とります」
乙名「最近は少なからずの大名小名から御注文を頂きまっしとりますばい」
目付「…処で それは何処で造られし物かの…」
副館長「・…はい エゲレスと・…・…フランスの新式にて・……火打ち式です」
目付「遠目にフランス艦隊は旧式の火縄らしいが・・皮肉なものじゃ…」
十人組頭「・・・申し上げます・・・フランス艦隊の脇腹にあたる伊王島に臼砲を
備えられとっては…丁度 非番の伊王島番を表に控えさせとりますばい」
奉行「うんっ・・でっ重い臼砲を如何に運ぶや」
乙名総代「下の馬場に重い荷役に強か対馬馬が約10頭と近在から直ぐ
集めらるるのが約15頭そいに港中の30石船で香焼島と高島の間の早瀬より
迂回すれば・・重いと言うても台砲より遥かに軽か小型中型の臼砲です
石弾約2000とともに数回の往復で運べますばい…勢子舟も集めまっしょ」
船手与力「今夜中に運び明日中に備え付けは可能でござりますばい」
奉行「では直ぐに伊王島番に水先を命ず各自も備えよ…それから鉄火は
どうなっている…んっ須らく兵児皆へ行き渡るとな・・御目付 如何がや」
目付「承知で御座る…伊王島の事も御奉行殿に同意致す…で其の後の詰りは」
奉行「次の手は如何する…誰か兵法は ないか申せよ」
十人組頭「…あのーっ良かでしょか…では申し上げますばい え〜…その〜
もし此れ以上フランス艦隊が港へ近づいたりしたら脅威とみなし反撃する
敵の艦砲の弾を食らっても被害の少ない港南砲台壁の内側より一つ一つを
幕で隠し焚いていた300余りの松明の火を2門の台砲を撃つ時に一瞬の幕間を
開き灯りを見せる事と石弾が海面に落ちる水柱の音により敵には我が砲台に
あろうと思われるフランス艦隊の3倍の数の砲から撃たれたと感じるで
ありまっしょ当然石弾は砲台より外海側に停泊しているフランス艦隊脇腹の
伊王島の岩陰などから口火の港南の台砲音に続けて臼砲から撃ちまくる
とっフランス艦隊からの艦砲射撃があるやろうが其の時はじっとしておく
そして夜明けを待ち今度は こちらから早足の伝馬船をフランス艦隊へ
走らせ和平と御国への撤退を促す勇む有る口上を発すべしと…どぎゃん…」
キャピタン「あのぅ十人組頭の見習通詞さんにはフランス語を伝授してます」
奉行「人の運なり…それは偶然にも役に立つぞ…でかしたぞキャピタン殿」
医務官「…あのぅ〜私は野戦軍医として参加したいのですが」
奉行「戦とて医師に国籍問わぬ各位も それぞれに参戦されるが良かろう」
目付「他の台場の火筒は如何したのじゃ」
町役「申し上げますばい…他の砲台は敵艦へ近すぎたり遠すぎたりして
使えのう御座りますばい もし敵の一斉射撃で 至近弾を喰らったりしたら…」
十人組頭「おお銃砲絵目利の高嶋町役さんっ臼砲で交易用の花火ば使えるね」
町役「・…可能でござりますばい水平撃ちくらいの角度で放ち敵艦近くで
開き輝かせれば的が良う見ゆるごとなるとでっしょっ…夜戦ならばってん」
奉行「使いようとな・…うぅむ・…江戸の花火を長崎で撃つ・・か」
目付「…それから人別はぐれ の遊び人を片っ端から しょっ引いて
荷役に就け 戦が終れば新たに人別帳入りを認め各自に それぞれの技職を
・・そうじゃな工人の下職など与えるもよし…どうで ござろう御奉行殿」
奉行「腹蔵なき真っ直ぐな御目付心…誰も異論は無かろうて…門構えに
かかわらず隠居から子守まで総て戦備えじゃ 宜しいですかな御評定衆…」
目付「異国船討払いは御定法とは言え定めの砲台を越えた武具を御注進遅れての
調達勝手なり…苦しい戦になるのぉいざと言う時 拙者の腹で済めば…」
奉行「…なんの御目付 おぬしも各々方も戦に勝って御出世なさるよ…信じよ
このぐるりと小高い丘に囲まれた天然の要害と言える長崎の港の地形では
大量の砲撃音や水柱の音は反響し どの方向から撃ち出されたのか
分らぬであろう フランス艦隊が停泊している港 入り口の外港も似た地形
ぐるり半島と島々…それに この季節の紫の夜霧は砲弾の曳光すら薄っすらと
曲げさせてしまう …先の失敗は遠水近火を救わず を考慮しなかった
故(ゆえ)によって…これを木霊朧火と言おう ・・しかし誰も臼砲を使える
ものなのであるか…うんっうんっしからば如何なる立場にても臼砲に
触れた事の有る者は臼砲組に参加して貰う さぁたった今から火薬と弾の
込め方 狙い方を伝習するのだ急ぐのだ ・・・・して出島は今まで通り
オランダ国の居留地である…あらねばならんのだ・…
これは恐らく火水を凌(しの)ぐ一時の戦であろう・・
しかし大海戦である心してかかるのだ」

B翌朝フランス艦隊が徐々に港奥へ近づいたり停泊したりの威嚇行動に移る

「近頃の若っかもんは歩き方ば知らんとか真中は神様と御殿様の籠か御目付か
罪人の馬道と決まっとる・・こりゃ擦れ違いざまに居合斬りさるっ左側を歩く
とじゃなか」等と嘆く木戸番が眠気中年甚平から鉢巻老人喜助に代わっている
按摩の崎の市は小僧さんに手を引かれ寺町を巡り備えに追われる喧騒を避け
寺々に集合している隠居達の筋肉をほぐしたりしている内にヘトヘトになり
他の按摩仲間に鍼を打って貰ったり按摩膏を塗って貰う始末…
当然 寺子屋や神社の講武所も手習い塾も休み…
オランダ船の お雇料理人でシャム人のマック・チャキリは上陸中に
法度の和人との相愛の為に沖の小島への遠島を言い渡されてからの
卓袱料理寄合乙名集の扱いに成る筈だったが戦備えに番屋が手薄で
番人の晋吉に曳かれ思案橋の木戸を出た所で海と反対方向の郷役人靖兵衛に
手鎖を外され浪速からの出稼ぎ芸妓を辞めた腹の大きい恋女房が待つ
野良小屋へ嬉し泣きを隠しもせずに足を速めた

不審な足音なき影が2つ小さな大名家の長崎番屋敷に入る
其れを見かけた具足姿で町人髷の十手 銀屋仁吉が後を追う……
火縄の火がついた銃口を留守の釜焚きに向けようとする盗賊と判断すると
「おいっ火事場泥棒っ御用ぞ…短筒を引っ込めんと死ぬばい」 裏街道風が
銃口を更に老人に突けようと手がピクッと動いた途端に「パーンッ」「ドサッ」
浪人風の刃向かいにも「止めんねっこん短筒は2本筒で あんたも死ぬばいね」
と火打ち式の銃口を浪人風に向けたまま土間に転がる短筒の火縄を消す
…釜焚きの権助が へたりそうにも眼一杯の涙と驚嘆顔で町十手に礼を言う
「よかよか役目役目…方々は陣屋ですばいね…御小人目付か御奉行様御家来ば
呼んで来るけんね そいに鉄火出所調べ方と検屍役が来たら宜しく」
と後に手配人の吾作と分る自らが撃った罪人へ合掌して
後ろ向きに其の老人へ手を振り お縄にした盗賊を連れて歩き出す…
「御浪人・・長崎ゃ武家役人の少のうごたるばってん 守(も)っとっとですよ」
「・・……」
「こん港ぁ 町人が3万人…数の知れた奉行所の御役人様にゃ見切れんですたい
だけん おいどん達のごと いざと言う時にゃ兵児に成って武具備えですばい
懐の十手くらいじゃ へにも成らんけんね」「ぐぐっ…」
「知らんやろうばってんね…この辺じゃ町人の武家屋敷討入りでん有ったと」
「…早く…奉行所に連れて行ってくれ」と血の気が引き始める後ろ手の盗賊
すれ違う人達は それどころではなく誰も気にも留めない うな垂れた手縄を
先に歩かせて大きな八百屋の辻を回った時 そのふところからポロリと綴本が
落ちる・・表紙に『世間ヨロズ帖』と記されている・・後から拾った仁吉
「御浪人…信じられるに値するが書かれている本がある また値するしないに
怪しい間違いがあるのもある その詰まらんが人の道を誤らせる事もある
ばってん気付いた時が遅かとか・・間違いば読んで幸せに成れると錯覚した者
への責めを負わん いい加減な人間がおる・・どこにおっても運不運 幸不幸が
先に立つ時があるばいね」「・…名前はある・・……土池兵庫」
「土池さん どぎゃん思いなさるとね ・・さっきは とっさに もう一人ば撃ち
殺した分けじゃなかとよ…短筒の引金ば引く時は まばたきばする間に思う
とばい釜焚き爺さんが何か悪か事ばしたとか只 留守ば守っとっただけばい
死ぬる理由は なかばいってね・・人に銃口を向けたら其れだけで殺意ありと
取られるとば分っとかんばいけん・・殺さるっか殺すかの命の やり取りにも
善悪とは別にしても作法のあっとばいね」「・…・…素浪人じゃ生きて行けぬ」
「…見てくれんですか ここの八百屋 お馬にすら 一つ一つ丁寧に洗ろうた
野菜ば たかが知れとる利益で売って細々と暮らしとる…ばってん主人も
皆も幸いのごたるですたい…人は こうあるべきじゃなかかと思うとです」
八百屋を通り過ぎた浪人は立ち止り振り返る「・…拙者は…恥ずかしい」
・…歩きながら…死んだ凶賊にも国はあるのだろうか せめて抜けた魂が
心を入れ替えて故郷の縁に遭えれば良いがと思う町十手の男の ゆらぎである
「気持まで火の車では大火事に気付かん事なっとでしょ… ばってんね・・
長崎の御定法は人の道と つながり思案の橋ば越えても人の道と心底から…
心底から分るもんには情けもあるばい…」

晴れの日には毎朝 一山越えた在所から天秤棒を担ぎ市中でザボンの糖漬けや
花を辻売りに来る小百姓の娘お茂は目前を駆け回る男集に今日は水を売り
近所を可愛らしく賑あわせていた町々の童達の足音は堅く閉ざした家に消え
丘の上の垣根に囲まれた十人組頭の中之村の留守宅の土間では水を張った
鍋釜桶等を周りに置き炒子(いりこ) 干イチジク干枇杷等を風呂敷に包み手に
は薙刀や長箒 水に濡らしたハタキを持ち鉢巻襷がけの女房達が港を見下ろす
側の勝手口を明り取りに半分開放して外界の動きに耳を凝らしていた…
道外れの軒下にヨロズ相談霊験アラタの大看板を下げる怪しい説経師大言が
寺男として寺裏の風頭山に紛れ込ました盗み読み便乗泥の手づる話を聴き
ドサクサ紛れに己で彫った木版で刷り増した いかがわしい安住札を
「俺の説経話を先にすりゃ・・ひひっ…790文800文…丸儲けだ」と数えている頃
色気漂わせる丸山遊女の桃太郎姐さんを含む女集は警備番達の
息災を願い近所の小さな梅園身代り天満宮の梅塚へ梅干の種を各自頬を
ふくらませ口から吐き飛ばし祈った後 急ぎ足で隣の丘へ移り大きな楠の
御神木に戦勝を祈願し出るかも知れぬ負傷兵の手当て用に充てられた
直ぐ坂下の船大工の見晴棟梁総代宅へ胸元に懐剣を差し白鉢巻姿の
いでたちで集まり始めていた刻には全員の顔は銃後の賢夫人と化し
…昼には既に各店の戸張は締め切って火の消えたような辻々は
「火のぉ要鎮」と拍子木の音だけになりつつある長崎八百八坂

午後 戦の備えに忙しく動いている港の広馬場の陣屋を見廻る奉行一行
船手与力「こりゃ早さの勝負やっけん鎧も兜も要らん陣笠も要らん
具足だけで良か ばってん火打(石)銃ば持っとかんといけんよ
そいに各小組の頭は遠眼鏡ば忘れんごつせんば今から半刻くらいで
身支度できんもんは大浦通りの乙名総代さんの船蔵で必要かもんば借りて
良かね小曾根総代さん・・鉄火も後40丁程ほしかけん」
乙名総代「そりゃぁ内調所助(ずしょのすけ)さんの良かごつ・・
大番頭しゃん役頭同心組の方々と直ぐ行って」
大番頭「へいっ数は有りったけですばいね」
乙名総代「答ゅっまでなか そいから集まって貰ろた近在の百姓工人さん
達にゃ小分けした天幕を光が漏れない程度に折りたたんで置いて貰わんね
  さあっみなしゃん しっかり働いちくれんね 頼むばい」
カピタン「短筒で良いなら出島の宿舎にも予備10数丁が ありますからどうぞ」
船手与力「短筒かぁそいは有難かぁカピタン殿の分も拝借しますけん」
御用掛同心「申し上げます回船問屋釜山廊の甫さんが荷車で朝鮮餅を持参・・
主水組が扱い困り候(そうろう)で そいに唐物問屋清国楼の謝さんが注文の
玩具花火を見て頂きたいと言って来とっとで候 …如何が致しますか」
船手与力「ああっそりゃ拙者が うけたまわりまっしょ 粘りの強か餅は
臼砲の備え付けの時の膠(にかわ)代わりに扱いやすかごたっけんね」
別の御用掛同心「申し上げます港南の大木戸町の後詰の陣へ深堀鍋島家地頭
川本小聞役他約180御到着っ大村家松尾代官と合流っ 西泊の黒田家常備物頭
陣野小聞役他96最西の陣屋 後詰へ移り備えよしっとの報ありて候」
奉行「うんっ…よぉし今度は両家 長崎海防番 諸処 万端抜かりなしじゃな…
…そこな百姓っお控えなさい…壮八ではないか…おおっやはりそうであるか
港を囲む山々に緑が失せぬは おぬし等が畑仕事の傍で石組として雑作して
くれる御蔭じゃ…この度の難儀にも参じてくれたか かたじけぬ礼を申すぞ」
百姓工人頭「御奉行様 勿体なか・・直に頭ば御下げ頂きまして光栄の至りです」
奉行「…ちょい待ち・・これは日頃の鍛錬通りにやればいい・・が戦はいつ終わる
か分らない今日は夜っぴきだろう・・竹水筒とカステイラを持って行くように」
医務官「チーズもハムもカラスミも有ります船手や荷方は重労働に疲れるので
はさみケーキも戦時滋養食として用意しました歩きながら食べて下さい」
船手与力「…膠は品薄やっけん丁度よか代用…ばってん食べ物ば粗末にしたら
罰当っとぞ…余ったら野戦食たい…うーんっ美味か ちょい余らせんね」
それでも台場丘の稜線で守備を受け持つ鉄砲隊と弓隊は弾の曳光に似せて
光と音の騒音を演出する玩具花火の野火矢を手篭に持ち陣屋の裏手の大釜で
炊いて握って貰った釜炊き名人で青み掛かった目をした お手手婆さんの
「梅干お握り」を竹の皮に各自包んで懐に忍ばせて持ち場へ散り急ぐ
誰曰く「お手手婆さんの飯で腹痛は1度もなか之が弾の当らん御守たい」

港西口の物見地番所から少し離れた丘
…夕凪(ゆうなぎ)時になっても収まらない風に打たれ続く
幼い2人は所々に過酷さ滲む白装束に裸足で御詠歌に似せたオラショの歌を
唱えながら西日に浮かび輝く艦隊を たじろぎもせずじっと見ている
純粋な目は どこまでも澄み美しく…互いの手は しかと握り合って…
其の足下の斜面には帆を畳んだ船の帆柱が十字を切った大きなシルエットを
写し照っている世に知られる事なく名も無く生きる東の果ての
奇跡のエルサレムが陰影が如く…

ダウ船に繋がれていた小舟が夜陰に乗じて外港の北泊あたりに着き上陸した
マスカット少尉 率いるアラブ斥候が数名 内港へ向う丘の稜線へ近づき
不思議な気配に気付いた時には短銃を腰に差し刀を背にした
黒装束に覆面の一隊に音も無く囲まれている

深夜 波と風の音だけのフランス艦隊付近
無人の島影や南泊の砲台付近から狐火のような光が
ポッポッと上がり北泊に上陸した筈の斥候の小舟が燃えている …
戻らぬ斥候がやられたと思った艦隊からの大小火筒の轟音が港に木霊する

各自援軍援助嘆願の書状を送らんとす寸前に轟音を聴いた奉行は言った
「しめた夜戦だ長旅疲れのフランス艦隊を我等が反撃で一気に押し出せるぞ
各位宛へ待たせている飛脚組は出立致さず其のまま留めおくのだ…書状は
長崎大水害につき 御下げ米 願いに差換えじゃ…戦無き戦費が賄えるぞ」
港南の高台に位置する台場陣地
砲台方組頭「これは明らかな戦端である 手配通りに反撃開始っ撃てぇっ」
台砲の発射音に続き一斉にフランス軍を取り囲んだ諸方連合軍の砲撃等…
「ズッドーン ズッドーン ヒュー ヒュー ヒュー ドンッ ドンッ
ドンッ ヒューヒューヒュー ドンッドンッドン ドーン ドーンッ
ヒューヒューヒューヒュー ドンドンドンドンドンッ バシャーン ドンッ
ドッシャーン ドッシャーン バッシャーン ドンッ ヒュー バシャン
ドン ドン ドン ポーンッ ポーンッ ポーンッ ガッシャーン …」

C男手が少なくなった沖の高島の漁番小屋を兼ねた漁師の家 病弱な寅助が
心配げに横になり女房の おとせの太ももには幼子が抱きついて母子で
窓の隙間から低い夜空の下 いつもなら漁火で賑わう鰯漁場の先の
港の手前方面に前触れも無く火の玉になった火の石が飛び
大輪の花の如き稲妻が乱舞し轟くようなものを見ている
「…うるさかね」「…遠か雷よ心配せんで あ〜た」「明日も漁は出来んばいね」
「あ〜た何も考えんと登与坊ば見ちょって下さいね」「・…」
「明日は高橋網元ん所へ黒か石ば拾う手伝いにでも行ってくるけんね…」
「母ちゃんっきれか(綺麗な)雷ねぇ」と幼子の言葉に戸張をそっと下ろす女房

諸方連合軍の砲撃が終わると広馬場の陣屋では目前の西泊の小半島に乱舞し
火影のシルエットを作るフランス艦隊の最後の砲撃を けたたましい轟音と
ともに見入りながら「…146っ147っ148っ」と弾数を数え終わる目付の横で
「フランス艦隊の撃ち方が150発くらいで済んだのは おそらく弾薬不足の
事であろうばい ならば兵糧などの積荷も かなり残り少なか筈
そいにしても流石に御目付ばい木霊と本物の音ば聴き分けるとは」と
カステラを頬張りながら状況を読む乙名集
「勝ち負けにかかわらず責めを負わねばならぬ御注進遅れの抜け駆けの戦は
…無かった事として…記録に書込む…か」との目付の呟きに頷(うなづ)く奉行

深夜の激しい砲撃戦が止み 一瞬の しじまが小鳥達のアクビと硝煙の残る
朝霧に変わる頃 どこからともなく澄渡る少女の美しい歌声が響く
「 ♪〜Sur le pont d Avignon ・…」
フランス兵が耳を済まして聴いていると…櫓の音が段々と近づく
「 ギーッ ギー ギーッ ギー ギーッ ギー ギーッ ギー ギーッ ギー 」
両手で広げられた白い布に大きくCONCORDと描かれた文字が現れる
  「どなたか私の言葉が分る方はいらっしゃいませんかコンコルドでござる」
フランス艦より縄梯子が降ろされると ぎこちなく上る数名…乙名総代付の
用心棒の浪人が背負っていた桐箱の中の人形をフランス兵が見て ぎこちなく
笑っている 間違って艦へ当った打上花火が破裂したせいか水兵の遺体らしき
大きな塊が幾つか転がる そばに白いターバンの海軍傭兵のシン少尉が負傷し
横たわっていたが頭を起し突然の来訪者の髷をしげしげと驚き眺めている
横で介抱しているドクトル・デボスが声をかける「薬があったら頼む…金貨を
代金に…」「通商の約定なき国の者へは何も売れぬ…」「(薬を買うために
フランス連合国内オランダ人と名乗るべきか…いいや駄目だ…私の国は
  もう直ぐオランダからの最後の分離独立運動を始めるベルギーなのだ)…」
「…ばってん少し差上ぐっ」「(ほっ)…ダッ ダンキュル ダンキュル」
「この中に入っとる白い紙包みは気付薬 赤い紙包みは痛み止める消し薬ばい」
と腰から印籠を取って渡し「後でもうちょい多く持って来らるっかもしれん」
と十人組頭が話していると開いていた甲板の端の扉から高級士官が出て来る
「・・オランダ訛のフランス語?私は混成艦隊付船技師のイェフダーと申す」
「よっ宜しく私は この港の見習通詞兼備え十人組頭の中之村と申す副使です
こちらが 長崎港の商人寄り合いの乙名総代で正使の小曾根談判役で御座る」
「こちらはナポレオン軍混成遠征艦隊指揮官のアミラル・リュカ閣下である」
「・・・・この港の市長は奉行総督では ないのか・・ん・・ほーっ入れ札で選ばれし
ギルドの長とな・・・・これはこれは欧州でも都市の実質最高実力者ですな」
・…艦隊の引き揚げに追い討ちを掛けない等の取り決めはスムーズに行く
「…えーっこちらで お預かりしております捕虜は凄く元気で今直ぐ戻します」
「殺害されなかったのか…ありがたや…して・…」
「ご案じ召されんで よかですばい手荒な真似も 見世物にもしとらんですけん
それと この人形等は和議の記しにどうぞ」と乙名総代は指揮官室の真ん中の
テーブルに載せた人形が両手で持つ お盆の上に竹皮の包を開いて置くと
人形はカタカタと司令官の直前まで行って停まる「閣下 それは鉄火巻と申す
今日中なら腐らぬ酢〆の食べ物にて鉄砲に見たて熱くなった鉄をも食べては
気分を冷やし くさる事なく身も心も安堵っ」と別の包から出し食べて見せる
指揮官が手に取ると人形がターンして乙名総代の前に戻るのを見て驚く副官
「…なっ何と歩き戻ったではないか…動力源は何ですか」と問う船技師
「動力ぅ…ああ…それは鯨バネと重さで動きますたい」と十人組頭が答える
「…これはどちら産ですかな」と指揮官が問うと「江戸物ですばい」と組頭
「(ここまでの科学文化と遊び心の国へ嗾(けしか)けるは間違っている)」と
立ち上っていた指揮官達は椅子に座り直し呟くと暫くの沈黙が走る・…
「おっ忘れていた…当方からは この剣と刺繍(ししゅう)で御座る」と指揮官
「ほうっこの刺繍は美しか…どちら産ですか」「わし自身が航海の慰みにと…」
「おのおの方 閣下自らが刺繍されたフランスの芸術品を頂きましたばい」
最後の樽に残ったフランスワインで乾杯し寸時の談笑…
組頭「それでは談判は之までとし此れからは私儀の談合で御座るが…」
「この子は…ヨーロピアの血を引く娘です・・父は江戸参府の途に亡くなり
宿下がりをした母は親類と一緒に飢饉で亡くなり天蓋孤独と思っており
ましたが最近 御国で待っているとの書状が父方の祖父より届いております
之です・・しかし日蘭の約定により出国も渡海も出来ません」と乙名総代
「また ご存知の通りヨーロピア大戦争でオランダ船の入港は無か…」と組頭
船技師「我等は同じく女を渡海軍船に乗せないのが古来よりの掟だから・・・・」
総代「御国は女子供を怖がらせ斬台に乗せても船には乗せられないのですか」
「流石にギルドの長の談合だ・・だがギロチンの頚木(くびき)は通用せぬぞ・・
私は男女平等主張(と言おう・・でないと妃処刑を見過ごした罪が将来に残る)
だ・・だから この娘を助ける」と指揮官が複雑ながらも真直ぐな心境を吐く
「いえっ閣下は弱き者を助ける真の騎士道精神を備えた軍人でありますばい
だからと言う訳では ありまっせんが・・差出がましかばってんジャワくらい迄
の航海に必要な食糧・水・薪は おいが差し上げますたい 後の事は彼の地で・・
いいやっ いっそ馬台国(台湾)の都 台南の港迄の少ない食糧・水・薪にして
空いた所に酒と醤油を う〜んっ約各20樽と昆布を数巻きの兌換物として…
おいの親戚の田川家の家紋入り着物ば割符代わりに使うて貰えば」と言って
着ていた羽織を脱いで渡す乙名総代「えっ…ああっ旧台南王家の鄭は田川家の
血族で その昔 オランダと色々あって互いに恨みば残したとですよ もっとも
それより古く我が帝国の豊臣摂政の命令下に蒙古来襲艦隊に匹敵と謳われた
当時無敵の九鬼安宅黒船艦隊の南蛮遠征の途中に馬台国のキールン港沖で
大難破の役があってですね…こげん事は自然に おわす神仏の思し召しです
やけんですね オランダさんの台南失策ば とやかく言えんですたい」
船技師が膝を叩いて「なんとっ世界の不思議な縁は巡り来る海原のようだ」
「とにかくオランダさんと仲良くない今のフランスさんと馬台国さん なら…
台南港から天竺を越え御国迄に必要な兵糧燃料や土産の品々と交換しながら
航海なさるとは如何でっしょうか…荷は こん子の送り賃ですばい…
あのー…そいから…和薬種少々と乗組員全員へ各1枚ずつの美人版画を画商の
町役から戦利品代わりに持ち帰りくだされとの事ですばい…では
戻りまして直ぐに小舟総出で荷を運びますたい」と総代他は頭を深く下げる
「勝たれて負け戦とな・…そこまでされるか…これが日本式なのですか・…」
と言い終わらぬ内に固い指揮官の顔が崩れかかる
「其の昔 スウェーデンのフレデリック・コイエット閣下は後光明天子様の御代
…ヨーロピアの年号では…1648〜1653年ですか 出島に来られカピタンに出世
…其の後にバタヴィア連合国台南総督に成られたが大地震による馬台飢餓と
総督の要請で駆け付けた連合国援軍指揮官の失態で発足したばかりの
台南国王軍に負けて数多のオランダ兵を死傷させてしまい連合国の
ジャガタラでは其の責任で牢獄へ放りこまれる不運に見舞われても御国へは
何とか無事に帰国されたと聞いとります…生き残りし者は すべき事が
あったとですね 先ずは長く生きる事を考え…戦は戦の…人は人としての…
…勝ち負けで恨まず恨まれず ようか長崎流です・・ダンキュルですたい」
「・・……(・……・)」
「長か思いで言えばです…バタヴィア連合国支配の東インド会社がオランダ
フランスしてエゲレスと変わりましてもジャワに住む御人達は古(いにしえ)
より悠久の将来へ時を刻むっとでっしょ 住まない者の支配が続けば其の地
からの流入者も支配国へ続き支配者が変わる度に歴史まで変えるとですばい
我等が歴史の庇護者で あられる天子様の血統は変わらんから歴史をも変える
理由が無かとですバタヴィアの人々には同情致しますけん…隣の清を見れば
明から変わる時には数多の人々が亡くなったとに歴史認識は総括を続けて…
そして歴史を変えた清ですら どうなるか分りませんばい・…今なら私達の
気持ば御理解して貰ゆっと思いますたい…だけんダンキュルと別れましょう」
言葉を残し綺麗に並んだ大きな包へ合掌し乙名総代は船を下りる
「メルシーボクー オ・ト・ナ・…水夫長 舳先の女神像を丁重に海底へ弔うのだ」
指揮官の命令に副官達は戸惑って叫ぶ「指揮官閣下っ」
「副官っ何も言うな戦いの船神様と言えど女神は女・・女子を乗せて嫉妬を
買っては航海出来ぬぞ・・航海日誌には海の魔女サイレンの叫びとともに
その魔女の嫉妬心の暴風が女神の舳先を破損した為に目的港へは断念だ・・」
もう幾日も見せていなかった希望の顔に戻った指揮官 副長の声も軽やかに
「はっ分りました ンボ水夫長っ私も手伝うぞ女神を外せ台風に変わらぬ内に」


港西口の丘の上 残された白装束の少年一人 別離に溢れる涙と手を振っている












オランダの お雇米国船を真似た偽のオランダ船の出入り事件を忘れた頃の
先年 敵対するオランダ船を拿捕しに来た英国艦へ反撃せずの責任で切腹した
奉行松平図書頭(ずしょのかみ)を偲んでオランダ漫才が密に歌われていた

♪長崎名物オランダの旗揚げ〜
火花は 避けましょ長崎流〜
人は持ちよう気の持ちよう異なもあり〜
喧嘩買わぬは江戸の仇(あだ)と言うとて〜
江戸の凧は図書みりゃわかるよ風頭〜♪

♪ようか お諏訪に ここのか言わぬ〜
くんちと言いてオランダさんも曲げをゆう〜
人は持ちよう気の持ちよう異なもあり〜
白炊く鍋冠りか黒瀬の岩か いさ早く角力灘(すもうなだ)〜
勝負つけたきゃ とうか はっけよい旗合戦〜♪






それから何事も無かったように幾年も過ぎた頃
長崎沖にオランダ国旗を はためかした船が現れた
オランダが賠償金を払ってフランスより独立したのである
世に言うフランス・オランダ併合は…
ナポレオン軍と戦す伝説の日蘭連合軍が運命の歴史を一夜で変え
旗を掲げ通したカピタン達の信じる心により完結しなかったのである









一首:音もなき 天明に知る 火遁の夜 ただ水かきが影 浮かび来る



薩摩兵児(さつまへこ):薩摩・大隈・日向南部・琉球本島以北の身分に関り無く
武力鍛錬中の若者/鍛錬・水練・戦・仕事中や普段にも使うしごきふんどしおび
♪薩摩の甘藷(かんしょ):薩摩芋を薩摩の干渉に引っ掛けた戯唱の一節
ジャガタライモ:ジャワを古くはジャガタラと言い其の芋をジャガイモと言う
ジョージ三世:非自由主義者から奇行を強調される事も度々あるが質実農業と
家庭円満を求めた彼が擁護した産業革命により米国にとって大いなる独立も
英国にとり小さきものとした歴史の結果と彼自身の苦悩を消す事はできない
遠山:無刺青遠山江戸奉行の父/小曾根:あの海援隊オーナーの祖父/高嶋:地名
高島平で有名な幕府砲術指南秋帆の祖父…等など他史に残る者否者多数
臼砲(きゅうほう):短い距離を射程とする石弾・鉄弾・爆弾用の短身の曲射砲
勢子(せこ)舟:モリや網を打つ鯨漁にも使う大きく長い海舟で時に帆も張る
火打(石)銃:フリントロック式銃とも言う火縄銃の火縄を無くした進化型
主水組(もんどぐみ):主に水と兵糧等の武具以外を輸送し取り扱う者の隊
はさみケーキ:後のドラ焼きの原型である
オラショ:キリスト教の祈り
コンコルド:フランス語で和平/フランス革命でギロチン台を置いた広場名
黒船:コールタール塗装船と鉄甲船を言う/安宅黒船は当時最大の鉄甲帆船
南蛮:南シナ海からインド洋 大西洋の交易路の全域を言う
ダンキュル:オランダ語でありがとう
旗(はた):旗/万国旗/長崎ではオランダ国旗より変化した凧も同じく旗
花火:長崎の場合 夏に港の打上花火と精霊流しのヤビヤと爆竹は有名
長崎での江戸の打ち上げ花火が世界で最初の軍用・救助用の照明弾と言われる
ようか:一般的八日以外に九州では良いもの善い人の他 無用などの意を持つ
くんち:九日市から発展した年に1度の御くんち(鎮西大社の秋祭り)は有名
風頭(かざがしら:かぜのかみ):カピタンが図書頭達を祈り凧を揚げた山の名
鍋冠(なべかむ)り:鍋島藩に見たてた近くて近づき難い山の名
黒瀬の岩:黒田藩に見たてた角力灘に点在する狭い瀬にある硬い岩礁の総称
いさ早く:天領長崎を一歩出た鍋島政域の矢上の日見峠下にて鍋島家に怒り
図書頭に続き切腹した16名が属す鍋島藩 諫早家自主領の名に見たてた言葉
旗合戦(はたがっせん):互いの凧紐を引き相手の旗を取り合う勝負の競技

後書:長崎港内外に万国旗 はためき始めた時代 日本国旗は一番最後に現れ
日の丸は裏から見ると梅干握りの御守と柔軟に信じられる人に運向くを授く
尚 当時の日の丸に梅干握りや朧火を思い浮べた人達が居た事は想像に任す
('07/2記'07/5掲載)




アビニョンの橋で 踊ろよ 踊ろ
みんな仲良く 踊ろよ 踊ろ
お爺ちゃんに逢える♪
お婆ちゃんに逢える

アビニョンの橋で 踊ろよ 踊ろ
みんな仲良く 踊ろよ 踊ろ
お父さんも一緒♪
お母さんも一緒

             アビニョンの橋で(フランス古謡)
































♪♪ 宇宙軍2099 ♪♪
(再掲載)

プラットホームを唄い乍ら進む2人
「♪俺達ゃ無敵の宇宙軍 銀河は鉄壁 守り切る♪」
反磁力式投艇機上の宇宙艇に乗り込む2人
ジョージ「4番多目的艇離月を求めます」
ロボットアナウンス「認メマス カウントダウン10秒後ニ内扉ヲ開ケ隔室
ヘ入リマス 外扉ハ・・・・用意ッ10、9、8・・」

艇から離れ宇宙遊泳中の2人
ウラジミール「くっそー取り難いな もう一寸だ・・ふっー」
ジ「地球各国がスペースシャトルバスで星々を旅する今 旧代の塵拾いを
続けにゃならんとは くそったれー・・・ふー」
ウ「地球自体は以前より美しく見える様に成った気がするが旧軍人工衛星の
パーツやら予定軌道から外れたスペース葬儀社の御骨粉カプセルやら
まだまだ・・・おっそこにも」
ジ「飛行事故も少しは減る」
ウ「少なくとも大掃除した分 気持は善くなる」
中空虹外光波アナウンス「キュンキユンッ注意報デス注意報デス小便雨ガ
地球自転時間3分後ニ地球軌道9時方面ヨリ降ッテ来マス
注意注意キュンッ」
ジ「おーっと危ない 何が3分後だ 殆ど注意報と同時じゃないか」
ウ「所構わずの小便雨じゃ仕方ない 科学は進歩したが人と同じで予報も
完璧じゃないから」
ジ「40年前の地球バンアレン帯亜宇宙パックツアー時の
仮死大腸菌卵だらけ
の小便雨が今頃 塊でやって来るのだからな しかし勿体無い現代では
小便は月土を触媒にしてイオン燃料と宇宙服の空調の素に成ると言うのに」
ウ「臭い優れ物メタンハイドレートを自走ロボが掘削を始めたんだって
発見から50年後だと言うし それにここいらを飛び交っている星磁力線も
昔は全く使っていなかった 本当に勿体無いよな大昔の人類は」

スペーススクーターで飛行する2人
ウ「それにしてもホウキ式スクーターとは まるで童話に出て来る魔女だな」
ジ「しかし此れは便利だ 母艇から離れる時は命綱代わりの磁力端になるし
元々推力はクラシックだが信頼性の高い背中の小型イオンボックス噴射口
から出しているから 立方ごとの塵集めには本物のホウキとして使えるし
なんたって此れに跨ってりゃ心地よく安定して飛べるしな」
ウ「博物館に有ったホウキを真似て単にMM合金で作っただけだが」
ジ「この形に魔力が有るのかもな・・ハハハッ」
ウ「吸引式電子掃除機の方が格好いいからとスイッチを入れた途端に
宇宙の彼方へ飛ばされた奴もいたな」
ジ「・・・・」

磁気パネルと太陽風帆を張った母艇の中
ジ「ウラジミール 車椅子ロボの安全フックは大丈夫か忘れていないか」
車椅子ロボ・ミール「ハイワカリマシタ ギュンッ」
ウ「だとさ ・・今度地球へ出張の折 下半身再生手術を受けてみるかな」
ジ「君もロボも性格悪い訳じゃないから どちらでも御自由に さあ今夜は
日系の餅月神社で地球見の年越合コン祭だ早く帰ろうぜ」
ウ「おう そうだったミールもおめかしして連れて行かなくちゃな」
ミ「アリガトウ ウラジミール」
ジ「ミール ウラジミールは合コンの事 忘れていたんだぜ」
ミ「アリガトウ・・ピコピコピコ・・ジョージ」
ジ「コンコルドとガルーダも連れて行くかな」
ウ「小鳥用会話チップを埋め込んだのか」
ジ「いいやコンコルド達は只の小鳥のままでいいよ 会話が出来なくても
気持は何時も通じているよ」
ミ「ソウデス・・ピコピコ」
ジ「勿論ミールもさ・・じゃそろそろ」
ウ「静かの海基地応答せよ こちら4番艇・・ジーッ」
基地「こちらホルスト・・ジーッ」
ジ「パートタイム中佐だ」
ウ「此れより帰還します・・ジーッ」
基「太陽風進入路帯5番に乗りなさい・・あーそれから今夜は各付属教会の
年越ミサの後のディナー会議で貴方達の20歳のお祝いに火星料理が
出ますから寄り道しない様に」
顔を見合わせる2人
「聞いてないよ」
ウ「中佐殿 火星植民地よりシェフでも呼んでいるので有りますか・・ジーッ」
基「ほほほっ ジョージ・アリ技術伍長 ウラジミール・サイモン先任伍長
君達の大好きな私の手料理よ・・ジーッ」
目が点の2人
「げっ」「薄給のボランティア隊員だから御馳走でしょうってか」「料理が
出ますじゃなく出しますだろ」「日本食の方がよかった」「うんだっ」
「宇宙ステーションのゴーン・ザ・レインボウ薬局で和薬酒一杯やりに
立ち寄ろうぜ」「うんだっ」「中佐殿の御主人は偉いっ毎日食べてんだからな」
「神様の様だ」「うんだべなや」
基「何か言いましたか・・軍の進入路帯管制時間帯の時限が迫っているので
速やかに帰還せよ・・ ったくもう・・ジーッ」
ウ「了解っ!!・・ジーッ あーっ怖 この後の若く奇麗な声の民間管制官の
誘導で帰りたかったのに・・ ・・中佐殿には逆らえぬ  エンジン点火!
  このポンコツ無線機そろそろかな」
ジ「使える内は使おう クラシックを大事にするから進歩もあるんだ 知って
いるか 昔々地球の街には壊れた公衆便所しかなかったってバーチャル
じゃない本物の街や農場 山や海も塵やCO 煤塵だらけで大変だったって」
ウ「祖母から小学生の時 地球を見ながら聞いた覚えがある月植民地学園の
インターホログラム教室で習ったけれど 自然との共存を無視し建築学基幹
の一線を越え自然支配や人口的オゾンホールによる潮流異常も凄かった
そうだ 南極の穴が開きっぱなしに成って10年後に起きたんだ 他にも
加速した砂漠化や先制核自爆で自滅の国とか歴史シアターで見た事を
思い出すだけでゾーッとするな」
ジ「大昔は地球周回の人工物は何でも時間と共に地球に吸い込まれ
其の殆どが燃え尽きて極一部だけが地上に落ちると信じられていたよ」
ウ「丁度百年前の1999年に塵清掃軍を予測した人は奇人扱いされたそうだ」
ジ「信じがたい話だ我々月植民地国籍の者から見ると其の頃の地球各国は
原始エゴ人のルツボの様だな」
ウ「地球は人類の心の中まで塵化していたのかな」
ジ「それじゃ地球人と言うより・・ガーベッジンだ」



一句:宵待ちの 一兎じゃ寒かろ 重ね餅
一首:いにしえの 花鳥風月 いずこにて かぐやま兎 八千代ぴょんぴょん


後書:日頃家業の手伝い等で疲労ぎみな訳でもないのに家や学校の
便所掃除をしない者達がいる公衆便所をわざと汚す者がいる
  町中にピンクチラシ等をばらまく者がいる等等 道徳欠損症を
自覚したくない者達に環境問題や花鳥風月が本当に理解出来るのか
('99記)





                  


四国河童守三郎  
(追記追加・特別再掲載)


老人 : 昔は冬の沖縄から 酷暑の時は択捉迄旅をしたばい
若者 : ふーん お爺さんは何やってたんですか
老人 : 漁師ばい カワウソ仙人の あだ名ば もろちょった
ばってん今じゃおいどんだけたい
若者 : エーッ 現役ですか 
乙女 : ウッソー 
老人 : うそじゃなか カワウソ仙人たい

若者 : でも川の漁で商売になるんですか今時
老人 : ふん 人間なんて・・・外国から勝手に魚類を放って その魚を
釣ると言うては釣り針や糸を撒き散らし家庭排水やら工場ダイオキシン
やら・・・よか人間なんて居らん 皆同じたい
若者 : お爺さんだいぶストレスたまってますね
老人 : なんば言いよっとか わんどんこそ
若者 : 何かおかしいよ この爺さん
老人 : なーんば おかしかとは わんどん あんたたちたい 一時より
良くなったとか言う 川や海ん事たい あん頃は生き地獄やったばい
息も出来んくらいやった おいどんの仲間も だいぶ酷い目にお遭た
うんにゃー今も酷かーむつごろう君ば見んしゃい 息も絶え絶えたい
いやもしかして今迄九州で一番酷か公害ばい いや 足尾銅山より
大公害ばい

若者 : エーッどうしてですか
老人 : 以前は予測出来んけん じゃっどん今のむつごろう君のは違う
予測出来たけんね しかも自然からの反作用で計画推進者達
反対者達傍観者達皆の心の中にはアンバランスの毒が蓄積されよる
そろそろ気づき始めよる人間もおるじゃろ・・・
若者 : それでどうなるんですか
老人 : 海の浄化機能が失わるっけん 海や川の生物だけじゃなか
有明海沿いに何らかの関わりを持つ百万人の一人づつ一年の寿命が
縮まれば ウーンッ 人間どもの平均余命が百年なら 一万人の殺人を
犯した事になる だけん日本最大の公害ばい

乙女と若者 : なーるほど
老人 : こいは もう人間の共食い状態たい
若者 : どうすればいいのですか
老人 : 簡単じゃ 今迄の投資と同額で十分の九を元に戻し神社や
アンジェラスの鐘堂の建立で詫びを入れるのじゃ
若者 : 誰にですか
老人 : 八百万の神にじゃ
乙女と若者:ウンウン
老人 : そうすれば 生きとし生ける者達より尊敬の目で見られ
世界中の沢山の良心的観光客が生き返った海を見に来る・・・・
機内アナウンス : ツッーンッ・・・只今シートベルト着用の・・・
乙女 : あれ お爺さんは何処行ったの 見て席が濡れているわ
若者 : あのーここの席の方は・・・
エアーホステス : エッ ここは空席ですが
乙女と若者 : ウッソー
・・・・・・・・
乙女 : キャー 窓 窓の外 お爺さんが空 飛んでるわ
若者 : アッ帽子取って笑った 頭の真ん中は皿だよ



貴方の隣に座った旅人か゛帽子をかぶった老人なら決してあなどっては
いけません彼は五百歳のカワウソ仙人・四国河童守三郎(吉野川より)
かもしれないのですから!!




後書:今の経済も未来の経済もどちらも汽水干潟に理在り 中途半端な
状態に自然が如何反応するか・・海の再生には時間も必要管理責任者
全員入れ替えて干潟に戻す畏敬の行為はもっと必要・・・・
海の怒りが聞こえる者なら
('1/12記)

追記 : 世界中に居る河童守(影響的穏健賢者)の怒りを かわない方法は
「川辺川ダムの予算を有明海復活に回せば良いダムなら地下へ造れるばい
簡単じゃ して天道に対するギロチン我に返るを知るべし・・
ツクヅク・・お笑いの世界に入った感の京都の会議」と聞える者には分る
花は何のはな〜 つんつん椿〜 水は天か〜ら 貰い水〜
おいが うっ死ゅんだとて〜誰が〜泣いちくりょか〜
裏の松山 蝉もな〜く〜♪

番外句:いさ早く 飛脚黒白 京都の義




水枕  
( 再掲載 )

@夕暮の大海原 蟻の如き小さき点2つ
遠くの小さき島陰を幾度と無く通り過ぎ海面上を低空飛行している
「曹長殿 大丈夫で有りますか」
「何が大丈夫で有りますかだ…この増加タンクはグニャグニャして
意外と操作が むっ難しいな…」
「…曹長殿 機首が上がり始めています」
「おーっカッキン カッキンッ…ふーっ ようし是で最後の燃料給油だ
さっ次は君の番だ自分が側後に付くぞ」
「了解」

A右手の僚機が薄暮に見えにくく成っている
「では やりますので伴飛指導宜しく御願いします」
「おーいっ一飛曹カッキン カッキンッで頼むぞ幾ら美しい月夜でも
夜目の効かん自分の眼では君の機影確認は難しいでの」
「了解です……もう少し……ハイ終りました」
「いやに早いな…若いのは早いのぉ…はははっ」
「いえいえ曹長殿も難しいものを なかなかで有ります」
「・・・・・・・・まっいいだろう…しかし幾ら爆弾搭載したままに増加燃料を
積む為とは言え操縦だけでの飛行が此れほど難しいとは目標に出会う
前に墜落してしまうのかと冷や冷やものだったな」

B数日前の基隆基地 主計隊室で電話を借りている一飛曹
「其れは…水枕を使われた方が良いと思うので有ります…いえっではっ」
主計准尉「一飛曹も大変だな わざわざ他の基地へ転属した整備班長の
息災伺い何ぞ今時の若いもんにしては立派で有る…んーっ
是は褒美だ ほれ丸々一本やるよ」
一飛曹「…そんな勿体無い自分如きに…」
准尉「遠慮は無用…本来なら戦闘機で大暴れしたい処で有ろう
出来ぬなら せめて特攻に参加したいだろうが…何せ この基地にも
花蓮にも潜水艦偵察攻撃に代用した複座複葉練習観測機しか
のこっとらん…米戦闘機ですら攻めて来ん…ふーっ」

其の頃 花蓮基地女子衛生挺身隊医具準備室をノックする整備曹長

C当日 一面の海原に昇り始めた月を座標点に
各自小型爆弾を吊り下げた2機の編隊飛行
整備曹長「それにしても沖で落ち合えて良かったよ自分は整備飛行と
言えば このカトンボ 何時でも飛ばせたが君は強行離陸か」
一飛曹「いえっ とんでもない其れじゃ軍法会議ものじゃないですか
丁度敵潜水艦発見の報が入ったのです此方が300km/hのこのカトンボで
現場海域に到着する頃には居る訳は無いと分かっていてもの出撃命令
…今回は偵察員を乗せる前に急ぎ発進ですが・・・・・・・・
誰か自分達の事を気付いて呉れるで有りましょうか…」
曹長「はははっ 慌てさせたな…互いに予定通り単独飛行に成れたし
…心配しなさんな いずれ誰かが気付いてくれる時も有るだろう…」
一飛曹「…曹長殿一つ言っておかなければならない事が有ります」
曹長「如何した あらたまって」
一飛曹「曹長殿には水枕を増加タンク代わりにと薦めておき乍
実は…自分は水枕が手に入らなくて わざわざ空にした一升瓶に
増加燃料を入れて来たので有ります…其れも偶然頂いた1本では不足
なので司厨兵に嘘を言って後2本盗んで来たので有ります
心が痛みます申し訳ない事で有ります」
曹長「中身は如何した…瓶の中身だ…ああ勿体無い…自分も一升瓶に
すれば良かった…何でもない…結局自分も水枕を盗んだのだ同罪だ
…しかし この竹水筒と中味の酒はアルミの水筒と交換だ…いやっ
別に独り言だよ…非常時だ まー我々の罪は靖国に来られた皆様に
詫びる事で良しとしようではないか如何だ…」
一飛曹「御高配有り難く了解で有ります」
曹長「…んっ…雲が出て来たか気を引締めて行くぞ…何っ…
慌てるな今度の敵は決して逃げやせん落ち着け……歌でも唄って
♪雨の降る夜は心も濡れる ましてアナタの来ぬ夜は♪…」
一飛曹「………」
曹長「おーっ感度を上げて来た3式磁気探が反応し始めたぞ
特攻の機会は1回きりだぞ」

沖縄本島沖の米艦隊は夜の海を埋め尽くしている
が布張りの複葉機2機の陰は米戦艦のレーダーにすら映っていない
突然の爆音で大艦隊群は蜂の巣を突付いたようになる




一首:昔より今時の若者と言ふ 何かを求め老いも若きも
一首:喜びも悲しみさへも綴り織り 絹が一筋 風になびかせ



カッキン:台湾語で急げカッキンカッキンッと言えば急げ急げと成る
磁気探:磁気探知機(海面下の潜水艦や夜陰の大型艦を発見するレーダー)
特攻:昔 特攻は味方のヒーローで現在の自爆テロは兇悪犯罪で
違いはハッキリしているも同様のものと思わせるは悪党で有る
して少なからずの特攻兵は大量破壊兵器の水枕化学爆弾を使用する事を
考えたり巨大潜水艦隊に化学爆弾を積んだ水上機の大編隊で米本土に落
せたのをギリギリの処で皆 留まったは各位が心のルールを持ち合わせて
いたからと気付いた極東軍事裁判関係者はパール判事1人と付加える
で万歩譲っても2発目の原爆は戦争終結と関らない等と今更文句は言わぬ
死なば神と忍耐の礼儀を知る米国賢人は言う事前に分っていた真珠湾と
せめて連合国捕虜を見殺しにした原爆慰霊日にしかるべき位の祈り望む
後書:記録では あの日 飛立った基隆と花蓮基地の各一機が
其の後 帰還せず不明のままと有り日本側からの正規の特攻は無く
だが米駆逐艦小破の特攻は有った…是は次元違う幾つかの事項を気付き
組み立てたが飛行部分は御2人の人となりより推測の完全戯曲で有る
尚 戦史中4章として路地裏の魔女(27)UNICORN 水枕 路地裏の魔女(29)
ラストフライト 路地裏の魔女K打電と順に御読み可能なり
('05/7記)
余興32:チャンポンは明治 長崎に多く留学中の台湾人がシャッポン(台湾
語で食事の意でシャッパンとも発音す)と使用したのが語源で有るが
寛永年間頃より南蛮菓子や唐人チマキに朝鮮餅を戦中ですら
連綿と食して来た長崎会所(商工ギルド)気質の人々は伝える「日本国長崎
は海の基点港 陸の終着駅 街自身何でん受け入れて来たチャンポンばい」


番外歌:未使用の 武装解除 有る歴史 管理者変わり 或五里霧中
一句:真実は 真珠の涙 湾判事

















|||| 千年会議準備憲章 ||||
( 再掲載 )

@過ぎ去りしほぼ千年前を特異点に其の百年後を見渡せば
其の変化微にして人の心の進化を越えざるものなり

A今を起点に百年後を予想せば其の変化少なからずして
人の心のアナログ様進化よりデジタル様文明の変化速き事予見可なり

Bかくて各会議時の百年後千年後への心の準備を怠る事無く
今を無理する事無く明日進むべき道徳を思い巡らすものなり

C地球及び銀河の百年後千年後に残すべきもの残さざるものの
合理的指針を人類は示す必要あり
  以ってここに千年会議国際会議の設置を提唱するものなり


*以上 憲章準備草稿の序文よりコラムとする
但し争いを煽るパラサイト流の参加を求めずとの一文を
態々入れなくとも総体を理解する人々で会議を設置運営する
章外:最初が分らぬ加害が被害を生み被害が加害を生む破壊と建設の
繰り返しを どの神が望むのか・・会議は人間を装う悪魔に魅入られ
トリックで抜け道を創る道徳無き虚栄者に無限連鎖地獄の
スパイラルの結果をきっとしらしむべし

追記:我々はこの百年の変化をすざましいと思うが千年後の人類が
其の変化を微と受け取るのは上記@のパラドックスでは無い
図表上の進化アングルは千年のターム経過に一定しているからである
尚20代より各種予想の確認計算と仲間や弟子達への説明に使用している
A=D/Tを恥ずかし乍ら「進化の拡定理論の基本式」と
仮称したままである#D:distance(例:人類が一定スパンに到達する距離)
このコラム 気力の関係で予定より数年も遅く掲載した・・
して各位予測推論に「進化の拡定理論の基本式」を定理として使用を許可す
小生如きのささやかなアイデアとは言え胸に残す幾ばくかのものと
記憶から消し去るもの又一般掲示すべき幾つかの表現を自ら分けるのは
痛みが伴う・・次の「コラム」や「目前の経済物語」を
何時掲載するかは気が乗らない故 未定である
('06/01更新)

一首:千年の 入口見つけ ドアを開け (下の句は各位でどうぞ)
一句:結論は 未来に有りて 今を生く







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