顕微鏡を買ってからというもの、いろんなものを見たくてうずうずしておりましたが、
今日は庭でアメーバを探してみました。
アメーバというと、なんだか得体の知れないどろどろとしたものを連想する方も多いかと思います。
ま、確かにそういうのもいる(毒はない)のですが、ワタシの探しているのは
有殻アメーバといって、殻を持つ種族です。
なんでそんなものに興味をもっているのかご説明しましょう。
<長い説明>
今を遡ること20年ほど前、ワタシは中学校で科学部にいました。
そりゃもちろん、テニスも野球もサッカーもしてみたかったのですが、
理科室のあの独特の雰囲気に惹かれるモノがありましてなんとなくはじめてしまいました。
1年生の時の研究テーマは「硫酸銅の結晶促成法」。
硫酸銅(CuSO4)の溶液中にガラス棒をつっこみ、いろいろな触媒を作用させて
そのガラス棒の先に短時間でデカイ結晶を作ろうという研究です。
硫酸銅の結晶はきれいな青色をしていて菱形に成長します。
うまく作れると南の海から切り取って来たような美しい菱形の結晶ができます。
当時ワタシにはイオン交換の仕組みなど全くわからず、ほとんど先生のガイドで
なんとか乗り切った感じでしたが、
ここでワタシは「ガラス棒づくり」の技術をマスターしました(笑)
素材は廃棄になった蛍光灯。
中の蛍光剤を洗浄すると透明なガラス管になるので、
それをガスバーナーであぶってだんだんと細い管にしていきます。
髪の毛の数分の1程度の太さになっても、まだつぶれずに管のままで
「超極細駒込ピペット」なんかも作れました。
こうして
中学初の夏休みはガラス棒細工で過ぎていったのです。
何が楽しいって、1年生の時はこれが一番楽しかった。
この道のプロになろうかとおもったぐらいです(笑)
2年生になると別のテーマ。
こんどは「教室内の微気象に関する研究」。なんだかわかりませんよね。
平たく言えば「教室の中でチョークの粉がどのように飛ぶか」の研究です。
黒板消しで黒板を消すと、チョークの粉が飛びますが、
これがどのようなパターンで教室内に拡散するのかをいろいろな条件で比較しました。
これは研究そのものがかなり新発見が多くておもしろかったです。
例えば
・黒板消しのサイズが大きいほど粉の吸着が良くなる反面、
空気を大きくかき回すので飛ぶ粉の量はトータルであまり変わらない・チョークの粉を最もあびてしまうのは日の当たる側の最前列席、
次に多量なのが日の当たる側の最後列席。・チョークの粉被害を軽減するには、チョーク粉1粒1粒を重くして飛距離を制限することが有効。
比重を上げるには新品時に「スペシャル溶液」をしみこませて粒同士が細かく離れないようにする。
(溶液が何だったか一番肝心なところを忘れました)・黒板を拭くときに「濡れ雑巾」を使うのが究極の方法である。
というようなことがわかりました。
これも、学校中の教室を使って試験するので夏休みがつぶれました。
皆がグランドや体育館で若さをスポーツにぶつけている時、
教室に並べたガラス板30枚に乗ったチョークの粉を
廊下に置いた特設デスクの顕微鏡で来る日も来る日も数える毎日。
もちろん冷房なし(笑)
こうして
中学2年の夏はチョークの粉を数えているうちに過ぎていったのでした。
中学3年の春になり、先輩の研究を引き継ぐ形でテーマが「有殻アメーバの生態学的研究」に決定。
アメーバについてはワタシも前述のようなイメージしかなかったので、
有殻といわれてもよくわかりませんでした。
研究内容としては、いろいろな場所へ出かけていき、どのあたりにどんな種類のアメーバ君が
分布しているのか調べるというものです。
山、川、海、たんぼ、畑、町中、道路、いろんなところへ出かけてはビーカをもって歩き回る謎の集団(笑)
それを学校へ持ち帰っては顕微鏡で見るわけです。
なかなか膨大なサンプルでとっても大変でした。
#今思えば、毎回毎回クルマであちこちつれて回らされる先生のほうがもっと大変だったに違い有りません。
そしてみなさまの予想通り、
中学3年の夏はアメーバを見ているうちに過ぎていったのです。
というわけで、例によって前置きが長くなりました(笑)。
あの夏からはや20年。
今ふたたびアメーバを見つけて青春を取り戻すんだっ!!(無理だっつ〜の)。
と意気込んで庭の土を掘ってみたわけです。
いましたいました。なつかしのなべかむり君、つぼかむり君などなど。
土壌線虫もたくさんいて、土壌的には結構健全かも。
我が家のせまい庭には、自生の植物、地衣類がけっこうあるので(別名雑草ともいうが)、
それらが堆肥となり、土自体はいい状態です。
さあではこれをみなさんに...お見せしたいところですが、
ここで難関。
写真がうまくとれないのですね。
顕微鏡+デジカメでむりやり撮るとこんな感じ。
×150
真ん中にぽちっといるのが彼です。
撮影用の顕微鏡ではないし、染色液もしてないのでこれじゃ全然わかりませんね〜。
×600に拡大。
拡大してみてもこんな感じ。
実際に顕微鏡で見るときはスライドグラスに滴下するときの水の量をやや多めにしておくと、
振動を与えて転がすことができるので、立体構造がよくわかります。
↓実際はこのような形をしています。
右手で書いても大差ないですね
なんだか昔話に出てくる、よい爺さん/悪い爺さんみたいですね。
じゃがいもとサツマイモにもにてるように見えるかもしれません。
実際は半透明のうす茶色で、図にあるように穴がぽっかりと空いています。
ということで、ちょっと今は他のサイトのお力を借りて写真を載せます。
写真:Gen-yu SASAKIさん
写真の引用元であるGen-yuさんのサイトはこちらです。
(快くお許しを頂きましてありがとうございました)
ご機嫌のいいときはここから触手を出していることがあり、
おそらくその触手から栄養をとっているのだと思います。
何を食べてるのかって?
そりゃまた難しい質問ですね。
実際にぱくぱくちゅーちゅーと食べている様子は見たことがありません。
少なくとも人間に寄生したりしませんのでご安心を。
◇ ◇ ◇
ということで、全くのきまぐれでアメーバの話など書いてみました。
こういった原生動物は地方、都会にかかわらずそのへんにどこにでもいます。
生態系とか、食物連鎖という言葉を聞いたことがあると思いますが、
細菌類や微生物アメーバなどの原生動物も地球上の生態系のなかで非常に重要な役割を
果たしています。
私たちが今日ゴハンを食べられるのも、
きれいな空気を吸っていられるのも、
もとをたどっていけばこれらの小さな生物たちの働きのおかげなわけです。
生態系が一つ崩れれば、自然環境は徐々に変化していってしまい、
霊長類の長だなんだと威張っているくせに進化に何万年もかかる人類などは
あっというまに絶滅してしまいます。
たまには、人間も自然環境の一部なんだというあたりまえのことを思い出して
環境への配慮をお忘れなく...。
ワタシがこんなことを書くのははなはだ場違いとは思いますが、
多感な少年時代の夏をすべて顕微鏡とともに過ごしたわずかな知見として、
この小さなサイトで多少なりともアピールするのが責務のような気がしています。
それはある意味偶然であり、ある意味運命的なのでしょう。
ふとした気まぐれで科学部に入らなければアメーバや微少生物に興味など持たなかっただろうし、
自然界の生態系の重要性にも目がいかなかったでしょう。
スポーツは上手にならなかったけれど、大切なことを学ぶことができた、
中学生活はそんな3年間だったような気がしています。
まあ、その反動で、中学卒業後はサッカー部に入るわけですが(笑)
その話はまた後日。