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「本と本との日々」管理人Candanaは、
その変わったHNからしてヘンなのです! なぜなら……


 Candanaってどう読むの?

 なんと読むのかというか、呼ぶのかというか、発音するのかというか、情けない話ですが、実は本人にもさっぱり分からない……のです。

 HN(ハンドルネーム)を考えるとき、名前に因んだものを使われる方も多いと思いますが、私もそうしました。私の名前は父が名付けてくれたのですが、有名な諺「栴檀(せんだん)は双葉より芳(かんば)し」に因んでいます。栴檀は香木の白檀(びゃくだん)の別名で、「白檀は芽ばえたときから香気が高い。そのように、大成する人物は子どもの時から普通人よりすぐれたところがある」という意味です。
 ……完全に、名前負けですな。両親の期待に反して大成しそこなった私としては、名前の由来が気恥ずかしくもあるのですが、初めて子どもを授かった両親が、大きな喜びを込めて名付けてくれたと、感謝しています。

 さて、肝心のHNの方ですが、「栴檀」を辞書で引くと、「センダン科の落葉高木。白檀の別名。梵語candanaの音訳」とありました。梵語(ぼんご)とは、古代インドの文章語で、サンスクリットのこと。音訳された形で仏教語としてわが国に伝わったそうです。
 梵語なんて珍しいし、名前にも因んでいるから、これにしようと決まったのが、HNのCandana。残念ながら、身近に仏教関係者もいないので、正確には何と発音するのかは全然分かりません。栴檀が音訳なので、「センダン」でいいのかもしれませんが、自分では適当に「カンダナ」と言っています。最初の頃は間違ってCannadaと書き込み、「カンナダ」と思い込んだりしていました。ですから、皆様も「キャンダーナ」でも「噛んだな」でも、お好きなように読んでください。

 ちなみに、Candanaと名乗るようになってからは、身近な香りに関するものは白檀系にしています。仏壇のお線香はラベンダーの香り、森の香り、海の香りと、なかなか魅力的なものもありますが、オーソドックスに白檀の香り。寝室のベッドの脇には白檀の香りのパフュームを、インド製の小箱に入れて置いています。寝室に入るとゆかしい香りがほのかに漂い、とっても気に入っているのですが、「なんだか線香臭い」という人もいます。なんて失礼な!


 Candana、本と出会う §1

 「本」を読むということを意識した瞬間というのを、今でもはっきり覚えてています。小学校1年生のときに、初めて絵本以外の本を父から手渡されたときのことでした。徳永寿美子著、偕成社の学年別・幼年文庫二年生『たのしい神話とでんせつ』というタイトルのこの本、父がなぜ神話を選んだのかは定かではないのですが、「日本人だもの、本を読むなら、やっぱり古事記から」くらいの気持ちだったのでしょう。まだ1年生だった娘に2年生用の本を与えるところが、親ばかでした。

 実際の私ときたら、1年生なのに平仮名の読み書きがちゃんとできないという、落ちこぼれ児童でした。1学期の国語の成績を見て愕然とした母は、夏休みが始まると私を習字教室に通わせ、家の勉強部屋の壁に貼られた「あいうえお」の五十音字が書かれた大きな紙の前で、朝晩、音読させるという、猛特訓を開始。多分、父が私に本を与えたのも、苦手な国語に少しでも興味を持たせようとしてのことだったと思います。

 日本の神話と伝説(「八つのしま」「いなばの白うさぎ」「はまぐりひめとあかがいひめ」など)とギリシャ・ローマ神話(「天からももらった火」「ミダス王のねがい」「金のりんご」など)の2部構成のこの本に、私はたちまち夢中になりました。母の猛特訓のおかげで、なんとか平仮名は読めるようになっていたのですが、本当のことをいうと、書いてある文字を読むというより、全ページに描かれていた挿絵や、カラーの口絵を眺めるのが楽しみだったのです。髪を角髪(みずら)に結った大国主命(おおくにぬしのみこと)や領巾(ひれ)や玉で飾られたはまぐりひめ、ローブを優雅に纏ったアテネの女神の姿にうっとりしていた、というのが真相……です。

 久しぶりに『たのしい神話とでんせつ』を手にとってみると、なんと、カバー絵、口絵、挿絵、すべて高畠華宵(たかばたけ かしょう)でした。絵にうっとりするはずです。さすがに「華宵好み」とか「華宵美人」という言葉があったくらいの人ですから、今、見ても、描かれている人物にすごく色気を感じます。小学1年生の女子にその色気が伝わっていたのかどうかはよくわかりませんけれど、本好きになったきっかけが華宵の挿絵だったことは確か。著者の徳永寿美子は「お母さん童話」の創始者といわれている、当時の児童文学の第一人者。監修には川端康成も名を連ねています。子ども向けの幼年文庫に一流のスタッフをそろえているところなど、当時の編集者の意気込みを感じさせる1冊でした。

 この本をきっかけに読書の楽しさを知った私は、深い、深い、未だに抜け出せない本の森へと迷い込んで行くわけです。特に偕成社の本にはお世話になりました。「なかよし絵文庫」「児童伝記全集」「児童名作全集」「少女世界文学全集」「少年少女世界の名作」と、シリーズものはほとんど読んだと思います。小学館や講談社でも少年少女世界名作全集を出していたので、気に入ったお話は出版社を変えて読んでみたり、高学年になってからは、ポプラ社の「IDOL BOOKS」や偕成社の「ジュニア日本文学名作選」などを読むようになりました。
 当時の本はほとんど手元に置いてあるのですが、1960年代の、いわゆるアメリカン・ミッド・センチュリー・モダンの影響を受けたブックデザインのクオリティーの高さには驚きます。本文の紙はあまり良い物を使っていないのですが、カラーは退色もなく(小宮山印刷株式会社)、年月を経ても色鮮やか。今のデジタル処理されたデザインにはない、手描きならではの線の面白さや、デザインの奔放さ、温かみなど、大人になった今も、心引かれるものがあります。


 Candana、本と出会う §2

 こんな風に本にのめり込んでいった小学生時代でしたが、後々まで私の読書傾向に影響を与えた本が何冊かあります。

 最初の1冊は、偕成社児童伝記全集の『ものがたり 紫式部』(大木雄二著)。伝記というと、なんとなく堅苦しくて説教臭いようなイメージがありますが、サクセスストーリーですからポジティブな爽快さがあり、特にアムンゼンとかリビングストンとかの探検家の伝記は冒険物語を読んでいるような面白さがありました。反対に、人の世の儚さというものを初めて知ったことで忘れられないのが、紫式部なのです。もともと日本のお姫様物は大好きで、この紫式部の伝記も例によって挿絵から入り、十二単に長い髪を垂らした姫の装束に憧れたのでした。

 この伝記の中で私がいたく心を動かされたのは、紫式部の兄、藤原惟規(のぶのり)の死でした。このお兄ちゃん、賢い妹を持ったばかりに、ずっと目立たなかった人。惟規が『史記』を読むのを聞いていた幼い式部が、兄より先に覚えてしまったというエピソードがあるくらいです。式部が『源氏物語』を書いて文壇のヒロインになった後、病弱なこの兄は、父の任地だった越後で都に思いを馳せながら、淋しく死んでいくのです。その章のタイトルは、ズバリ「かわいそうな惟規」。私は涙、涙でこの章を読みました。『フランダースの犬』や『家なき子』を読んでも、あんなには泣かなかったはず。あまりにも私が泣くので、心配した母が宥めても、「のぶのりがしんじゃった〜」と言ってはまた泣くので、母も困り切ったそうです。平仮名も読めなかった落ちこぼれの私は、やはり落ちこぼれとして死んでいった惟規の運命に、我が運命を重ねて涙していたのでしょうか。

 泣きながら『ものがたり 紫式部』を読み終えた私は、「げんじものがたりを、よみたい」と、母に告げました。というのも、『ものがたり 紫式部』の本文中に、いかに源氏物語が偉大な書物であるかというのが、しつこく書かれていたので、じゃ、それをひとつ読んでみようと、実に軽いノリで言っただけなのですが、その後、これが一騒動を引き起こしました。

 後から思えば、母の世代にとっての『源氏物語』は、まだまだタブーを残す危険な書物だったのです。その上、今まで絵本に夢中だった小学生の娘が、突如『源氏物語』を読みたいと言い出したので、母は大慌て。我が娘は読書の悪影響で、どこかいびつな形で早熟になってしまったのではと、担任の先生に相談に行ったそうです。先生は先生で、昨日まで「あいうえお」もおぼつかなかった生徒が急に『源氏物語』を読みたいなどと言いだしたのですから、これまたびっくり仰天! どうもこの時に、「とんでもない、おませサン」というレッテルが、私に貼られたようです。

 母にも先生にも「源氏物語なんてね、子どもが読むモノじゃないんだから」「もう少し子どもらしいモノを読みなさい」と散々言われ、そうなるとますます興味がわく私は強情に『源氏物語』が読みたいと言い続け、ついに1年後、偕成社の少女世界文学全集の中の『源氏物語』を読むことが許されたのでした。ところが、あんなに憧れていた『源氏物語』なのに、いざ読んでみたら、全然面白くない。何しろ少女世界文学全集……当然のことながら内容は大幅に書き換えられていました。

 「(女三の宮と柏木は)心したしくしておりましたが、そのうち深い交わりをむすぶようになりました。ところが柏木はその不ぎりになやみ、とうとうもだえ死んでしまいました。その女三の宮の産んだ公子、薫の君が柏木に似ているのも、源氏のなやみのたねでした。」

 深い交わり、不ぎり、もだえ死ぬ、なやみのたね……???……こんなのだめ、わけわかんない、つまんないと、小学生の私には、日本の古典文学の最高峰に対する不信感が芽生えただけでした。母と先生からは、『源氏物語』の感想をしつこく聞かれましたが、「案外、つまんないもんだね」と、素っ気なく答えるだけ。この出来事がトラウマになっているのか、私は今でも『源氏物語』は苦手です。

 こうして『源氏物語』に失望した私が、次に挑戦したのが『平家物語』。源氏がだめなら平家はどうだと、2冊の本の違いも分からないまま読み出したのですが、こちらはドンピシャリと嵌りました。合戦の場面に心躍らせ、俊寛や敦盛に涙し、この軍記物の虜となってしまったのです。それからは『源平盛衰記』『義経記』と読み進み、『太平記』から『国姓爺合戦』まで、合戦系の本を夢中になって読みました。他の同級生が『若草物語』や『赤毛のアン』に夢中な頃、『平家物語』に熱中していた女子小学生の私。つまり、私のハートを掴んだのは、色恋沙汰より合戦だったのです……。


 Candana、本と出会う §3

 小学生時代に最大の衝撃を受けた本とは、小学校5年生の時に出会いました。近所の古本屋で、講談社の少年少女世界名作全集『十五少年漂流記』(ベルヌ原作、小林正訳)を見つけた私は、300ページほどの冒険小説を一気に読み終えると、また最初から読み直し、何日も何日も同じ本を読み続けるということを繰り返し、たちまち、頭の中は『十五少年漂流記』でいっぱいになってしまいました。学校に本を持っていってはいけないことになっていたので、学校が終わると友だちと遊ぶ約束もせずに一目散に家に帰り読み続け、夜寝る時は枕元に本を置いて、スルギ号のこと、チェアマン島のこと、そしてそこに漂流した男の子のことを考え続けました。外国人の男の子というのがピンとこなかったので、少女マンガのグラビアに載っていたウィーン少年合唱団の写真を眺めては、こんな顔なのかなと想像をめぐらし、挙げ句の果てには1人ため息をつく始末。つまり、その時の私は、本の中に出てくるブリヤンという少年に初恋をしていたのです。

 これには参った。というより、寝ても覚めてもブリヤンのことばかり考え、勉強は手に付かず、『十五少年漂流記』を何度も読み返すばかり。文庫本や福音館の『二年間の休暇』(『十五少年漂流記』の原題)も読み、かつての『平家物語』に熱中した時よりさらに凄い勢いでのめり込んだのですが、今回は物語を味わうとか冒険を楽しむというより、とにかくブリヤンという男の子が好きという現象なので、質が悪い。
 仲良しの女の子同士で「誰君が好き」というコクハクごっごをする時も、私は「ブ、ブ、ブ……、ブリヤン! 14歳のフランス人の男の子で、ニュージーランドに住んでいて、船が漂流して2年間も無人島にいた」と言っては、1人周囲から浮きまくってしまったのでした。

 本人はかなわぬ初恋に、それこそもだえ死にそうな、めくるめく気分を味わっていたのですが、この嵐も1年間くらいで自然と治まり、中学生になるころは目出度くも、同級生や上級生の男子に胸ときめかす、「ごく普通の、おませサン」になることができました。
 それでもやはり、この『十五少年漂流記』の影響は多大だったらしく、好きになる男の子は、ちょっと外見はだらしないけれど、勇気と行動力があり、小さな子どもに優しい、ブリヤンみたいな男の子、が基本でした。
 まっ、それは今も変わってないわけです。相変わらずね。
 
 そして中学生になった私は、ついに『風と共に去りぬ』と出会い……、まぁ、もういいですね。長い話にお付き合いいただき、ありがとうございました。こんなふうに、Candanaは本と出会い、本の森をぐるぐると歩き回り、今に至っているわけです。


 ハンドルネームとペンネーム

 Candanaについてアレコレ書かせていただきましたが、学生から社会人へと、かのオイルショックやバブル崩壊をくぐり抜けながら、ヨロヨロと本の森を歩き回り(あくまでも本人のイメージではヨロヨロですが、第三者の冷静な目にはノッシノッシと映っているかも……)、現在は、子どもの頃からの夢だった本を作る仕事にたどり着き、フリーの編集者兼ライターとして、超零細企業ながら、なんとかやっています。

 ところで、ハンドルネームのCandana以外に、ペンネームというのがありまして、書評などの辛抱強さと粘着気質を必要とするときは「遊佐玲」、その他の物書き関係の好奇心の赴くままウロウロする時は「那羅かおり」と、2つのペンネームを使っています。
 編集者の仕事に関することは、縁の下の力持ち、表舞台に出るべきではないと思いますので、このサイトでは、ハンドルネームのCandanaを使うことにしました。
 ペンネームとしてはもう一つ、“小倉あずき”というのがありまして、これもいつか使いたいと思っています。さて、どんなキャラになることでしょう……?


 Candanaお気に入りのサイトです。

 オフィス・エイツー
Candanaがしばらくの間、社員としてお世話になった、演劇関係のプロダクション。女優の剣幸さんをはじめ、バレエの堀内元さん、舞台俳優の大島宇三郎さん、伊東恵里さん、平澤由美さん、田村まどかさんら、所属アーティストの情報満載のサイトです。


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