「人間ってなれるのも早ければ忘れるのも早いんだなぁ」
 信号待ち。 ふと立ち止まって呟きながらビルを見上げているとちょっと田舎者っぽくみられたかと気になってしまう。
 それにしても、寒い。
 久々の都会の風は冷たくて、人に厳しいだけ。 ヒューヒューとうなりをあげる風の音に首をすくめて肌を隠す。
 俺の父さん、前原伊知郎の大仕事らしく年末は毎年特に忙しくなる。
 去年までは家から直接通えたのだが今年はそうも行かない。
 原稿の仕上げから印刷、そして販売、今年からは自分の手でやってみたいということで直接こちらまで出向いたらしい。
 その仕事は本当に年末どころか大晦日に帰ってくるかどうかというものらしいので、俺も一緒に連れてこられたのだ。
 「にしても、俺ってほんと寂しい生活送ったんだな。 ま、そりゃそうか」
 住み慣れていたはずの街にもろくに友達はいなかった。
 久しぶりにあってみたいやつもいたけれど、そんな友達は塾の冬期講習にでずっぱり。
 雛見沢に引っ越してなければ俺もそんな連中の一人として、こんな灰色の空と同じ世界に居たのだろうか。
 当面の問題は俺にすることがないこと。 学校からの宿題も大したことなくあっさりと終ってしまった。
 ふと見上げた電気掲示板の日付は十二月二十一日。
 クリスマスから年末まで一週間もこちらで暇をつぶすのは、無理だ。
 「帰ったら母さんに相談してみよう」
 二人の仕事が終るまであと二時間ぐらいある。
 ちょっと慣れないけど買い物でもしてこようと思い当たる。
 信号が変わると同時に聞きなれた童謡が雑踏に吸い込まれる。
 周りの人と同じペースで歩きながら人ごみに混ざっていく。
 それでも生きていく歩調はゆるやかに。
 「それにしても、寒いな……」






















白い天使が降りてくる









 暗くなった頃に宿泊先のホテルにもどる。
 「ただいまー」
 「あらお帰り圭一。 今日は随分と遅いわね」
 「あぁ、うん。 ちょっと話があるんだ母さん。俺、雛見沢に帰りたいんだ。 ……駄目かな?」
 言った途端母さんが渋い顔をする。
 そりゃそうだ。 子供を一人家に残して一週間ちょっと東京に居るって言うんじゃうちの母さんが首を縦にふらないのはわかってる。
 でも父さんに言ったところで
 「そういうことなら母さんに相談してきなさい」
 で終わりだと思う。
 しかも締め切り直前でてんぱってる父さんに話しかけるっていうのも出来る限りさけたいところだ。
 だけど雛見沢の生活に、皆との時間になれてしまった俺には今のこの生活は到底耐えられるものじゃない。
 「心配なのはわかるよ。 でもここにいるより俺は雛見沢の皆のところにいたいんだ。 食事とかもインスタントだけじゃなくてちゃんとするし、もちろん家事をためこんだりもしないからさ。 お願いします」
 ちょっと大げさに頭を下げてみる。
 顔をあげないでいるともっと大げさにため息をつくのが聞こえる。
 くっ、ここで駄目っていわれたら多分くらいついても駄目だろうな……
 「顔をあげなさい、圭一」
 素直に上げた顔の目の前に紙をぶらさげられる。
 ぼんやりと見える文字はどうみたって電車の切符だった。
 「母さん!」
 「お父さんがね、圭一はもうこんなところの生活に満足したりしない、それよりも引っ越して始めての年末行事をお友達と過ごす方がよっぽどためになる、って言ってね。 お母さんが知らない間に電車の切符を買ってきちゃったのよ」
 いつからあんなに手際がよくなったのかしら、と母さんが面白そうにわらう。
 父さんに感謝しながらも一緒になって笑ってしまう。 夏までの父さんはそういった細々したことは全部母さんにまかせっきりだったからだ。
 「それにしてもよく今日言い出すって分かったね」
 「それは私にもわからないわよ。 お父さんも男の子な一面があるから、なにか思うところがあるんでしょうね。 それよりも……」
 そこからは覚悟していた通り。
 家事をしっかりすること、食事は栄養バランスに、というのは無理だろうからせめてインスタント以外のものを。
 買い物なんかも気をつけるように、なんならレナちゃんに手伝ってもらいなさいなどなど。
 開放されるや否や父さんと泊まっている男部屋に戻って帰り支度をする。
 「ありがとう、父さん」
 「おぉー、母さんが言ったことは守れよ? 怒った母さんからかばうのまでは出来ないからな」
 「……肝に銘じとくよ」
 それが利口だ、と笑う父さんは扉越しに作業している。
 うちも大分変わったと思うけれど、そんなことは頭には残らない。
      帰れる。
 それだけが俺の頭を支配していた。
 荷物を詰めて支度も万全。
 早めに布団に入ったのもあるだろうけど目が覚めたのは目覚まし時計よりも三十分も早かった。
 「我ながら子供っぽいなぁ」
 なんだかんだと時間をつぶして昼前にホテルを出る。
 電車に乗り、駅で乗り換えてまた電車。
 鈍行にゆられながら途中積雪で遅れたりもしたけれど、日が暮れる頃にはなんとか家にたどりついていた。
 それにしてもここの雪は一段と凄い。
 ここ雛見沢は豪雪地帯として有名で、特徴的な屋根の形はこの積雪にそなえたものなのだとか。
 「社会の教科書にのってたけど、なんだっけなぁ」
 とりあえずうちの上の雪が凄いことになっている。
 扉の前も雪がズッシリ積もっていて家に入る前にスコップでかきわけなければならなかった。
 ようやくの事で帰って来た我が家はひんやりとした空気に満ちている。
 しばらくリビングで休んだ後に冷蔵庫を開けてみる。 一人で居るときに腹の虫と話すのはなに、寂しいものだ。 が
 「そりゃ食い物残していくわけがないよな……」
 あちこちを漁ったところ見つかったのはインスタントラーメンが一つだけ。
 「こりゃぁ……明日補充に行かないと」
 もちろんインスタントのじゃないぞ。 うん。
 お湯をそそぎながら明日の心配をする。
 普段はしない買い物に料理、しかもこの雪で足もない。
 どうしたものか迷った挙句レナに電話をすることにした。
 梨花ちゃんと沙都子に迷惑をかけるのもいただけないし、魅音も料理上手なのはわかるが、我が家の食卓事情を把握しているのはやはりレナだ。
 というか親父や俺よりも食費とかにどれぐらいつかっているか判ってるんじゃないだろうか?
 食事を終えて電話をかける。
 「こんばんわ。 前原圭一と言いますが、レナさんは居ますか?」
 「こんばんわ圭一君。 今日帰ってくるのは大分早いよね……よね?」
 「あぁ、向こうにいても暇だからな、無理いって帰ってきたんだ。 それでだな、頼みごとがあるんだ」
 「う〜ん。 もしかしたらご飯関係のことかな?」
 「本当に盗聴器の類はないんだろうな……実は俺一人だけで帰ってきたんだけど、冷蔵庫に食品が一切無いんだ。 それで母さんがレナを頼りにしなさいっていうもんだから。 情けないのはわかってるんだけど、明日買い物に付き合ってくれるか?」
 クラスメイトの女の子に食材の買い込みを手伝わせ、っていいのか? 俺は?
 ちょっとぐらい迷うかと思ったけどレナは二つ返事で快く受け取ってくれた。
 「そうだ、圭一君。 お買い物もいいんだけど、明日はお昼過ぎに魅ぃちゃんちにいかない? 皆で集まることになってるんだ」
 「お、そりゃいいな。 皆にも挨拶したいし。 何時にどこにいけばいいんだ?」
 それから明日の待ち合わせの時間などを決めて電話を切る。
 さて、久々に帰ってきたからと言って手加減してくれるような部員じゃない。
 何があるかわからないからにはたっぷり寝て英気を養わなきゃな!
 皆に会えるのが楽しみで寝付けないことも考えたが、体はキッチリつかれていたようですぐにまぶたは落ちてしまった……

 眼が覚めると一番初めに感じたのは鳥の鳴き声。
 随分遠くに居るようだけど静かな朝にはぴったりだ。
 水道の水は氷水を更に冷たくしたような感じで、ばしゃばしゃを顔を洗うと眠気が洗い流される。
 初めてこの冷たさを感じたときには感覚まで流されるかと思ったなぁ……。
 そんなことを思いながら見た時計が示していた時間は
 「なっにいいぃぃぃ!?」
 静かな昼時にしては騒がしい声だったことから推し量ってもらいたい。
 バタバタと慌てて身支度をする。 どうやらレナとの待ち合わせにはギリギリ間に合いそうだ。
 いつも彼女と待ち合わせをする場所は今はすっかり雪の壁状態だ。
 「んー、こりゃ改めて、すげぇよなぁ」
 なんたって大人の背ぐらいはある。 とはいえ、雪を使った部活では一度大敗を喫している。 今日はその借りを返せれば良いんだが。
 「けーいちく〜ん! はぁ、はぁ……ごめんね、待ったかな。 かな。」
 「いや、今来たトコ。 それよりレナ、そのコート新しく買ったのか?」
 雛見沢は豪雪地帯。 だからコートとかはきっちりした防寒対策がとれてないと痛い目を見る。
 レナも昔はここに住んでいたというしそれぐらいわかっているとおもうのだが、今着ている服はどうみてもファッション重視。
 「あはは、実はお父さんがデザイナーのお仕事を少しずつやり直してるんだ。 これはその試作段階の一つで、持込をするつもりだったらしいんだけど……この辺じゃ売れないのにね」
 困ったように笑うその顔は、だけどとても幸せそうだった。
 「んー、でも東京にあった服よりセンスいいと思うぜ。 それに、レナに似合ってると思う」
 正直レナをイメージして作ったんじゃないかと思うほどだった。
 瞬間沸騰するレナの顔を見て満足した俺は前に立って歩き出す。
 園崎家への道はよく整備されていて、おかげでそう苦労することも無くたどり着けた。
 玄関には見慣れない車を止めてあったが、お手伝いさんもいないのかレナと一緒にお邪魔する。
 広間に近づくと大勢が騒いでいるのだが喧騒の中にやけに胸騒ぎのする音がする。
 威勢よく襖をあけはなって
 「よっ、みんな元気だったか?」
 ちょっとしたドッキリのつもりだったんだが、5セットの眼が必死で状況を把握していた。
 「ふぇ? って、けけけ、圭ちゃん!? どうしてここにいるのさ!」
 「圭一さんは東京に年末までいるんじゃありませんでしたのー!?」
 「くすくす、お姉、それじゃ圭ちゃんのこと嫌がってるように聞こえますよ」
 「ほらね、圭一は帰って来たのです。 約束どおり冬季限定白い天使のモンブランシューは僕が頂くのですよ〜。 あぅあぅ」
 「な、神様なんだから少しは妥協しなさいよ! だめだめだめ〜、それは私のなの〜!」
 凄いカオスっぷりに手が付けられない。
 ま、なんだかんだいって歓迎されてるのは空気でわかる。
 東京に帰っても俺をこうやって迎えてくれる人などいなかった。
 すこしだけ不安だったのかもしれない。 この地を離れて、皆から離れて、帰って来たときの事を。
 「あ、あのさ圭ちゃん! 私ちょっと着替えてくるから!」
 魅音が急にそんなことを言い出す。 よくみるといつもの動きやすそうな服装じゃなくて、レナや詩音が着せたがるような、女の子然とした服装だった。
 少し迷ったけれど、これは都会帰りの俺がイニシアチブをとる滅多にないチャンスではないだろうか?
 「どうしてだ、魅音。 別にそのままでも可愛いじゃねぇか。 いいから座れって」
 圭ちゃんもやるぅ、とかいってる妹と腰の力が抜けたように座り込む姉。 東京で何してきたんだろ、だろ、とかいってる世話焼きの娘は放っておいたほうがいいな。
 ん〜。 なんかこう違ったベクトルの嗜虐心が湧いてきたり……。
 「みぃ〜。 僕たちは似合ってないですか圭一」
 後ろから服をくいくいひっぱる梨花ちゃん。 よく見ると(見なくともわかるが)沙都子と羽入とペアルックのもこもこした可愛らしい服装だった。
 「もちろん似合ってるさ。 心配しなくても三人とも似合ってていいとおもうぞ」
 「悪い気はしませんけど一緒にされているのもどこか不満ですわね」
 満足がいかないと頬をふくらませる沙都子と梨花ちゃんの頭をなでていると部屋のすみからこっちを見ている人影に気付いた。
 そういえば家の前に見慣れない車が止めてあった。
 その持ち主はこの夏お世話になった、そしてかけがえのない命の恩人たち。
 「んっふっふ〜、お久しぶりです前原さん」
 「やぁ、夏以来だね圭一君」
 「大石さんに赤坂さん! こっちにきてたんですね!」
 「前に来たときに雪の雛見沢もおつなものだと勧められてね。 来年以降も休みがあるかどうかわからないし、これるときにこようと思って」
 後ろの雪絵さんと美雪ちゃんにも挨拶する。
 なるほど、赤坂さんがきていたというのなら納得できる。
 梨花ちゃんたちがにこにこと笑いながらジャラジャラと鳴らしている、こたつの上の麻雀牌が何を意味するのかを。
 そしてもう一つなるほど。 雪絵さんが困ったように笑っていたのはこれが原因でもあるのか。
 「赤坂さん、奥さんに許可は取ってあるんですか?」
 小声で聞いてみると笑ってくれたが口の端が引きつっている。
 「奥さんもやってみればいいじゃないですか。 そうすれば赤坂さんがどれだけ強いかもわかりますよぉ〜? 賭け事とはいえ一つのことにあれだけ秀でているのは素晴らしいことだと思うんですけどね、わたしゃ」
 大石さんも指をこきこき鳴らしている。
 む、そういえば俺はいつだったかものすごい麻雀が出来るように誤解されてしまっていたような気もする……どうだっただろう。
 こりゃちょっと気合を入れて本気で勉強しないといけないみたいだ。
 そうでなくとも魅音の手馴れた積み方を見ると寒気がする。
 よしっと意気込んだ俺はこたつの一角に座り込む。
 「よしてくださいよ大石さん。 僕がこの道から足を洗ったのも雪絵に負けたからなんですから」



 ……………

 「ぬぁんですってぇ〜!?!?」
 赤坂さんのよく通る凶悪発言に一番反応したのは大石さんだった。
 「ちょ〜っと待ってくださいよ奥さん。 赤坂さんといったらあのセミプロ裏プロがごろごろしてる馬場の雀士なんですよぉ!?
  レートがデカリャンピンでやってたっていうだけで十分驚きだってのにこんだけ長く打ってる私ですら適わない凄腕ですよ!?
  その彼にあなたが勝ったって言うんですか!? しかも赤坂さんが負けたからやめるっていうには半荘勝負っていうわけじゃないでしょう。
  えぇ違うはずです。 だったらあなたはプロかそれともヤクザの代打レベルだっていうんですか!?」
 す、すごい。 俺も負けるとは思わないが熱のこもったマシンガントーク。
 赤坂さんがどれだけ強いのかもわかるけど、相当悔しかったんだろうなぁ、大石さん。
 いやー、褒めてもらって申し訳ないんですが、と頭をかいている赤坂さんが言った一言はまさしく会心の一撃だったようだ。
 「実は雪絵の父は馬場の雀聖って呼ばれていた、恐らく上から五本の指に入る打ち手でして……その人は理詰めに運がくっついてるみたいなんですけど、雪絵の場合は運にルールがくっついたような感じで……」
 なんともそら恐ろしい話だが「綺麗な並び」を作ると大抵は大物役になっているらしい。 そのうえ裏をめくればドラドラ唸る。
 とりあえず最低限のルールしか把握しておらず点数計算もままならないらしいのだ。
 「んっふっふ、そんなこと聞いちゃったら私の腕だってうずいちゃうじゃないですかぁ〜」
 「ほどほどにしてくださいよ大石さん、私も本気でやらない前提ですので……それじゃ、まずは負けない麻雀から教えようか」
 すったもんだのあげくようやく麻雀講義が始まる。
 時間はあっというまにすぎていった。
 沙都子は大石さんから直伝の裏テクを伝授してもらっていたし、梨花ちゃんや魅音は赤坂さんから麻雀の根底にある理論とやらを教え込まれていた。
 一番に恐ろしかったのはレナが雪絵さんの感性にのっとった麻雀論を飲み込んでいったことなんだが。
 かぁいいモードで本能全開全力疾走なレナとは二度と麻雀なんてやりたくないとその後皆で頷きあった。
 数時間にわたって全員で麻雀を楽しみ、終わる頃には空が暗くなっていた。
 赤坂さんたちは先に車に帰っていたが、今になって家に帰っても食材が一切ないことに気がつく。
 レナにどうしようか声をかけようとすると、魅音が手を叩いて注意を引く。
 「圭ちゃんは家に帰ってもご飯無いんでしょ? だったらこのまま圭ちゃんもうちに泊めちゃって良いかと思うんだけど、どうかな? もちろん部屋は別だけどね」
 「なっ、泊まるって勝手に決めちゃ駄目だろ魅音」
 「ばっちゃにはもう許可とってあるよ。 圭ちゃんは随分と気に入られてるからね〜。 今からこんな雪の中買い物だなんて車もないし無理だよ。 それに、ばっちゃの信頼を裏切るようなことをしちゃったりするのかな〜圭ちゃんは?」
 「ばーか、そんなわけねぇだろうが。 それじゃ悪いけどそうさせてもらうかな……梨花ちゃん達ももしかして泊まってくのか?」
 「ぼくたちはもう既に一泊してるのですよ。 圭一が一緒ならもっと楽しくなると思いますです、にぱ〜☆」
 ぐっ、それは反則ではないだろうか。
 もともと俺がどうこう言う前に返すつもりも無かったらしく、食事も俺を含めた人数分用意されていた。
 オリョウさんに礼を言って、皆とゲームで静かに盛り上がる。
 何事もなく夜は更けていって、気付くころには日付を越えていた。
 遊ぶのはしまいにして寝る部屋へと案内される。
 もちろん俺は皆とは違う部屋だ。
 一日をおもいっきり遊びつくして、今日も終る。
 一昨日までとはまるっきり違うこの快感に酔いしれながら、俺は意識を沈めていく……

 目が覚めたとき、一瞬自分が何処にいるのかわからなくなった。
 「そっか、魅音の家に止めてもらったんだっけ……」
 布団から這い出して窓を思いっきり開ける。
 今日はしっかり朝のうちに起きることができた。 目に入って来たのはまっさらな銀世界。
 雪は止んでいるけどつもった雪原はこの世のものとは思えない美しさだった。
 反射する光に目を細めながら今日の予定を考える。
 一日お世話になるのもいやだし、むしろ昨日むしりとられた麻雀はまだもう少し間をあけたいところだ。
 かといって一人で家にいるのもわびしいことだし、どうせなら誰かを誘ってみるのもいいかもしれない。
 タイミングよく廊下から誰かが来るようだ。
 「よし、ちょいと声を掛けてみるか」
 窓を閉めて襖をあける。
 そこに立っていたのは…………

1:レナかな ―A―  ―B―
2:魅音じゃないか?
3:梨花ちゃんだと思う
4:沙都子だろう