食品添加物(5)
安全性の確立へ
食品への使用が確認されたものでも、多量に摂取してはいけません。そこで、実際に食品に使用する際の使用制限が求められているものがあります。
ここでは、食品添加物の使用基準(食品あたりに添加可能な最大基準量)を求めるときに使われる語句について見ていきましょう。
最大無作用量(無毒性量)
最大無作用量(無毒性量)は、反復投与、発がん性、繁殖試験などの毒性試験を行った結果より、まったく影響が観察されない群の食品添加物の最大投与量より求められます。
したがって最大無作用量以下の食品添加物を投与しつづけても実験動物には何らの毒性が認められません。
最大無作用量は、実験動物の体重1kg当たりのmg量(mg/kg体重)として表されます。
1日摂取許容量(ADI)
従来から、毒性学者の永年の経験により、実験動物と人が影響を受ける量の差には、10倍も違いがある例はなく、また、人の性別、年齢や健康状態の違いなどの個人差によって影響される量の差にも、10倍以上の違いを考える必要がないことが知られています。
したがって、われわれがある食品添加物を、一生涯毎日摂取しても影響を受けない量を指す「1日摂取許容量(ADI)」の最大値は原則として、実験動物から得られた最大無作用量に、実験動物と人との動物種の差として10倍、人の年齢、性別、健康状態などの個人差として10倍、総合的に計100倍の安全率を見込んで算定されます。
すなわち、最大無作用量の100分の1の量が、1日摂取許容量(ADI)になります。
食品添加物の使用基準
国によって食生活は多種多様です。食品添加物をごく微量に含む食品でも、偏って食べる習慣があれば、その食品添加物の摂取量がADIを超える危険性があります。
そこで日本では、厚生省が国民栄養調査や、食品の生産量、輸入量、消費量、家計調査などのデータより、各食品の摂取量を調べ、それにも基づいて食品添加物の摂取量を推定しています。
その量がADIを大幅に下回るように考慮して、食品添加物ごとに使用を認める食品(対象食品)と、その許容量(最大限度量)や、使用方法(使用制限)の使用基準を定めており、この基準は、食品添加物公定書に明示され、遵守することが義務付けられています。
しかも、実際に食品中に含まれている食品添加物の量は、この基準値より少なく、安全性は十分に確保されています。
現に、厚生省が行った1日摂取量調査でも、摂取量はADIを大幅に下回っていることが裏付けされています。
| 食品添加物名 | 日本人の摂取量(mg) | ADI×50kg体重 (mg) | ADIに対する比率 |
| BHA(ブチルヒドロキシアニソール) | 0.0012 | 250 | 4.8/100,000 |
| 赤色2号 | 0.023 | 25 | 9.2/10,000 |
| 赤色3号 | 0.022 | 5 | 4.4/1,000 |
| 黄色4号 | 0.033 | 375 | 8.8/100,000 |
| 黄色5号 | 0.001 | 125 | 8/1,000,000 |
| ソルビン酸 | 30.346 | 1250 | 2.9/100 |
| ピロリン酸 ポリリン酸 メタリン酸 |
(合計)6.10 | 3500 | 1.7/1,000 |
<食品添加物のADIと実際の摂取量の比較例>
いかがでしたでしょうか? 食品添加物が如何に安全性が確立されたものかご理解いただけたでしょうか?
食品添加物が開発されたからこそ、今のわれわれの食生活は多種多様になり、安全で均一な品質が保たれるようになっているのです。
いままで批判的だった人は、ここで食品添加物に目くじらを立てるのをやめ、きちんと向かい合っていってはどうでしょうか?
(次回は、食品添加物の各論に移りたいと考えております)