TURN OUT THE LIGHTS / TYCOON
 アメリカ出身の6人組産業ロック・バンドが'81年に発表した2ndアルバム。1stの『TYCOON』は国内盤もリリースされた(邦題は『大君』)し、シングルカットの7インチまで出ているので、一般的にはそちらの方が有名だと思う。このバンドが語られるときに必ず出てくるのが、ハーモニー・ワークの重厚さ。1stの時点では、それはむしろ「しつこい」と表現しうるほどの詰め込み方がなされており、今一つバランスが悪かったことも否定できない。「TRILLIONの1stのようなサウンド・バランスの悪さ」と言えば分かるだろうか?(笑) 加えて、肝心のヴォーカル・メロディも今一つ魅力に欠け、凡百の産業バンドの1つ…程度のイメージしか持っていなかった。たまたま見つけたこの2ndも、それほど期待して聴きはじめた訳ではないのだが、これは1stの問題点が見事に解消された好作と言える。ヴィニー・ポンシア(何の人でしったけ?)によるプロデュースは適度に隙間があってスッキリしているし、何より歌メロが良くなっている。特にA(4)"Walkin' The Line"、B(1)"Hang On In"といったあたりは、OLD産業ロックの名曲と言ってもいいかもしれない。前作では、素っ気無いメンバー写真(これがかなりださい)であったのだが、今回のジャケは比較的?ルックスの良い部類のメンバーを前に出して、他の連中は後ろに引っ込めるというテクニックも用いている。CHEAP TRICK戦術とでも言うか!? 1stと比較すれば、やや入手は困難かもしれないが、再発CDは1stとのカップリングなので、そちらでの入手もお勧めできる。本作を最後にバンドは消滅しているはず。   (hatch)


CAST THE FIRST STONE / URGENT
 ニューヨーク出身の5人組メロディック・ロックバンドが'85年に発表した1stアルバム。ロッド・アージェントとラス・バラードのARGENTとは無関係です。クレジットを見ると、5人のうち3人が「KEHR」という姓になっていて、このケアー3兄弟がバンドの中心ということらしい。いかにも'80年代的なジャケットの雰囲気、'85年リリースという時代性…から想像できるような、ポップ感を強調したライトなメロディアス・サウンドだ。ギターのエッジも加えられてはいるが、サウンドの中心はあくまでキーボード、そして歌。雰囲気的にはグレン・バートニックとかジャック・ワーグナーに近い感じかな。A面の頭3曲は哀愁…というか泣きのメロディが効いた好ナンバーで、一聴で大きいインパクトを与えてくれる。A(4)以降は退屈な楽曲が続くが、この3曲はメロディアス系マニアには受ける内容だろう。どういう関係か分からないが、イアン・ハンター&ミック・ロンソンのコンビがプロデュースを担当している。2ndも発表されているようだが、こちらは未聴。  (hatch)


BLUE TEARS / BLUE TEARS
 今となっては'80年代末の泡沫バンドのひとつ…どころか、名前すらも知られていないバンドかもしれないが、それがこんな高品質なアルバムを作っていたなんて、全くもって驚きだ。B級だけど曲も良い…みたいなマイナー・バンドは沢山いるけれど、これはプロデュースにも相当金がかかっていると思われる。音作り、曲の雰囲気、ヴォーカリストのタイプ…すべてにおいてDEF LEPPARDに通じないものはない。そっくりと言ってもいいかも。A(2)"Crush"なんか"Pour Some Sugar On Me"に続けてかかってきたら、知らなくてもそのまま踊ってしまいそうだ。この作品って本当に売れなかったのかな?? DEF LEPPARDがマルチ・プラチナムなら、このアルバムは少なくともシングル・プラチナムくらい取りそうなのだが…。A(4)は"Stagefright"のようなスピード・チューン、B(5)もキャッチーで明るいメロディが心地良いポップ・ナンバー。もしかしたら本国アメリカでは評価が違うのかもしれないけど、ここ日本ではメロディック・ファンの話題にも上らないのが不思議な内容だ。'80年代末期〜'90年代初期のバンド群は実に深い。そのことをあらためて実感した一枚。 (hatch)




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