CINEMA '00.10.21 京都・都雅都雅
 以前日本にFROMAGEというバンドが存在して、'80年代中盤に『ONDINE』『OPHELIA』の2枚の傑作を残して消滅し、伝説の存在となった。そのFROMAGEの元メンバーが4人集まって、さらに女性ヴォーカルとヴァイオリンを入れて誕生したのが、このCINEMAである。
 '95年の1st『THE SEVEN STORIES』は以前聴いていて、ヴォーカルが最初から最後までソプラノ一本で通しているのに最初は違和感を覚えたが、繰り返して聴くうちに耳になじんできて、今はかなり気に入っている。そして、今年5年ぶりに2nd『INTO THE STATE OF FLUX』がリリースされたのだが、これも1stと基本的に同路線の良い作品だった。
 今回のライブは新譜発売記念ライブということだったのだが、それでも東京1回、京都1回だけということで、もしかしたら前回もそんな感じで、ライブが見られること自体が貴重かもしれないなどと1人で興奮していた。後で知ったが、実際今回は5年ぶりのライブだったらしく、貴重はそのとおり貴重だったのだが、つまりはライブの回数が少ないということで、それは一面では進行その他の経験不足という危険性もあるのですね。
 ステージにはメンバーが6人いて、全員が楽器持ちで、視覚的にはかなり豪華なはずなのだが、見ていて一向に体温が上昇しない。個々のプレイにも何人か文句を言いたいのだが、それ以前に、アンサンブルとしてまとまっていないのだ。テンポが明らかにずれているとまではいわないが、相互の音が全く助け合っていない。しかもそれが、MCを全く入れずに(!)、ごく淡々と演奏されている。そして根本的な問題は、演奏しているメンバーが全然楽しそうではないということだ。アンコールの1曲目の後に拍手に対してヴォーカルがにっこりと笑ったが、これがこの日メンバーが見せた唯一にして最大の表情だった。
 思えば、FROMAGEも、個々のプレイが特に目立っているわけではなく、むしろ独自のメルヘンチックな音世界と超甘口ヴォーカルの強烈な個性が特徴的なバンドであった。それを考えると、メンバーのテンションが下がった場合というのは、あまりにもそれが演奏にはっきりと表れてしまうのかもしれない。それにしても、今日のあのKeyの幅の狭い無個性なプレイが、FROMAGEの2ndのあの人と同一人物であるとは、にわかに信じられないのだが…。 (アマリリス緒方)



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