これまで訪問リハビリの際にケアマネージャーやヘルパーの方など、多くの人たちと連携して介護保険制度は成り立っていることを記してきました。また前回は作業所の仲間のお話をしましたが、私の診療所の中の業務でも同様に多くの仲間が集まって医療は成り立っています。 学生時代の理学療法の実習で理学療法士の方が患者さんに作業を用いてリハビリを行っている光景を見ることがありました。以前にもお話したように、理学療法士は起きる・立つ・歩くなどの基本的動作を担当し、作業療法士は作業を用いて身の回りの家事動作や更衣動作などの応用的動作を担当しています。それまでの実習では理学療法士の方が作業療法を行っている場面を見たことがなかったので、その光景は少し違和感がありました。その理学療法士の方は「作業療法士のいない病院は非常に多くて、立ったり座ったりすることはできても、特に女の人は家事などの作業ができないまま退院することになってしまって困ることが多い。リハビリの担当者として必要なリハビリはしてあげたい。」と教えていただき、私も幅の広い理学療法士になれたらと感じました。ところが次の実習先でそのことを理学療法士の先生に話すと「私たちは理学療法士という仕事に対して国から免許をもらって行っているのであって、作業療法に関して免許がある訳ではない。プロの領域のリハビリを患者さんに提供できるから仕事として成り立っているのであって、その領域を無視して銘々がリハビリを行えば、リハビリの質は落ちていき仕事として成り立たなくなる。」と言われました。この二人の先生の意見は対立しているようですが、私にはどちらも正しいように思うのです。目の前の患者さんを何とかしてあげたいという思いは大切ですし、でも責任をもったリハビリを行うことも大切です。この問題を解決するためには作業療法士という職種が必要です。やはり理学療法士だけではリハビリはできないのです。 私の働いている診療所の仲間は非常に多彩です。医師や看護師のほかに柔道整復師・鍼灸師・マッサージ師などの国家資格をもった先生方、更にカイロプラクターやメディカルトレーナーなど、本当にいろんな考え方を持った方々が携わっています。この診療所のリハビリの一番良いところは、それぞれの職種の技術や役割を尊重しながら壊しあっていないところだと思います。他の病院の様子を聞くと多くの職種がいたとしても、ひとつの方法に型をはめてしまうことが多いそうです。それでは、せっかく銘々の学んできたことが生かされないと感じます。それぞれのプロの領域のリハビリを患者さんに提供することできれば、リハビリの範囲を広くすることができますし、リハビリの質も決して落ちる心配はありません。リハビリの方法は様々でも、患者さんのためにありたいという方向さえ同じであれば、私たちの仲間はお互いに影響しあって更に向上していくと思います。 |