HIGHTER THAN ANGELS / STAN BUSH
ひょんな偶然から、T'AMIGOさん経由からCDやらカセットやらを頂いてしまいました。ありがとうございました。代表してこのアルバムを報告させて頂きます。
この人はアメリカのシンガーで、本作は'96年発表の5枚目です(11月に6枚目が出ます)。唖然とするほど正しいAORです。頭3曲こそ「結構いいんじゃない?」という程度ですが、その後が大変です。"The
Price Of Love"はイントロだけで眉間にツーンと来てしまいますし、"I
Say A Little Prayer"では「ここでサックス・ソロなんて入ったら…」と思った瞬間に本当に入ってしまいますし、"Always"なんかはリック・プライスもぶっとびの気合いの入ったアコースティック・バラードです。ラス前が演歌チックなバラード"Beginner's
Luck"なのですが、それでも飽き足らずにラストはもう一発バラードなのです。何でこんなものがMVPレーベルから出て、新宿のユニオンの5Fで売られていたりするのでしょうか。
裏ジャケはアメリカの大平原に車が二台止まっているという風景の写真なのですが、これがすべてを象徴していますね。夕方4時ぐらいに車の中で聴いたら、5倍くらい良く聴こえることでしょう。全10曲入り45分前後というのも、'80年代AORっぽくていいですね。この人の旧譜は安く見つけたら買っておこうと思います。1stと2ndがどうも入手困難らしいというのが、さらに好感度を高めます(爆笑)。(真珠郎)

PHANTOM'S OPERA / PHANTOM'S OPERA
現SYMPHONY XのG、マイケル・ロメオがいたバンドの'95年リリースのアルバム。だそうだが、SYMPHONY
Xは聴いたことない。最初に聴いた時は、分厚いKeyの装飾、甘く細いVoのゲロ甘のダブル攻撃に、最後まで聴くことが出来なかった。そりゃそうだ。こんなサウンドは私の最近の趣味では全然ないんだ。が、2度3度と繰り返し聴くうちに(そんな気になったのが不思議なのだが)、歌メロの良さに気が付いてきた。どの曲も印象的な歌メロを持っている。バラード曲はうかつにも、ぐらっときた。こんな私がなかなかいいぞと思ったのだから、メロディアス系のファンは必聴なのでしょう。って、とっくに聴いているのだろうね;
あるいは純生が気に入っているから、密かにゴシックかケルトが入っているのではと疑う?
んなことない。普通過ぎるメロディアスなメタルだ。(純生)

FORRT DEN DAMON/SUBWAY TO SALLY
SKYCLADの『OUI AVANT-GARDE A CAHNCE』の数曲にゲスト参加していたドイツのSKYCLADと言われるSUBWAY
TO SALLYをやっと聴くことが出来ました。参加していたミュージシャンの楽器が、フィドル、バグパイプ、ホイッスルということから、アコースティックなトラッド・ロックをやるバンドだと想像していたがとんでもない。エレキ・ギター全開の力強いHMです。そこにフィドルを中心とした様々な楽器が入ってくるわけ。数曲ではフィドルの奏法がアイリッシュ&スコティッシュなSKYCLADとは違うのに気が付く。ドイツのトラッドのものだろうか?
速いインストにバグパイプ全開の"Julia Und Die Rauber"などは実は面白い。ドイツ語がやぼったくて、トラッドのドロ臭さもあるし、SKYCLADほど洗練されてはいないが、ドイツのSKYCLADのふれこみに偽りはない。しかもまるっきり同じではなくて、SKYCLADにはないものもある。ところでSKYCLADの新譜『THE
ANSWER MACHINE ?』では更なるトラッド化が目立つ。フィドル以外の楽器や、ケルトなトラッドに拘っていない姿勢。これって、SUBWAY
TO SALLYからの影響って大きいのではないだろうか? そこまでじゃなくても刺激ぐらいは受けているのではないかと、このアルバムを聴いて思うわけです。
ドイツ語でダサく感じるという以外は売れる要素は大アリなのでは? ってSKYCLADが苦戦している日本では多くは望めないだろうけども、せめて輸入盤店には並べてもいいのでは?
神戸のお店では並んでいるそうだけども。(純生)

CHINA / CHINA
スイス出身のCHINAのデビュー・アルバム。ブラック・ジャケットにロゴ・マークのアナログ盤も存在するようだが、私の買った国内盤CDはアイドルを意識したメンバー写真のもの。ルックスがよくないのに華やかなファッションに身を包んでその気になっている写真をみると、男なら間違いなく買う気をなくしてしまうであろう。だいたい、バンド名の日本語表記が「チャイナ!」って、「!」はいったい何なんだ!
音楽性がロックン・ロール/ハード・ポップだということで女の子ウケを狙ったのだろうが、それにしても「!」は頂けない。そんなことをしなくてもこのバンドの実力、特に曲に関してはレベルの高い美しい曲がいくつかあるので、男でも十分満足行く内容だと思う。中国風のイントロに続いてオープニングには持ってこいの元気なロックン・ロールナンバー"Shout
It Out"を始めとして、ギターのメロディが美しい"Wild Jealousy"など、CHINAの曲はどれもサビがしっかりしていて美しい。個人的にはロックン・ロールの匂いがもう少し薄れていた方が好きだが、このアルバムは平均点以上の作品には違いない。それだけにアイドル路線の変なイメージをつけられてしまったのが残念である。
(向井孝司)

ELECTRIC SCUM / DEPRESSIVE AGE
そろそろ、私が世界一好きなHMバンドDEPRESSIVE AGEの4枚目のアルバムのレポートをしましょうか。メンバー全員の名前を覚えているわけでもないのに「世界一好き」などと言ってしまってよいのだろうか?
よいのである。このバンドはコンスタントにアルバムをリリースしていて、前作を完全に聴き極めていないのに新作がリリースされてしまい、いつも焦ってしまう。実をいうと本作を聴くまでは若干の不安があった。それは何かといえば、音楽性の変化。3rdアルバム『SYMBOLS
FOR THE BLUES TIMES』は音作りや曲には何の仕掛けもない、持ち味である憂鬱な雰囲気だけで作られた、聴くものを厭世的な気分にする作品だった。それはスラッシュという派手な衣装を脱ぎ捨てた裸のDEPRESSIVE
AGEの姿であった(それ故に私のようなDEPRESSIVE AGEのファンは別として、それ以外の人にはまったく魅力に乏しい作品であったかもしれない)。一度裸になってしまった彼らが次に何を着るかが大きな問題で、もしかしたら流行の(といっても廃れつつある)「重いだけの鎧」を身にまとって登場するのではという余計な心配もしたこともあった。だが、彼らは裏切らなかった。今回のこの音楽性は表現が難しく、速くなく、特にヘヴィでもないダークでテクニカルなHMとしか私には表現出来ない。ギタリストが一人欠け4人となったが、難解で風刺の強い歌詞にJan
Lubitzkiの別世界へ誘うトリップしたヴォーカルがますます冴えわたり、今回もDEPRESSIVE
AGEにしか作れない唯一無二の作品となっている。すべての曲が3分もしくは4分台にまとめられ、それぞれが個々の個性に溢れている。短めのギター・ソロのひねくれ具合も彼ららしい。フラメンコを取り入れた"Companero
Song"、ギターリフとドラムが単調でインダストリアルっぽい"Sports
Yells"や、部分的にゴシック的な感じがする曲もいくつかあったりするが、そのどれもがジャンルのクロスオーバーの試行錯誤にとどまらず彼らのサウンドとしてちゃんと出来上がっている。そして新しい試みとして忘れてならないのがBRONSKI
BEATの"Small Town Boy"のカヴァーだ。ファルセット・ヴォイスを操るゲイ・シンガーJimmy
Somervilleによる独特の世界を持ったこの曲に挑戦することは、普通なら無謀とも思える。しかし、Janはそのファルセット・ヴォイスに対して低い声でつぶやくように歌い始め、サビで狂ったように叫び、たたみかけてくる。この圧迫感はすごい。オリジナルを越えたといっても過言ではないだろう。彼の歌には説得力がある。それは難解な歌詞をも理解させるという意味ではない。何を言っているかはわからなくても、彼のいうことすべてのことに対して首を縦に振って納得してしまう。それはまるで新興宗教団体DEPRESSIVE
AGEの教祖である彼に洗脳され、そのカリスマ性の前に屈しているようだ。またしても私に「パーフェクト」と言わせるアルバムを作ってしまったDEPRESSIVE
AGE。惚れ過ぎて胸が痛い…。 (向井孝司)

