食品添加物(8)
<着色料>
食品の価値は、単なる栄養の供給だけでなく、美しさやおいしさのような五感に訴える好ましい刺激が備わっていることです。
食品を選ぶときは、まず色で見分けます。きれいに盛り付けられた食卓を見れば、誰でも食欲をそそられます。おいしく食べれば、消化吸収も良くなります。
人類は昔から、自然の素材を煮たり塩漬けにしたりしてさまざまな加工食品を考え出してきました。
色の成分は不安定なものが多く、加工することにより、変色したり、退色したりするため、栗きんとんのクチナシや、梅干のシソのようなものを利用して、食品に着色や補色をして、きれいでおいしく食べられるよう工夫してきました。
カニカマボコは、カマボコにカニの風味をつけ、繊維状に成型し、表面をカニのように着色したものですが、この着色がなければ、カニのイメージは湧かないでしょう。
新しい加工食品を生み出すためにも、着色は重要な加工技術なのです。
食品への着色は粗悪な原料を使った食品の外観をごまかすためのものではなく、ファッションや化粧のように、食品のおいしさや楽しさを満たし、消費者の多様化するニーズにこたえるものです。
| 1. | 食品原料の色調の変動を補い、一定にします。 |
| バターは薄黄色に決まっていると思いがちですが、枯草の牧草を食べさせた牛の乳から作ったバターの色は、緑色の牧草を与えたときより淡くなります。いつも同じ色調にするために、β-カロチンなどを使用して一定の色調にすることがあります。 タラコはスケトウダラの魚卵を塩蔵加工したものですが、スケトウダラの漁獲期や遠洋漁業による冷凍処理、また胆汁や血色素の影響で変色し、そのままでは食欲をそそらないため、わずかな着色により色調を補います。 |
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| 2. | 食品の加工工程や、保存中の変色や退色を補い、色調を整えます。 |
| クリームソーダやカクテル、洋菓子、みつまめなどに使われるレッドチェリーは、さくらんぼの収穫時期が限定されるため、缶詰の形態で保存しますが、保存中に、退色が進み、魅力のない色に変化します。レッドチェリーはカクテルなどのアクセントとして使われる美しい色が必要なので、着色料が使われます。野菜などの原料を漬け込んで加工したものは褐変が起こり、まずそうな色になります。日本料理の食卓に美しい色の漬物を添えることにより、食事がいっそう楽しいものになります。 | |
| 3. | 食品に彩りを添え、おいしさや楽しさを演出します。 |
| 和菓子の白あんに種々な着色をして柿、もみじなど四季折々のものが作られています。芸術そのもので私たちを和ませてくれますが、着色料なしでは味わえないないものです。 ドロップやあめ菓子などには、変化に富んだいろいろの色調のものがあり、私たちを楽しませてくれます。からし明太子の赤は辛いイメージを与えており、タラコより赤くつけられています。お祝い用の紅白の角砂糖、細工カマボコ、紅白饅頭も私たちの生活に欠かせないものです。また、ラーメンの黄色、カマボコ、焼き豚の表面の赤、紅しょうがの赤、なると巻きの渦、たくあん漬けの黄色、しば漬けのピンク色、福神漬けの赤など、私たちの食生活と深く関わっています。 |
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| 4. | 多様化する新しい加工食品を生み出す重要な因子です。 |
| カニカマボコは赤色の着色をすることでカニのイメージをかもし出しています。 マーガリンは植物油が原料なのでもともとは白色ですが、バターのように淡い黄色にすることで魅力ある食品となっています。 |
※アメリカでの実験
1)シャーベットに、オレンジ、パイナップル、ライム、グレープ、アーモンド、レモンの6種類のフレーバーをつけ、一つのフレーバーにそれぞれ2〜3種類の違った色をつけ、被験者にはフレーバーの種類を知らせないで、それぞれがどのフレーバーであるかを当てさせる実験を実施。
結果、オレンジのフレーバーをオレンジ色に着色したものの正解率は99%であったが、紫色に着色したものでは半数以上が間違えた。
レモンのフレーバーを赤色に着色したものでは47%がイチゴと答えた。
2)同じホットコーヒーを、3つのカップに注ぎ、カップのそばに、それぞれ赤、黄、緑色のラベルを貼ったコーヒーの缶を置いておき、被験者に3つのカップコーヒーを飲んでもらい、どれが一番おいしかったかを質問した。結果、赤色ラベルの缶のそばに置いてあったコーヒーがもっとも味が濃くておいしく、黄色は味が薄く、緑色は酸味を感じた。
このように色彩は食品そのものの色だけでなく、食品を入れる容器やその食品の周りにある色までもが、食品のおいしさの感じ方に大きな影響を及ぼしています。
今後
1)品揃えの完了
1991年には食用赤色40号およびそのアルミニウムレーキが許可されたが、食品衛生法の改正に伴って、新規の着色料(食品添加物全般)の申請・許可に関して、使用する原料の過去の食経験が重視されるとともに、安全性をガイドラインに沿って十分に確認することが義務付けられました。
このため、多くの労力と費用がかかること、また、一方で食品の着色には現在許可されている多くの色素をうまく活用することでほとんど困ることはない程度に品揃えが完了しているという見方から、今後は新たな色素の指定が行われる可能性は少ないと考えられます。
2)差別化の進行
全面表示の実施により使用実態がつかみやすくなりましたが、数多い天然色素の中でも実際に食品に使用されている色素は約30品目程度に集約されつつあります。
中でも、メジャーな色素がさらに多く使用される傾向にある一方で、マイナーであっても特別な機能を持ったものが、その性質を生かせる分野では必要な存在となっている。
3)使用分野の拡大
従来、用途によっては色素そのものの性状面などのために使用することができなかった領域で、安定化剤の開発や製剤の剤型の改良によって、用途拡大が図られている。