Chihiro Yamanaka p Ray Parker bs LaFrae Olivia Sci ds 2001年録音(澤野工房) |
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2001年9月16日、その5日前に起こったニューヨーク貿易センタービルの惨事のショックがさめやらぬころ、無名だった山中千尋に出会いました。彼女の出身地の桐生市で行われたライブに出かけたのです。ホールのステージの上にも席が設けられており、わたしは、いわゆるかぶりつきに陣取りました。 正直いってあまり、期待していなかったのです。ただ、もう音楽でも聴かないといられないといった精神状況でした。彼女の指が鍵盤を打ち始めた瞬間に「はっ」としたのを今でも 憶えています。アルバムの1曲目の「Beverly」でした。 良い曲でした。聴き終わってからこれは、ジャズじゃないと感じました。わたしの数少ないジャズの引き出のどこにも収まりませんでした。整理の付かないうちにステージはどんどん進行しました。イパネマのアレンジは圧巻でした。こんな解釈をしたJpbinは、これまた聴いたことがなく心地よいショックでした。究めつけは中島みゆきの「A Sand Ship」です。ぶっ飛びました。彼女は天才だ!なんでこんな田舎でやってるんだと。そして今日ここへ来て本当に幸運だったと感じました。 またステージは一転古典的なジャズのムードも十分に聴かせてくれました。正統派スタンダードの「Cry Me A River」、レーベルのPabloの印象から作ったという「Pablo's Waltz」。ほっとジャジーなムードに酔わせておいて、「Balkan Tale」。わたしはこの曲を聴いて「ルーマニア舞曲」を連想しました。おっ、「澤野いろ」の曲だ。 ピアノのテクニックも最高です。機械のように正確に速弾きをします。鍵盤を強打します。ときどき腰がイスから浮いています。このアレンジ、この選曲。わたしはこの日の2時間、至福の時に酔いしれました。 掘り出しものだと思っていたら、あっという間に売れっ子になってしまいました。2003年5月時点でもHMVのモダンジャズ部門の売れ行き第2位です。(ちなみに1位は彼女のセカンド・アルバムです) 「1万枚売れたらジャズじゃないと、評論家に言われました。」と本人が語っているが、寺島さんだろうか?もしジャズじゃないならそれでもいい。 とにかくわたしの中では最も注目している若手ピアニストです。これから育つと思うと楽しみです。 蛇足ながら、アルバムタイトルの「Living Without Friday」のFridayとは、ロビンソン漂流記のオウムの名前だそうです。彼女のニューヨークでの一人暮らしの孤独を表現したそうです。「わたしにはFridayすらいない。」という意味らしいです。「金曜日の無い生活」ではミュージシャンとして稼ぎ時が無くなってしまうと笑っていました。 ちなみにライブは水谷浩章(b)、高橋信之介(ds)のトリオでした。9.11の影響で急きょ編成したそうです。 |