ALL DRESSED UP… / DAVID ROBERTS
AORを本格的に聴きはじめたのはここ2年くらいの話なので、「これは素晴らしい!」と思ったアルバムでも、基本的にはレビューを控えてきた(まだ知識不足という意識が強いので…)のだが、このアルバムはそんな自分の狭小な意識を軽く超えてしまった。あまりに感動したので、思わず何かを書かずにはいられなかったという次第!!AORは控えてきた…と書いたけど、恐れを知らなかった頃(?)はAIRPLAYをレビューしてしまったという事実もあるし(笑)、とにかくレコードを聴き終えていろいろなことを語りたくて仕方ない、書きたくて仕方ないという心境になったのは事実である。それにしてもこのアルバムは素晴らしい。買ったのは去年('01年)の8月、Bitterさんと一緒に名古屋で猟盤した際に入手したものだが、なんで今('02年1月)まで5ヶ月も放っぽりだしておいたのだろう?と自分がうらめしくなるほど、猛烈に感動してしまった。ちょっと大袈裟ですね。(笑)
このデイヴィッド・ロバーツはアメリカ(ボストン)生まれのカナダ人で、これは'82年にリリースされた唯一のアルバムである。カタログ本「AORライトメロウ」でも、「TOTOに近い」と評されていたので、以前から興味はあった。しかし、ここまで内容が充実しているとは、ちょっと予測がつかなかったなぁ。タキシードを着込んだ、貴公子風のブロンド青年が、ワイングラスを片手にホテルの一室で電話をかけている…というジャケットからして、実にいい感じである。A面トップの"All
In The Name Of Love"は、確かにTOTOを思わせるロマンティック・ハードチューンなのだが、私はTOTOよりもむしろAIRPLAYの"Stranded"、ALESSIの"Jagged
Edge"、Chris Christianの"Make It
Last"といった名曲群を思い出した。A(1)だけなら、まぁまぁのアルバムということになるのだが、恐るべきは全10曲、すべて捨て曲無し!!
個人的にはA(1)A(2)A(4)B(2)B(5)が3重丸で、その他が2重丸をつけたい…そういう心境である。A(2)はNEILSEN/PIERSON、B(3)はダイアナ・ロスにカヴァーされているという事実も、曲の良さを証明していると言えるだろう。ご本人のヴォーカルはちょっぴり弱々しいところもあるが、そういうのが好き(笑)な私にとっては、まさにジャストフィット。これでヴォーカルが渋系のダミ声だったり、ダンディなロウトーン・ヴォイスだったら、ここまで入れ込まなかったかもしれない。むしろその点が重要なのだ。ヴォーカルの力強さ(弱々しさ?)具合としては、アレッシー兄弟以上/トミー・ファンダーバーク未満というところだろうか?それにしても、これだけの作曲能力を持っている人でありながら、発表したアルバムがこれ一枚だけというのが信じられない。少なくともこのアルバムは、再発CD化によって、メロディアスな音楽を愛好するすべての人の耳に触れられるべき作品であることは疑いが無い!!
(hatch)
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THE FRONT / THE FRONT
'80年代末にもオルタナ系R&RバンドでTHE
FRONTというのがいるが、これはそっちじゃなくてContemporary Christian MusicのTHE FRONT。'84年発表の唯一のアルバムだ。AOR&産業ファンにとっては、元AIRPLAYのトミー・ファンダーバークが歌っている作品として有名だが、実際はフュージョン的な要素も強かったAORグループ、SEAWINDを母体として生まれたユニットである。メンバーは、その元SEAWINDのボブ・ウィルソンとトミーの2人。それにセッション・メンバーを加えて作成した作品がこれである。あの余りに麗しきAIRPLAYでリードを張っていたヴォーカリストの参加作品だから、期待するなという方が無理というもの。CD化されているのは知らなかったのだが、REFUGEというマイナー・レーベル(多分)からリリースされたLPを見つけたときは小躍りしてしまった。何となく幻想的な雰囲気のジャケットもいい感じだし、長年欲しかったアルバムが見つかった喜びはひとしお…。だが正直なところ、内容はまぁまぁという感じかな。考えてみれば、先に聴いていたWHAT IF(このTHE FRONTを母体として'87年にメジャーデビューしているバンド)も内容がイマイチだったし、このボブ&トミーの作曲センスには、そんなに期待しない方が良かったのかもしれない。AIRPLAYがあまりに凄すぎるから、いまだに伝説的な存在として語られるけど、このTHE
FRONT、WHAT IF、'90年代に入ってからのKING OF HEARTS、FUNDERBURK MINORなど、そのどれもが個人的にはイマイチで、印象に残らないアルバムばかりだったからである。この人はピュアなクリスチャンみたいだから、CCMシーンでは当然一定の評価は得ているようだが…。私自身、CCMはまだまだ素人で詳しくないのだが、多少の俗っぽさがないと、門外漢にはちょっとキツイなというイメージがある。バンドの中心人物は、実際はボブ・ウィルソンの方だと思うけど、これまで聴いたSEAWINDの2枚のアルバムも、どちらかというと淡いタイプのメロディの楽曲が多く、印象は弱かった。だから、アルバム全体のこのメロディの薄さも、当然の帰結なのかもしれない。まぁ、とは言っても産業ロック的なA(2)、B(1)といったあたりは心地良く聴けるし、A(4)B(4)といったあたりも悪くない。しかし、あくまで悪くない程度で、大騒ぎするほどの内容ではなかった…というのが素直な感想だ。AIRPLAYファンが、余裕のあるときにチェックしてみれば良いのでは、というところ。 (hatch)
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1000 MILES / KIMBERLY FRANK
日本では全く無名だと思うし、インターネットの検索エンジンを使っても1件も引っ掛からないという(笑)このキンバリー・フランクなる女性。最近キンバリーと言やぁ、メタルの世界ではキンバリー・ゴス、'80Sメタルの病気な人にとってはDIAMOND
HEADのベーシスト(コリン・キンバリー/笑)が思い出されたりもすると思うが、この人はカナダ出身のシンガー・ソングライターである。これは'94年にリリースされたアルバム(インディーズ…というか自主制作だろう)で、他にアルバムがあるかどうかは分からない。カナダのソロ・シンガーといえば(セリーヌ・ディオンは完全に別格だけど)、ローレンス・ゴーワンみたいに国内でメジャーだけど国外では全く無名、みたいな存在も多いのかもしれない。このキンバリー・フランクが作り出している音楽も、無名のミュージシャンが作り上げたものにしては、あまりにクオリティの高い内容だ。とにかく1曲目のタイトル・トラックを聴いて倒れた。悲しげなピアノの旋律でスタートする曲って、楽曲そのものがイマイチでも印象に強く残るのだが、この曲は最初から最後まで全く隙がない。素晴らしいメロディの連続。ピアノの弾き語りがベースで、時折ストリングスが絡むというスタイルはありがちだけど、ここまでの曲はなかなか無いんじゃないかなぁ。私はBeverley
Cravenの"Promise Me"、Beth Nielsen
Chapmanの"That's The Easy Part"などを思い出した。1曲目以降も、(2)(6)(7)(9)(10)といった楽曲は歌メロが充実した佳曲。ヴォーカルは時に大人の女性らしく、時に少女のように様々な表情を見せるが、そのいずれもが魅力的に光っている。全く知らなくてジャケ買いしたアルバムだが、これは最大級のヒットだったと言っていいと思う。そう、忘れてはならないのは、このアルバムをチェックしようと思ったそもそもの理由が、楽曲クレジットにポール・サブーの名前があったからなのだ。SABU〜KIDD GLOVE〜ソロなどで堅実な活動を続けるおっさんメロディアス・ロッカーだが、この人が提供しているのが(10)"Take Me Now"。アルバムを聴き終えた今となっては、ポールの名前があったから云々はどうでもよいことになったが、その名前を通してこのアルバムに出会えたのだから感謝しなければなるまい。安価盤CDのジャケ買い癖が、ますます加速しそうな1枚。(笑)
(hatch)
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