結婚・妊娠・出産について

 
膠原病の患者さんにとっても結婚は大きな関心事となっています。あわせて妊娠・出産について膠原病友の会京都支部顧問の石田 博先生に解説していただきました。
 

 結婚について
 

20年程前には、結婚は勧めないのが一般的な考え方でした。しかし、膠原病の診断と治療が進歩した現在では、病状が安定している患者さんにはむしろ結婚を勧めることが多くなってきています。

その理由は、結婚生活が病状を悪化させる可能性が低く、むしろ良い影響をもたらすことも多いからです。夫婦の仲が円満でお互いに信頼関係ができれば、闘病生活にも前向きになりますし、配偶者の精神的支援は膠原病の病状を安定化させるのにプラスに作用するケースも多いのです。

このような協力関係を築く上で、配偶者の病気に対する正しい理解がとても重要になってきます。これは、特に膠原病に限ったことではないのですが、病気の種類が多く個人差が大きい点などは、一般の病気とは少し事情が違ってくるかもしれません。

とにかく、結婚をされる相手に対して、患者さんご本人が説明されることが第一歩ですが、やはり膠原病という病気を正しく理解していただくためには、主治医の先生から配偶者になられる方に説明をしていただくことをお勧めします。

さらに、可能であれば両家のご両親を含めた親族の方にも同席していただいたほうが望ましいと思います。実際、ご両親を含めたご親族に十分な説明を行って納得して頂き、幸せな結婚生活を営まれている患者さんもたくさんおられます。

一病息災となることも多いので、悲観的に考えないで頂きたく思います。多くの人は、中年以後になれば程度の差こそあれ生活習慣病に罹患して、病気とつきあっていくことになります。それが、時期が少し早いだけだと考えて頂きたいと思います。
 

 妊娠について

 
膠原病の病状が安定しておれば、妊娠は可能です。病状が安定しており、臓器合併症が重くなく、ステロイド剤の内服量が少量であれば、妊娠は問題ないと考えております。

しかし、膠原病の場合は病気の種類によっても違いますし、主治医の先生にまずよく相談されることが大切だと思います。特に、妊娠中や出産に際しては産科との連携が重要になりますので、この点についても十分打ち合わせをされることをお勧めします。

妊娠が可能かどうか、また可能であればいつ妊娠するのが望ましいかを検討してみてもらう必要があるので、主治医の先生とじっくり相談されることが一番です。妊娠・出産が可能かどうかを決める目安を示しておきますので、参考にして下さい。
 

現在の病状

過去1年以上にわたって膠原病が落ち着いた状況にあり、今後もこの状態が維持できる可能性が高いこと。膠原病による臓器障害(腎臓・肺・心臓)が、軽度であること。
いわゆる“寛解”の状態が妊娠による母体の病状悪化を避けるための条件といえます。

ステロイド剤

内服ステロイド剤の維持量がプレド二ン換算で1日量が10mg以下であること。以前にステロイド剤による重い副作用がないこと。
赤ちゃんへのステロイド剤の影響は未知数の部分もありますが、内服量が少ないに越したことはありません。

免疫抑制剤

過去1年間以内に免疫抑制剤を内服していないこと。
免疫抑制剤には副作用として赤ちゃんの奇形を促すものがあります。また、排卵抑制、精子減少など妊娠そのものの障害になる場合もあります。

抗核抗体

抗SS-A抗体, 抗SS-B抗体, 抗リン脂質抗体が陰性であること。
これらの抗体を持つ患者さんの場合、赤ちゃんに心臓の障害が起こりやすかったり、流産し易いということがあります。

環境

家族の協力が得られるなど、育児に適した環境が確保できること。
出産後の体調回復は健康な人と同じというわけにはいかない場合もあります。協力してくれる人の存在が不可欠です。

 
※ここに示されているのはあくまで目安です。特にプレドニンの内服量は医療機関によって差があるようですし、抗体も妊娠に影響がない場合もあります。個々の病状や体調などで変わってくることもありますので、必ず主治医とご相談いただくようお願いします。
 
 出産について 
 

妊娠中は、膠原病はむしろよくなることが多いの
ですが、出産後に悪化することが多いので注意
が必要です。通常、分娩後は一時的にステロイ
ドを増量する処置を行う必要があることが多い
ので、主治医の先生と産科の先生の緊密な連
絡が必要となります。私たちは、早めに入院さ
れることをお勧めしています。

 
経験的には、生まれてくる赤ちゃんはときに出生時の体重が少なめであることがありますが、その後の発達や発育については問題がないと考えていただいて良いかと思います。健常人でさえも、子育てはストレスになりますので、周囲の理解と援助を受け十分な休養がとれるように心がけてください。

母乳についてですが、ステロイド剤内服している場合プレドニン換算で1日20mg以下であれば問題ないと思いますが、それ以上の場合は原則的には避けていただくように説明しております。これについては、産科の先生の意見と調整する必要があるので、やはり患者さんの個人差を加味して判断することになろうかと思います。

以上、簡単に概略を述べましたが、病気の種類や合併症などの背景因子が異なると、一括して書くのは難しいので、個々のケースによって個別に相談されることをお勧めします。

膠原病は若年女性に好発する疾患も多く、結婚・出産・分娩は重要な問題です。ひとりで悩まずに専門医に相談してみてください。わたしたちも、積極的に協力したいと考えております。