コンブの祖先

 

読売新聞より抜粋です> 

日本の食文化を担うマコンブ、リシリコンブから北米西岸で海中林を成すジャイアントケルプまで世界に分布するコンブ類のルーツが、北海道東部の厚岸湾で半世紀前に発見された海藻「コンブモドキ」である可能性が強まっている。
神戸大内海域機能教育研究センターの川井浩史教授が、潜水調査や遺伝子解析で突き止めた。

コンブモドキは1944年に北海道大理学部が厚岸で発見した。釧路付近を南限に分布域は狭い。長さ3m、幅約20cmまで成長する。
空気に触れると短時間で解けるほど弱く、「幻の海藻」と呼ばれてきた。外見はコンブとよく似ていることが和名の由来だが、ウイキョウ目という、コンブとは別の褐藻に分類されている。

川井教授は、コンブモドキの精子(のう)の形などが、原始的なコンブ類のニセツルモとよく似ていることを培養株の観察で解明。さらに核や葉緑体の遺伝子を解析し、遺伝情報(塩基配列)が遺伝子によって82〜99%同じであることを確認。コンブモドキやニセツルモは、他のコンブ類が失った胞子の走光性を持っていることなどから、コンブの祖先から分岐した原始的な種と見られることも分かった。

コンブ類は卵と精子で有性生殖するのに対し、コンブモドキは雌の配偶子も鞭毛(べんもう)で泳ぐ「異形配偶」。しかし、コンブの一種の卵細胞からは退化した鞭毛の痕跡が見つかっており、コンブの祖先は異形配偶をしていたらしい。現在分布するコンブ類で異形配偶をする種はなく、コンブモドキは最も原始的なコンブで、コンブの起源となった藻類の直系の子孫と見られる

川井教授は85年以来、ベーリング海のセントローレンス島、ロシア・カムチャッカ半島、カナダ・ニューファンドランド島などの北半球全域の海に潜り、現地の大学との共同調査で原始的なコンブを採取。大学院生の佐々木秀明さんらと共に培養株をもとに、分子系統学的な解析をしている。

コンブなどの褐藻類は15目1500種。コンブ目はニセツルモ、コンブ、チガイソなど6科28属115種で、従来は北極に起源があり、南へ分布域を拡大、進化したと考えられてきた。

川井教授は「最も原始的な特徴を持つコンブ類がアジア北部の非常に狭い範囲にだけ分布していることは、付近に起源があり、進化しながら分布を広げたということだろう」と話し、山形市で開催中の日本藻類学会で(99年)3月29日、研究成果を発表した。

 

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