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ウイスキー

■ シングル・モルト・スコッチウイスキーの真実!? ■

 私がウイスキーを美味しいと思ったのは大学生時代。グレン・フィデックを飲んだ時に、その切れの良さに驚いたことから始まります。
 しかし、その後「百年の孤独」などの樽熟成系麦焼酎に嗜好が移り、日本酒からワインへと、醸造酒にのめり込んでいき、久しくウイスキーを飲まずに過ごしました。
 久しぶりにザ・マッカランを飲んで思いの外感動しなかったことも1因でしょう。

 しかし、2006 年 1 月、私はラフロイグというウイスキーに出会い、それをきっかけにスコッチウイスキーにも色々な個性があることを面白いと思うようになってきていました。

 その矢先・・・!

 左の写真は、東京都武蔵小金井の「菊屋大久保酒店」で比較試飲させて頂いた、ラフロイグの10年ものです。似ていますが、細かな部分で違っていることが分かります。
 大久保さんは、それぞれをグラスに注いで「飲んでみて。」と、何がどう違うのかを教えてくれないままテイスティングをさせられました。
 違いが分かるのだろうかという不安の中、ちょっと緊張してテイスティングしましたが、あまりに歴然と違っていて間違いようもありませんでした。

 右のものは、私が知っているラフロイグの味。これが標準だと思っていた風味でした。
 左のものは・・・!
 比べると、はるかな高みに存在する美味しさです。まろやかで、言葉にならない芳香があり、この 2 本の間には「天と地」と言えるほどの違い、圧倒的な品位の差がありました。
 その違いを音に例えれば普通のコンポと高級オーディオシステム、画像に例えればコントラストと彩度を上げたどぎつい(けど素人受けする)画像と自然でなめらかな階調を持つ画像、味に例えればスーパーで売っている安いゆで麺の蕎麦と熟練した職人の手打ち蕎ほどの差です。この違いが分からない人は、試薬のエタノールとウォッカの区別が付かないレベルです。

 私はしばらく呆然として、言葉を失って立ちすくみました。
 この違いは何なんだろう。そして、左のウイスキーの美味しさはどういう事だろうと。

 その違いを、大久保さんが教えてくれました。右は日本で普通に手に入るラフロイグ、左は並行輸入でたまたま入手した、イタリアで流通しているラフロイグだそうです。でも、なぜこれほど違うのでしょうか。 

 その問に、大久保さんはこう答えてくれました。
 「右のは、日本の表示義務に関する法に抵触しないギリギリのところで作られた粗悪品(偽物)、左が本物。」
 日本では、半分以上「それ」が含まれていれば「それ」であると表示して良いことになっています。例えば「国産ワイン」を名乗る場合、国産ワインが50%を超えて入っていれば、残りが「輸入された濃縮ジュースを還元して作られた偽ワイン」であっても堂々と「国産ワイン」と表示できます。それと同じ事がウイスキーの世界でもまかり通っているというのです。
 私が飲んでいたラフロイグ、いや、輸入されているスコッチウイスキーの大半が、日本の法律を満たす最低レベルでブレンドされたウイスキーなのだそうです。
 後日補足:日本向け仕様には大量の別のウイスキーが混入しているのではなく、「10年物」と表示されている中に、半分を少し超える10年物が含まれていて、残りに若いウイスキーがブレンドされているということだそうです。(同じようなこと(15%以内で別ヴィンテージなどの混入)がフランス産ワインでも一部で行われているそうです。)

 こんなに美味しいのか・・・・という感動に浸って、唸り続けました。
 参りました。
 今まで飲んでいたのは何だったのだろう・・・と、悲しくなりました。

 そもそも、ウイスキーは原産地では 70 cl で流通するのが一般的だそうで、容量が 75 cl という時点で「日本向け仕様」が疑われるのだそうです。
 ただ、この辺はもっと詳しく情報を確かめる必要があると感じました。
 しかし、目の前の 2 本のラフロイグが全く別物であることは、間違いのない事実です。そして、不味い方が私の知っているラフロイグの味であることも事実でした。

 メーカーには、あるいは流通業者には「誇り」というものが無いのでしょうか。
 こんな味が本当のラフロイグだと、多くの日本人は誤って認識しているでしょうに。

 そんな大久保さんが薦めてくれたのは、アイラではなくスペサイドの「LINKWOOD」というシングルモルト・スコッチでした。たまらなく優しい香り。切れの良さ。まろやかなのに個性があって、素晴らしく美味しい。これで 5 千円弱ですよ。

 ウイスキーに開眼しました。でも、大きな問題が 1 つあります。どうやって「本物」を入手するかです。

 今、LINKWOOD 12年ものを飲んでいます。
 これまで普通に飲んでいたボウモワ12年ものとアードベック10年ものを比べて飲むと、アイラの 2 銘柄は、まるで固いトゲを持ったイガイガを飲んでいるかのようにざらついて感じます。
 本物のラフロイグ10年ものは、もっと柔らかで高貴でした・・・。もう、元には戻れません。


<後日追記>LINKWOODにも偽物が!? 2006.7.6 NEW