免疫抑制剤の基礎知識

 
ステロイド剤の基礎知識
でも説明したとおり、膠原病の特徴である免疫異常などについてはほとんどの場合第1選択薬としてステロイド剤が使用されます。しかし、その効果が期待どおりでない場合や、副作用により中止
や減量しなければならないこともあります。そういうときの補助的選択として使用されてきた免疫抑制剤ですが、免疫抑制剤そのものの治療効果もあって最近では広範囲に使用されるようになってきました。
 
※この記事は約2年前に書かれたものです。
現在でも、説明内容にそれほど大きな違いは無いようですが、
新しい治療分野なので、投与の方法などは日々研究が進み、より効果のある形へと変わっているようです。参考にはなると思いますが、治療にあたっては主治医から十分説明を受けていただくようお願いします。
                              2003.8.7

※薬剤情報を一部アップデートしています            2006.12.24。
        
 

 免疫抑制剤とは

 
免疫抑制剤はもともと抗がん剤という分類に含まれていました。しかし、この中のいくつかのものは少ない量で免疫抑制効果が得られることがわかり、膠原病の治療に用いられることになりました。その作用を簡単に説明すると免疫にかかわる細胞の分裂や増殖を邪魔して、免疫反応を抑えるというものです。


代表的な免疫抑制剤を表にしました。

免疫抑制剤は通常、内服使用しますが、その効果が現れるまでに2〜4週間はかかるといわれています。エンドキサンのようにパルス療法が行われるものもあります。
 

  一般名 商品名 1錠量
アルキル化剤 シクロフォスファミド エンドキサンP 50mg
代謝拮抗剤 アザチオプリン イムラン 50mg
メソトレキサート リウマトレックス 2mg
ミゾリビン プレディニン 25/50mg
T細胞活性阻害剤 シクロスポリン ネオーラル 10/25/50mg
タクロリムス プログラフ  

 
残念ながらこの免疫抑制剤にも副作用があります。ステロイド剤が免疫抑制効果で治療効果をあげると同時に感染しやすいという副作用を持っているように、この薬も免疫を抑制することが治療であり、副作用でもあるわけです。ステロイド剤と同じく治療効果と副作用とのバランスを上手く取ることができるならば、膠原病の治療に欠かせない薬と言うことができるでしょう。

各薬剤について簡単に説明しますが、最近では書かれている疾患以外の疾患にも広く使用されています。
代表的な副作用が必ず現われる
ということではありませんが、感染しやすいというのは共通の副作用といえます
ので予防対策は十分に取るようにしてください。また、それ以外の副作用が現われることもあるので、主治医からよく説明を受けるようにしましょう。ちょっとおかしいなと気付いたらすぐに主治医に伝えることも大切ですね。
 

 シクロホスファミド

 
主に重症型の全身性エリトマトーデスや全身性の血管炎、その他の血管炎症候群によく用いられます。

エリテマトーデスでは活発な状態の腎炎や中枢性の症状に使用します。全身性の血管炎ではむしろエンドキサンをうまく取り入れた治療が血液の流れをよいままで治すのに必要です。さらにウェゲナー肉芽腫症ではステロイド単独では治療効果が悪く、初期からの「
エンドキサン」の使用が必要といわれています。

エンドキサンはステロイド剤と同様にパルス療法も行われます。750mg〜1000mgを1ヶ月に1回、これを数ヶ月連続して行い、その後3ヶ月に1回というように間隔を広げて1〜2年間行うことの有効例が報告されています。現在では用量を少し減らして、間隔も短くすることが一般的になっているようです。

ステロイドパルス療法と同様に、長期内服よりもパルス療法が効果が高く、副作用も少ないとされていて、上記症状以外に間質性肺炎などにも効果があると報告されています。

●代表的な副作用

悪性腫瘍、出血性膀胱炎、骨髄障害、間質性肺炎・肺腺維症、不妊症、胎児催奇形、消化管障害、脱毛

この薬は尿路系に刺激を与える特性があるので、服用中は水分を多く取る必要があります。悪性腫瘍もこの経路に発生しやすいと言われています。

他の免疫抑制剤にも共通の副作用である
骨髄障害の代表的なものは白血球数が減少することです。普通では約6000前後あるはずですが、2000以下に下がらないようチェックが必要です。

間質性肺炎・肺腺維症は発症の予測ができない、進行が急性の場合があるなど重症になる可能性のある副作用です。呼吸困難や空咳がでたら、すぐに主治医に連絡を取りましょう。
 

 アザチオプリン

 
慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、筋炎、血管炎などに用いられ、特に慢性関節リウマチでは効果が確認されていています。この薬を併用することによってステロイドを減らすという目的にもよく使用されます。たとえば今までどうしてもステロイドを4錠までしか減らすことができなかったケースでも、イムラン1錠とステロイド2錠でコントロールしていけるというような使い方です。「イムラン」のほかに「アザニン」もあります。

●代表的な副作用

骨髄障害、肝障害、消化管障害、胎児合併症

この薬の場合、とくに肝機能(GOT,GPT)のチェックが必要です。
 

 メソトレキサート

 2003.12.14 UP
リウマトレックスは主に慢性関節リウマチと筋炎に使用されます。成人発症スティル病にもステロイド剤だけでは効果が上がらないときに使用されることもあります。メソトレキサート、商品名「メソトレキセート」はかなり以前から抗がん剤として用いられてきましたが、現在では抗リウマチ剤「リウマトレックス」として広範に使用されており、リウマチの治療では非常に効果があるものと認められています。この薬は使用方法が他の薬と異なっているのでよく理解することが必要です。

※リウマチ治療には「アラバ錠」や「レミケード点滴薬」など新しい薬も登場しています。これらについては宇多野病院のサイトに詳しいことが掲載されています。

 
●代表的な副作用

骨髄障害、肝障害、消化管障害、間質性肺炎・肺腺維症、胎児死亡

メトトレキサートによる間質性肺炎・肺腺維症は非常に急激に起こる可能性があります。症状を感じたらすくに主治医に連絡を取りましょう。
 

 ミゾリビン

 
慢性関節リウマチとループス腎炎が適応とされています。「プレディニン」は膠原病で使用する免疫抑制剤の中では副作用が比較的少ないといわれています。慢性関節リウマチでは病気の勢いを元から抑える目的で、ループス腎炎では腎炎に至る過程を抑える目的で使用されます。

●代表的な副作用

骨髄障害

 

 シクロスポリン

 
ネオーラルは慢性関節リウマチ、ステロイド抵抗性の腎炎、そしてベーチェット病の眼の症状に対して有効とされています。ベーチェット病では、眼以外、特に中枢神経症状がある場合は使用してはいけない薬となります。「ネオーラル」は従来の「サンディミュン」に比べて吸収性が優れており、より有効とされています。

●代表的な副作用

肝障害、腎障害、高血圧、高脂血症、多毛

肝機能の他に腎機能(クレアチニン)のチェックが必要です。この薬には骨髄障害などの副作用はないとされています。
 

 タクロリムス

 
プログラフはもともと移植治療において、拒絶反応の抑制、臓器の定着を目的として開発された薬です。慢性関節リウマチについても有効性があるようです。

この薬は現在もっとも新しい部類に入る免疫抑制剤です。すでに肝移植をはじめとする様々な移植治療に用いられており、その他にもアトピー性皮膚炎にも効果があることが分かって軟膏(プロトピック軟膏)が発売されています。アトピーも免疫異常の疾患といわれていますから、今後に期待できるかもしれませんね。
 
●代表的な副作用

腎障害、高血糖、心不全など循環器系障害

 

この記事の作成にあたって膠原病友の会滋賀支部の機関誌に掲載された京都大学医学部附属病院免疫・膠原病内科 尾崎承一先生(現在聖マリアンナ医科大学病院)の原稿を参考にさせていただきました。

この記事の作成時期に比べて免疫抑制剤も使用される機会が増えてきたように感じます。、ネット上での情報も多くなりました。保険適用がクリアされてきたきたことも影響しているかもしれません。こちらのサイトにも詳しい情報があります。文中のリンクもこのサイト内へリンクしていますので、参考になさってください。


 



 
  
 
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