TAKING A COLD LOOK / I-TEN
マドンナ、シンディ・ローパー、ホイットニー・ヒューストン、パット・ベネター、HEARTほか数多くのアーティストのヒット曲を次々と書き上げ、ソング・ライティング・チームとして'80年代に大成功したトム・ケリー&ビリー・スタインバーグ。本作は彼ら2人がプロジェクト、I-TEN名義で'83年に発表した唯一のアルバムである。全体的な方向性としては、当時最もポピュラーだった産業ロック〜AORの中間的スタイル。プロデュースがキース・オルセン&スティーヴ・ルカサーということだけで高品質な音であることが保証されたようなものだが、なお特筆すべきなのは泣きメロ満載の楽曲の素晴らしさであろう。胸が締め付けられるどころの騒ぎではない。聴いていると切なさのあまり卒倒しそう(?)なメロディが満載。それをちっともクサいと感じさせないところがまた一流の一流たる所以だと思う。注目すべきはHEARTが'87年に大ヒットさせた"Alone"のオリジナル・ヴァージョンが収録されていることで、HEARTのヴァージョンとはまた違った味わい(よりアナログ的な暖かみを持っている)を楽しむことができる。A@のタイトルトラック、B@"I
Don't Wanna Lose You"もともに名曲。B@なんて、こうやって書きながらメロディを思い出すだけでもジーンときていまいますよ。なおトム・ケリーは本プロジェクト結成前にFOOL'S
GOLDというバンドでもアルバムを発表しており、AORの世界では結構キャリアの長い存在。 (hatch)
![]()
BY APPOINTMENT OF / THE PRESIDENT
"Going Back To China"のヒットで知られるDIESELのキーボーディスト、ピム・コープマン(かのKAYAKにも在籍)と、オッキー・ヒュイスデンス(Vo)の2人からなるオランダ産AORプロジェクトの1st('84年発表)。ザリガニだかロブスターだか知らないが、その手の甲殻類が万年筆を手にして何やら書いているというファニーなジャケット。その内容もまた、ほのぼのした曲調にふわふわしたヴォーカルが乗る、というもので、イライラしているときに聴こうもんなら「うおーこんなタルいの聞いてられっかー!!」と叫びだしたくなるほど(?)のファニーさである。しかしそういうのを聴きたい心理状態があるのもまた事実。歌メロはとてもキャッチーだし、曲によってはしっかりギターもフィーチュアされているので、ハードAORと形容してもいいかもしれない。安易に比較すると知識の薄さが露呈しそうだが、ARROWS,
SWEET COMFORT BANDといったあたりとサウンド的に近いものを感じる。シンフォニック・ポップとでも言おうか!?
子どもや動物と遊んでファニーな気分になっているときに聴くと、気分がいっそう高揚して良かったりして…。ちなみにB@"That's
The Way That It Is"はAOR界の先輩バンドであるTHE BLISS BANDのカヴァー。バンドは翌'85年に2nd『MUSCLES』を発表している。中心人物のコープマンは当時からプロデュース業を兼任しており、本作発表後も数多くの作品を手掛けているようだ。
(hatch)
![]()
AVALON / ROXY MUSIC
初めて聴いてから12年、紙ジャケになったのを機にCD買いました。って書くと冷静なようだけど、店頭でこのシリーズを見かけた時は思わず一通り手元に積み上げてしまい、それじゃあいかにもだなあなんて恥ずかしくなって古いほう3枚ほど残してきて、でも輸入ものだなんてその時はわかんなくて後でしげしげと眺めるにオビが「ロキシー・ミュージック」としか書いてないなんて変なのーとか思ってやっとヨーロッパ盤だと気付いた次第。ちなみに盤とオビ(もどき)はヨーロッパ製なんだろうけど、紙ジャケなるものは日本でしか生産してないので、これも逆輸入ジャケってことになる…のだそうだ。銀色の再現がなってないのがちょっと残念。
私はこのアルバムが初めて聴いた日からとってもとっても好きで、今思うと若いうちにこの手のお墨付きの名盤ともっと出会っていればもうちょっとましな人生を歩んだかもしれないんだけど、今更どうしようもないのでただ気持ちよく聴き浸ることにする。YESで一躍脚光を浴びた(?)HDCD方式のリマスターで、かろうじてCD持ってたベスト『STREET
LIFE』の音と比べるとふくよかさが全然違う、それでいてシャープ。うちのCDプレーヤーがHDCD対応であることがやっと確認できた気がする。まあでも、音質云々はいいに越したことはないけど個人的には重要視してない。へぼへぼのラジカセで聴いてても心地よくて飽きないアルバムだったもの。今でも私が「Avalon」って言葉にめっぽう弱いのはこの1枚のせい。これに限らず後期ロキシーは大好きなのですが、その理由を考えても、おしゃれっぽい、高級っぽい、「あまりに英国的な」とか「無常感」といったイメージ的なものしか浮かんでこなくて文章になりません。
「ストレンジ・デイズ」のインタビューでフィル・マンザネラが、今後共演したいアーティストは「ブライアン・フェリーとアンディ・マッケイ」と答えていて、笑っちゃいました。って、真面目に再結成されちゃっても喜びも怒りも困りもしないと思います。これだけいいものを残してくれてるのだから、あとは何してくれても文句はありません。そうそう、STEELY
DANの20年ぶりの新作とやらも黙って聴かねば。 (Kyon Anderson)
![]()