PCMジャズ日記
7月10日(土) SAVOYをバァ〜んと太っ腹


 
「ギンギンニューディスク」2000年5月19日の再放送より

出演 スーパーエディター 安原顕さん 学習院大学教授 中条省平さん

わたしもね、そうそう昔ばっかり懐かしんでいるのもいかがなものかと思うのですが、これを書かない手はないなぁと思うわけですよ。『プレイバック安原顕』ということで、安原さんの番組『ギンギン・ニューディスク』の再放送が始まりました。特に中条省平さんがゲストのときの、例のお文学の話は、そんじょそこらの文芸対談の比じゃなかったですね。そのあたりもおいおい紹介していくとして、まず冒頭からどうぞ・・・懐かしい。

安原 「こんばんは、『ギンギンニューディスク』の安原です。どうもこんばんは中条さん。」
中条 「こんばんは。」
安原 「きょうのお客様は中条さんです。」
中条 「よろしくお願いします。」
安原 「はーい。またお互いにいっぱいレコードがあるんですけど、いま冒頭で流れたのは、」
中条 「いいですね、コレ。」
安原 「サヴォイジャズね。」
中条 「ええ。」
安原 「あなたに教わった、40枚出るというんで、あの人なんて言いましたっけ、女の人。ほら、あなたが紹介してくれた、サヴォイの女だか男だか知らないけど(笑)何とかさんっていう、難しい字の人。」
中条 「ああ、菰口(こもぐち)さん。男性ですね。」
安原 「菰口さんにね、さっそくねファックスしたら、『いま菰口がいないんで、私佐藤といいますけど、お送りします。』って言って、ガバっとくれちゃったのよ。」
中条 「あ〜、い〜いですねぇ〜。」
安原 「で私もね、貰っちゃうと凄いプレッシャーになるからね。」
中条 「ハハ、プレッシャーですか?ハッハハ。」
安原 「だから、どっか、誰も読んでない『朝日グラフ』か、誰も読んでない『週間FM』で露出しますよ。何にも結びつかないけど。」
中条 「いや〜、そんなことないですよ。だって、電車で安原先生って話かけられるんですから(笑)」
安原 「ヒャハッハッハッハ。たまにネ。」
中条 「ええ。」
安原 「それで、いまなったのは、そのサヴォイの中の、ナット・アダレイのね、」
中条 「ええ。」
安原 「『ザッツ・ナット』っていうねやつで、ハンク・ジョーンズとかね、ウェンデル・マーシャルとかね、ジェローム・リチャードソン、テナーとかね、ケニー・クラーク、ドラムとかね、そういうのでやってる、何年の録音なんだろ、1955年。いい音だよね。」
中条 「いい音ですねぇ。」
安原 「ネ。」
中条 「それから、兄貴とやってるときと全然違う、」
安原 「そうなの。」
中条 「安原さん好みのウエスト・コーストっぽい。」
安原 「そう。」
中条 「温かい感じのノリですよね。」
安原 「そう。」
中条 「これ、まったく知らない人に誰ですかって聞いても、ナット・アダレイって答えは出ないでしょうね。」
安原 「ね。」
中条 「いや新鮮ですよ、いま聴くと。」
安原 「図々しくね、菰口さんにね、寺島さんは影響力強いからね、」
中条 「笑」
安原 「何でそれを言ったかって、寺島さんに一応聞いたんだよ。サヴォイ出るけど知ってる?って言ったら、知らねえってんだよ(笑)『どこで?』なんて言うから、紙見てさ、忘れちゃったけど、何とかって会社だよって。」
中条 「ヒートウェイブ」
安原 「あ、ヒートウェイブか。そしたら知らねえって言うんだよ。いじけて『俺んとこなんかね、送ってこねえんだよ』なんて言うから、『送るように!』って言ったらさ、パァ〜んと、エライね、その佐藤さん、バァ〜んと送ったの。」
中条 「いや、太っ腹ですね。」
安原 「太っ腹ですよ。そいで、おまけにその、ジミー・スコットですね。ジミー・スコットの3枚組みも」
中条 「安原さんだけに(笑)」
安原 「そう。くれたんだけど、(笑)寺島さんにも送ったから、」
中条 「あ、そうなの。」
安原 「あれ、届いた?って言ったらね、『うん、届いてる』って、聴いてよとにかくって言ったらね、『いや〜』とか言ってんの。豚に真珠!しょうがないねぇ。」
中条 「理由は何なんですか?」
安原 「嫌いなの。あの声の質とかね、この前『オール・ザ・ウェイ』かけたときもね、あの人(笑)偏見の人だからさ、あの、こうやってね、意識的にね、客を意識してね、『オール・ザ・ウェイ』を崩して、そのシナトラっぽくなくやるというのが気に喰わねぇと、まあ、こう言うしね。」
中条 「う〜ん。」
安原 「まあ、声質が嫌いなんでしょ。あの人処女の声しか認めないからさ。」
中条 「ウッフフフフ」
安原 「もう、処女の声ならなんでもいいっていうね。」
中条 「フフフフフ」
安原 「だけど、僕はね。この人全然知らなかったけど。な〜んっつったら言いかな、後でこれかけるときに言いますけど。」
中条 「楽しみです。」
安原 「面白い人ですよ。」
中条 「はあ。ビリー・ホリデイ的とおっしゃいましたよね。」
安原 「そう、そう。あのね、崩すんですね。」
中条 「ああ。」
安原 「あのー、アフター・ユーヴ・ゴーンをアフター・アイヴ・ゴーンって歌詞変えて歌ってるんですけど、」
中条 「ええ。」
安原 「これなんか、ああただったらね、ビリー・ホリデイだって意味がわかりますよ。生まれつき、つまり寺島さんが大むこう狙って意識的に崩したって、そういうんじゃないんですよ。いるんですよね、ときどき、そうやって勝手に、要するにミュージシャンですね、要するに、ミュージシャンってメロディーどおりにあんまり弾く人いなくて、ちょっと、もう、リフだって変えるじゃない。」
中条 「ええ。」
安原 「そういうふうに身体がなってるんだよね。だからワーって変えちゃう。」
中条 「うん。」
安原 「いいんですね、その味がねぇ。そいでねぇ、せっかくだからきょうは、そのサヴォイの中からね、有名なね、『プレゼンティング・キャノンボール』っていう」
中条 「最初のリード・アルバムですね。」
安原 「そうですね。ほら、このモノクロで、ねえ。こうやって並んでる、こういう感じの、昔は、ジャケットだったよね。」
中条 「そうですねぇ。」
安原 「いいよねぇ。」
中条 「ええ。」
安原 「でね、これがやっぱり1955年の録音で、キャノンボール・アダレイ、アルトサックス。ナット・アダレイね。で、ハンク・ジョーンズ、ポール・チェンバース、ケニー・クラークというんでね、4曲目の『カリビアン・キューティ』ってのと、例の有名な『フラミンゴ』これをじゃあ聴いてみてください。」
中条 「はい。」

♪ Caribbean Cutie
♪ Flamingo
Cannonball Adderley (Savoy Jazz COCB-50276)

安原 「いや、いいねぇ。」
中条 「いいですねぇ〜。」
小次郎 いいです。
安原 「録音もホントいいよコレ。」
中条 「そうですね。まあ、キャノンボールって言うと、なんか、ファンクでガンガンって感じですけど、全然まだこの時代はそうじゃないですよね。」
安原 「そうなの。で、音も若々しいしさ。」
中条 「ええ。もうなんか情緒纏綿、嫋嫋たる音色で、」
安原 「そう、そう。」
中条 「なんか音にはリバーブがかかっているという太田さんの」
安原 「太田さんの、プロの、」
太田 「ええ、凄いなんか、深いリバーブがかかっているんで、びっくりしました。」
安原 「それなに、どういうつもりでかけてんの?」
太田 「やっぱり、いまやった、後のほうの『フラミンゴ』みたいなスローなやつは深くリバーブかけたくなりますよね。」
安原 「ああ、つまり音が」
太田 「叙情的になりますからね、速い曲はかけても、やりずらいですね。自分の残響が残っちゃうから。」
安原 「ああ。」
太田 「たぶん、ヘッドホンかけて聴いてますからね。だけどこういう曲は自分の音が綺麗に返ってくるから、気持ちよく吹けますよね。」
中条 「なるほど、プロの一言が、」
安原 「プロの一言でした。」
中条 「しかし、これいまから45年前の音ですよね。それが本当にいきいきと、」
安原 「そうなの。」
中条 「驚きますね。」
安原 「驚いちゃうね。これね、サヴォイはね、売れるね。」


なんか、大きくてドッシリしていていい演奏でしたね。で、どうだったんでしょうか?このシリーズ、売れたんでしょうか。

しかし、『ギンギンニューディスク』で、安原さんが、これほど寺島さんの話をしていたとは驚きました。この先も続けて書いてみることにしました。いやいや、ヤスケンは永遠に雄弁だ。



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