次に社会的不利と理学療法について考えてみます。小指の突き指で関節が動かなくなったとします。図のように日常生活ではほとんど問題になることは無く、障害も全くないように見える場合でも、もしこの人がピアニストだった場合には非常に大きな社会的な不利益をこうむる場合があります。つまり障害は人によって意味合いが大きく変わるということです。よって私たちが治療する場合にその人の置かれた立場を知ることも大変重要になります。簡単な例では一般の人とスポーツ選手では目指す目標が異なるためリハビリも当然違ったものになります。このように理学療法士は患者さんの社会的不利に対しても考慮する必要があり、同じ疾患でも個々に応じた治療をする必要があります。 医療従事者に対して"病気をみて人をみない"とよくいわれます。しかし以上のように理学療法士は機能障害と能力低下をみるだけでなく、その人の疾病や社会的不利についても考えていく必要があるということです。疾病を考えるということは病気をみることにつながり、社会的不利を考えるということは個々の人もみることにつながります。やはり身体障害の専門家を目指す道は険しいのですが、私たちは他の職種の人達に協力を受けながら障害全体も考えることに努めていく必要があります。 |