◎PT(理学療法士)としてpt(患者)として

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55)医療者をめざす皆さんへ

 

実習などで医療関係者ならびに患者さんにたくさんのことを教えてもらい理学療法士となりました。本来なら病院で働いて実習生の皆さんに自分がしてもらったように教えてあげるのが良いのでしょうが、残念ながらそれができません。私の勤めている診療所にも毎年何人かの実習生が来ますので、その人たちには少しは教えてあげられるのですが、期間が短いため自分がしてもらったことを返すにはほど遠いと思っています。そこで今回の連載には自分が考えている理学療法士とは、医療者とはどういうものかということを少し書かせてもらいました。一部に役だったとの声がありましたので、少しは役立てたかなと思います。

友の会では看護学生さんなどに生の患者の声を聞いてもらおうと、「教壇に立つ活動」というものを行ってきています。医療者をめざす皆さんは、もちろん医療職としての技術や知識は必要です。しかし目の前の患者さんを見て、声を聞いてみて、何を感じ取れるかが非常に大切です。NTT西日本大阪病院の栗谷先生が講演で"権威を捨て、品位を保ち、感性を磨け"と教えていただきました。医療の現場では考えている余裕はない時がたくさんあります。そんなときでも考える前に、患者さんのことを感じとることができれば、医療はどんなに忙しくても成り立つような気がします。

理学療法士として私と患者さんが出会ったことは、本当はお互いに喜ばしいことでは無かったと思います。患者さんが健康なままであれば、一生出会うこともなかったのだと思います。そんな関係でも患者さんは私たちの指示にしたがってリハビリを続けてくれます。患者さんたちのその姿勢には頭のさがる思いです。できれば会わない方が良かった関係でも会ってしまった以上は、お互いが少しでも出会って良かったかも知れないという関係になれたらと思います。

これまでも残念ながら自分の患者さんが亡くなることが多々ありました。その中で自分の無力さを痛切に感じることもありました。しかし、患者さんに対して"いろいろと教えていただいてありがとうございます"と、心から言えるように努力していきたいと思います。結局、私たちの仕事は本からの知識ではなく、最終的には患者さんから様々なことを学び取って成り立っているのです。もし心から患者さんにありがとうという気持ちがでないとしたら、それは自分が患者さんに対して怠けていたか、私が患者さんに対して本当に伝え感じることができなかったからだと思います。私たちが行っている「教壇に立つ活動」に参加できなかった方たちも、その経験は目の前の患者さんからいつも感じ取れる要素が含まれています。私たちは医療者であり続ける以上は知識や技術と同様に、"感性"を磨き続けなければなりません。私自身もこのことを肝に銘じなければなりません。

 

 (第55話:2004年10月31日公開)