海藻の栄養化学的特徴
昆布を含めて海藻全般にいえる栄養化学的特徴を見ていきましょう。
海藻は糖質が主成分で、脂質が少なく、食物繊維が非常にたくさん含まれます。
キャベツやレタスなどの野菜と比べても食物繊維をたくさん含んでいます。
さらに、海藻にはキャベツなどに比べてカルシウムが2〜3倍、ビタミンAの前駆体であるカロテノイドは2倍から、多いもので15倍も含みます。
以下、詳しく見ていきましょう。
食物繊維
(a)耐糖性改善とインスリン分泌の節約→糖尿病の予防 (b)コレステロール代謝の正常化→動脈硬化症の予防 (c)食事性有害物質の除去→老化を防ぐ (d)大腸がん発生率の低下 |
| 食物繊維は、体内で膨張し数百倍にも膨れ上がります。 昆布には不溶性のセルロース(通常、食物繊維と言われるもの)、と水溶性のアルギン酸が豊富に含まれています。昆布を水に浸けた時に出る粘りがアルギン酸です。 これらが小腸に移ると、膨れた食物繊維が食べ物と混ざり、いっぺんに多量の食べ物が腸壁に接触するのが妨げられます。 つまり、糖質の吸収が緩慢になります。糖質の吸収が緩慢になれば、血糖値の急激な上昇と、急激なインスリン分泌を避けることができて、糖尿病を予防することができます。 同様に、胆汁酸として分泌されたコレステロールの二次吸収をも阻害するので、コレステロール排泄が促されて体内コントロール量を正常に保つことが出来、動脈硬化などを予防できます。 また、食物繊維は一部は腸内細菌によって発酵し、低分子のカルボン酸を生じ、腸内のpHを下げます。その結果、ビフィズス菌などの有用細菌を増やし、発癌物質などを産生する有害細菌の生育を押さえることができます。このような腸内環境改善効果は、大腸がんの発生率を大きく下げます。 |
脂質
| 海藻には脂質が少ないですが、その脂質にはαリノレン酸などの不飽和脂肪酸が多く含まれています。 →循環器疾患の軽減、ガンの転移の抑制、ストレスやアレルギーの防止、神経細胞の働きの援助、冠血管拡張作用、強心作用があります。 |
カルシウム
| 素干し海藻は牛乳の7〜14倍量のカルシウムを含みます。 海藻は理想的なカルシウムの供給源です。 |
カロテノイド
| 海藻のカロテノイド含量は、緑黄色野菜より少ないが、キャベツなどの淡色野菜より多く含まれています。 →抗酸化能による老化防止効果があります。 通常、カロテノイドは脂溶性物質であり、体内に蓄積すると毒性を示します。 根菜のカロテノイドはトランス型ですが、海藻のカロテノイドはシス型です。 →シス型のカロテノイドは体内蓄積を抑制します。 |
さて、以上のような栄養素から見た特徴のほかに、近年注目を浴びている海藻の効能についてみてみましょう。
免疫賦活活性
| 免疫賦活というのは、免疫力が強く働く力のことであり、これは体内のマクロファージの活性化のことを指します。 マクロファージは免疫機構に深く関わっている物質です。 海藻には、このマクロファージを活性化させます。 →病気感染、ガンの予防に働きます。 |
マイトジェン活性
| マイトジェン活性とは、細胞の分裂促進活性のことです。 →海藻のある成分は、免疫機構に深く関わる、T細胞、B細胞の分裂を促進し、腫瘍細胞や感染菌に対する体の耐性を強めます。ガンの予防、病耐性(病気に罹りにくい)の維持。 |
ガン予防活性
| 食べ物を焼いた時にできる「コゲ」は発癌性があるといわれ、調理発癌物質といいます。 海藻のある成分は、この調理発癌物質の変異原性抑制を持ちます。 海藻のフラボノイドにこの作用があるのでは、といわれています。 変異原性とは、細胞をガン細胞に変異させることです。 一般的に、焼き魚に100gには概算して2マイクログラム(2gの1000000分の1の量)の調理発癌物質「Trp−P−2(トリプ・ピー・ツー)」が含まれるといいます。 このTrp−P−2を無毒化させるには、野菜類だと40g以上必要ですが、素干し海藻なら約2gで無毒化(解毒)できます。 |
血圧降下活性
| ちょっと専門的になりますので、詳しくは説明しませんが、 海藻のある成分は、アンギオテンシン変換酵素の活性を阻害することにより、血圧を下げる力があります。 |
以上、大雑把に見てきましたが、海藻のすばらしい効能が分かって頂けたかと思います。
ですが重要なのは、海藻が体にいいからといって、それだけを摂るのは栄養バランス的に大変悪いことです。
「○○が△△に良い」といわると、その○○しか食べない、という人が多いですがそのような食べ方はかえって逆効果です。
バランス良く食べるのが一番いい方法です。