22B3 / DEVICE
'70年代末にSPIDERのメンバーとして芸能界デビューし、'80年代以降はソングライターとしても鳴らすホリー・ナイト率いる3人組。キーボードのホリーを中心として、男性(ヴォーカル含む)メンバー2人がサポートするという編成だ。ジャケットでも、自信ありげな表情を浮かべて中央に立っているのはホリーだし、これは事実上彼女が作ったアルバムと言えるかもしれない。アルバム・タイトルとかジャケットの雰囲気からも示されている通り、全体的にはテクノポップちっくな産業サウンドで、当時ありがちだった音楽と言えばそれまでかも。SPIDER時代も思ったことだが、この人が作る楽曲…というかメロディは、イマイチ薄い。濃ければ良いということはないけれど、もう一つフックが無いんですよね。聴きはじめて、何となく良いな〜とは思いつつも、結局残るものが無いという、B級産業が陥りやすいツボにはまってしまっているという印象だ。曲のアレンジとか、サウンドそのものはかなり凝っているが、やはりブレイクできなかったのは、曲のつかみの弱さが原因だろう。それでもA(4)A(5)B(1)B(2)といったあたりは、雰囲気ものの産業としては、それほど悪くない(?)。HR的な見方とすればそういう感想なのだが、意外とテクノポップ・ファンから見たら好評価が下される内容なのかもしれない。 (hatch)
![]()
DRIVE,SHE SAID / DRIVE,SHE SAID
近年もMYSTIC HEALERやTHE SIGN名義でアルバムをリリースする一方、スペインの新鋭メロディックHRバンド、91 SUITEのプロデュースを手掛けるなど、精力的な行動が目立つマーク・マンゴールド。この人のことは、これまでも結構書いてきたのだが、メロディック系のファンとしては現在も気になる存在に違いない。一般的には「TOUCHの人」というイメージが強いと思うが、'70年代のVALHALLAからスタートするそのキャリアは、すでに30年になろうという大ベテランだ。このDRIVE,SHE
SAIDは、そのマーク・マンゴールドがヴォーカルのアル・フリッチと結成した、デュオ形式の産業HRバンド。TOUCH解散後は、ソングライターとしてマイケル・ボルトンらに楽曲提供してきたマークだが、それらのキャリアが十分理解できるような、典型的な産業ロックサウンドを展開している。ただ、このバンドをハード・ロックたらしめているのは、ヴォーカルのアル・フリッチの存在。キーボード・オリエンテッドなサウンドをバックに、かなり力強い歌声を聴かせている。ただ、時にそれが力みすぎとの印象を与えてしまうのも事実。また、このバンドはベストを含めて全作品をチェックしたのだが、何と言っても痛いのが、楽曲の出来がどのアルバムもイマイチなこと。クサければ良いというものではないが、メロディがどうにも淡白で、スッと流れていってしまうという感じなのだ。ベスト盤のみに収録された(オリジナル未発)"Look
At What You've Got"なんて、なかなかキャッチーなメロディの佳曲だと思うのに、オリジナル盤の方はつまんねぇ曲ばっかり、というのが正直な感想だ。しかしこの淡白さこそが、産業なのだ!という意見の人もいるかもしれないけど。TOUCHのファーストの名曲"Don't You Know What Love Is"のリメイクは、かなりテンポが早くなってハード・ロック的な仕上がりになっているが、オリジナルの美しいイメージからは程遠く、大した仕上がりではない。これだったら"Black
Star"とかにすれば良いのに、と思ってしまう。私は割と安値で見つけたけど、プレミアがついているケースも多く見受けられる。 (hatch)
![]()
KIDD GLOVE / KIDD GLOVE
'70年代末に自己のバンドSABUでデビューし、'90年代以降もゼロコーポあたりからしぶとくアルバムをリリースしていたポール・サブー。スタン・ブッシュやケン・タンプリン、ジェフ・パリスといった職人アーティストと並んで、産業ファンにとっては気になる人物の1人ではなかろうか。これはポールがKIDD
GLOVE名義で'84年にリリースした唯一のアルバムで、他の参加メンバーはサポートみたいなものだから、事実上彼のソロ・アルバムと言っていいだろう。(ちなみにサポートにはマイク・ベアードらが参加) 結局バンド形態よりも、ソロとして活動した方がやりやすいタイプなのかもしれない。'70年代、'80年代のSABUを聴いた印象としては、全体的にはA級感を漂わせつつも、曲のフックがもう一つ足りないという、大味なハード・ポップという感じだったのだが、この作品では数曲でかなり強い泣きのメロディを提示しており、あまり期待していなかった私としては、その点が意外な収穫だった。A(2)A(4)B(3)がそれ。基本的には金太郎飴的なバブリー・サウンドで埋め尽くされているのだが、そこに乗るメロディが良ければ、やはり心は躍ってくる。これってこの人のキャリアの頂点じゃないの?
しかし、アルバムセールス的には振るわなかったようで、ほどなくして名義を変更、路線も若干変更して'86年には再びSABU名義でアルバムを出すことになる。でもそのアルバムよりは、こっちの方が全然楽しめた。ちなみに邦題は『燃えるハード・ロック・カフェ』です。倒れた。(笑) (hatch)
![]()